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中国国家決算の不正使途

中国国家決算の不正使途

 第10回全国人民代表大会常務委員会第10回会議の全体会議が23日午後に行われ、
2003年中央決算報告、2003年度中央予算執行状況、その他の財政収支の会計検査
報告などについて質疑が行われた。
 国務院の委託を受けて、会計検査院の李金華審計長より、2003年度中央予算管
理、中央基本建設予算管理、中央のその他の部門の予算執行状況、税金徴収と管
理、特定項目の資金管理と使用状況、財政資金の投資効率、金融機関の貸借対照
表、損益計算書などが報告された。

〈予算管理問題 オリンピック委員会資金を職員住宅建設に使用〉
【実例】2003年度中央予算執行状況及びその他の財政収支の会計検査の報告にお
いて、中央の予算管理、中央基本建設の予算管理、中央のその他の部門の予算執
行での主要問題の幾つかの実例が挙げられた。

▽1994年、元国家計画委員会は、所属のマクロ経済研究院などの7部門と合同で科
学研究オフィスビルを建設し、建設後、元国家計画委員会がその中の一部面積を
賃貸していた。
 2001年-2003年までの賃貸料3285万元を退職した幹部の医療費などに用いてい
た。
 発展改革委員会は不動産賃貸に対する整理を進め、国家管理研究に報告し処理
していた。

▽国家林業局調査設計院などの4つの部門で、7つの「林業砂漠改造プロジェクト」
借入契約の変造、偽造の計画を立て、財政の手形割引資金の415万元を横領してい
た。

▽1999年から、国家体育総局は中国オリンピック委員会の特定項目資金1.31億元
を流用していた。
 その内訳は、従業員住宅団地の建設に1.09億元、総局機構従業員の手当と所属
部門の企業投資に2204万元であった。

▽2003年に、国防科学工業委員会は総額162.1億元の予算の資金のうち、年頭に
62.91億元、38.8%を保留していた。科学技術省は予算配分で、科学技術3プロジェ
クト費用の17.01億元をすべて保留し、8月-11月になってやっと追加する方式で
関連地方と部門に対し、意見つきの指示が出された。

【分析】李金華会計検査院長によると、中央予算管理での主要問題は以下のとおり。
1) 予算外資金の整理が徹底されていない。
2) 一部資金の使用が地方政府や人民代表大会による管理、監督から離れている。
3) 一部の方法が部門予算の完備に影響している。
4) 一部の特定項目の移転支出管理が依然として規則に沿っていない。
5) 中央基本建設の予算管理でも、一部中央予算内の基本建設投資が基数法に照ら
 して分配が合理的でないなどの問題がある。

〈インフラ建設の問題 長江の堤防で再度手抜き工事が発覚〉
【実例】会計検査を通じ、長江堤防の隠ぺい工事など一部インフラ建設に隠れた
危険と低効果問題の存在や、特定項目資金の管理使用での混乱と公衆の利益の侵
害も表面化してきている。

▽長江堤防建設の工事で、一部施工部門が建設部門と監査部門を買収し、虚偽報
告、手抜き工事や、護岸工事では水中の砕石を少なくし、水上では厚くするなど
の事実を隠ぺいしており、工事の品質が憂慮されている。
 5段階での抽出検査では、水中の砕石量を16.54万立方メートルとし、工事資金
を1000数万元多く報告している。現在、この遊水地は既に倒壊している。
 11の重点的危険発見の抽出検査では、水上の護岸工事の不合格は50%以上に上っ
ている。この建設工事では、関連責任者が職権を乱用して私利をむさぼり、はば
かることなく賄賂を受け取っていた。
 この事件が国務院に報告された後、関連部門は提訴し、調査、処分の結果、現
在既に21人が逮捕されている。

▽22.79億元が投資された国家重要建設の河南省のガス気化工事プロジェクトは、
2001年の竣工から16年間を計画している。ガスの市場需給は大きな変化が発生し
ているが、プロジェクト決定者と建設部門は依然として建設予定計画実行を堅持
した。
 その結果、プロジェクト完成後はガス供給能力の半分しか需要がなく、経営は
深刻に困難な立場に陥っている。2002年度だけの損失で2億数千万元となっている。

▽湖北省黄岡市政府と関連部門は虚偽の報告で、明珠大通りプロジェクトの国債
資金1167万元を流用し、住環境改善プロジェクト用地の110ムー(約73000平方メ
ートル)を横領し、「イメージプロジェクト」である 東方広場を建設した。この
ことは明珠大通り建設に深刻な影響を及ぼしている。

▽武漢市洪山区の927ムー(約618,000平方メートル)の山林が4回も不法に売買さ
れ、関係部門と個人合わせて4000数万元が横領されている。

▽2003年12月、国家食品薬品監督管理局機関のサービスセンターは2社と契約して、
国家が無償でこの管理局に支給していた北京昌平区的216ムー(約144,000平方メー
トル)を勝手に8500万元で2社に譲渡し、2社は経営開発に用いていた。
 会計検査後、国家食品薬品監督管理局はこの件を重視し、是正のための検討を
している。

▽2001年4月、私営企業の華海会社は、武漢市政府が江漢区後湖郷の2つの村の805
ムー(537,000平方メートル)の土地を買収予定であるという情報を得た。
 そこで、この郷の関係指導者の推薦を得て、許可審議の手続をせずに、この2つ
の村とそれぞれに土地共同開発契約をした。
 すなわち、国がこの土地を買収する際には、華海会社に1ムー(約666平方メート
ル)当たりそれぞれ10.8万元と12.5万元以上を補償しなければならず、また、国
の補償金額が上述の価格より高い場合、華海会社に超過部分の80%、あるいはすべ
てを支払わなければならないという契約の「特別」規定をつくっていた。
 2001年の8月、武漢市は1ムー当たり14.8万元と14.7万元の価格で上述の土地を
買収し、華海会社には差額の1801万元を横領した。華海会社は最後の横領金を受
取った2日後、すぐに商工業部門に廃業を申請した。現在、この私営企業家は現在
逃走中である。

