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広東 構造変革の端緒

広東省は戸籍政策改革計画 広東外の人も不動産を購入すれば戸籍転入

 広東で購入あるいは合法的に建設した住宅の広東外の持ち主も、広東省の戸籍
に入れることになるかもしれない。
 現在、広東外の人が広東に来て不動産を買ったものの戸籍の転入が困難な状況
にあることについて、広東の公安庁は目下戸籍制度の調整改革を再度開始するよ
う努めていることを表明している。それによると、不動産購入と戸籍転入を統一
政策とし、広東で購入あるいは合法的に建設した住宅で、一定面積に達する持ち
主は戸籍転入できるようになる。
 広東省政協委員、清遠市政協副主席の李雨松氏は提案について次のように述べ
ている。
 広東の都市経済の発展に伴い、ここ数年来、広東で不動産購入をする広東外の
人がますます多くなり、このような状況で不動産購入者の戸籍転入問題とその矛
盾もまた際立ってあらわれてきている。
 しかし、現行の戸籍管理制度の中では不動産購入あるいは住宅の建設で戸籍転
入政策はなく(華僑が外貨で購入して戸籍転入する政策はある)、それによって
もたらされる問題は少なくない。
1) 不動産購入者の子息が単独で戸籍転入することが難しい。
2) 大部分の中古不動産の元所有者の戸籍転出がされていないことによって、新
規世帯の戸籍転入ができない。
3) 一つの不動産を幾人かで共同出資して購入しているところもあり、複数人の
戸籍を全部転入できない。
 このようなことによって、李雨松氏は政府の関連部門ができるだけ早く統一的
な政策規定を制定し、住宅購入と転入を規範化することを呼びかけている。
 李雨松氏の提案に対し、広東省公安庁が回答している。それによれば、2001年
末、広東省政府は「広東省公安庁 戸籍管理制度の一層の改革に関する意見の通
知」を提出し、その中では「中国住民がこれまで購入した分譲住宅、合法的に建
設した住宅、投資して事業を起こしたもの、公益事業に寄附したものは、本人及
びその直系親族が定住することを許可する」とされている。
 その後、戸籍改革によって、「通知」の関連規定も施行が延期になり、目下広
東省全体で統一的な不動産購入者の戸籍転入規定がない。
 そこで、目下広東省公安庁は戸籍制度改革を再び始めようとしているところで
あり、まだ省政府の審査許可を待っている状況であるという。
 改革の重要な内容の一つは、以下の広東省の分譲住宅や合法的に建設した住宅
の戸籍転入政策の統一である。
1) 広東で購入または合法的に建設した住宅で、一定面積に達する持ち主は戸籍
転入できる。
2) 戸籍転入を申請する分譲住宅や建築住宅は合法に審査許可を受けて建設され
た建築物で、店舗、工場、倉庫あるいはその他非居住用途を含まない不動産であ
ること。
3) 分譲住宅は不動産所有者本人と直系親族が定住するためのものであることに
限り許可される。
4) 譲渡された後の分譲住宅は元世帯戸籍がすべて転出した後になって新規に戸
籍転入が許される。
〔信息時報9月10日〕

庁レベルの県委員会書記の出現が可能 広東省の県域経済権限移譲

 財政権、行政権の地方移譲に伴い、広東省県レベルの権限拡大改革の最後の一
つである、公務員の行政レベル別に職位を分ける改革も始まろうとしている。
 「あの会議には、広東省全体の県委員会書記が出席していました。席上、省委
員会の張徳江書記が、広東で県域経済改革のテストがふえると言っていました。
これは、私たちのような県レベル指導者が基層部の仕事を安心してできるように
するためだそうです。行政レベル別に職務は分けられ、広東は将来的には副庁レ
ベルの県委員会書記や、さらには正庁レベルや副部レベルの県委員会書記があら
われるようになると言っていました」
 8月16日の午後、広東の山地にある小さな県、掲西県委員会の事務室から見る
空は、まだ午後4時だというのに台風のため真っ暗だった。県委員会の黄隴章書
記による2年前の会議の様子は、「第一財経報」の記者である私には大変興味深
いものだった。
 黄隴章書記は笑いながら「この話を聞いたとき、私たち県委員会の書記は、初
めはどっと笑い、それから喜んで拍手しました。その拍手はいつまでも鳴りやみ
ませんでした」
〈県域経済は広東省の目安〉
 「県域経済は1つの県だけの問題ではありません。広東省全体の発展に大きく
関係している問題です。県域経済の広東の発展への影響は、沿海部の発達してい
る省ほどではないけれども、決して現状に満足して前進を怠ってはならないので
す」
 2003年7月に行われた広東省の黄華華省長のスピーチは、広東県域経済の相対
的なおくれを反映しているだけではなく、広東省政府の改革推進への態度も表明
している。
 県域経済のおくれは広東経済のさらなる発展への制約となっている。広東の人
