CI Image
 
電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
登録  解除    メールアドレス  

特集内容一覧へ

ホルムアルデヒドの引き起こす社会混乱

北京7割の子供部屋で基準を超えるホルムアルデヒド

 17日、北京市子供部屋内装汚染測定試験結果の報道発表会で、北京市の72.2%
の子供部屋でホルムアルデヒドの検出量が基準値を超えていることが明らかにさ
れた。
 中でも、西城区天寧寺街馬甸南村では、2世帯の子供部屋から国が定める基準
の14.4倍のホルムアルデヒドが検出されたことがわかった。
〈超過程度は倍から8倍に分布〉
 今回の測定は、北京市産品質量監督検験所、中国室内装飾協会室内環境監測セ
ンター、北京聯合大学室内環境検測与評価センター、北京安家康環境質量検測定
センターの4カ所の検査・試験機関が共同で実施したもの。
 試験対象となったのは、北京市で1―2年以内に内装工事を実施したことがある、
466世帯の子供がいる家庭。対象となる世帯では、半月前に子供部屋の内装汚染
測定検査を無料で実施した。
 半月の実地測定の結果、子供部屋のホルムアルデヒド濃度が国の定める基準
(1立方メートル当たり0.1ミリグラム)を超えていた家庭は336世帯と測定総数
の72.1%を占め、超過濃度は2倍から8倍の間で分布していた。
〈揮発性は3年から8年持続〉
 中国室内装飾協会室内環境監測定センターの宋広生主任は、夏は気温が上がる
ため、ホルムアルデヒドの揮発濃度が通常に比べ20%から30%高くなると話す。子
供部屋の木製家具、プラスチック製玩具やカーテンなどがホルムアルデヒドの主
な汚染源であるという。
 また、宋主任は、ホルムアルデヒドには揮発性が持続するという特性があり、
3年から8年もの長期間にわたり持続すると指摘。現在の内装では環境保全基準に
適合した材料が用いられているものの、さまざまな材料から発せられるホルムア
ルデヒドが累積し、さらには家具にもホルムアルデヒドが使用されているため、
ホルムアルデヒドの含有量が基準値を超える結果になっているという。
〈小児白血病の誘発〉
 首都児童科学研究所の戴教授は、内装の汚染による室内のホルムアルデヒド量
が基準値を超えれば、小児白血病の発症につながると指摘する。北京市児童医院
が診察した白血病の子供のうち9割近くの子供は、過去の近い時期に自宅で内装
工事が行われていたことがわかっているという。
 発育中の児童は、成人に比べ体重当たりの呼吸量は50%ほど多い。また、今の
ような暑い時期、子供は1日の8割の時間を室内で過ごしホルムアルデヒドを吸い
込む時間が長くなるため、小児白血病を誘発しやすくなる。
 戴教授は、ホルムアルデヒド以外にも、ベンゼン、アンモニア、放射性物質な
どは人体の健康を害するおそれがあると指摘している。
〈若干の超過は通風で軽減〉
 宋広生主任は、次のように述べた。「ホルムアルデヒドが基準を若干超えてい
る程度なら、通風をよくし、観葉植物を置くか空気清浄機を使えば問題ない。
 基準値の倍から4倍までの中程度の汚染の場合は、家具裏面の羽目板や引き出
しの底板などのホルムアルデヒドを発散しやすい場所を探して汚染源を確認し、
対策をとる必要がある。汚染が重度である場合には、メーカーや販売店に連絡す
る必要がある。
 一般に流通している空気清浄機はタバコの煙を浄化するタイプのものが多いた
め、ホルムアルデヒドなど内装汚染に対応した特別に開発されている空気清浄機
を入手する必要がある」
〔京華時報7月18日〕

