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三峡プロジェクトと水力発電

三峡の水力発電は中国半分を照らす

 70万キロワットの26基の水力発電機が全部稼動すれば、三峡水力発電所の発電量
は847億キロワットになり、中国の半分を照らすことができるようになる。
 今年、三峡プロジェクトの発電機4基の発電により、発電量は55億キロワット時
に達すると見られている。これらの電力は上海、浙江、湖北、湖南、江蘇、安徽、
河南、江西などの8省市に送電され、電力不足と経済発展の矛盾を緩和させること
になる。2009年までの間に、三峡で毎年発電機を4基ずつふやす予定で、毎年葛洲
ダムの発電所に相当する発電量が増加する。
 26基の発電機が全部投入、稼動すると、1基当たりの年平均発電量は32億キロワ
ット時で、これは人口100万人の都市の年間電気使用量に相当する。1キロワット時
の発電を6元で貨幣換算すると、発電効率は非常に巨大だと言える。
 2009年までに26基の発電機が全部稼動すれば、15本の超高圧送電線を使って、上
述の8省市と広東省に電力が運ばれることになる。三峡水力発電所は、華中、華東
地区と既存、現在建設中、建設予定の火力発電所、水力発電所とを結びつけ、これ
らの経済発達地区に新しい力を与えることになる。
 三峡水力発電所の地理位置は理想的で、全国の送電の中枢や支柱となる。各地が
全国の送電の調整をし、電気使用量のピーク時間をずらすことにより、電気使用制
限時間は大いに短縮されることになる。
 火力発電、原子力発電に比べ、水力発電は清潔、安全で、動力源が枯渇すること
がない。26基の発電機の発電量は大亜湾原子力発電所の10倍、200万キロワット発電
量を有する大型火力発電所の10倍に相当する。
 また、三峡水力発電所の稼動により、年間の石炭消費量を4000万から5000万トン、
二酸化硫黄排出量を200万トン、一酸化炭素排出量を1万トン、大量の工業廃水を減
少させることができる。クリーンで安全な水力発電は、私たちにきれいな空と水と
空気を与えてくれることになろう。
 26基の発電機が稼動し始めれば、三峡プロジェクトは収益期に入ることになる。
この26基の発電機以外にも、三峡プロジェクトでは、70万キロワットの発電機6基
をいざというときの予備として地下に設置している。
〔5月31日福建日報〕

三峡プロジェクトは地震を誘発する?

 中国最大、世界最大の水利プロジェクトである三峡プロジェクトで、6月1日から
貯水が始める。15日後には貯水量は海抜135メートルになる。三峡ダムに急激に350
億立方メートルの水が貯水されることにより、巨大な水圧で地震が誘発されるので
はないかと憂慮されている。
 10年間かけて建設された世界最大のダムは、この夏にも早速長江の「洪水」の最
も過酷な経験を受けることになる。
 絶えまない論争を引き起こしてきた三峡プロジェクトが間もなく貯水を迎え、巨
大な水量の蓄積によって、地震や他の自然災害を引き起こすのではないかというこ
とが新聞やインターネット上のニュースや議論の的になっている。
〈三峡ダム区域の地すべり、崩壊は全部で2490カ所〉
 当局の確認によると、今まで三峡ダム区域での地すべり、崩壊は全部で2490カ所
で、そのうち135メートル水位の補修必要箇所は581カ所である。
 1982年以来、ダム区域での比較的大規模な地質災害はの70回起きている。
 アルジェリアや日本で起きたような地震が三峡ダム区域で起きた場合、安全を確
実に保証することができるのかと多くの人が憂慮している。
 また、これと同時に、専門家調査で、三峡ダムの亀裂が発見され、この亀裂によ
り、貯水後のダムの耐震能力が弱まる可能性があることが懸念されている。
 中国工程院会員の三峡ダム区域地質災害防止事務専門家チームの劉広潤座長は、
三峡は地質条件が複雑で、スコールが頻繁にある亜熱帯気候にあることから、三峡
ダム区域の倒壊、地すべり、泥石流はいつかは確実に発生すると述べている。
 しかし、劉広潤座長は、仮に災害が発生しても、中国は完全に管理する能力があ
ると考えている。
 報道によると、2001年6月から2003年6月までの2年間で、中国は三峡のダム区域
の地質災害防止のため既に40億元を投入している。
 劉広潤座長によると、地質条件の制限を受けているダム区域では、小規模の地質
災害は発生すると考えられるが、数年間災害防止効果を観察した後に(およそ2010
年ごろ)、初めて最終結論を出すことができるという。
 長江水利委員会三峡プロジェクト代表局の林文亮副局長によると、三峡ダム区域
の貯水による地震誘発は避けられないが、災害性のものではないと述べている。そ
の理由は、三峡ダムは狭く長い帯状の形状をしており、長さ約660キロメートル、
範囲は非常に広いので、影響はさほど大きくなく、水深増加による圧力は約10キロ
にすぎず、影響はそれほど大きくないからである。
<三峡プロジェクト 震度7度の耐震構造設計>
 また、ダム区域での最近の地震で亀裂の入ったところはダムから39キロの地点で
あったが、震源からダムまで地震が伝わる間に、震度は6以下になった。三峡プロ
ジェクトは震度7に耐える設計がなされている。
 昔から、ダムによって誘発される地震はもともとの地震を超えることはない。言
いかえれば、三峡の地震は震度6を超えることはない。
 貯水を目前にして、三峡ダムに巨大亀裂があらわれ、ある亀裂は手のひらがすっ
ぽり入るほどの深さであるなどと中国のインターネット上では騒がれている。
 この真相について、長江三峡開発総公司の陸佑〓総経理は以下のように述べている。
 2001年末に発見された亀裂の幅はほとんどが0.1ミリから0.2ミリで、最大のもの
でも1.25ミリ以下で、深さは1メートルから2.5メートルまでである。その上、亀裂
は既に17名の専門家によって調査され、構造的な亀裂ではなく、表面層の温度変化
による亀裂であるとの意見で一致している。
 しかし、この疑問を打ち消すことができない人はいると見られているが、当局は
6月1日貯水開始を決めており、15日後には、632平方キロメートルに達し、2都市、
11県、116鎮が水の底に沈む。現在までにこの影響で移転した人口は約70万人。今
後5、6年間で第三段階にプロジェクトは広げられ、毎年およそ7万人が移転を余儀
なくされ、計113万以上の人が移転することになる。
 三峡ダムの建設により、宜昌から重慶までの660キロの長江航路ができ、1万トン
クラスの船が重慶港に直接入ることができるようになる。この航路の年間の単方向
の通行能力は現在の約1000万トンから5000万トンに上昇すると試算されている。
 発電については、三峡水力発電所の総容量は1820万キロワットで、華東、華中、
華南地区の経済発展と環境汚染の減少に重大な役割を担っている。
〔北京通信5月30日〕
(〓は、きへんに「眉」)