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教育の産業化とその費用

大学生は民間企業を敬遠 今年の卒業生人気の十大就職先

 上海専門職人材網は13日、現時点での今年の卒業生に最も人気のある10大就職
先を発表した。
 1位から5位までは販売、プロジェクトエンジニア、マーケティング、バックオ
フィスマネジメント、情報システムエンジニアで、そのうち、販売は2万502人、
プロジェクトエンジニアは1万91人の応募人数があった。
 企業形態では、民営企業が就職募集先のトップで、27.9%を占めている。外資
企業は26.4%で2位であった。
 しかし、多くの今年の卒業生の心中では、民営企業は依然として今のところ3
番目の選択であり、就職希望者はわずか17.8%にすぎない。外資企業への就職希
望者は25.2%を占めている。国有企業の募集は市場総数の12%にしかすぎないが、
就職希望者の21.3%の注目を集めている。
 東華大学の就職相談室の責任者によると、現在既に内定した学生のうち、約90%
の内定先が国有企業と外資企業であるという。
〈複合型は単一型に比べて仕事が見つけやすい〉
 今年の大学生の10大人気就職先の、マーケティング、プロジェクトエンジニア、
行政マネジメント、経営一般などの7種類の職業では、自分の専門の以外に、あ
る程度の外国語能力と協調性が必要である。
 また、多くの人事部門は、複合型の人材を歓迎している。例えば、英語を専門
とする物流や外国貿易、商工業管理を専門とする不動産業などでは、専門だけで
はなくさらに別の特技が必要で、英語、法律、商工業管理だけを専門とする卒業
生には関心がない。
 上海の幾つか大学の就業相談室の責任者を取材したところ、現在の就職状況は、
多種の専門を持つ学生は、専門が1つの学生に比べて明らかに優位である。特に、
外資企業ではその傾向が顕著であるという。
 上海大学の卒業生就職指導センターの王佩華主任によると、2004年の上海大学
の一部の専門職、例えば通信、材料、機械技術などの専門技能を持つ学生には、
1人平均3.6の就職先がある。しかし、法律、外国語、歴史、商工業管理だけを専
門とする学生は、2人に1つの就職先しかないという。〔東方網3月14日〕

