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WTO加盟後の外資政策への課題

中国の税制の盲点と矛盾――十分な税務の調査研究不可欠

 中国への投資は十分な税務の調査研究をしなればならない。
 「中国が税金の安い国家だとは思わないでください」プライス・ウォーターハ
ウス・クーパース(Price Waterhouse Coopers(PwC))北京の税務部責任者の
沈稚波さんは、中国への投資に興味を持つシンガポールの商社に対して以下のよ
うな提案をしている。
 ほとんどの人にとって中国の税制は複雑でわかりにくいが、税科目では中国と
世界のほかの国との差は実際大きくなく、直接税と間接税の2つの体系に簡単に
分けることができる。
 直接税は、直接的な収入に関する税で、個人所得税と企業所得税。間接税は主
に増値税(付加価値税)と営業税。中国では、増値税の納税者は主に生産型企業
と販売型企業で、工場や商店が含まれる。その他のサービス型企業、レストラン、
ホテル、運輸業は営業税のみの納税となっている。
 増値税税率は現在は17%で、営業税は業種により3%―10%までの間である。
 基本的な骨組みでは「国際レベル」と言えるが、具体的な細い点では中国税制
はやはりたくさんの盲点と矛盾が存在しており、一方では政府に税収不足の圧力
が生まれ、また一方では個人も企業も税が重いと愚痴を言い続ける原因となって
いる。
 個人所得税を例とすると、中国の個人所得税税率は5%~45%で、香港(2%~15%)、
シンガポール(2%~22%)、マレーシア(1%~29%)、日本(10%~37%)、アメリカ(15%
~39%)より高くなっている。安永会計事務所(Ernst & Young)の、昨年22の国家
に対する調査によると、中国の個人所得税税率は第5位で、税金の高い経済体系
となっている。
〈税率の不統一が合法な脱税を助長〉
 個人所得税以外の、企業所得税税率は不統一で、利口な商売人の合法な脱税を
助長している。中国の企業所得税名義税は現在33%に統一されているが、深セン
などの5つの経済特区、上海の浦東新区と西部の19の省市区では、外資系企業の
税率は15%でしかないのに対し、他の対外開放都市の税率は24%である。
 中国投資をしている外資系企業は一般的に「二免三減半」の恩恵を得ている。
つまり、最初の2年間の利益に対しては免税、その後3年間は納税した所得税の半
分が返還されるという特別の恩恵を得ている。
 この優待策により、多くの中国国内企業は香港やほかの外国地域で登録をし、
その後中国へ戻ってこの恩恵を受けるという投資方法をしている。
 このほかにも、ハイテクと輸出する業界の発展を促すために、中国国家クラス
のハイテク開発区域と経済技術開発区の所得税税率も15%でしかない。
 この結果、一部の企業は主要な営業地点を開発区域の外に置いているが、形式
的に開発区域の中に小さい事務所を設立して、この特別恩恵を受けている。
 「企業の登録地が中関村にあるなら、法律上では中関村以外の場所にさらに規
模の大きい営業所を同時に開設してはいけないというわけではない」PwCの沈稚
波さんは、各国家にはそれぞれ税制の盲点があり、中国も例外ではないと述べて
いる。
 「中国税制の発展過程では、このような盲点は仕方がないことである。今後税
務総局は対策を講じるはずである。しかし、一回で目標には達することはできな
いであろう」

