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熾烈化する中台投資の誘致合戦

中国の対台湾輸入超過は引き続き拡大

 17日に中国政府の学者が発表したレポート中に、今年度中国の台湾に対する輸入
超過が引き続き拡大される見通しであることが述べられている。これは、台湾の中
国経済に対する依存性がますます増加することを意味している。
 対外経済貿易研究部中国貿易研究部(China Academy of International Trade and
Economic Cooperation)の劉雪琴氏と張莉氏の発表によると、2002年度の中国の対
台湾輸出は64億9000万ドルに達している。輸入は380億6000万ドルで、輸入超過は
314億8000万ドル。
 輸入は今後も輸出を上回って増加するものと見られ、今年度の輸入超過は340億
ドルまで拡大し、2005年までには400億ドルに達する見込み。
 この両研究員は、中国商務部の「Ministry of Commerce」のホームページ上で、
実際的に、この輸入超過は中国の経済、政治にとって有利であると発表している。
 中国が台湾から輸入している大部分の商品は輸出商品を製造するために使用され
ているため、中国の対外貿易の中で対台湾の輸入超過は大きな影響はない。
 中国と台湾の輸出産品の種類、構造、技術水準はますます近づいてきているため、
台湾の輸出商品は中国の輸出商品構成と直接的に競合するおそれがあると憂慮され
ているが、総体的には弊害より利益の方が大きいと指摘する。
 研究レポートによると、適度な輸入超過は、台湾の中国に対する経済、貿易の依
存度を高めることになるとしている。
 中国、台湾の両岸の経済、貿易関係を強化することは、台湾独立の勢力を抑制す
ることになり、政治的目標の実現を促進することにもなる。廉価なコストを求め、
多くの台湾企業が中国へ業務を移転している。この傾向は中国・台湾両岸の貿易関
係を促進し、ときには台湾政界の論争問題となっている。〔4月18日〕

中国・台湾の企業誘致争奪戦

 中国・台湾企業誘致争奪戦が繰り広げられている。互いの競争は建設比べ、制度
比べにとどまらず、中国はさらに多くのカードを出してきて、台湾は双方の役所の
効率までを比べるありさまである。
 中国には「経済特別区」があり、台湾は「自由貿易港区」がある。中国は誘致時
に「五免五減半」という税制を売り物に、台湾は国有地の「三免五減半」を出して
くる。中国では「招商大会」を開くが、台湾は「招商団」が常時待機しており、台
湾の北から南まで、各地の地元の有力者に全力で企業誘致をさせるために、選挙や
中国と台湾の2地区の生存競争というプレッシャーを与える。それが台湾の経済低
迷からの脱却方法であり、最も有効な原動力になっている。
 上海松江科学技術園区に世界一のウエハー生産メーカー台湾積体電路有限公司を
誘致するため、上海政府はあらかじめ30%の整地を行った。同様に、台湾最大の民
間メーカー鴻海精密が台北県の軍用地を「研究開発と運営本部」にしようと考えて
いた時、台北県政府は115日間という未曾有の早さでその土地の都市計画案を完成
させ、軍用地を工業用地に変更した。
〈台湾の行政機能が企業投資の足かせ〉
 かつて台湾政府の行政機能が企業投資の足かせとなっていた。国民党が与党であ
った時、花蓮オーシャンパークの開発計画の審査に5年、投資者の書類提出11回、
行政機関63箇所で817回印鑑が押されてもパスすることができず、投資の最大の障
害となった。
 経済成長の低迷、企業のグローバリゼーション化、中国の政府職員による積極的
な企業誘致によって、台湾政府はこのような「お役所主義」を大きく変えてきた。
 90%の製品を中国で生産している台湾最大メーカー鴻海科学技術(昨年の売上高
は2450億台湾ドル)が300億台湾ドル(約15億8000万シンガポールドル)を投資し
て、グループ全体の研究開発センターを台北県に設立すると宣言して以降、「経済
活性化」を叫ぶ民進党の人々を奮い立たせた。鴻海は当然ながら常に中国と比較し
ているからだ。
 台湾政府は鴻海の投資を得るため、数々の租税優遇措置をとり、台北県に新しく
頂埔工業園を設けた。上海松江科学技術園区は鴻海を横取りしようと、租税優遇措
置だけでなく、台湾積体電路のような方式で無料で土地を与えようとした。
 2つの地域の企業争奪戦は、台湾企業界では受けがよい。台湾工商企業界は「鴻
海ケース」によって、台湾政府が工商界の本当の要望と中国からの競争による圧力
を認識したと感じている。台湾は来年3月大統領選挙を控えており、現在与党であ
る民進党政府は選挙の行方を考え、必ず全力で投資環境の改善を行うであろう。中
国との企業誘致の競争はますます白熱化しそうである。