▽淮河流域の安徽、河南、江蘇の14の災害区と県のうち、9つの県が重大な被害を
受けたとして、移住、新築を水増しして報告し、被災民のための家屋建設補助資
金の1.36億元を横領した。
 安徽省霍邱県は上級の補助基準を下げて、1804戸の被災民のための家屋建設資
金の360万元を横領していた。

▽2003年の雲南大姚地震の災害救済資金として、2004年3月まで中央財政から1.2
億元の特大自然災害救済補助費が支給されたが、5174万元が県レベル財政でいま
だに滞っている。
 関連部門は、災害救済資金の4111万元を流用して、主に予算調整、大規模建築
物建設と接待費などに使用していた。

【分析】李金華会計検査院長によると、中央による地方支出補助金は現在中央財
政総支出の半分以上を占めているが、財政部が行っている毎年の中央財政総予算
報告では、地域、プロジェクトにまで細分化されていないので、資金使用は不透
明になっている。
 その上、ここ数年、政府のインフラ投資規模は絶えず拡大しているが、プロジ
ェクトの計画、方策、審査許可と管理には依然として幾つかの軽視できない問題
が存在している。

〈金融機関問題 銀行は1個人に74億元を貸し出していた〉
【実例】中国工商銀行、元中国人寿保険公司、交通銀行などの金融機関の貸借対
照表、損益計算書を会計検査する際に、個人消費者ローンなどの方面で新しい金
融リスク問題が発見された。

▽中国工商銀行本店と21カ所の支店の貸借対照表、損益計算書を会計検査したと
ころ、規定に反した貸し付け、手形の現金化、手形割引などの問題が発覚した。
 また、犯罪の証拠となるものが30件、金額にして69億元あることがわかった。

▽工商銀行の上海外高橋保税区支店は、姚康達氏1人に個人住宅ローンとして7141
万元を貸し出していた。これらの資金は派手に宣伝されていた不動産128カ所の購
入に使用された。

▽工商銀行北京翠微路支店で取り扱われた7.91億元の自動車ローンを抽出して会
計検査したところ、4社の自動車の販売店が虚偽の資料でローン申請しており、そ
の金額は9650万元に達していることがわかった。

▽手形市場の管理も混乱している。
 河南洛陽の芬莱商業貿易有限公司は銀行従業員と内部結託して、2002年に大連
実徳プラスチックの工業会社とその関連企業の銀行引受手形4.92億元を「包装」
していた。2001年から、この会社はこういった「業務」の世話料としての216万元
を受け取っていた。

▽民営関連企業の虚偽貸し出し問題もひどくなっている。
 広東省仏山市民営企業主の馮氏は、13社の関連企業を利用して財務諸表を粉飾
した。銀行内部と結託し、工商銀行南海支店は累計で74.21億元を貸し付けた。会
計検査時点でまだ19.29億元の残高があった。
 これらの貸し付けは個人通帳に移動しているか、直接現金として取り出されて
おり、ひどいものでは不法ルートを通じて海外へと流出している。概算調査では、
銀行貸し付け損失は既に10億元を上回っている。
 会計検査後、監察部などが調査、処分に深く入り込むことのできる組織体系を
つくり始めた。

▽元中国人寿保険公司が行った、独自の保険料率改定、超過金額での保険解約、
不法な保険業務代行などの不当競争の金額は23.74億元に上っている。1.82億元が
保険資金の不法貸し付け、投資、オフィスビル建設などに使用されていた。
 会計検査では各種の犯罪手がかりが28件発見され、4.89億元が事件に関連して
いた。これらの問題は中国人寿保険公司の制度改正前に発生していたものである。
 会計検査終了後、人寿保険公司はこの問題を大変重視し、すぐに全面的に整理
改善し、問題は徐々に是正されている。

▽2000年-2002年に、交通銀行錦州支店、錦州市中級裁判所と古塔区和凌河裁判
所は共謀して、公文書を偽造し、交通銀行本店の175企業の不良債権を2.21億元と
報告していた。
 貸し付けされている企業はこの経緯は知らされていなかったので、引き続き返
済している企業もあり、返済された元金と抵当資産はすべて収入としてこの銀行
の「裏金庫」に入っていた。
 同時に、裁判所は上述の虚偽訴訟で「訴訟費」を受け取っており、錦州市中級
裁判所と凌河区裁判所の受け取った85.3万元は個人口座に振り込まれていた。
 会計検査機関はこの事件を関連部門に移して調査、処分した。7人が審議中で、
1人が逮捕されている。

【分析】李金華会計検査院長によると、ここ数年、国有商業銀行による重大違法
問題、規則違反問題、経済犯罪は時々発生しているという。新しい形の犯罪が多
く、高い地位の人物が事件にかかわっており、金額が大きいという特徴がある。
 その原因は、銀行の一部支店機構では法律に沿った経営という意識が脆弱で、
内部コントロールの構造が不完全なことにある。特に一部支店の「最高責任者」
への管理、監督の不行き届きに大きな関係があると考えられる。
 李金華会計検査院長は、国有商業銀行の内部制御を強化するためには、厳格な
指導者の責任追及制度をつくることであり、これによって権力の暴走の防止、金
融リスクの解消ができるようになると提案している。
〔京華時報6月24日〕