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知的所有権保護への意識向上

知識産権局、中国国内発明特許申請数が初めて国外を超える

 2003年の中国国内発明特許申請数が8年来初めて国外の申請数を超え、発明特許
のトップランナーとなった。

 国家知識産権局によると、中国では1994年特許協力条約締結以来、国外から発
明特許の申請が激増したが、国内の発明特許申請は比較的遅かった。
 2003年上半期に中国国内の発明特許申請が国外の申請を抜き始め、下半期で成
長がそのまま続いたことから、年間で5.7万件に達した。このことで、国外申請
8000件余を一挙に中国国内申請が上回ることとなった。
 このほか、2003年の特許申請では、申請分野が均一になり、特許申請数が初め
て実用新案特許申請に近づき、職務発明申請も初めて非職務発明申請を超えるな
ど、多くの新しい傾向があらわれた。

 2003年の中国における特許申請総数は30万件に達し、前年同期比22%の増加と
なった。このうち、ハイテクの発明特許申請が10万件を超え、初めて実用新案特
許に近づき、増加幅は31.3%に達し、完全に実用新案と意匠の成長を上回った。
 2003年の中国国内職務発明申請も15万件に達し増加傾向にあり、初めて非職務
発明申請を上回った。これにより、近年来中国企業の知識財産権の意識が強まっ
ていることが読み取れよう。
 ここ2年で企業の特許申請数が年平均20%以上増加し、指揮系統、組織、規則の
3事業部門の比率が大幅に高くなった。〔新華ネット1月22日〕

北京市は10年間で知的所有権訴訟案件4647件 主要訴訟紹介

 北京市の知的所有権訴訟は10年間で4501件、そのうち著作権に関する訴訟は47%
を占めている。
 1月20日の夜、第1回「中国司法官10傑」の選定結果が公表され、海淀区裁判所
知的所有権訴訟の宋魚水裁判官が「金法の槌賞」の光栄を獲得した。彼女の受賞
は、中国知的所有権訴訟審理の大きな進歩を強く反映したものである。

〈件数:10年で4倍以上〉
 統計によると、1993年から2003年までの10年間で、北京市の各レベルの裁判所
の知的所有権訴訟の一審受理は4647件、4501件が結審している。
 その中で著作権訴訟が最も多く、2183件を受理(全体の47%)、結審は2145件。
特許権訴訟は、1033件を受理、結審は956件。商標権訴訟は、266件を受理、結審
は249件。不当競争訴訟は、373件を受理、結審は363件。技術契約訴訟は、699件
を受理、結審は737件。その他の知的所有権訴訟は、93件を受理、結審は51件。

 北京市高級人民法院の王振清副院長によると、1993~2003までの10年間で受理
訴訟件数はふえ続けており、特に、90年代末は訴訟件数が明らかに増加したとい
う。
 2002年までの訴訟件数は既に1993年の4.2倍、5年前に比べ2.5倍となっている。
2003年上半期も、依然として訴訟件数は増加している。

〈特徴:新しいタイプの訴訟が続々とあらわれる〉
 北京市の知的所有権訴訟には、主に以下のような特徴がある。
1) 新しいタイプの訴訟案件が比較的多い。ここ数年で出現したインターネット
著作権、ドメイン、知的所有権の権利の衝突、民間文学芸術作品の保護など。
2) 社会各界各層の関心が持たれる重大訴訟、重要訴訟が比較的多い。
3) 複雑な技術問題に及ぶ訴訟が比較的多い。特に特許、技術契約、技術守秘な
ど。
4) 対外的な訴訟も比較的多く、外国側当事者の多くは国際的に有名な多国籍企
業である。
5) 北京市で審理されている知的所有権の一部は、特許再審委員会、商標委員会
を相手取った知的所有権訴訟である。

〈知的所有権訴訟案件:ここ10年の主要訴訟〉
▽「武松打虎」の著作権訴訟
 1954年に画家の劉継ヨウ氏は、組画「武松打虎」を製作した。1980年、山東景
陽岡醸造所が劉継ヨウ氏の組画の第11枚目に手を加え、生産した白酒の酒瓶に装
飾として用いた。その後、この工場は1989年にこの図案を商標局に商標登録し、
許可を申請した。1996年、画家の劉継ヨウ氏の相続人である劉薔氏と裴立氏は裁
判所へ訴えた。
 これが、一大センセーションとなった「武松打虎事件」である。

 海淀区裁判所は被告に対し、著作権者の著作権を侵犯したと認定し、権利侵害
の即時停止、原告へ損害賠償金20万元の支払いを命じる判決を下した。
 その後、被告は判決を不服として控訴したが、北京市第一中級人民法院は控訴
を棄却し、一審の判決が確定した。

講評:この訴訟は、学術界、司法界でとても大きい反響を引き起こした。この訴
訟を通じて、多くの企業は他人の作品をいかに使用すれば合法であるのかを学ん
だ。

▽陳佩斯氏、朱時茂氏の著作権訴訟
 1999年、中国国際電視総公司は、陳佩斯氏、朱時茂氏の許可を得ずに、この2
人が出演した春節交歓晩会など著作権と出演権を持っている8作品のVCDを独自に
発売した。交渉が決裂し、2人は中国国際電視総公司を訴えた。

