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伝統的産業が直面する成長の限界

長江デルタ都市の生存コスト大調査 上海がトップ 浙江が2位

 「高過ぎる生存コストは都市の魅力に危害を及ぼす問題点になっている」。
 浙江省統計局で先日完成した「長江デルタ5都市の生存コストランキング」で
は、上海は住宅価格、交通等の価格は高く、生存コストの順位は第1位となった。
なお、2位は浙江、最下位は江蘇であった。
 「私たちは7都市の比較・分析を行うつもりで始めたが、蘇州など一部の都市
のデータが入手しにくいため、最終的に上海、杭州、寧波、温州、南京の5都市
に決めた」
 このレポートは国家統計局の「2004年全国都市調査システム 最優秀レポー
ト」に選ばれたが、このレポートを取りまとめた浙江省都市調査隊消価処の平旭
珍処長は、さらに多くの都市を調査できなかったことを残念に思っている。
 今回の調査は、「都市間価格水準」と「都市間消費水準」に分けて比較を行っ
ている。
 平旭珍処長によると、「都市間価格水準」は、都市の生存コストの主要データ
で、外部の者が進出を検討する際の重要な要素である。「都市間消費水準」は、
それぞれのグループ分けで得られた異なるグループ層間の消費水準の差異であり、
それぞれの就業者がみずからに適した位置づけを探すものである。
 「都市間価格水準」は、5都市を「それぞれ優劣がある」と評価している。
 最終調査結果では、「上海市は15項目で5都市のトップを占め、一部の項目の
価格差は大きい」。2位の温州市は9項目でトップ、杭州市は5項目でトップ、寧
波市と南京市は4項目でトップであった。
 「都市間消費水準」は、「住民一人当たりの消費支出比較」と「一人当たりの
住宅面積及び居住消費支出の比較」で評価している。
 最終調査結果では、上海市のエンゲル係数は最低で、南京市は最高であった。
5都市中、南京市のエンゲル係数は40.4%であることを除き、杭州、寧波、温州、
上海はそれぞれ30%―40%に達していた。
 このレポートを作成した浙江省統計局城都市調査チームの葉飛霞さんは、個人
の生存コストと企業の人的資本のコストは多少関連があり、個人の生存コストが
高ければ、企業の人的資本のコストが高くなり、それは企業の生存コストに影響
していくと考えている。〔第一財経日報1月14日〕