材と資金は珠江デルタ地域に流れ込んでいる。2003年の政府発表では、珠江デル
タ地域の1人当たりのGDPは珠江デルタ地域外の3倍近くにもなっている。
 県域経済は広東省経済全体に対する制約に直面していることから、広東省は2002
年の下半期から、省委員会政策研究室、省政府発展研究センター、省発展改革委
員会をリーダーとして、一連の調査研究活動を展開している。
 8月15日、広東省政府発展研究センターの王利文副主任は取材に対して、県域
の権限拡大改革の背景と最新の進展状況を語っている。「第十六回代表大会の報
告で、初めて県域経済という概念があらわれました。しかし、それは「県地域経
済強化」というたった6文字だけであり、これがどう解釈されていくのかが重要
なのです」
 広東省委員会、省政府の指導者は異なる場所でどちらも県域経済発展の重要性
を強調している。「張徳江書記は第十六回代表大会の報告の起草人の1人で、県
域経済の重要性について、「小川に水があふれなければ、大河があふれることも
ない」という比喩をよく引用して説明しています。
 個人的には、張徳江書記が浙江で働いたことがあるという経歴と関係があるか
もしれないと思っています。張徳江書記が民政部の仕事をしていたとき、広東の
清遠を視察したことがあり、珠江デルタの発達とその数十キロ先にある中山間部
の県の貧困との激しい対比について、それから長い間たってもよく話題にしてい
るからです」
 一連の調査研究の終了後の2004年初め、広東省委員会、省政府は正式に県域経
済の全体発展目標を発表した。県域のGDP増加率と1人当たり平均年間GDP増加率
はどちらも約10%、地方財政の一般予算収入は年平均約11.5%に増大した。目標に
従って、2004年5月21日、広東省政府と広東省委員会は正式に県域経済の発展を
加速させることを決定した。
 「省では確かに多くの権限拡大措置が始まっています。そして、まずまずの成
果を得ています」と黄隴章書記は考えている。
 広東省統計局が今年の8月9日に発表したデータでは、2004年の広東省全体67県
市のGDPは4192.83億元で、2003年に比べ11.4%増加している。これは2004年初め
に省が出した目標である1.4%を上回っており、約5年間で平均9.4%の増加速度と
いう目標以上の数値である。
 「広東の県の権限拡大強化は今が最も肝心な時期で、三大政策のうち、既に2
つの政策が発表され、著しい成績を上げています。3つ目政策である関連行政レ
ベル別に職位を分ける改革は今積極的に下準備をしているところです」「行政権、
財政権の重心を基底組織に移譲します」
 「省ではこの決定を実行するため、当時大きく3つの政策を計画していました。
その1つが行政権の移譲、2つめが財政権の移譲でした」と王利文副主任は言う。
 実際は、発表以前の2004年1月1日から財政権の移譲措置は実施されている。
 これは「県域経済の財政性措置の促進意見」という政策で、その基本思想は、
2004年から、省財政が県財政に対して、既得利益の確保、収入増加の促進、先進
を奨励し、後進を罰するという原則に基づいて、「基数の確定、増加分の分割、
コネに対する賞罰、先進の激励」で「3つの減少しない、3つの確定、3つの奨
励」という財政奨励メカニズムをつくり、4年間は変更はしないというものだ。
 具体的な措置としては、まず各県の既得利益を確保し、以前の移転支払基数を
減らさず、資金運用の特定項目補助を減らさず、省のまとまった増額予算の資金
調達を減らさない。これを基本として、省は県に対して増加分を分割し、移転支
払額も以前に比べ明らかに増大させている。
 行政権移譲に関する政策は、2005年6月23日に発表されている。
 この日、広東省政府は政府公告で、「広東省第1次 県レベル政府の管理権限
拡大事項目録」を公表し、責任と権限の統一、調和のとれた運営、「移譲できる
ものはすべて移譲する」という原則に基づいて、県市にさらに大きな自主権と決
定権を与える。一般に省は地レベル市に既に審査許可権を移譲しており、法律、
法規、規則などで別に決まりがある以外は、すべて県市に移譲している。
 今回の県レベルの政府管理権限拡大は、主に市場参入許可、企業投資、外国企
業投資、資金分配と管理、優遇税制、個人技術資格認定、一部ソーシャルマネジ
メント等で、全部で214項目である。
 「この措置は県の責任者にさらに大きな権力を与えることになり、県域経済を
発展させるには、必ず責任と権利と利益を結びつけ、それが相反してはならない
のです」と王利文副主任は釈明している。
〈地レベル市は名ばかりのものになってしまうのか?〉
 大なたを振るった権限移譲改革に、疑問が生まれている。地レベル市という機
能は名ばかりのものになってしまうのだろうか?。もともと自分の管轄範囲内の
資源だったのに現在は直接省が管理していることに反感が生じているのではない
か?