ビール業「ホルムアルデヒド騒動」の真相

 圧倒的多数の中国国産ビールが醸造の過程で発がん性物質であるホルムアルデ
ヒドを添加しているとうわさされ、国際社会に影響を与えた。現在、韓国と日本
は相次いで中国ビールに含まれるホルムアルデヒドの含有量について調査を行っ
た。
 3年前にも話題となった「ホルムアルデヒド騒動」が、今度もビール業界で注
目の話題となった。一体何が3年前のニュースを再び喧伝させたのか、一体、背
後に糸を引く存在があるのか。
 金威公司はこのことの関与を否定している。しかし、私たちが取材をしている
うちに、裏で糸を引く非ビール企業の影があらわれた。
〈ホルムアルデヒド騒動再来〉
 7月14日夜9時ごろ、広州天河スポーツセンター、記者は30分ほど待って座る席
を見つけた。
 7月9日に広州ビール祭が開幕してから、ここは毎晩こんなにも熱気にあふれて
いて、大騒ぎになっている「ホルムアルデヒド騒動」がどれほどの影響を与えて
いるのかをみじんとも見てとれなかった。
 「私は、今年と例年との間にどんな違いがあるのかを見出すことはできない。
現在、まさにビール販売シーズンであり、この2日で、出荷量はますますふえる
ばかりだ」燕京ビール広州公司のセールスマンは記者にこのように述べた。
 同様の発言は、青島、華潤、珠江、金威といった多くのビール企業のセールス
マンからも得て、まさにそれを実証しているかのようである。
 国内各地の報道を見渡しても、ここ数日のビール販売量の急速に下落したこと
が見出せなかった。
 韓国においては、数日前から既に中国で生産されたビールの緊急回収が始まり、
ホルムアルデヒドの含有量検査が行われている。
 日本も中国から輸入されたビールのホルムアルデヒド含有量問題についての調
査を始めた。
 日韓のこのような動きは、中国で生産されたビールに何か問題が発生したので
はなく、中国の幾つかのメディアの報道が原因だ。
 以前、あるメディアがある業界関係者の「生産量の割合で見ると、95%の中国
産ビールにはホルムアルデヒドが添加されている」という発言をニュースに出す
と、それが怒濤のように流れ、たちまち業界に強烈な反響を引き起こした。
 中国国内の大手ビール企業は表に立って誤報を打ち消し、自社のビールの醸造
過程ではホルムアルデヒドは添加されていないと述べた。
 市場においてもライバル関係にある青島と燕京は、この問題においてはくしく
も団結し、自社ではこのようなことをしていないと表明するだけではなく、ライ
バルもそのようにしていないと表明した。
 「ホルムアルデヒドのことは、2003年に既に騒動があったことだが、もう一度
騒動が起きるというのは全くわからないことだ」広州省ビール専業協会の郭営新
会長は記者に対して述べた。
 2003年、ビール企業は初めて「ホルムアルデヒド無添加」というキャッチフレ
ーズを打ち出し、台湾等で誤解を引き起こした。台湾は人を中国大陸に派遣して
ようやく了承し、中国国内のビール大企業は無毒のシリカゲルをホルムアルデヒ
ドのかわりに使用していた。
 この問題に対して、中国醸造酒工業協会ビール部会は、プレスリリースを発し
た。これによれば、「事実ではない報道は消費者にビールへのパニックを引き起
した。しかも、海外まで広がり、中国ビールの国際イメージに大きな影響を与え
た」としている。
〈裏で糸を引く人は?〉
 「最近またもや発生したホルムアルデヒド騒動、我々は幾つかの可能性を見出
せる。一つは、自社製品の販売を推し進めるために故意に行った。二つ目は、2003
年と同様、個別の販売状況がよくない企業が市場戦略として行った。三つ目は、
幾つかの国外のビールの中国市場の発展が芳しくないので、チャンスをつくって
人々を混乱させ、再び市場へ乗り込む」、7月14日に発表された声明で、燕京ビ
ールなどは再出現した「ホルムアルデヒド騒動」の原因をこのように分析した。
 2003年、深セン金威ビールは国内で初めて「ホルムアルデヒド無添加」という
キャッチフレーズを売り出し、業界内から「悪意の宣伝」との非難を受けた。金
威ビールの表現は、人々に国内のその他のビール企業すべてが醸造の過程でホル
ムアルデヒドを添加していると誤解されるに十分だった。