地価上昇がビジネスコスト上昇に 3000社の浙江商社が上海から撤退

 長い間、上海はビジネスマンにとっての神話をつくり続けてきた。上海は、名
実ともにビジネスの勝負の土地であった。
〈浙江ビジネスマンのゴールドラッシュは既に一昔前のこと〉
 現在、上海の浙江企業は少なくとも7万社以上で、さらに上海に店舗のある企
業数を加えると約30万人である。
 上海の浙江企業は全体の約6分の1を占めており、民営企業の資本金は700数億
元、上海市浙江商業会議所の会員企業の資本金だけで500億元に達している。
 以前、浙江省商工業局が発表した「浙江から省外移転した浙江省個人私営民営
企業の生存環境動向」という専門調査レポートによると、現在、浙江の3058社の
民営企業が省外移転しており、そのうち、企業の全体省外移転は488社、本部の
省外移転が2488社、省外に移転した企業の生産総額は453.5億元に達し、浙江の
個人私営企業生産総額の6.1%を占めている。
 しかし、最近、浙江省中小企業局は、浙江企業の上海での投資と起業状況につ
いて、基調が完全に異なる調査研究報告を作成した。
 その報告によると、昨年から現在まで、国家マクロコントロールの新展開に直
面し、浙江企業の上海での起業も新しい試練に直面し、新しいカードを切らなけ
ればならなくなっている。現在、約3000社の上海の浙江企業は競争力不足で、上
海市場から退出したり、生産品を転換する必要に迫られている。
 最近、永康のある自動車部品の製造会社は、資金不足のため、上海事務所を撤
退した。この企業と同様の困難な立場にある中小企業は多く、上海から離れる準
備をしている。真っ先に本部を上海に移した杉杉集団が近いうちに故郷の寧波に
帰ることになるという情報もある。
 浙江省中小企業局事務室の蔡章生主任は、「同一業界の企業数がだんだんふえ
ており、生存の可能性は日に日に減少している。資金の実力不足により規模の優
位性に欠けていることから、ますますビジネスコストが高くなり、上海での成功
は本当に難しい」と話す。
〈三つの要素が浙江企業の上海での発展を制約〉
 浙江省中小企業局の調査報告では、浙江の上海企業の発展制約として、3つの
要素が列挙されている。
1) 地価高騰によりビジネスコストが上昇したことが主な原因で、上海工業用地
の価格優位性が既に失われてしまったこと。
 過去数年において、上海では県廃止、区設置が大規模に実施された。都市機能
の昇格から出発して、「農村住民から都市住民への転換」プロジェクトが推進さ
れたことから、土地収用は比較的楽で、奉賢、嘉定、松江等の地域では、一般的
には1ムー当たりの収用価格は約5万元だった。
 これは浙江企業にとってとても魅力的な点で、浙江で有名な企業は上海でも何
らかの形で存在していた。万向集団、茉織華集団、杉杉集団、雅戈尓集団、埃力
生集団、力西集団、正泰集団、天正集団、人民電器集団等多くの実力ある私営
企業グループ会社は、皆安値の土地に引かれて、次から次へと大上海へと進出し
ていった。
 しかし、この調査レポートでは、ここ1年余りで、上海の投資情勢にかなり大
きな変化があり、上海で土地を収用するのは簡単なことではなくなっているとい
う。そればかりか、以前の契約が紙切れになり、企業は1ムー当たり十数万元上
乗せして支払わなくてはならなくなっている。その上、工業用地を商業用地に変
えることはできない。
 浙江省中小企業の調査グループによると、上海嘉定区だけで回収された土地は
1万数ムーで、その大部分が浙江企業にかかわるものであった。浙江省政府の駐
上海事務所によると、近ごろこの種の紛争が多く、4000数万元の損失をこうむっ
た企業もあるという。
2) 伝統的産業の生存及び発展空間がますます小さくなっていること。
 市場競争が激烈な今日では、客観的に見ると、企業は絶えず自社の核心競争力
を高めなければやっていけないかもしれない。国際大都市の上海で、主に伝統的
産業に従事する浙江の生産企業にとってみれば、その発展空間は既にますます小
さくなっている。
 ここ数年、世界500強企業中、二百数社が上海投資している。韓国人、日本人、
香港人が上海で投資したものはさらに多い。さらに、それらの企業の大部分がハ
イテク産業に属し、そのために多種多様な優遇政策を享受している。
 しかし、現在、数万の上海の浙江企業のうち、資本金1000万元以上の浙江企業
は約2000社だけである。企業の規模が小さいため伝統的産業が多く、その中での
競争は狭き門となっており、多くの企業の生存、発展には至るところに危機をは
らんでいる。
 この調査研究報告によると「昨年だけで、競争力がないため上海市場から退出、
または生産品の転換を余儀なくされた上海の浙江企業は2―3000社以上に上る」。
起業基地を既に生産コストの比較的低い湖北孝感、安徽淮南、浙江平湖等に移転
させている企業もある。
 蔡章生主任は「多くの浙江企業が比較的小規模で、技術価値が低く、安値の土
地と労働力に依存して発展してきた粗放型産業である。この種の産業は、天の時
と地の利があるから発展の前途があるわけで、競争が激化している上海では、自
社の独特な優位性や独自性がなければ生存は困難である」と語っている。
3) 人材不足が上海の浙江企業の競争力を制約し、上海を離れる一つの原因とな
っていること。
 上海の浙江企業に対するサンプリング調査の結果、浙江企業で、短大卒以上、
初級以上の専門技術者はそれぞれ総従業員の7%と3%だけである。「上海国有企業
や外資企業と比較すると、企業規模が同等な条件のもとでの、技術労働者の保有
人数の差は60%以上ある」。
 一部の民間企業では高級技術者を雇っているが、大部分が「渡り鳥型」の人材
である。
 一般従業員の構成状況から見ると、中西部地域の農民工が80%近くを占めてい
る。厳密な上海籍の従業員は極めてわずかである。月給は1000元に満たないので、
就職を希望する人はおらず、上海人にとっては一顧だにしない厳しい職場である。
 温州(上海)中発電器集団公司の陳劉華総裁によると、この数年、上海の「海帰
派(海外留学帰国組)」は多いが、給与は高く、流動性も高いので、民営企業に
来る人は少ないという。
 多くの民間企業の社長は、人材不足、企業の革新能力のおくれ、製品のモデル
チェンジも少なく、市場競争力は明らかに不足し、利益が薄く、約70%の企業の
利潤は約10%にすぎないと嘆いている。
〈今後浙江企業は何を捨て何をとるべきなのか〉
 浙江大学経済学院の常務副院長の姚先国教授は、3000数社の企業が上海で挫折
していることについて、これは浙江企業に対する1つの警告であるという。
 まず、正確に位置づけを検討して、さらに生産地を決するべきである。
 つまり、低価格・低コストで成長する、コアの競争力が不足している企業に適
しているのは、生産コストの安値な地方であり、上海のように長江デルタで最も
発達している地域ではない。
 また、まだ上海に残っている浙江企業にとっては、自社の発展戦略をどうする
のかが、最も重大な課題である。上海は間違いなく企業発展の巨大空間を提供で
きるのだが、チャンスをつかめるのか、上海に適応できるのか、産業を高度化で
きるのかどうかが、肝心な点である。
 これに対し、蔡章生主任は、上海の浙江企業はチャンスと条件を考える必要が
あり、再起するには、まず、できるだけ早く伝統的産業からハイテク産業に転向
することであると話している。
 積極的にIT産業、自動車製造業などの「成長産業」に足を踏み入れて、これら
の領域でひとり立ちすることに努力し、少しでも多くの利益を得ることであると
いう。
1) 政府は、積極的に、上海にある企業の研究開発センターとポストドクターの
ためのワークステーション設立を奨励し、科学研究の成果を現実的な生産力に移
転させることを促進し、浙江企業ブランドの品質優位を形成しなければならない。
2) 人材数を強化し、インセンティブを構築する。高級技術人材に年俸制を施行
して、ストックオプション付与、手厚い待遇で人材を引きつけ、良好な環境で人
材を引きとめる。
3) 業界自己規制を強化して、法律に基いて企業自身の権益を守る。
〔1月14日中華商時報〕