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中国外資利用の十大新展望

中国外資利用の十大新展望

 SARSは中国経済活動に影響を及ぼしており、外資企業の直接投資の急速な成長を
一時ストップさせている。
 雑誌「瞭望」の最新号によると、1998年の大洪水の際にも同様の現象があったが、
この種の突発事件の影響は短期間に終息し、長期的な展望に変わりはない。
 関連筋によると、今年の外資企業の直接投資額は600億ドル以上になると見込ま
れている。
〈中国外資利用の十大新展望〉
▽展望1 今後10年、中国の外資企業直接投資は確実に成長する
 大まかな予測によると、今後10年間の中国の外資導入は年平均5%~10%で安定的
に成長するものと見られている。
 中国にとっての有利な材料は、以下のとおり。
1) 世界規模での資本の動きは、今後とも経済のグローバル化を受けて一層活発に
 なる傾向にある。資本活動に必要なインフラと手段を提供するため、国際金融シ
 ステムが徐々に整備されつつある。
2) 中国の経済成長には巨大な潜在力が存在し、これらの増加と構造調整により、
 投資、特に外国の投資需要が引き続き拡大すると考えられる。
3) 中国のWTO加盟以来、市場経済秩序と投資環境は完全に改善されようとしている。
 さらに、サービス貿易分野の開放で、外商投資範囲が拡大されている。これは、
 多国籍企業の対中投資と企業の長期戦略にとっては明るい材料である。
4) 大量の農村余剰労働力と都市の国有企業改革、構造調整による失業、下崗で、
 中国は大規模な就職問題に依然として直面している。しかし、労働力コストの安
 さという優位性を長期的に有しており、多国籍企業の生産加工基地の中国移転が
 引き続き加速している。
5) 新技術、新製造工程の出現により、長期にわたり「三資」企業の生産設備や技
 術も絶え間なく更新、改造、拡充され、現行企業の増資は引き続き外資企業投資
 の重要な一部となっている。
▽展望2 サービス業の外資導入速度は工業部門より速い
 今後しばらくの間、外国サービス企業の中国投資は比較的高い成長速度を実現す
る見込み。
 サービス業、特に金融保険、電気通信業、商業、運送業などの分野の市場制限の
緩和に伴い、これらの業種の外資導入の速度は、工業部門を含むほかの業種より明
らかに速い。
 大まかな統計によると、同時期の外資企業のサービス業への投資の年平均成長率
は10%から15%平均に達すると考えられている。新興第三次産業への外資企業の投資
は、すべての外資企業の約40%に達している。
▽展望3 労動集約型工業は引き続き外資企業投資が比較的集中する分野であり、
ハイテク企業の投資の伸長は明らかに加速する。
 研究によると、外資投資制限改革の影響を受け、今後、外資企業の投資領域の選
択傾向はある程度変化が生じる見通し。
 アパレル、家具製造業、教育スポーツ用品、皮革毛皮製品業界、その他の製造業
などの典型的な労働密集型の産業は依然として外資投資の偏りの比較的高い分野と
予想される。
 電子・通信設備製造業、計器器具・事務機械、電気機械などは資本装備率は比較
的高いが、資本産出比率が著しく、税負担が比較的低いため、引き続き外資企業の
投資が相対的に集中する分野になると予想される。
 中国の外資導入の歴史的経験から見ると、これらの業界の労働集約型加工工業は、
最も吸引力を持つ投資領域となっている。
▽展望4 多国籍企業によるM&Aが新たな外資企業投資方法になる
 長年にわたって中国は主に「新規事業への投資」で外国直接投資を誘引している。
しかし、UNCTADの統計によると、中国の多国籍企業によるM&Aは毎年20億ドル以下
で、約5%にとどまっている。
 その主要な原因は、第一に、明確な法律根拠が欠乏していること。第二は、「縦
割り・横断」行政の制約があること。第三は、資本市場が健全でなく、整備も不完
全であること。第四は、仲介機構が有効な役割を果たしていないことである。
 これらの制約条件を改善するために、多国籍企業によるM&Aの導入を通じて国有
企業改革を推進すべく、中国政府は現在、多国籍企業によるM&Aの関連法規及び政
策の研究と検討を進めている。関連法規と政策が整備されるにつれ、株式投資、買
収、株式の転換、相互持ち株などの各種の形態での多国籍企業によるM&Aは、多国
籍企業の重要な対中投資の方法と手段の一つになる可能性がある。
 これらのことから、中国は新規事業投資、M&Aや証券市場投資といった主要な資
