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中国内外の資源配置バランス

1-8月石炭輸入5割増

 中国物流情報センター公表した最新統計データによると、今年1-8月、中国累
計石炭輸入量は1670万トンで、前年同期より54.7%増大した。また、1-8月の累
計石炭輸出量は4830万トンで、前年同期より17.5%減少した。
 中国の石炭輸入は依然として急速な成長を維持し、8月は176万トンの石炭を輸
入して、前年同期より50.4%増大した。8月の石炭輸出量は593万トンで、前年同
期より7.5%減少し、引き続き輸出減少状態となっている。
 中国の石炭資源は安定した成長状態を引き続き維持している。
 1―8月は累計で11万6160万トンと、同時期と比べて10.4%増加した。全国の石
炭市場の供給と需要は基本的なバランスをとれていて、石炭市場の需要増加速度
は引き続き緩和傾向にあり、市場価格は依然として高い水準から回帰傾向にある。
 中国物流情報センターの統計によると、8月全国流通段階での原炭価格指数は7
月より1.6ポイント下がった。前年同期より8.2ポイント高く、今年初めより0.87
ポイント下がった。
 関係専門家の分析では、8月に中国石炭市場は全体的にここ数カ月の発展傾向
を維持して、需要が比較的緩和し、同時に運送関係は比較的安定して、価格は一
層下落傾向にある。
 現在、夏季の石炭、電力使用ピーク期はほぼ終わり、石炭市場は冬季石炭使用
ピーク期に入る前の調整段階に入っている。
 専門家は、近ごろ国際石炭市場価格も低下しつつあることを考えれば、中国の
石炭市場価格にも必ず影響があり、これからしばらくの間石炭の市場価格はまだ
小幅に下がると予想している。
 しかし、国内の石炭需要は依然として力強く、また昨今の中央政府の不法な炭
鉱に対する締めつけが増大しており、ある程度国内石炭の供給量に影響するが、
石炭価格が急激な動きがないと指摘している。〔中国新聞網10月3日〕

内蒙古を国家エネルギー戦略基地にする

 「内蒙古は今後中国で最も重要なエネルギー戦略基地となり得る十分な条件を
満たしている」
 9月26日、フフホトで開催された「内蒙古自治区エネルギー発展戦略」の初め
ての審議会において、内蒙古自治区の烏蘭副主席は、内蒙古のエネルギー経済発
展戦略の全体構想を発表した。
 烏蘭副主席は、この報告が国家のマクロ政策の意思決定の際に注目を引き、内
蒙古のエネルギー戦略性を再認識させ、内蒙古が中国エネルギー戦略の最重要基
地に確定されることを望んでいる。
 「内蒙古自治区のエネルギー発展戦略」報告(以下「報告」)は、アジア開発
銀行の内蒙古援助研究プロジェクトによるもので、エネルギー基地の設計、エネ
ルギー産業の分布、関連産業群の発展、地域協力、生態との調和などの5つにつ
いて専門的に研究されている。
 内蒙古を発展させ、国家エネルギー戦略基地とすることの実行可能性について
の論証が核心的な内容である。
 この日、国家発展改革委員会エネルギー研究所、中国科学院地理学科学資源研
究所の専門家、内蒙古の地方役人、学者が参加し、ともにこの構想をめぐって激
しい討論が展開された。
〈内蒙古のエネルギー総合的実力は全国トップ〉
 「ロケーション、エネルギーの種類、資源埋蔵量、開発条件、輸送コストなど
の要素による総合評価では、内蒙古のエネルギー価値と開発意義は全国各省の中
でトップです」と烏蘭副主席は言う。
 2003年から全国的な石炭不足が始まり、20数省が相前後して電気使用量を制限
して以来、豊富な資源条件をもとに、内蒙古がいかにして経済的な優位性を持つ
かということを考えてきた。
 「エネルギー総合的実力では内蒙古が絶対的に全国1位です」大勢の専門家の
前で、内蒙古党委員会の政策研究室の張太平副主任ははっきりと言った。
 内蒙古関連から提供されたデータによると、2004年末までの内蒙古の石炭資源
は、確認されている埋蔵量だけで既に2200数億トンを上回っており、埋蔵量の総
数は1.2万億トンにまで達すると見られており、新疆に次いで全国で2番目である。
 しかし、新疆の石炭は市場までかなり遠いため、運送コストの面で採掘の合理
性に欠けている。一方、内蒙古は華北や東北に近いため、供給が容易というだけ
ではなく、さらに圧倒的多数の炭鉱が川に隣接している地域に分布しており、大
型か超大型の坑道口があり、発電所にとっても良好な条件を備えている。
 内蒙古の2004年の石炭生産高は2億トン以上で、山西省に次いでやはり全国2番
目である。
 内蒙古の石油、ガス資源も軽視してはならない。
 ハイラル油田では6億数トンの埋蔵量が探査されており、国家から大慶油田の