子供1人の養育費は49万元 高額な教育費の重圧

 上海社会科学院の徐安研究員の「子供にかかる費用 転換期の構造変化と高
度化」という報告書の報告書の原文を見ると、この調査は上海市徐匯区の人口と
計画生育委員会から委託されたもので、サンプリング調査はすべてこの区で行わ
れ、全部で749の調査が行われていることがわかる。
 この調査によると、2003年の物価レベルで、0―16歳の子供の直接養育費(つま
り0―16歳の子女の2003年度1人当たり平均支出合計)は約25万元であり、仮に大
学・高等専門学校に行くと、支出は48万元に上る。
 この数字には、親戚、友人や公の学資援助や学校の奨学金などによる5―6万元
は含まれていない。
 子供の養育費のうち、教育費は食費より低く、養育費の21%を占めている。し
かし、高校に進むと教育費の割合は食費を上回り、高校で34%、大学では41%を占
める。
 さらに、就学前教育費は著しく高く、これは義務教育段階より高い。幼稚園の
授業料と諸費用は1人当たりの年平均は4600元で、総支出の30%を占める。
 一部の家庭では、さらに高額の入学金や寄付金の支出がある。
 以前に行われた同様の国内調査では、情報化時代にあらわれたコンピューター、
携帯電話、インターネット通信費などの項目はなかった。
 今回の調査では、これら項目について子供にかかる平均年間費用は、幼稚園で
は317元、高校では2500元に上ることがわかった。
 そのほか、両親がそれぞれの成長段階で、医療、健康衛生管理、保険に支払っ
た1人当たりの年間費用はすべて1000元以上である。
 家庭の支出構造の不合理性は、子供の養育費の絶対数値と相対数値が両親のそ
れらより高いことに顕著にあらわれている。
 大多数の家庭に子供は1人しかいないため、養育費用は家計支出先の第1位であ
る。それぞれの成長段階での子供の養育費の家計支出の中に占める割合は39%―52%
で、中学で46%、高校で51%、大学で52%である。その中の4分の1の家庭の子供の
養育費は夫婦の総収入の50%以上を占めている。
 「経済レベルが同等の国家と比較すると、この割合は確実に高過ぎる」と徐安
研究員は言う。「家計総支出の40、50%が子供のためだけに使われている。こ
のため、親は生活を切り詰めて、子供のためになけなしのお金を使っていると説
明できる」。
〈教育費の急増〉
 上海市は1997年に全国1人当たりGDPが最も早く3000ドルの大台を突破した地域
である。
 これは、上海経済が中流収入レベルを基礎とした、豊かな生活への発展段階に
入ったことを意味している。そのため、この調査結果は全国の状況ではないこと
は明らかである。
 しかし、徐安 研究員は「上海市徐匯区の子供の養育費構造から見ると、家庭
の支出構造には不合理な点が幾つもあり、それは一部の不合理な政策の存在を反
映しており、この体制転換期においては全国的に参考となる資料だ」と言う。
 ここ20年来の0―16歳の子供養育費の調査研究に対し、構造の深い部分での変
化が一部に見られる。
 1986年の北京郊外の家庭では、未成年人口の1人当たり平均費用は1万520元で
ある。それに対して、北京都市部では2万1391元である。
 文化教育費から見ると、都市部では3109元で、総投資の18.2%を占めており、
農村部は943元で、9.4%を占めている。これは、食費よりはるかに低い。郊外地
域の食費は57%という高い割合である。
 1995年の陝西咸陽農村地区の0―16歳の子供の養育費は約3万元である。
 よく用いられるデータとしては、1998年に厦門大学公共事務学院の葉文振教授
が行った、厦門地域の子供に対する教育費の調査結果がある。これは、1000戸の
家庭に対するサンプリング調査で、農村地域が約20%含まれている。
 1996年の厦門市の0―16歳の子供の養育費は合計で12万2600.74元である。その
うち食費が41.07%、次は子供の教育費で1万7573.21元で、総費用の14.67%を占め
ている。
 「ここ数年来の教育関係費用徴収制度の確立に伴い、子供の教育費は国家から
家庭の負担へと変わってきている」と葉文振教授は言う。
〈家庭では負担し切れない重圧〉
 以上の調査で、子供にかかる費用構成には一つの方向性が見られる。つまり、
食費の割合が大幅に減り、教育費の増加が顕著なことである。
 しかし、子供の教育費が家庭消費構造の中で、どれだけの割合を占めるのが合
理的なのかという定説はない。
 「普通は15%―20%が適当」と葉文振教授は考えている。
 上海社会科学院経済研究所の朱道根さんらは「上海1人当たりGDP3000ドル実現
後における消費構造への影響と対策についての研究」で、「上海は中流家庭から
富裕家庭に至るまでの子女教育費の増加速度が総支出の増加速度より急激である。
これは、その他の国家や地域での同じ段階のレベルより高く、偏っている」と指
摘する。
 「何年間か続けて都市住民の個人預金の目的を調査したところ、子女の教育費
用は一貫して1位であった。老後の費用、住宅より多く、これはとても正常なこ
ととは言えない」中国社会科学院の李培林研究員は「2005年の中国社会形勢の分
析と予測」の中で指摘している。
 この文書の中で、全国の都市住民の文化教育・娯楽用品及びサービス支出の総
支出に対する割合は、ここ数年比較的大幅に増加しており、その中で最も増加幅
が多いのは教育費であると指摘している。
 世界の大多数の国家では、1人当たりGDPが1000ドルから3000ドルまで上昇した
ときには、文化教育、娯楽用品とサービスの消費割合はある程度下がり、特に教
育費は下がっている。
 中国社会科学院の社会学研究所の専門家である朱慶芳氏も、国家の教育費に対
する公費投入が低過ぎて、乱収費現象をもたらしていると指摘している。
 ここ10年で、教育費の乱収費は2000億元に達しており、1人の大学生の授業料
と諸費用は、1989年の200元から、今では1万元までに膨れ上がり、上昇幅は50倍
にまで達している。
 教育学者の楊東平氏は、「教育費が高過ぎるかどうかは、同等段階の国家との
比較する以外に、消費者の主観にもよる」と考えている。
 楊東平氏が担当する「中国高等教育均等問題の研究」プロジェクトチームは、
2004年にサンプリング調査をした10地域の40大学の、全体の72%の学生が現在の
大学の授業料が高過ぎると思っており、25.2%が受け入れがたいと感じていると
いう結果を発表している。
 この大学の貧困学生の統計上の数字は約20%―25%である。このことからも、
「間違いなく高過ぎる」と楊東平氏は言う。
 楊東平氏と徐安 研究員は、政府は教育の投入を増加するべきで、教育費の多
くを家庭に負担させるべきではなく、同時に奨学金、学費貸与、働きながら勉強
する、特別補助と授業料の軽減と免除などの制度をさらに改善しなければならな
いと考えている。
 貧しい学生とその他の家庭の子女が、平等に教育の権利を享受できることを保
障するべきである。そうでなければ、経済的に窮迫している家庭は、残念ながら
子供の進学への期待を放棄するほかない。
〔中新網2月28日〕