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農村信用社の疲弊と改革

29省の農村信用社が全面的に改革試行

 「地方政府の農村信用社改革保護と奨励の積極性と情熱を考慮する。また、2
種類の監視管理体制の併存と過渡期が長過ぎることが管理逸脱を招くことがモラ
ルハザードや経営リスクを誘発しやすい。これらの状況から、農村信用社の改革
を加速しなければならず、試行範囲をさらに拡大すべきである」
 7月末、銀監会の農村信用社関連の第1回の改革試行総括文書では以上のように
述べられている。

 銀監会の内部情報では、第2回の農村信用社の改革試行は21省市にまで拡大さ
れ、昨年実施された第1回試行の8省市を含めると、改革試行は基本的には全国範
囲で普及したことになる。
 しかし、銀監会は今回の改革試行に慎重になっている兆候が見られる。
 この21の試行ケースのうち、7省の農村信用社を銀監会は「特別貧困地域農村
信用社」と定義している。第1回試行規定での改革資金支援を条件として画一的
に処理するのであれば、経営状況の極めて悪い農村信用社は、さらに国家支援政
策を受けにくくなるためだ。
 このことから、銀監会の関連部門は既に何度も調査研究や座談を行い、「特別
貧困地域農村信用社」には特別支援として優遇政策を行うかもしれない。

〈改革試行を全面的に拡大〉
 「チベットは現在農村信用社がなく、海南省農村信用社の問題はとても深刻で
ある」
 銀監会のメンバーによると、上述の2省と昨年8月に国務院が試行を行った8省
市以外、全国のその他の21省市区は、すべて正式に国務院に改革参加を申請して
いる。銀監会も、思い切ってこの21の省市区すべてを改革試行ケースとした。
 21の省市は、北京、広東、天津、河北、湖北、雲南、甘粛、山西、寧夏、青海、
内モンゴル、遼寧、黒龍江、安徽、福建、上海、河南、湖南、広西、四川、新疆
である。このように、改革試行は既にほぼ全国に普及している。

 これについて、銀監会のメンバーは、改革範囲がこれほど大きくなると、銀監
会の当初の考えでは試行とは呼べなくなっていると語っている。
 しかし、この提案は上層部には受け入れられていない。8月18日に、温家宝国
務院総理によって主催された会議では、当面の金融関係を研究し、農村信用社の
改革試行の拡大を議事日程に組み入れることが明確にされたばかりだ。

 現在、第2回の改革試行が間もなく始められようとしている。8月29日、国務院
は農村信用社の改革の部署配置を特別テーマとする農村信用社改革の会議を開い
た。
 試行の方法は、依然として2003年6月27日に印刷配布された国務院の15号文書
「農村信用社の改革実験方案」をそのまま用いる。

 注意すべきなのは、各省市の経済発展の程度が違うため、農村信用社の資産状
況が異なり、「貧富の差」という問題が今回の改革試行のポイントとなっている
ことだ。
 銀監会の内部統計データによると、今年6月末までに、全国17省の農村信用社
の利益合計は33億元で、そのうち山東、山西、江蘇、天津、重慶の5省市の農村
信用社の利益は18億元で、利益合計の半分以上を占めている。その他の13省(海
南を含む)の農村信用社は合計で二十数億元の損失があり、また、遼寧、黒龍江、
吉林の3省の損失だけで約11億となっている。
 銀監会のメンバーはこの件について、人民銀行が既にこれらの特別貧困地域で
の農村信用社の発展問題の研究を行っており、また、銀監会が最近行った調査で
も同様に、雲南、貴州、四川、陝西、甘粛、青海、広西、新疆、寧夏などの9省
区の1700以上の農村信用社を「特別貧困地域の農村信用社」と定義していること
を明らかにした。
 これらの農村信用社改革の成功の可否は、直接、農村における金融体系の全体
建設に関係してくると考えられている。

 現時点で第1回改革試行の効果は既にあらわれている。8月18日に陝西省農村信
用社聯合社の西安での開業を初めとして、改革試行を行った8省の農村信用社の
管理機構(省レベル聯合社を除く)がすべて設立されている。
 これと同時に、財産権制度改革も一部で進展が見られた。銀監会に報告された
8省の試行資料によると、改革の完了をまって、これらの地域では、6社の農村商
業銀行、55社の農村合作銀行、391社の県1級法人聯社が誕生しようとしている。
 現在、江蘇、浙江、山東、貴州などの省では既に合計10社の農村商業銀行と農
村合作銀行が準備申請をしており、そのうちの1社は既に開業している。年末ま
でに、約30社の農村商業銀行と農村合作銀行が設立される。

 国家支援政策の実施では、人民銀行による査定により、既に試行ケースの8省
市の支援資金総計が380億元、そのうち、特定項目手形が361億元、特定項目貸付
が19億元となっている。
 現在、人民銀行は既に506の県市に対して特定項目手形を266億元発行している。
この資金を利用して、農村信用社は合計226億元の不良債権を転換、数年来の損
失消化のために40億元を投入する。