予備基地と指定され、大規模な採掘が始まっている。二連油田は華北油田の一部
として既に100万トンの年の生産能力がある。
 内蒙古内の天然ガス埋蔵量も1万億立方メートル以上が探査されており、オル
ドス盆地の天然ガスは既に北京、天津、石家荘などの華北14の大中都市に供給さ
れている。
 現在中国は深刻なエネルギー不足という問題を抱えており、エネルギー問題は
国家安全戦略上で重視されてきているため、内蒙古はこの状況を利用し、チャン
スを逃がさずエネルギー戦略をスタートさせたのである。
 現在、内蒙古では1000数万キロワットの電力装置を建設しており、電力装置が
8000万キロワット以上の建設も予定されている。そのうち、オルドス市だけで2010
年までに工事の計画が始められるプロジェクトが26あり、総容量は4548万キロ
ワットである。
 内蒙古自治区の計画では、2010年までに内蒙古は石炭の年間生産量が5億トン
に達するだけではなく、山西にかわって全国最大の石炭生産基地となり、中国最
大の電力生産基地になるという。
 「エネルギーの戦略基地とは、一に国家のエネルギー構成において一定の数量
を供給すること、二に持続的に採掘でき、国家の長期発展を支えることにありま
す。内蒙古はエネルギー省としての優位性があります」
 プロジェクトの専門家グループのグループリーダーで、国家発展改革委員会の
エネルギー研究所の韓文科副所長は、国家エネルギー基地を内蒙古に建設するこ
とに対して、基本的に肯定的な態度を示している。
 韓副所長によると、国家の「第11次五カ年計画」エネルギー計画では、14カ所
の石炭生産基地が挙げられており、内蒙古東部、内蒙古西部もその中に入ってい
る。
〈内蒙古東部、内蒙古西部の地域協力〉
 「化学工業、設備製造、冶金、農畜産品の加工、ハイテク産業などの六大内蒙
古支柱産業の中で、エネルギーは第1位で、内蒙古の初期条件で保障された産業
です」と張太平副主任は言う。
 内蒙古の産業計画は十分なエネルギー供給の上につくられている。例えば冶金、
機械などはすべて高エネルギー消費産業である。
 内蒙古自治区の計画では、2010年までは、自治区内で年間生産される石炭のう
ち半分を自治区外へ輸送し、残りの半分は自治区内で使用することになっている。
自治区の電力の半分を外へ送っても、残りの半分で自治区内のエネルギーの需要
を満たすことができる。
 国家エネルギー基地建設にとって一つの重要な指標は大規模なエネルギー供給
にあり、一つの地域または数カ所にも及ぶ地域のエネルギー需要を供給すること
である。
 この点では、内蒙古は東北、西北、華北に隣接し、8省区にエネルギーを供給
するには大変便利である。
 東北の旧工業基地と華北、北京、天津、河北は、内蒙古のエネルギー供給先と
して一番に選択されるだろう。2003年、内蒙古では1万4706万トンの石炭が生産
され、7090万トンを外部に供給している。主な供給先は、北京、天津、河北の東
北3省で、全量の約90%を供給している。
 「現在、遼寧省で使用されている石炭はほぼすべて内蒙古に依存しており、黒
龍江省と吉林省もかなりを内蒙古に依存しています。また、北京市全域にある4
つの街灯うち1つは内蒙古のおかげで輝いているのです」プロジェクトの副主任
で内蒙古党委員会政治研究室の段連敖副主任は言う。
 「報告」では、内蒙古周辺の東部3省である北京、天津、河北地域は基本的に
エネルギー不足状態であると認識されている。
 石炭供給においては、黒龍江、山西、陝西の以外の内蒙古に隣接しているすべ
ての省はほとんどエネルギー不足の状態にある。さらに、吉林、遼寧、河北、天
津では2500万トンの石炭が不足している。
 電力供給においては、北京の電力不足は250億キロワット時以上で、黒龍江、
吉林、遼寧、河北の電力不足は10キロワット時以上である。
 サービス空間においては、内蒙古は最も近いエネルギー供給地点である。
 外部輸送市場においては、東北、華北、西北は内蒙古の石炭が主に販売されて
いる市場である。特に東北では絶対的な市場の優位性を占有しており、石炭の57%
を占めている。華北は基本的には石炭は依然として山西を主としており内蒙古の
石炭は9%にしかすぎないが、この割合は年々増加している。
 周辺とのエネルギー協力においては、「報告」では、位置づけ、資源量、協力
方向によって内蒙古を内蒙古西部と内蒙古東部の二大地域に分けており、それぞ
れ協力の重点とモデルを模索している。
 内蒙古東部と東北とのエネルギー協力は既に大まかな形はできており、短期的
には東北を中心として、華北にも考慮して、主に石炭資源の輸送と少量の電力輸
