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労働力の搾取と劣悪な労働環境

労働法全国執行状況調査は広東、浙江で 四方面から再調査

 全国人民代表常務委員会法律執行状況調査チームは10月から「労働法」の執行
状況を調査する予定。
 16日、全国人民代表の政府ホームページで発表した情報には、「これは、全国
人民代表常務委員会の1996年に次いで第2回目の「労働法」執行状況調査であ
る」としている。
 今回の法律執行状況調査は、重点的に次の4つの面で調査を行う。
 調査チームは重点地域、重点企業を選び、中心的に調査を行う予定。
1) 労働契約の締結及び執行状況
2) 最低賃金保障制度の実施、改善状況
3) 従業員賃金の支払い遅延、未払いの解決状況
4) 企業従業員の合法的な権利保障状況
 北京市労働調査部門の最新統計データによると、今年1月―8月に、「労働法」
と「労働保障法」違反行為を理由に2回または2回以上取り締まられた企業は計700
社以上に上り、調査された違法企業総数の10%を占めた。
 何回も指摘されたにもかかわらず改めない企業は、主に製造業、卸売小売業、
レストランに集中しており、総数の約70%以上を占めている。
 会議では、「法律執行状況調査チームが近日、北京、上海、広東、浙江、福建、
湖南、重慶等の地域に調査を行い、9省・自治区・直轄市の人民代表常務委員会
に委託して現地の「労働法」執行状況を調査してもらう」ということが明らかに
なった。〔第一財経日報10月17日〕