本導入方法の多様化が次第に突出しつつある。
▽展望5 多国籍企業の独資の比重が明らかに上昇する
 現時点の状況から見ると、多国籍企業、中国国内合資企業との間に生じる利益衝
突などの不利な影響、中国の独資企業製品の中国国内販売制限解除などの制度改革
の影響で、今後より多くの多国籍企業が独資企業設立という方式で中国に進出する
ものと考えられる。
 既存の合資企業、合作企業は、株式購入などの方法から、外資による独資の移行
する割合がある程度占めるものと見られる。
▽展望6 中国国内市場をターゲットとする外資企業が明らかに増加している
 長年にわたり、中国は外資投資を導入することで工業発展を果たすことを中心に
し、輸出外貨獲得を原則とし、工業と輸出型企業の投資を奨励していた。その影響
で、中国投資の大多数の外資企業は国際市場をターゲットとしており、平均的には
約30%から40%の製品が中国国外に輸出され、中国国内販売比率制限のある製品を持
つ独資外資企業においてはさらに高い割合の輸出率となっていた。
 中国の国内販売比率制限の改革の推進と中国国内市場規模の拡大により、外資企
業の製品の中国国内販売について、制度と市場の条件を持つようになり、国内外市
場の変動と収益予想をもとに販売戦略を調整することができるようになってきた。
 中国国内を主要ターゲット市場とする企業が主流になり、中西部の特大都市を含
む人口密集地区は、さらにチャンスが得られる。
▽展望7 外資企業の投資と経営活動が、特殊な経済地域からほかの地域へ移転、
拡大する
 経済特区、経済技術開発区などの特殊な経済地域は、政策、基礎施設、国際市場
アクセスなどの点で有利であり、多くの外資企業、特に輸出型企業は、このような
特殊経済地域内やそれに相当する地域を選び、工場を設立している。
 しかし、特殊な経済地域の特別政策は次第に取り消され、その他の地域の投資環
境が明らかに改善し、中国国内販売型の外資企業が増加するのに伴い、外資企業の
投資、経営活動の重点が徐々にシフトしている。特殊な経済地域ではなかった地域
における外資企業が明らかに増加している。
 投資地域選択の際、現地の市場規模、産業システムなどの要素が重視されること
になり、東部地域は引き続き外資企業が最も集中する地域となる考えられる。
▽展望8 外資企業は、伝統的な加工貿易を主とする貿易形態から、多様化した貿
易形態へと徐々に変わろうとしている
 関税が高く、国内調達能力に限りがあり、保税加工コストが低く、企業内貿易が
主流を占めているといった影響で、これまでは外資企業の大多数は加工貿易の方法
で輸出していた。対外貿易のうち、加工貿易の占める割合は約70%から80%で、特に
資本集約度の高い企業は加工貿易の割合がさらに高くなっている。
 今後、外資企業のターゲット市場の構造の変化と国内調達能力の向上、また、貿
易経営権などの貿易、外貨管理制度の改革推進により、中国国内で調達、購入して
輸出する割合は著しく上昇し、次第に多様化した貿易形態が形成されるものと見ら
れる。
▽展望9 既存の外資企業が経営実体を強化し、国際化度が上がる
 資本取引の外貨管理制度が厳格に運用されている制約の中、中国にある外資企業
は加工工場の機能だけを有し、企業の資本取引、経理と国際販売は国外で行われ、
往々にして親会社の手に握られていた。
 中国のWTO加盟後、貿易、投資と外貨管理制度の大幅改革が行われ、資本市場開
放の長期目標が段階的に実施され、国際規範に合致する企業の独立経営の制度的条
件が整ってきている。
 このような背景のもと、外資企業は近代的企業の総合機能を持つ経営実体となり、
企業の国際化経営と資本運用はさらに広い範囲に展開され、「再投資」を行う主体
になるかもしれない。
▽展望10 超大型の外資投資企業グループが大幅に増加する
 今後、多国籍企業の投資計画が徐々に実施されるにつれ、中国国内の大型外資企
業が著しく増加すると見込まれる。
 これまで審査制度や多くの規制措置による影響で、同一多国籍企業で、中国国内
の異なる投資プロジェクトを分散実施、独立経営しており、中国国内に十数カ所、
多くは二十数カ所ある子会社の統一的資産管理、経営する地域統括本部の設立、グ
ループ企業全体の規模の利益を発揮することは困難であった。
 外資持ち株の投資企業の制限が緩和されたことにより、多くの多国籍企業は中国
の業務を再編成し、中国国内の地域統括本部に管理及びコントロールを集中した大
規模な企業グループを形成しつつある。
〔中新網5月20日〕