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台湾資本の大陸進出

中国大陸が台湾最大の貿易相手先に

 台湾政府は、中国大陸がアメリカにかわり最大の貿易相手先になったことを発
表した。5月の台湾の対中国大陸向け輸出は台湾の総輸出の25%に達した。
 台湾経済部によると、台湾の5月における対中国大陸向け輸出は28億ドルであ
り、前年同期に比べ44.5%増になった。今年初頭からの5カ月間における台湾の
対中国大陸向け輸出は120億ドルで、台湾の総輸出の23.5%を占めた。
 アメリカは過去数年間ずっと台湾最大の輸出相手国であり、今年初頭からの5
カ月間におけるアメリカは台湾の総輸出の20.6%を占めた。台湾の総輸出に占め
る対中国大陸向け輸出は、1991年の9%から、1996年の16.5%、2002年5月の25%
と増加している。
 台湾経済部によると、台湾の対中国大陸向け輸出増加の原因は中国大陸に世界
の国々からの輸出が増加しているためとしている。台湾の対大陸向け輸出品は、
主にコンピューターと電子部品である。

台湾企業の長江デルタ投資、上海と周辺で「すみ分け」

 台湾企業の長江デルタ投資が「すみ分け」傾向を示している。
 わずか数年の間に、長江デルタは珠江デルタに続く台湾資本企業のもう1つの
高度集中地域となった。この台湾企業の投資ブームで最も注目されるのは、ハイ
テク企業が次々と昆山、蘇州、無錫などに集結し、上海の周辺に完全なIT製造業
の「群落」を形成していることだ。
〈製造業は上海周辺、商業・サービス業は上海〉
 明基電通中国営業本部の曽文祺総支配人は、「世界の電子産業帯はすべて大都市
の周辺にあらわれている。上海と蘇州を結ぶラインに1000社を超えるハイテク企
業が集まっており、将来は、サンフランシスコとシリコンバレー間の湾岸のよう
に、全世界に知られる電子製品の製造基地になるだろう」と語った。同時に、「サ
ンフランシスコとシリコンバレーは競争関係にはない」と指摘した。
 長江デルタに投資している1万社を超える台湾資本企業はよい方向への産業分
業構造を形成しつつあり、上海と周辺地区では「すみ分け」の傾向が見られる。
対外貿易経済協力省香港マカオ台湾局の王遼平局長は「大体のところ、台湾資本
の製造業は主に昆山、蘇州や無錫などに集結し、商業・サービス業は上海に進出
している」と語った。
 現在、上海地区には台湾資本企業4000社余りが進出している。ある権威のある
報告によると、上海が国際的な経済、金融、貿易、海運センターの目標に向かっ
て前進しているのに合わせ、上海に進出する台湾企業の業種は、ハイテク産業、
金融、コンサルティング及び倉庫、海運、小売業に移りつつあると指摘している。
 台湾企業は既に上海で11の小売企業に投資しており、うち頂新集団が投資した
楽購量販店と潤泰集団が投資した「大潤発」ウエアハウスストアは正式オープン
している。世華銀行が上海に事務所を設けたのに続いて、台湾土地銀行、第一銀
行も上海事務所の設立を申請している。一方、京華、元富、群益、日盛、建弘、
金鼎、宝来など台湾の証券会社10社が上海に事務所を設置した。
〈すみ分けは戦略の差〉
 近年、上海は大陸に進出する海外企業の「橋頭堡」になっている。上海を足が
かりに大陸市場を開拓しようとする台湾の大資本と上場企業の戦略もますますは
っきりしてきた。台湾の100の大資本のうち、54が上海の123の事業に投資してお
り、契約ベースの台湾資本は22億5000万ドルに上る。
 台湾食品業の大手、統一と味全のほか、華新麗華、湯臣、中華紡織、震旦集団
などは、上海に投資会社を設立した。遠東、裕隆、旺旺などのグループは大陸地
域本部(投資、営業)を上海に移した。
 それに対し、滬寧高速道路(上海―南京)沿いに西に展開している昆山輸出加
工区、蘇州工業園区(インダストリアルパーク)、蘇州新区では様子が違ってい
る。台湾企業が新しく建てたハイテク工場が林立し、労働者たちがプリント基板、
マウスからデジタルカメラ、液晶ディスプレー、ノートパソコンまで一連の電子
製品を生産している。
 昆山、呉江を含む蘇州地区全体の台湾資本IT企業は、現在600余社に達してい
る。また、蘇州長江沿岸の太倉、常熟、張家港には冶金、建材、繊維品などの伝
統的製造業を中心とする多くの台湾資本企業が集中している。
 蘇州市台湾事務弁公室の謝鳴・主任は「われわれの今日があるのは上海の発展
のおかげだ」と語った。「大樹の傍は涼をとりやすい」というように、蘇州は上
海に近い地の利がある。上海の金融、貿易サービスシステムや空港、港湾の交通
資源を利用できるし、土地、労働力のコストが安く、台湾のハイテク製造業の発
展に適している。しかも、台湾資本のIT企業がふえるにつれて、蘇州の電子関
連・付帯分野も整備され、台湾企業の新たな魅力になっている。
〈今後の見通し〉
 上海復旦大学経済学院(学部)の陸徳明院長(学部長)は次のように見ている。
 珠江デルタにおける香港と同じように、長江デルタの経済、サービスの中心と
しての上海の地位は急速に向上している。周辺の台湾資本企業に生産前、生産中、
生産後の全方位サービスを提供すれば、効率が向上し、コストが安くなるだろう。
また、蘇州、昆山と浙江北部は工業発展の比較優位を持ち、より多くの労働集約
型産業とIT製造業に従事している労働集約型の台湾企業を引きつけるだろう。
 台湾のハイテクメーカーの投資を呼び込む過程で、上海と周辺の昆山、蘇州、
呉江などの政府にも次第に「すみ分けを進め、それぞれの特色を出す」というコ
ンセンサスが生まれている。
 資金、技術、人材集約型の集積回路(IC)産業は、台湾企業の上海投資の重点
であり、台積電、中芯国際、宏力半導体など台湾資本のチップ製造業と複数の台
湾資本IC設計、パッケージ、テスト工場の大陸で最も完全なIC産業チェーンが上
海に形成されている。
 一方、蘇州は台湾の10大ノートパソコン企業のうち9つが集中しており、年産
台数は1000万台を超えると見られる。蘇州新区と呉江開発区のコンピューター周
辺機器と消費財電子製品も、それぞれの優位産業になっている。
 台湾企業の長江デルタ投資に見られる『すみ分け』の傾向は、上海の発展方向
及び長江デルタの産業分布の青写真と一致している。台湾企業の長江デルタ投資
ブームはまだまだ続くと見られ、したがって『すみ分け』傾向はさらに強まるだ
ろう。