 しかし、今回、金威ビールは、今回の「ホルムアルデヒド騒動」は我々と関係
ないと早くも声明を発した。金威ビールが7月12日に発表した声明によると、金
威が「中国ビール業界で自社製品にホルムアルデヒドを添加しないで醸造してい
る会社であると初めて公に宣言したといえども、我々の会社はこのことで同業者
を攻撃する意図はない」「関連する報道は、金威ビール集団有限公司が発表した
ものではない」としている。
 「仮に金威でなくても、最も可能性があるのは、食品添加剤メーカーがこのチ
ャンスに自社の製品を売り込みたいのだ」国内のある有名なビールブランドの市
場関係者は記者にこのように述べた。
 「もし、国内のビール企業が安定剤を彼らの自社製品に変えたら、大きな市場
が生まれるはずだろう?」中国食品発行研究院の関係者はかつてそのように述べ
ていた。このようなわけのわからないことで、別の添加剤を買わなければならな
くなるかもしれないのだ。
 中国醸造酒工業協会ビール部会のプレスリリースによると、目下中国では依然
としてホルムアルデヒドを食品工業の加工補助剤として使用することが認められ
ているという。
 現在公開されているデータを見ると、ホルムアルデヒドの価格は1キログラム
当たり12元であるが、シリカゲルの価格は1キログラム当たり200件にも達する。
 ビール企業にとっては、シリカゲルでホルムアルデヒドを代替するということ
は、1万トン当たりのビールのコストが20万元以上上昇するということを意味す
る。総量が変わらない状況のもと、ビール企業の新たなコストは食品添加剤メー
カーにとってみれば新規の販売収入である。
 中国醸造酒工業協会ビール部会に言わせれば、目下、中国のビールの年間総生
産量は3000万トンに近い。言いかえれば、食品添加剤業界では毎年多くの販売収
入が増加するということである。
 「外資はこのチャンスをかりてカードを切るという見方は、私は聞いたことが
ない。現在多くの外資はとっくに戦略を変え、中国のビール企業に資本参加をし
て中国市場に進出している。このようにしても、外資にとって何のいいこともな
いだろう」
 前述の国内の有名ビールブランドの市場関係者はこう述べている。
〈ホルムアルデヒドの誤解を解く〉
 「ホルムアルデヒドは天然の食品中にも広範に存在している。消費者にとって
は、関心を持つべきは、ビール中のホルムアルデヒドの含有量が基準を超過して
いるかどうかという問題である」
 郭営新会長によると、2003年「ホルムアルデヒド騒動」が発生した後、関連部
門はかつて国内販売のビールに対して全面的なホルムアルデヒド含有量検査を行
っている。
 その結果、中国国産ビールと輸入ビールのホルムアルデヒドの含有量は明らか
な差が見られず、多くは0.3―0.4ppmの間だった。これは、国内の2.0ppmという
基準よりも低いというだけではなくて、WTOが認可している包装飲料水における
ホルムアルデヒド含有量の上限0.9ppmも下回っている。
 中国醸造酒工業協会ビール部会が発表したプレスリリースにも、国家食品質量
監督検験センターが近年検査した国産ブランドビールのホルムアルデヒドの平均
含有量は0.3ppm前後であり、ブランド間での差は小さいとある。
 また、香港食物環境衛生署のスポークスマンが目下表明したところによると、
香港食物環境衛生署が2002年―2004年にビールサンプル120本(中国大陸部のビ
ールも含む)を抽出検査し、防腐剤やホルムアルデヒドといった成分が含まれる
かどうか検査した結果、すべてのサンプルはすべて問題がなかったとしている。
 「今回の騒動が発生し、我々はまた多くの釈明をせざるを得なくなった。しか
し、最も問題を説明できるのは、権威あるデータだ」と郭営新会長は述べている。
 これに対して、青島ビールの関係者も、国家質量監督部門が表に立って国産ビ
ールのホルムアルデヒド含有量について検査を行い、誤解を解き、業界の正常な
秩序を維持保護することを希望すると表明している。
 記者が中国醸造酒協会ビール部会から得た情報によると、中国醸造酒協会は近
く、国家ビール質量検出権威部門に委託し、市場における国内外ビールに対して
ホルムアルデヒド含有量の検出を行い、検査結果を公表する。
〔中国経営報7月16日〕