「搾取工場」調査 労働者にサービス残業や低賃金を強制 上

 中国は世界最大の玩具生産国で、各種の玩具生産企業と玩具輸出企業は6500数
社に約1300万人の従業員がいる。2004年の中国玩具輸出総額は150.9億ドルに達
している。
 広東省は中国でも最も重要な玩具の生産輸出基地で、現在玩具企業が4500数社
ある。米国、ヨーロッパ、日本が玩具輸出の輸出先として90%を占めている。
 そのうちアメリカが輸出総量の60%以上を占めている。なお、アメリカ国内市
場の80%以上の玩具に「Made in China」のタグが印刷されている。
〈玩具はどのようにつくられているのか?〉
 2005年の1月から4月まで、広東省東莞市の11社の玩具製造工場で無作為に調査
を行い、さらに8月にもう一度追跡調査をした。調査を行った工場は、東莞凱竜
玩具厰、捷領玩具厰、雅田玩具製品厰、東旭玩具厰、溢勝玩具厰、国聯塑料製品
有限公司、威旺塑膠玩具厰、竜華玩具厰、順達玩具厰、龍昌玩具厰、領先玩具厰
である。
 これらの工場の大部分が香港資本による企業で、取引先は主にアメリカの大規
模玩具販売店と小売商で、ウォルマート、ハスブロ(Hasbro)、マテル(Mattel)ファストフードチェーン店のマクドナルド、ケンタッキーなどである。
 2度の調査で200名近くの労働者を取材し、広範囲で労働者の給与明細表、タイ
ムカードなどの記録を集めた。この11社の工場を手がかりにして、広東省の玩具
製造業の一般的な労動条件を展望する。
 1社が生産オフシーズンに中国労動法を守っていただけで、残りの10社の工場
では、労動法に違反した行為が行われていたことが調査でわかっている。
 例を挙げると、中国労動法では勤務時間については、労働者1日当たりの勤務
時間は8時間以下で、1週間では40時間以下でなければならない。必要な際は残業
することができるが、1日に3時間以下で、1カ月では36時間以下でなければなら
ない。労動法では毎週1日以上を休日とすることを定めている。
 このように法は整備されているが、調査を行った11工場中では1社だけがオフ
シーズンに基本的に労動法の勤務時間を遵守していただけであった。他の工場の
労働者は実質的な毎日の勤務時間はどの工場も11時間以上で、その中の7工場は
かなりひどい状態で、毎日14.5時間も働いている。
 それから、半数以上の工場労働者は毎週7日間働いており、残りの工場でも週6
日間労働で1日の休みか、月に2日の休みである。このように、多くの労働者は毎
週80―90時間労働であり、最盛期や工場が生産を急いでいるときの労働時間はさ
らに長くなる。
 給料待遇では、大多数の玩具工場では時給計算で、一定の生産ノルマが定めら
れており、労働者は規定時間内にノルマを達成しなければならない。時給計算に
よって実際にはかなりの程度を労働者に強制している。
 東莞の最低月給は574元で、法に定められた方法で計算すると時間給は3.43元
になる。
 それから、労動法第44条の規定では、勤務日に残業する際は残業分の給料は通
常の給料の1.5倍以上でなければならない。また、休みの日の残業は代休で補う
ことはできないとされ、正常な給料の2倍以上が支払われるとし、法定祝日は3倍
以上としている。
 しかし、調査した10工場の給料は、東莞の最低賃金水準より低く、法律によっ
て定められているような残業代も支払われていない。
 凱龍玩具工場を例に挙げると、この工場の標準時給は1.9元で、東莞市の最低
賃金水準の1時間3.43元の53%にすぎない。
 そして、この工場には「残業」という概念がない。土日の勤務時間も平常勤務
として計算されており、超過分の残業手当はない。この計算ではこの工場の労働
者は、毎週7日間勤務で80.5時間労働(月曜日―土曜日の毎日12時間、日曜日8時
間半)、週給は152.95元で、月給611.8元しかもらっていない。
 仮に、凱龍玩具工場が法律にのっとって給料を支払うとすれば、週給は380.73
元で、毎月少なくとも1500元以上支払わなければならない。
 時給での計算では、労働者は当然支払われるべき残業代は受け取ることができ
ず、凱龍玩具工場の労働者は法律上受け取るべき給料の40%しか実際には支給さ
れていない。週給だけでも毎週227.78元も少ないのだ。仮に法定祝日に残業をし
ていれば、この数字はもっと高くなる。
 中国労働者の労働力が「安い」のは、この例をみてもよくわかるであろう。
〈誰が労働者から残酷に搾取しているのか?〉
 労働者に残業や最低賃金以下の給料を強制しているほか、調査した工場では労
働法規を破っている実情がまだ他にもある。
 圧倒的多数の工場では、労働者のための医療、労災、養老保険に入っていない。
労働社会保障機関が検査に来るときにだけ一部労働者を保険に加入させているが、
労働者にすべての費用を負担させている。
 頻繁に週末に残業するということのほかに、労働者が法で定められている有給
休暇をとっているのはかなり少数で、ひどい工場では結婚や葬式でさえも休暇を
取ることが難しく、産休は言うまでもない。
 多くの工場では労働者に対して罰金制度を行っており、不法な身体検査があり、
主任はいつも口汚くののしっていたり、ひどいものでは労働者を殴ったりしてい
る。
 大多数の工場では18―30歳の労働者だけを募集しており、16歳以下の少年工を
雇っている工場もある。
 多くの工場は、労働者に対して、工場の食堂で食事してもしなくても、食費を
納めさせている。
 労働者の居住条件は極めて悪く、10数人、ひどいところでは20数人もの労働者
が、満員の寮に住んでおり、1つのフロアにトイレは1つしかなく、それを100人
で使用している。
 ある工場では軍隊式の管理を実行しており、労働者は自由に工場に出入りする
ことさえ許されていない。
 工場はいつでも労働者の1カ月の給料を差し押さえることができ、労働者が辞
職するときには口実をつくって最後の1カ月間の給料を支払わないということが
かなり頻繁に行われている。
 調査でわかった以上のような実情は玩具工業特有のものではなく、また東莞特
有のものでもない、珠江デルタ、東部沿海地区全体の輸出加工製造業の労動条件
の縮図である。多くの国際学者は、このような労働環境を19世紀の「搾取工場」
と同列に論じている。
 以上のようなことが行われている原因は、メーカーに人道的感覚が欠如し、欲
に目がくらんでいることだけが原因ではないことは調査によってわかっている。
〔中国青年報10月12日〕
(次号に続く)