 1審では、被告は原告の出演した春節交歓晩会を製作、編集する際に、原告の
許可を得ておらず、権利侵害を犯しているとし、権利侵害の停止、謝罪と損害賠
償金33万元余りの支払いを命じる判決を下した。
 中国国際電視総公司はこれを不服として控訴したが、2審で双方の当事者によ
り和解が成立している。

講評:「お笑いスター」の著作権訴訟はこのように幕が下ろされた。陳佩斯氏、
朱時茂氏が法律という手段で自分の知的所有権を保護したことは、中国人が法律
手段を通して個人の合法的権益を守る意識を絶えず高めていることを知らしめた。

▽北大方正の「おとりによる証拠取得」訴訟
 有名な北京高術天力科技有限公司が全国規模で方正RIP、方正文合、方正文字
バンクなどのソフトウエアの大規模非合法販売を行っていたことを、北京北大方
正集団公司の委託した子会社職員が一般ユーザーの立場として公証人に証拠を示
した。
 2001年7月20日、北大方正の従業員が個人で北京高術天力科技有限公司から1台
のデジカメを買い、8月22日に同公司の従業員がデジカメのインストール、デバ
ッグを行った。その際、従業員は2台のコンピュータに海賊版の方正RIPソフトと
方正文合ソフトをインストールし、このソフトのCD-ROMと作業表2枚を置いてい
った。
 2001年10月、北大方正はコンピュータのソフトウエアの著作権を侵害したとし
て、北京高術天力科技有限公司を告訴した。

 この訴訟は、2審で高術天力会社に対し、ソフトウエアの複製、販売などのソ
フトウエアの権利侵害行為の即時中止、公開の場での謝罪、損害賠償金13万元及
び公証費6万元の支払いを命じる判決を下した。

講評:この訴訟では、中国海賊版事業に対する人々の関心を引いただけでなく、
中国の法曹界においても「おとりによる証拠取得」と「信義誠実の原則」をいか
に取り上げるかという論争に火をつけることになった。

▽「レゴ」著作権訴訟
 1992年、デンマークのレゴ社が製造したおもちゃのブロックが中国国内市場で
初めて販売された。スイスのインターレゴ社が1998年2月25日、合法的譲渡方式
でレゴブロックの型、文字、マーク、イラスト、撮影文字作品と実用芸術品等の
著作権を得た。
 インターレゴ社は、市場において、可高天津玩具有限公司の生産するおもちゃ
のブロックの一部に、インターレゴ社が著作権の有するレゴのおもちゃにそっく
り、もしくは近似しているものが使用されていることを発見した。そこで、イン
ターレゴ社は可高天津玩具有限公司を訴えた。

 裁判所は可高(天津)玩具有限公司に対し、権利侵害の停止と損害賠償金5万
元の支払いを命ずる判決を下した。

講評:この訴訟は、中国がWTO加入後に初めて北京裁判所で結審した対外的影響
力の大きい知的所有権訴訟案件であり、この訴訟で、中国がWTO加入後に知的所
有権保護が強化されたことが十分実証された。

▽オリンピック五輪マーク訴訟
 スワトウ市金味食品工業有限公司が生産、販売している「金味」オートミール
の包装にオリンピック五輪マークが使われ、多様なメディアで宣伝を行われてい
た。
 中国オリンピック委員会は、金味食品公司が五輪マークを使用することは、
「オリンピック憲章」、「中国オリンピック委員会規約」の関連規定違反行為で
あると認定した。
 中国オリンピック委員会は直ちに金味食品公司の権利侵害行為について交渉し
たが、金味食品会社が使用を停止しなかったことから、裁判所に提訴し、合法的
権利が保護されるよう求めた。

 裁判所は金味食品公司に対し、オリンピック五輪マーク使用の即時停止、中国
オリンピック委員会へ損害賠償金500万元の支払い、公開の場で謝罪を命じる判
決を下した。

講評:この訴訟は、中国で初めてで、現在唯一のオリンピック五輪マークにかか
わる知的所有権訴訟である。この訴訟は国際オリンピック委員会が2008年のオリ
ンピック開催地を決定する少し前に結審している。その意義は言うまでもなかろ
う。

▽「胡同観光」の不当競争訴訟
 胡同文化遊覧有限公司は「胡同観光」サービスを業務とする会社であり、サー
ビスに民族文化色を出すため、一般の人力三輪車と区別することを目的として、
三輪車の外観と車夫の服装を特別にデザインした。
 1994年10月から2000年12月までの間、国内外の各新聞雑誌、雑誌より、この胡
同文化遊覧有限公司の「胡同観光」サービスが広範に報道された。
 北京四方博通旅遊文化発展公司が胡同観光サービスを行う際に、胡同遊覧文化
会社の使用しているものと近似したデザインを採用したことから、胡同遊覧文化
会社は裁判所へ訴えた。
 裁判所は四方博通旅遊公司に対し、権利侵害行為の即時停止、胡同文化遊覧公
司へ損害賠償金8万元の支払いを命じる判決を下した。