税制改革実施準備に着手 外資系企業は新税の導入で増税へ

 中国は2005年から新税制改革を実施予定で、外資企業の所得税税率は現在の15%
か24%から25%以上になると予想されている。
 現在、中国名義の所得税税率は33%だが、外資企業は経済特区、対外開放都市
や西部省市へ投資すれば、15%か24%の特別税率となる。そのため、外資系企業の
税負担は中国の国内企業の税負担より少ないということが往々にしてある。
 中国がWTOに加盟してから、多くの国内企業から「WTO加盟後は国内外の企業は
公平であるべきだ」という声が寄せられ、政府に対し税務関連の国内企業に対す
る差別をなくすよう求められていた。
 プライス・ウォーターハウス・クーパース(Price Waterhouse Coopers(PwC))
北京の税務部責任者の沈稚波さんは、本紙のインタビューで以下のように述べて
いる。
 「中国税務局半公開情報」によると、新税制改革は以前盛んに言われていたよ
うな今年度からの実施ではなく、具体的な実施時期は2005年前後である。今度の
税制改革の主な目的は、内外の所得税率の一本化で、税率は現在の名義税率33%
より低くなるが、27%より低くはなることはなく、27%~33%の間になるだろうと
予測している。
〈2005年実施開始〉
 国際会計事務所の安永(Ernst & Young)によると、中国新政府の新税法の細部
の審理は最速でも2004年で、全国人民代表大会での審議後の2005年に実施される
だろうと予測している。
 しかし、安永(Ernst & Young)の沈ー}文副主席は、税一本化後の税率は約25%と
考えている。
 税制改革の細部については今後を待たねばならないが、一般的には、深セン、
珠海、アモイ、海南、汕頭などの経済特区での特別税収措置は取り消され、外資
企業の税金負担も重くなるだろうと考えられいる。
 PwCの沈稚波さんは、中国政府が外国投資家に対する「特別税制の優遇措置」
を終了させるべく過渡期的政策を行い、内国税と渉外税の2つの税を1つにするこ
とで外資企業に対する衝撃を減少させると確信している。例を挙げると、2004年
に中国へ投資した企業は、2005年以降も「二免三減半」(二年間免税、三年間半
額免税)の特別措置を5年間受けることができる。
 中央政府では、既に「内外企業の所得税税率」の一本化を決定している。しか
し、税一本化により、外国投資者が増税になることは望んではいない。PwCの沈
稚波さんは「現在税総務局も、外資の信用に影響せず、投資家を驚かせない方法
を検討中である」と述べている。
 一般的に、新税制改革は企業所得税税率の一本化のほかに、増値税(付加価値
税)改革に及ぶ可能性もあると考えられている。
 固定資産投資での増値税の免税(現在は設備投資は消耗品購入と同様に生産コ
ストとされており、課税されない)と増値税徴収範囲の拡大(営業税徴収範囲と
の相対的縮小)、運輸業の営業税課税から増値税課税への変更などである。
 多くの発展途上国と同様、現在中国の主な税収は間接税である増値税によるも
ので、全体の税収の80%以上を占めており、それに比べて個人所得税は政府の税
収入のおよそ4%にしか満たない。
〈増値税改革〉
 沈ー}文副主席は、長期的展望では、現在の中国の税制での幾つかの比較的大き
な不合理点を解決しなければならないと考えている。例えば、増値税と営業税の
二重課税状態である。レストランでお酒を飲むと、レストランの営業税は醸造所
の増値税を相殺できないので、お酒を飲んだ人は実際は2種類の税金を払っている。
 沈ー}文副主席は、税の種類は少なく、複雑ではなく、簡素であればあるほどよ
いと提案している。〔聯合早報4月15日〕

