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貧困脱出と貧困扶助対策

中国疾病経済負担1.2兆元 貧困層の負担深刻

 5日の中国EU持続可能な発展フォーラムにおいて、中国衛生部の王隴副部長は、
2003年中国疾病経済負担は1.2兆元に達し、増加速度はGDPよりも高く、国民健康
と経済の持続可能な発展は重要だがその道は遠いと表明した。
 王隴副部長によると、中国国民の健康は二重の疾病負担に直面している。一つ
は伝染病で、エイズ、SARS、結核、B型肝炎等である。もう一つは慢性疾病で、
循環器系疾病、ガン、糖尿病等である。
 また、中国の疾病経済の負担はますます増加している。1993年、中国の疾病経
済負担は3208億元で、GDPに占める割合は9.3%であった。2003年、疾病経済負担
は1.2兆元に達し、GDPに占める割合は10.3%であった。疾病経済負担の増加はGDP
の増加より高くなった。
 王隴副部長は、関連部門は速やかに都市住民の基本医療保険と医療救助制度を
構築し、住民の疾病リスク防止能力を高めることを表明した。
 また、政府は基本医療サービスの資金手当てと配分の責任を持っており、特に
貧困者や弱者の疾病負担を減らし、社会共助とリスク負担を実現する。
 このほか、コミュニティー衛生サービスを発展させ、農村衛生サービス能力を
強め、小都市に専門の衛生管理メカニズムあるいは人員を配置する。
〔新京報9月6日〕

貧困扶助投入が貧困脱出に結びつかない要因

 国連が「2005年人間発展報告」を発表した。
 国連駐華コーディネーター代表、国連開発計画駐華代表のマリック氏は、過去
15年間中国の人間開発指数は20位上昇して85位になったとしても、「中国の貧困
減少の速度は明らかに緩慢になっており、1990年から2001年までの間で90%以上
の貧困減少は1996年以前になされたものである」と述べた。
 また、ここ10年来中国は10%の貧困減少すら到達できていない。それと同時に、
近日発表される「アジア2005年関連指標」にも、2003年のアジアは6億人以上の
極貧人口がおり、93%はインド、中国、南アジアに分布しており、そのうち1.73
億は中国にいると指摘されている。
 2つの国際機関の中国の貧困人口と貧困扶助効果の評価について、私は比較的
客観的だと考えている。
 昨年、国家貧困扶助事務室が明らかにしたところによると、2003年、中国にお
いて温飽が実現されていない貧困人口は80万人増加した。
 では、何が原因で中国の貧困減少の速度が緩慢になったのか、また、どうして
このような貧困人口の支援がますます多くなる現象が見られるのだろうか。
 私が思うことは、まず初めに、貧困人口の構造が変化したことに関係があるの
ではないか。
 「八七扶貧攻堅計画」等の長年の貧困扶助努力によって、中国の大部分の貧困
人口は基本的に温飽問題を解決した。貧困を脱出できないでいるのは、主に伝統
的な貧困救済制度である「五保」世帯、すなわち労働能力がない障害者、慢性病
患者等、及び自然や外部環境が人類の居住に適していないところにいる人たちで
ある。
 この貧困扶助は厄介な部分である。この人たちは現行の開発型の貧困扶助方式
を引き続き援用して融資提供をしても、その効果は大きくない。それゆえ、輸血
方式、つまり救済型貧困扶助を行い、直接資金を貧困人口に与えて支援を行うし
かない。
 しかし、社会発展コストの高さによって、貧困扶助も波及効果は逓減している。
 試算によると、第九次五カ年計画期間において、一人の貧困脱出のために中央
が投入する貧困扶助資金は――財政貧困扶助資金とローン貧困扶助資金を含めて
大体2800億円強であるが、2002年では、これに相当する資金は既に1万5000元強
に達しており、過去の5倍強になった。
 言いかえれば、同じ資金を投入して、過去は5人の貧困人口を支援できたが、
現在は1人しか支援できない。貧困扶助波及コストの上昇で貧困減少が大幅にお
くれたことは間違いなく疑いの余地もない。
 それから、貧困扶助資金の横領と流用、悪質な腐敗問題が、貧困扶助効果を見
えにくいものとさせている。
 昨年の会計検査署が会計検査した21省国家貧困扶助開発活動重点県への貧困扶
助資金592件では、財政貧困扶助資金を横領して流用している問題が比較的目立
っている。そのうち、4.28億元は予算調整等のために使い、1.5億元は乗用車購
入及び行政軽費の補助等のために使うものだった。
 そのほかの問題としては、貧困扶助として利子補給の貸し付けをするのは不合
理で、交通、工業、電力、通信などのインフラ性及び競争性のある産業に主に投
入されているが、農家の小口ローンへの投入は年々縮小している。つまり、これ
は全然貧困扶助資金の役割を果たしていないと言える。
 上述の原因のほか、中国貧困扶助効果の逓減はもう一つの特殊要因がある。そ
れは一連の制度設計の不公平さである。
 我々が見る限り、1990年代中期以降において、教育の産業化、医療の市場化の
推進に伴い、学費がますます高くなり、医療費もますます高くなった。それは、
現在の貧困層の負担が加重になっただけでなく、彼らの貧困脱出を阻害しており、
低収入層が貧困層に脱落してしまうかもしれない。
 これが、ここ数年来、教育が原因で貧困に戻ったり、病気が原因で貧困に戻る
人口が多いことのよい説明となるだろう。
 国連の上述の報告にも指摘されていることだが、公費医療システムを廃止した
後、中国の70―80%の農村家庭には医療保険がなく、システムの喪失はいたずら
に乳児死亡を向上させている。そして、まさにここ10年間、中国の貧困現象の進
捗は突然緩慢になった。この両者は偶然の一致ではなく、深く関係している。
 貧困扶助は貧困扶助弁の任務だけではない。根本的に貧困を取り除きたいと考
えるのであれば、貧困扶助を社会発展の全体計画の中に入れ考慮すべき問題であ
る。もし制度設計において不公平が生じているのであれば、貧困人口は経済の急
速な発展の中で利益を受けることはないだろう。
〔中国青年報9月13日〕