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深刻化する水質汚染と水不足

中国の一部漁業で深刻な水域汚染

 農業部と国家環境保護総局が23日に共同発表した公報によると、2003年の中国
漁業生態環境は全体では良好を維持しているものの、主に窒素、燐、石油類、一
部重金属等汚染物の影響を受け、一部漁業水域での汚染が依然として深刻となっ
ている。

 今回発表された「中国漁業生態環境状況公報」では、2003年の中国近海の海水
魚とエビ類の産卵場、餌場及び自然保護区の一部の水域で、依然として無機窒素、
活性燐酸塩、石油類、COD(化学的要求消費量)、銅の汚染が見られた。
 2002年と比較すると、無機窒素、活性燐酸塩の汚染範囲は多少拡大しているが、
石油類、CODの汚染範囲の変化はさほどではなく、銅の汚染範囲もある程度減少
している。
 無機窒素汚染は、南シナ海の珠江河口漁業水域が比較的ひどい。また、石油類、
銅の汚染は、東シナ海海域の漁業水域が比較的ひどい。活性燐酸塩汚染は、黄海・
渤海、東シナ海、南シナ海の漁業水域とも基本的に似た状態にある。

 海水魚、エビ、貝、藻類の養殖地域での水質環境は2002年より多少好転してお
り、無機窒素、活性燐酸塩、石油類の汚染範囲はある程度の縮小している。
 汚染程度から見ると、黄海・渤海海域では無機窒素、CODが比較的ひどく、東
シナ海では活性燐酸塩、銅汚染が比較的ひどく、南シナ海では石油類汚染が比較
的ひどい。
 海洋漁業水域の沈殿物では、カドミウム、銅、亜鉛などの重金属含有量が比較
的高く、基準を超えている主な地区は、渤海莱州湾、遼寧東湾、東シナ海杭州湾、
舟山近海、長江河口、南シナ海珠江河口伶〓水域などである。

 河口にある魚類産卵場、餌場、回遊路、自然保護区での水質環境状況は、全体
的には2002年に比べて、燐、非イオンアンモニア、銅と石油類のなどの汚染程度
は幾らか軽減しているが、黄河主流の陝西西端と渭河の漁業水域では、CODMn(
化学的酸素要求量)、燐、銅と亜鉛による汚染が深刻である。
 湖とダムにある魚類産卵場、餌場、回遊路、自然保護区の水質環境状況は、窒
素、燐、CODMn、揮発性フェノール、銅汚染が見られる。2002年に比べると汚染
程度は幾らか軽減しているが、窒素、燐、CODMnは依然として比較的高い数値で
ある。〔新華網3月23日〕
注)〓は、にんべんに「丁」

驚くべき黄河の汚染

 黄河は中国北方で唯一東西を貫く大河で、西北、華北地区における生命の源で
ある。しかしながら、近年来、黄河の汚染が進み、黄河の自浄作用を超えてしま
っている。
 少し前、黄河流域水資源保護局は専門家チームを組織し、黄河の汚染状況並び
にその危険性について量的な分析を行った。その結果、現在黄河の主流の40%近
くの部分では、水質が5類にも達しておらず、基本的に水としての機能を失って
おり、黄河流域の毎年の汚染による経済損失は115億から156億元に上ることが判
明した。

〈黄河にイエローカード〉
 少し前、黄河三門峡ダムから流れ出る水は「しょうゆ色」をしており、水面は
絶えず泡立っていた。
 三門峡水利主要ポイント管理局の劉紅賓副局長によると、90年代後期から、冬
から春にかけて三門峡ダムの水は「しょうゆ色」へと変化するという。

 母なる川とも言われている黄河の水量は豊かではないが、全国河川の2.4%を占
める水資源で、全国12%の人口を支え、15%の耕地を潤している。中国建国以来、
黄河の水によるかんがい、生活用水の経済効果(直接ベース)は累計6000億元に
達する。
 近年来、経済の発展に伴い、黄河流域の汚水排出量は80年代に比べ倍の44億立
方メートルになっており、汚染事件は絶えず発生し、黄河中下流域のほとんどの
支流の水質は5類にも達しておらず、支流は排水溝と化している。