送を行っている。長期的には、石炭の加工プロジェクトを展開し、東北に工業製
品と原料を提供する。
 内蒙古西部とのエネルギー協力は石炭、電力、天然ガスの開発と運送に重点を
置いている。短期的には華北、西北を中心として、長期的には東南部の沿海諸省
へのエネルギー輸送を増加させ、全国を視野に置いている。状況によっては、石
炭化学工業などの関連産業を適切に発展させる。
〈エネルギー開発の内蒙古モデル〉
 内蒙古エネルギーの最大の制約は交通である。「報告」では、現時点では、鉄
道による輸送は石炭輸送量の36%にしかすぎず、道路の交通渋滞は非常に深刻で、
新しい道路と電力ネットワークの建設計画は、エネルギー工業の発展需要に全く
適応できていないと指摘している。
 段連敖副主任はこのような運送力不足の状況について、「丹東―ラサの国道110
号は内蒙古内ではいつも渋滞しており、ときには渋滞し出すと1週間渋滞が続く
のです。渋滞しているのはほとんどが積載重量が70、80トンの石炭を積載してい
るトラックです」と言う。
 このため、「報告」では、内蒙古のエネルギーの輸送路として新しい道路計画
が出されており、大同―ジュンガル、包頭―蘭州、北京―包頭、ハルビン―満州
里、大同―秦皇島港、通遼―霍林河のなど通路は拡張工事や改造工事が必要であ
るとされている。
 さらに、石炭輸送路のための新しい道路を7つつくることが必要であり、それ
にはフフホト―ジュンガル鉄道、桑根達来―張家口鉄道、東勝―烏海鉄路などが
含まれており、内蒙古石炭の輸出や南下のための輸送条件をつくり出すことにし
ている。
 国家エネルギー管理体制の制約と内蒙古のエネルギー構造の矛盾は内蒙古人の
目下の大きな心配事である。内蒙古西部のエネルギー供給不足は、一部企業が仕
事を中断して電気の供給を待っている状況である。
 例えば、烏海は内蒙古西部の資源型都市であるが、数年前の石炭不足のとき、
炭鉱従業員の生活は苦しくなり、自治区は実情を考慮して、烏海に発電所建設計
画を立て、結果的に関連部門が閉塞してしまったということがあると段連敖副主
任は説明している。
 「国家の内蒙古に対する環境容量は余りに小さくて、地方エネルギー開発の勢
いは余りにも強烈で、一部プロジェクトは国家基準に達しないようになってしま
い、仕方なく放棄しているのです」内蒙古環境科学研究院の張樹礼副院長は言う。
 「最近、内蒙古の幾つかプロジェクトが中止され、ある程度の投入が浪費とな
り、企業主の不安と社会不安定さを招きました」
 段連敖副主任は国家の環境容量指標の割り当てに際する不合理さを率直に指摘
している。「内蒙古の面積は118万平方キロメートルで、中部6省の総面積は113
平方キロメートルです。しかし、内蒙古に対する汚染物質排出の指標は中部のど
の省よりも低いのです」
 内蒙古は今でも統一された電力ネットワークがなく、関連方面では大きな心配
となっている。
 内蒙古自治区社会科学院の潘照東首席研究員は、「内蒙古の電力は安価で電力
ネットワークに提供しているのに、使用するときには高値となっているのです。
こういった不合理な体制下では費用対効果は逆転しており、まるで命を賭けて血
を抜いたのに、他人に輸血して太らせているだけです」という。
 潘首席研究員は、自治区外の企業が内蒙古にやって来てエネルギー資源を開発
するときには、すべて現地で登記を行い、30%―40%を基準として地方に内部留保
して、自治区自体の発展ニーズを満たすと同時に、国家の長期建設を支援するこ
とを提案している。
 さらに、環境と資源補償の問題については、「報告」は相応する補償基準の提
出を求めることを提案している。
 上述の問題に対して、国家発展改革委員会のエネルギー研究所の呉鍾瑚氏は、
「内蒙古が国家のエネルギー基地になりたくても、国家の政策上の支持はありま
せんから、間違いなくだめでしょう」と言う。
 内蒙古方面も、ここに至って国家の関連部門と話し合いを始めている。「長い
間、内蒙古はずっと国家エネルギーの発展戦略の協調に関する全体的計画に入っ
ていませんでした」
 烏蘭副主席はこの「内蒙古自治区のエネルギー発展戦略」によって合理的な政
策とメカニズムがつくられ、以前の粗放型の開発とは別のエネルギー開発のスタ
イルを開発されることを望んでいる。これがまさしく「内蒙古自治区のエネルギ
ーの発展戦略」の主要な研究方向である。
 この報告は発表されたばかりだが、最終的な意見ではない。しかし韓文科副所
長は、発展改革委員会エネルギー処が適切な時期に国務院エネルギー指導者グル
ープに報告し、高投資、高利益、高環境保護のエネルギー開発である内蒙古モデ
ルを見出してもらうことを望んでいる。
〔21世紀経済報道9月28日〕