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貨幣政策と国際化にまつわる問題

夏斌氏 中国の貨幣政策と非正規金融ルート対策

 3月25日、国務院発展研究センター金融研究所所長の夏斌氏は、「中国金融学
会第7回代表大会及び2005年学術年次総会」に出席し、中国の貨幣政策について
講演を行った。
 昨年、預金準備率を0.5ポイント上げ、預金貸し出し金利を0.27ポイント上げ
たことに関して、中央政府はこの20年来の貨幣政策オペレーションをますますま
じめに、緻密に行っていると述べた。
 夏斌氏の話によると、中央銀行の金融マクロコントロール政策は局地的な投資
過熱現象を防止するとともに、経済のハードランディングも防止するためのもの
である。現在、マクロ経済のデータにおいて中央銀行の目標が初歩的に実現した
という。また、中央銀行はマクロコントロールを行いながら、利率の市場化のよ
うな改革政策をひそかに実行することができたという。
 現在、外部にはこの2カ月の金融マクロコントロールに対してさまざまな見方
がある。
 融資の貸し出しが余り増加しておらず、貨幣市場の収益率は低い位置のままで
とどまっているのだが、銀監会は2007年1月1日までに商業銀行の資本予備率を8%
まで達成しなければならないと定めている。仮に今年、ローンの貸し出し2.5万
億元の目標を実現しなければならないとすると、商業銀行の資本金不足が存在す
る。そのため、商業銀行は貸し渋りを行う。
 貨幣政策目標と商業銀行の貸し渋りをめぐる矛盾をどのように解決すればよい
かについて、夏斌氏は、「現状では、法定の預金準備率を少し増加しても、今の
商業銀行が過去のような無制約に貸し出しをしていないため、余り効果がない。
もし、利率の上昇幅が過剰になれば、外国のホットマネーの大量流入を考慮しな
ければならないし、間接的な融資が過剰になることも考慮しなければならないし、
さらに消費需要を抑えるかもしれないことにも考慮しなければならない」と分析
した。
〈夏斌氏の計算〉
 2004年の都市地域における固定資産投資は5.86万億元で、流動資産は1.7万億
元増加して、実体経済投入額は7.56万億元になったのだが、これらの資金はどこ
から来たのか?
 2004年に銀行ローン、債券発行、株式発行による資金調達は合計2.9万億元、
外国資本による投資は606億米ドル、人民元で約5000億元相当となり、企業利潤
の投資は約2.5万億元、これらを合計すると5.9万億元となる。
 大まかに計算すると、7.56-(2.9+0.5+2.5)=1.66万億元が残る。
 「この1.66万億元はどこから出てきたのか?。少なくとも正規でない金融シス
テムのルートから来たのだと説明できそうだ」と夏斌氏は言う。
 夏斌氏は、中国のマクロコントロールで現在の利率の効果がますます強くなっ
てきたが、しかし、具体的に、細かく分析する必要があるとし、仮に投資及び物
価の情勢が不利なときには、利率を上げ、融資利率の幅を少し大きくして、預金
利率の幅は少し小さくなることは可能だと提案している。
〔第一財経日報3月28日〕

1043億米ドルの短期外債残高問題 楽観的な見方

 3月16日、国家外国為替管理局が2004年の中国外債データを発表した。2004年
末までで、中国の外債残高(香港、マカオ、台湾の対外債務を除く、以下同様)
は米ドル換算で2285.96億ドルで、前年末比349.62億米ドルで、18.06%増加した。
 両会(全国人民代表大会、政治協商会議)期間中において、外国為替管理局の
郭樹清局長はこの点について、まず、国内外の金融機関の中国における業務が迅
速に拡張し、それが中国の短期外債残高と流量の大幅上昇を招いている。第二に、
輸出入規模が大幅に増加し、それが関連する貿易収支の中の短期外債の増加を招
いた。最後に、人民元と外貨の差益と人民元上昇の予想を受け、中国国内の機関
がどんどん外貨の負債を増加させ、人民元の貸し付けを減少させていると話して
いる。
 今回発表されたデータは、郭樹清局長の判断を実証している。
 外債残高において、中長期の外債残高は1242.87億米ドルで、外債残高の54.37%
を占め、前年末比76.97億米ドル増となっている。短期外債残高は1043.09億米ド
ルで、外債残高の45.63%を占め、前年末比272.65億米ドルの増となっている。
 2001年に中国が外債統計データ基準を調整した後、短期外債は初めて外債残高
中40%を超える比率を占めるようになり、既に国際水準の40%の警戒線を超え、短
期外債の増加が加速する兆しがあった。
 復旦大学世界経済学部主任の華民教授は、短期外債の比率がちょっと高いとし
ても、中国の600億を超える外貨準備に比べ、中国の支払い能力は完全に充足し
ている。短期外債の外貨準備に占める比率は約17.1%であり、国際通貨基金の警
戒基準を下回っていると考えている。
 そのほか、比較的低い負債率(外債残高がGDPに占める比率)についても触れ、
中国の外債規模は依然として比較的安全な水準であるという。たとえ中国の外債
残高の成長が早くても、13.86%の負債率は比較的安全な水準で、しかも、この比
率は2001年以降14%前後を保持しており、中国の外債残高は比較的良好に調整で
きているという。
 華民教授は、経済学的に言えば、企業のように、国家は完全に外債を持たない
のも不経済なのであり、適当な規模の債務を借り入れることは、国家が自国の経
済をさらに急速な発展することにプラスに働くと考えている。
 中国のGDP成長の早さによって、対外貿易は黒字で、外貨収入は大幅に上昇す
る中で、外債がそれなりに上昇していることは、比較的合理的な動きである。
 外国為替局によると、2004年末、中国の債務比率(外債残高の貨物及びサービ
ス貿易外貨収入との比率)は34.9%であり、2001年の56%から年々急速に下降して
いるが、このことは、中国の外貨収入それ自体の償還能力は既に相当強いことを
意味している。さらに豊富な外貨準備を加えれば、華民教授は、これらの例で明
らかなように、中国の外貨準備の規模は依然としてとても安全であると考えてい
る。
 しかし、外債残高総量は安全ではあるのだが、同時に、金融機関は短期債務偏
重問題に直面するかもしれない。
 公表されているデータによると、2004年の2285.96億米ドルの外債残高のうち、
国務院の部・委が借り入れている債務残高は335.91億米ドルで18.45%を占めてい
る。中国資本の金融機関の債務残高は659.69億米ドルで36.23%を占めている。外
商投資企業の債務残高は446.46億米ドルで24.52%を占めている。中国資本企業の
債務残高は59.93億米ドルで3.29%を占めている。中国国内の外資金融機関の債務
残高は316.34億米ドルで17.37%を占めている。
 2003年の数字と比較すると、中国の2003年国務院の借り入れている債務は大幅
に減少し、そして中国資本と外資金融機関の債務は大幅に増加している。2003年
の中国資本の金融機関の借入額は376.23米ドルで、外資金融機関の借入額は209.48
億米ドルで、2004年のこの2つの数字の増加幅は50%を超えた。
 このことは、大量の外債が金融機構に集中し、一定のリスクが存在しているか
もしれないということを意味している。
〔21世紀経済報道3月20日〕