 日増しにひどくなる黄河の汚染は生態系を破壊し、黄河に生息していた生物の
3分の1が絶滅してしまった。
 黄河水資源保護研究所の専門家によると、50年代、60年代には黄河の多くの支
流では水が清く魚が泳ぎ回っていたが、今では川全体が汚れ、悪臭が漂い、魚や
エビはいなくなってしまった。
 洛河のコイや伊河のトガリヒラウオは、古くより牛や羊のようにとうといとの
誉れが高かったが、残念なことに、この2つの魚は汚染により絶えてしまった。
 70年代の渭河下流は水草が豊かで美しく、多くの農民が漁業で生計を立ててい
たが、今では俗称で蛤魚と呼ばれる魚しかおらず、それはひどい灯油の匂いがし
て食べられないものである。

〈魚がこんなであれば、人はなおさら〉
 黄河流域水資源保護局の尚暁成副総工程師によると、黄河は流域50余りの大中
都市と420の県の住民の生活用水であり、黄河の汚染は流域住民にとって脅威と
なっているという。
 2003年、黄河では記録開始以来最悪な汚染が発生し、三門峡ダムは汚水ダムと
なり、国は緊急に第7回目の黄河から済南、天津への水供給を取りやめた。
 1999年、黄河龍門以下の流域でひどい汚染が発生し、下流の流域都市は黄河か
らの水供給を1カ月間とめた。
 黄河流域の河南省三門峡市の住民は、浄水場で処理された黄河の水はおかしな
味がすると感じ、常にお金を払って井戸水、泉の水を買っており、黄河付近にい
ながら水を買うというおかしな現象が起きている。

 黄河水利委員会の責任者によると、黄河流域に人口がふえ、経済が発展するに
従い、汚水排出量も増加を続け、おおよその予測では、2010年までに全流域の年
平均汚水排出量が65億立方メートルを超えるものと見ている。
 仮に、何らかの措置をとらなければ、大都市の近くにある黄河の幹川、支川流
域の水質はすべて5類より下になってしまうおそれがあるという。

〈年間経済損失は100億元に上る〉
 黄河流域水資源保護局が組織した専門家が、工業に与える損失、農業に与える
損失、水資源としての価値の損失、生活用水供給に与える損失、市政の計画外投
資、人体に与える影響、水利工事における損失など、黄河の汚染が与える危害に
関して量的な分析を行った結果、黄河の汚染は年間115億から156億元の経済損失
を与えていることがわかった。

 工業汚水は黄河汚染の第1の原因で、黄河の汚水排出量の73%を占め、逆に工業
経済に巨大な損失を与えている。
 試算によると、黄河流域では毎年水質汚染により工業用水のコストが上昇して
おり、また、製品の品質の下落によってもたらされる損失は23億から32億元にな
っている。
 黄河の水質汚染は黄河流域の地下水にも影響を与え、西安の某ビール生産工場
では年間生産高の0.35%から0.45%を製品の品質下落で損失している。中原大化集
団は、毎年汚染による用水処理費用増や設備の腐食によって、年生産額の最高1%
を損失している。

 農業も黄河の水に頼っている。現在、黄河流域で黄河の水をかんがいとして使
用している畑の面積は1.1億ムーで、農業用水の90%は黄河の水である。
 黄河の水質汚染は、農作物の品質を下げるだけでなく、一部農業水利施設を傷
め、農業に与える損失は毎年最高33億元に上る。

 水質汚染が人体に影響を与える経路は、多岐にわたる。
 水中の有毒物質は飲用、皮膚との接触、蒸発によって人体に吸収される。ある
いは汚染された食品をとることによっても人体に吸収される。
 概算では、黄河流域における人の健康に害を与えることによって発生する損失
は22億から27億元に達する。

 甘粛省靖遠の黄河流域市民は長年、未処理の黄河の水を飲用しており、多くの
人は20歳にならないうちに白髪となってしまうといった、各種原因不明の病状が
毎年多くなっている。
 山東黄河の支流の滂河のほとりにある夏庄村では、多くの村民が滂河によって
汚染された地下水を飲用していたことにより、村民1450人のうち、100人余りが
がんに罹患している。