中国WTOレポート2003:外資の吸収が深く制約を受ける9つの示唆

 4月9日発表された「中国WTOレポート2003」は、中国は、世界屈指の外資の投
資大国になっているが、欧米の投資を吸収する基礎がしっかり固まっていないた
めに、外資の吸収に際し9つの深い制約を受けていると指摘している。
1) 対外開放戦略全体の限界
 現在の対外開放の状況において、ある場所で試験的に始めて普及するというこ
れまでの戦略は、既に社会経済の発展に適応できなくなってきていることも、外
資の吸収の大きな制約となってきている。
 「試験的に始める」という開放の方法は、ある部門、業界にとって開放のおく
れ、あるいは全く開放できないという制約となっている。
2) 市場経済制度と市場競争の限界
 市場経済の法律体系が完全でなく、法律の基礎、立法順序、運用システムなど
が市場経済に向いておらず、現存の法律の中に市場経済と相反する規定が存在し、
執行する上でも問題が生じ、市場経済になれた外国投資家の最大の障害となって
いる。
 中国の市場経済においての大きな問題は、国内市場が地域的に分割されてしま
っていること、知識所有権の保護が弱いことである。
3) マクロ経済の限界
 中国の発展の特殊性を顧みると、数年前から世界最高速度で発展しているが、
世界最高速度で外資の吸収が行われていない、あるいはそれに相反しているのも
問題である。
 中国のマクロ経済は今後縮小ぎみになり、消費需給も大きな改善の兆しもない。
また、デフレは短期間の解決が難しいために、外国投資家の投資機会を減らして
しまい、利益が相対的に縮小している。
 中国の経済成長はいまだ局地的規模にとどまっており、名目上成長率は世界最
高であるが、内在する質が余り高くないために、外資を吸収する時の制約となっ
てしまっている。
 注目すべき点は、積極的な財政政策を続ければ、外国投資家から投資の可能性
を引き出せる可能性があるということだ。
4) 産業政策による限界
 外資吸収のための産業政策の総合的な考え方や具体的方法が、計画経済方式に
とらわれている。
 投資目録の改正が産業の発展や外国人投資家の要望に合わず、投資誘致がうま
くゆかなくなり、実際、奨励しているのか、制限しているのかわからないという
現象が起きている。
5) 産業発展の分野による限界
 近年来、中国の多くの製造業の生産能力が需要を超えており、発展分野が本来
の生産能力の拡大から供給能力の向上に変化してきているために、中国の産業政
策もそれに伴って変化をしている。
 これまで生産型の投資を奨励してきたが、効果がすぐあらわれるようなサービ
ス業や農業分野のような経済成長の質を促す投資を奨励する形に変わってきている。
 残念なことに、我々はこの変化にすぐに対応できないでいる。
6) 外資の吸収方法の限界
 投資と購買、2つの方法の同時進行がよく取られている。
 ただ残念なのは、外国企業が投資と購買を同時に行う基本条件、特に必要な法
律や政策環境が欠落していることである。
7) 資本市場開放の限界
 これまで中国が奨励してきた投資分野は、製造業の投資から、今やハイテク産
業へと発展しているが、もちろん、伝統的産業、リスク投資、基金投資、証券投
資などでさえも欠かすことができない。
 資本市場の開放が他の分野の開放より慎重に扱われ、停滞してしまうことで、
発展のチャンスを損なうことのないよう、回避しなければならない。
8) 外資吸収の限界
 これまで、中国の外資導入の主体は国営企業にあった。完全市場化の外資と国
有企業の間で経営目標、経営理念、経営システム、管理方式など避けることがで
きない矛盾が存在する一方、中国で一番活力のある民間企業が外国企業を受け入
れるレベルが低いだけでなく、各種政策の制限を受けてしまっている。
9) 外資誘導条件の限界
 労働力、土地、自然資源など豊富で安価な生産要素と広大な市場など、近年中
国の外資誘致の条件が、世界的競争の中で弱まってきている。
 労働集約型の投資を軽視したり、制限したりしている。経済システムに反する
行政手段を使って政策目標を立てるために、産業が上向きになろうとする素地を
削いでしまったり、市場進出を大きく制限してしまったりして、結局導入できる
外資が導入できない。これも、中国で外資吸収が理論上の予想のように到達でき
ない大きな原因である。
 外国企業の平均投資規模が年々小さくなっているのも不安である。外国企業の
平均投資規模は1996年298.4万ドルであったが、それ以降下降を続け、2002年は
242.2万ドルであった。中西部の外資導入の速度は全国平均を下回っており、外
資導入が占める比重も一歩後退している。