 それ以外にも、15号文書は、農村信用社の営業税を3%に減少、中西部地域の信
用社の所得税徴収免除、東部地域の信用社の所得税半減を通達しており、この政
策も既に実行されている。
 銀監会の統計によると、昨年1年間と今年1月から3月までは、8省市の農村信用
社は、合計で営業税7.2億元、所得税4.7億元が免除されている。

〈8省市試行の四大問題〉
 回避できないのは、8省市の1年の改革試行の過程で、依然として早急に解決を
要する問題が多く存在することである。
 陝西省彬県香廟郷の信用社のデータでは、2003年1月から2004年2月末の預金は
11.23万元増加しているが、同時期の郷の郵政貯蓄には信用社の預金増加額の178%
に相当する約20万元が吸収されている。
 陝西省礼泉県烽火鎮の8つの村の1999年から2004年の郵政貯蓄には合計で約400
万元、平均で毎年約12.5万元が預金されている。
 これは、陝西省の農村社会経済調査チームが最近農村信用社改革問題に対して
調査を行った際のデータである。

 陝西は第1回改革試行ケースになっている。
 農村社会経済調査チームは、陝西省の合陽、礼泉、陳倉、渭濱、戸県、紫陽、
彬県などの7県区、郷鎮、150の農家に対し、特別調査を行い、現在、信用社改革
の問題点は主に以下の幾つかにあることを突きとめた。
1) 農村信用社の預金吸収能力には限りがある。
2) 農民の増資に対する反応は薄く、出資金の確保にはリスクを伴う。彬県香廟
 郷の信用社を例に挙げると、この信用社には3100の農家があるが、改革前の信
 用社メンバーは1800であったが、改革後は1361になり、539が信用社をやめ、
 新規加入は100だけであった。
3) 損失負担が重い。例えば、合陽県信用社の数年来損失は累計で四千数万元で
 あり、政策は好転しても、年間の損失は200万―300万元となっている。
4) 社会的な干渉が大きい。信用社は毎年多額の管理費用を定額で支払っている
 ことに加え、改革前は信用社は中央銀行によって管理され、改革後は省クラス
 政府によって管理されている。このような管理パターンは政府行政の干渉を受
 けやすくなっている。

 しかし、最も深刻な問題は、不良債権が消化しにくいことである。
 陳倉区陽平信用社を例に挙げると、この信用社には2つの支社があり、不良債
権は3404万元(手形を置きかえず)で貸付総額の57.2%を占めている。そのうち3392
万元が焦げついている。人民銀行からの農業支援の1600万元の貸付以外で、国家
が220万元を補てんし、769万元の手形を置きかえたとしても、50%の不良債権率
であり、依然としてかなり大きいと言える。

 陝西省の農村社会経済調査チームによると、現在の制度スケジュールでは、農
村信用社は、これまで独立した農業支援金融サービス体系であったのだが、それ
が「非官、非民」の苦しい立場に変化しているという。
 また、農業支援の貸し付けにおいても、農村信用社は現在、主力的な役割がな
く、実力を見せていない。農村信用社のサービス方式では限界があり、さらに大
きな範囲からの「三農」のための総合的サービスを提供する力はない。

 はっきり肯定できるのは、陝西省の問題は第1回試行を行った他の7省市でもあ
る程度あらわれていることだ。これらの試行ケースの農村信用社に対する改革の
年度総括では、銀監会に対して多くの政策提案が出されている。
 銀監会のメンバーによると、8省で起こった問題を見て、銀監会は既に政策支
援について、四大問題を決定している。

1) 試行された8省市で共通していることとして、関連部門はこれまで発表してき
 た農村信用社の預金業務などを制約する規定について、経済環境は変化してい
 るにもかかわらず、依然として廃止しておらず、これが農村信用社の業務発展
 の深刻な制約要因となっている。
2) 試行省市の農村資金の供給不足問題は比較的強烈である。主に農村資金は郵
 政貯蓄機関を通じて大量に農村から流出しており、農村の資金供給に深刻な影
 響を及ぼしている。
3) 経済の発達がおくれている吉林、貴州は、国家が農村信用社支援に対し、今
 回一回の改革だけでなく、長期効果の構造をつくり上げ、制度化することを望
 んでいる。
4) 貴州などにある、旧革命根拠地、少数民族、辺境、貧困地域の農村信用社は、
 経済発展環境そのものの問題があり、経営規模は小さく、大部分の機関は生存
 を維持することができず、発展どころではない。今度の改革政策も余り効果が
 なく、これらの機関に対して、特別な配慮と措置をしなくてはならない。

 「これらの政策問題は、地域が広く、今回の改革の中での早期に解決される可
能性は低い、しかし、すべて既に特別テーマとして研究である」
 銀監会、人民銀行、発改委と財政部にはそれぞれ特定研究チームが組織されて
いると銀監会の関係者は述べている。
〔21世紀経済報道8月30日〕

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