 専門家の指摘によると、黄河の汚染と同時に、水資源としての価値の損失、生
活用水における損失、水利工事における損失が発生し、汚水処理によって市政に
よる計画外投資がふえ、毎年の総損失は60億元近くになっているという。

〈汚染は経済構造から〉
 近年来、国は黄河の汚染問題を重視しているが、黄河の汚染対策をやればやる
ほど汚れていくというおかしな現象が起こっている。
 昨年9月、国務院は緊急に第8回目の黄河から済南、天津への水供給を実施した
が、水質を保証するため、黄河流域水資源保護局が先頭に立って、山西、陝西、
河南省3省の環境保全、水利部門を組織し、「黄河から済南、天津への水供給期
間中の水質汚染コントロール方策」を作成し、水供給期間中、山東位山の供水ゲ
ートの水質を2類、3類にした。
 しかし、水供給が終了し、組織の結束が弱まるに従って、黄河の水はもとの水
質に戻ってしまった。
 これと同時に、寧蒙堤防の汚染ももとに戻り、現在、陝西潼関から寧夏石嘴山
間はすべて5類より下の水質となっている。
 3月中旬、黄河流域水質保護局が寧蒙堤防から下流の頭道拐までにある14の重
点汚水排出企業に対してサンプリング調査を行った結果、どの企業も基準どおり
ではないことが判明した。

 専門家によれば、黄河流域の工業構造は、第一に「重」、第二に「小」である。
水環境の特徴とは相反し、より小さい河川がより多くの工業排水を受け入れてい
る。
 「重」の示すものは、主に、蘭州、白銀、包頭、宝鶏、西安、咸陽などの重工
業が高度に集中していることである。これらの地域の水利用は環境が受け入れら
れる範囲を超えてしまっている。
 黄河最大の支流の渭河流域は陝西の工業地帯であり、渭河流域の年間汚水排出
量は8億トンに達し、黄河流域の総汚水排出量の18%を占めている。現在、渭河は
関中地区の下水道と化しており、大部分の河川は自浄作用を失っている。
 「小」の示すものは、黄河中流の幾つかの地域において、国が淮河、太湖流域
の汚染対策のために力を入れ、汚染企業の機械、低価格で購入した設備を大量に
取り締まっていることである。取り締まっている「十五小」工業(15種の小規模
工業)は、汚染に直結しているだけでなく、点在しており、対策が難しい。

 専門家は、黄河幹川の水質を向上させるためには、汚水排出量を現在量の40%
以上を削減させなければならないと指摘している。
 そして、この目標を実現するためには、汚水排出管理を強化するほか、沿岸地
域はハイテク技術産業と有機農業に力を入れ、生産を上げ、効率を上げ、汚水を
ふやさないようにしなければならないという。
〔経済参考報4月2日〕

地下水過剰採取深刻 今後数年で緩和

 3月25日、中国国家環境保全総局の祝光耀副総長が国務院で記者会見したとこ
ろによると、2003年、中国の環境は前年に比べてそれほど変化はないが、汚染は
依然として深刻であるという。

 国家環境保全総局の祝光耀副総長によると、中国の都市における地下水過剰採
取の状況は深刻で、幾つかの地域では地面が陥没し、大きな穴があいたところも
あるという。政府は地下水過剰採取問題について重視しており、現在、この状況
を緩和すべく一連の政策を講じている。

 過剰採取の地下水によって、中国では現在地域の地面陥落が百数カ所存在し、
その面積は15万平方メートルに及ぶ。
 水資源が欠乏していることが理由で、現在地下水過剰採取が行われ、一部の地
域で依然として比較的突出して行われている。これは、西北地域だけでなく、南
方の一部の地域でも行われており、地下水過剰採取の状況も比較的突出して行わ
れている。
 地下水過剰採取問題を解決するべく、一部の地域は既に地下水の採取を停止し、
上海はかんがいによって地下水過剰問題を解決する。
 さらに重要なこととして、現在実施している「南水北調」プロジェクトが深刻
な水不足が発生している地域の水資源欠乏問題を解決し、そのことによって、根
本的に地下水過剰採取問題の状況が緩和される。〔中新網3月25日〕

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中┃国┃電┃子┃情┃報┃産┃業┃  4月5日 第32号 発行中!
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