 このことについて、王利文副主任は次のように述べている。
 「まず、私たちが明確にしなければならないのは、省が県を管理することは地
レベル市が要らないということではありません。前段階の市管轄区の調整を通じ
て、県市にさらに大きな発展空間をつくり、そしてさらに、安心して自身の都市
建設がきちんとできるということです。
 その次に、中国数千年の歴史の変遷から見ても、最も安定した行政制度は県で、
これが地理学・経済学おいても最も適合する行政単位だと説明することができま
す。中国では1980年代以前は地レベル市の制度はなく、省レベル機関の派遣した
地委員会が各県の管理に責任を負っていました。これは省レベルの機構からの1
つの出先機関にすぎず、人員は非常に簡素でした。しかし、地レベル市に変わっ
た後は完全な1つの機構をつくり直したこととなり、人為的に行政のコストを増
大させることになりました」
 「汕尾を例にすると、もともとは4つの県であったものが一晩で地レベル市に
変わり、鎮政府から看板をもらったというような都市化プロセスであり、客観的
な法則に沿っていないと言えます。現に、新たにつくられた市は負債が多いで
す」
 これについて、黄隴章書記は全く同感だという。「省での会議は、普通は市、
県の双方に通知し、それぞれから人が派遣されて話を聞きます。帰った後に、ま
た市で同じ伝達を聞かなければなりません。こういったことにほとんど時間が使
われているのです」
 「すべての地レベルの市指導者は、今は省が県を管理する傾向にあることはわ
かっています。これは、広東の改革を深める重要な内容であるというだけではな
くて、全国範囲での施策です。
 同時にこのテストが行われるのは、浙江、湖北、福建、河南などの6つの省で、
思想的には皆全く異議はありません。そして、省が県を管理するのは地レベル市
にとって全く不利益なのではなく、地レベル市の財力は有限なので、通常は直轄
の県とセットでの建設資金となり、やりたいが力不足だという状況がよく見られ
ます。
 今、市が行政権と財政権を移譲し、省から直接県へ交付税が支払われることに
より、市に財力発展した都市が集中することになり、地域の主要な財政収入が市
に来る」と王利文副主任は考えている。
 潮汕地域のある県委員会の書記も王利文副主任の意見に賛成している。
 「権限を移譲するため、省では多くの会議(市に仕事をしに来る)をしているの
で、確かに市からの干渉は少ないです。今はすべて直接省と交渉しています。
 以前は、県の特定項目資金は省から支払われていました。まず市に支給され、
その後私たちに支給されていました。市が資金不足のときは、県でぐるぐる回っ
てから、ようやく私たちに支払われていました。現在は省から直接私たちの県に
支給されるようになり、こういった面倒がなくなるわけです」
〈初の庁レベル県知事はだれか〉
 広東省政府の発展研究センターは「省による県の管轄」という財政体制改革案
を論証した。県域経済が比較的発達している浙江省を視察し、2005年に視察報告
が完成している。
 報告では「省による県の管轄」には以下のような利点があるという。
1) 地レベル市という中間層のレベルがなくなり、「市が県からかすめ取る」と
いう現象が減ることになる。一般に市レベルの機関で1万人の公務員がいれば、1
年の財政での支出は1億元以上である。「省による県の管轄」の実行後は、市の
財政負担を県へと転嫁することはできなくなる。
2) 以前はほとんどの地レベル市が県レベルの経済発展の資金で地レベル市を運
営し、政治的業績を挙げていた。今後、省資金が直接支給されるようになると、
この種類の現象を根絶できるようになる。
3) 県を強化し、省を富ますことができる。地域のアンバランスな発展は減少し、
調和がとれた社会をつくり上げることができる。
4) 県レベルの党と政府の幹部の積極性に刺激を与えることになる。
 「私も基底組織で頑張っていこうと思っています。しかし、「省による県の管
轄」という第3の政策、つまり幹部の行政レベル別に職位を分ける改革が一日も
早く始まらないかと願っています」とある広東北部地域の県委員会書記は取材に
答えた。
 「私はここの書記になる前は、市内で働いていました。月収は3500元で経済的
にゆとりがありました。今はここの最高責任者で責任は大きくなっていますが、
収入はひどいもので職務手当はたったの1450元です。私の前任者は省のある交通
部門に異動になって月収は7000元になりました。このような状況ですから、みん
な市に行きたがっています。
 省の幹部はここに来ることはありますが、双方向の交流ではありません。私た
ち基底組織の幹部も上級部門に行くことができるようになるんでしょうか?」
 「現在、幹部の行政レベル別に職位を分ける改革も行われています。
 構想では、幹部の行政レベル別に職務を分けることになります。つまり、勤務
年数と業績さえ問題なければ、庁レベルの県知事という可能性もあり、県委員会
の書記も処レベルに限定するわけではないということです。
 同時に、給料制度についても改革が行われます。幹部の主要な収入は必ず所属
する行政レベルから支給され、職務内容によるものではなくなります。県指導者
たちが、誠心誠意本職の仕事をしっかりと行うことができるようになります」と
王利文副主任は言う。
 しかし、先ほどの広東北部の県委員会の書記は、王利文副主任のように楽観的
ではない。
 「権限を移譲したとしても、実際に私が責任は依然として市の指導者が持ち、
私の出世も依然として市委員会の決定です。省委員会の組織部は記録するだけで
す。1日も早く私たちの広東に庁レベルの県知事が出現することを待ち望んでい
ます」
〔第一財経報8月19日〕