講評:激烈化している市場競争で、企業の中には「傍名牌」(有名ブランドをか
たる行為)、「搭便車」(他社に便乗する行為)、有名な商品やサービスの特有
の包装、デザインを真似したり、偽造したりするなどの方法を採用することがよ
くある。このことは、消費者の混乱と誤解をつくり出し、不法利益を獲得するこ
とが目的である。

▽「超微カルシウム」の比較広告訴訟
 北京超微生物製品有限責任公司はカルシウム製品の製造・経営企業で、この会
社の製品「超微カルシウム」は炭酸カルシウムの一種である。
 北京超微生物製品有限責任公司は、競争関係にある企業――北京巨能カルシウ
ム有限責任公司が自社製品の「巨能カルシウム」の広告で、「巨能カルシウム
(L型乳酸カルシウム)」と炭酸カルシウムの比較を行っており、「巨能カルシ
ウム」の優秀さを宣伝していることを発見した。
 この宣伝によって、北京超微生物製品有限責任公司は、北京巨能カルシウム有
限責任公司が悪意に「超微カルシウム」を含めた炭酸カルシウム全体の価値を下
げ、広告が商業損失をもたらしたとして裁判所へ訴えた。

 裁判所は北京巨能カルシウム有限責任公司に対し、北京超微生物製品有限責任
公司への謝罪と損害賠償金1万元の支払いを命じる判決を下した。

講評:この訴訟は、北京市裁判所の受理した初めての比較広告による不当競争訴
訟案件である。法律では公平な競争を奨励、保護しており、同種製品に対し比較
広告を禁止していない。しかし、企業の宣伝は真実であるべきで、他者をおとし
めて評価を高めようとすることは許されない。

▽「老干媽」の不当競争訴訟
 この訴訟は「2社の「老干媽」の争い」で、1社は貴陽の「老干媽」、もう1社
は湖南華越の「老干媽」である。どちらが「正統」な「老干媽」なのかが当訴訟
案件の焦点である。

 原告の貴陽南明の老干媽風味食品有限責任会社は1994年1月に創業した。前身
は「実恵飯店」という小さな店で、主人は陶華碧という老婦人である。彼女のつ
くる料理は遠方にまで有名となり、その後企業としてどんどん大きくなり、わず
か数年でその味が全国を覆うようになり、さらに国外まで輸出するようになった。
 貴州では「老干媽」は既に「茅台」、「黄果樹」と同様に有名であったが、そ
の後、全国で各種の「老干媽」を名乗る食品があらわれ、大部分が「老干媽」と
ほぼ同様の包装デザインを使っていた。
 これらのクローン「老干媽」の中で、貴陽の「老干媽」は、不当競争として湖
南華越食品公司の「老干媽」を相手に訴訟を起こした。

 この訴訟では2審、最終審と争われ、ついに結審した。北京市高級人民法院は
被告に対し、権利侵害の停止、貴陽「老干媽」へ損害賠償金40万元の支払いを命
ずる判決を下した。

講評:この訴訟は、中国の有名商品保護に関連する有名な訴訟案件であり、中国
司法機関の知的所有権保護に対する姿勢を十分にあらわしている。

▽6作家・世紀互聯訴訟
 「堅硬的稀粥」(かたいおかゆ)は、有名作家王蒙氏による文学作品である。
1998年4月、世紀互聯通訊技術有限公司がホームページ上に「小説一族」という
ページを作成し、そのページに入りさえすれば、「かたくて薄い粥」の閲覧やダ
ウンロードをできるようにした。
 そのページにある文学作品は、ネットワークユーザーが他のホームページから
ダウンロードしコンピューターに保存していたものを個人のホームページを通じ
てインターネットに公開していたものであった。
 被告の王蒙氏は世紀互聯公司に対し著作権侵害として訴訟を起こした。王蒙氏
と同時に起訴したのが張抗抗氏、畢淑敏氏、張承志氏など全部で6人の有名作家
であったことから、この訴訟は「6作家・世紀互聯訴訟」と呼ばれた。

 海淀区裁判所は被告に対し、権利侵害の即時停止、公開の場での原告への謝罪、
損害賠償金1680元の支払いを命ずる判決を下した。
 被告は判決を不服として控訴したが、北京市第一中級裁判所は控訴を棄却し、
一審と同様の判決を下した。

講評:新しいものは社会の秩序をある程度促進するものであるが、新しいもので
あることを口実として他人の権利を侵害してはならない。民法通則では、作品の
発表には双方が必ず合意に達しなければならないと規定されており、契約後初め
て発表することができる。インターネットが新しい手段であるからといって、作
品に対しての作家の権利を侵害してはならない。
〔新華網1月22日〕