CI Image
 
電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
登録  解除    メールアドレス  

特集内容一覧へ

チャリティー意識、参画、貢献

民政部が慈善税の減免政策を動議 優遇限度を引き上げ

 慈善税の減免政策の改善と社会一般の人々による慈善寄付に対する積極性を保
持することが、民生部の今後5年間の具体的な事業計画となった。個人や企業の
寄贈に的を絞り、税の優遇限度額を引き上げる見込みだ。
 20日開かれた、中華慈善大会の「中国慈善事業発展指導綱要(2006-2010)」
(以下、「綱要」)で明らかになった。
 綱要からは、民政部が寄付者の利益を考え、優遇税制の適用を受けるための手
続の制定を推進しようとしていることがわかる。
 法律、法規が全面的に運用されると、自然人、法人、その他の組織による公益
事業に対する財産の寄贈については、個人所得税、法人税などで優遇税制を享受
できる。
 また、外国からの公益団体、非営利の公益事業に対する寄付で公益事業の物資
に用いられるものについては、関税、輸入に関連する増値税が免税または減税さ
れる。
 藩宝俊・中華慈善総会会長によると、財政部、国家税務総局は2003年9月に明
確な規定を設けている。それによると、企業、事業組織、社会団体、個人など社
会的権利主体からの中華慈善などの機関への寄贈については、法人税、個人所得
税の納付前に全額控除される。
 しかし、王振輝・民政部救災救済司司長が「第一財経日報」に語ったところで
は、現在のところ、この規定は中華慈善総会の傘下にある12の慈善機関に対する
ものにしか適用されない。
 民政部の統計によると、民政部に登記されている民間組織は現在28万9000団体。
うち慈善活動を専業とする公益組織以外にも、慈善活動を専業としない公益組織
の中に経常的に慈善公益活動を展開しているものがあるという。
 今大会の企業界代表である天津天獅集団の白萍・副総裁は取材に応じ、慈善税
の減免政策はまだ不完全で、企業の寄付に対する一番の制約要因となっていると
の実情を語った。
 白萍・副総裁は次のように話す。「1996年から現在までに、天津天獅集団は累
計4億3000万元相当の寄付、寄贈をした。だが、大部分について重複して税を納
付させられており、我々企業にとって望ましいことではない。私たちも次第に経
験から学び、今では税が減免される慈善機関に対してのみ寄付、寄贈している」
 多くの企業が慈善事業に参入し社会へ還元したいと考えているとしながらも、
同時に全国民に慈善事業への参加を促す宣伝力を強化するべきであるとの認識を
示している。海外、特に米国では、個人の慈善機関に対する寄付が企業による寄
付をはるかに上回っている。
 李学挙・民政部部長によると、中国では救済が必要な被災民が毎年6000万人以
上と都市部の低所得層2000万余が低額の保障を受けている。このほかにも、7500
万人の農村の絶対貧困層・低所得層、6000万の障害者、1億4000万人の60歳以上
の高齢者がおり、さまざまな形で援助や補助を受けているという。
 さらに、李学挙・部長は、「こうした生活が困難な人々、特殊な状況に置かれ
ている人々の基本的生活権を保障するためには、政府の努力だけでは足りない。
政府資源と社会資源とを相互に補い合い、政府の行政力と社会的な動員力をとも
に動かす必要がある。慈善事業とは社会の構成員を社会扶助の重要な担い手とし
て動員するためのものであって、社会保障システムの重要な構成部分だ」と話し
た。〔第一財経日報11月21日〕

オリンピックマスコット「福娃」 各方面の法律で盗用防止

 オリンピックマスコットの「福娃(フーワー)」が生まれ、わずか3日間後の
11月14日には全国各地の臨時販売所で買い占めが起きている。そして、12日のニ
ュースでは、「5つの福娃」の英語のドメイン、アドレスが先を争って登録され
たという。
 11月11日21時、魚、パンダ、チベットアンテロープ、ツバメ、五輪聖火を擬人
化した5種類の「福娃」が発表されたとき、人々は驚き喜びこのオリンピックマ
スコットに大変に愛着を感じたようであった。
 この約2時間前の18時52分、第29回オリンピック組織委員会法律事務部総合処
の李雁軍処長は、事務室からマスコットの発表現場にいる、北京オリンピック組
織委員会リーダーに対しメールを送っている。
 「中国国内、香港、マカオで商標マーク、個々の中国語と英語の名称、全体の
中国語の名称、全体の英語名称の登録申請ができました」という内容だった。
 それより少し以前の18時に、マスコットの知的所有権保護の公告に関する、オ
リンピック組織委員会からのメールがマスコミ各社に送られている。
 これで、北京オリンピック組織委員会の「福娃」の知的所有権に対する保護は、
すべて調った!
 以前、あるオリンピックで、知的所有権保護問題がうまく処理されていなかっ
たことから、開幕式10分前に組織委員会が弁護士からの書信を受け取ったという
ことがあったという。それは、開会式で行われる予定の作品の中止を求めるもの
で、知的所有権を侵害しているため、適切に解決できなければ裁判所に訴訟保全
を申請するというものであった。
 北京市発展改革委員会が契約している北京オリンピック経済高級顧問の黄衛顧
問は、北京オリンピックのマスコット商品の販売収入は40億人民元に達すると予
測している。
 オリンピック組織委員会は「福娃」の知的所有権を強力に保護したと言うが、
一部の会社は巨額のビジネスチャンスにに直面しているため、法律上のリスクを
顧みないで先を争ってドメインを登録している。
 オリンピック組織委員会はマスコットの知的所有権保護に一体どんな手を打っ
たのだろうか?。オリンピックの知的所有権保護はどんな意義と作用を持つのだ
ろうか?。
 11月14日にオリンピック組織委員会の関係者と関連法律の専門家に対し取材を
行った。
〈保護計画は3年前から〉
 「福娃は生まれる前から中国の法律上の保護を受けていました」ソルトレーク
シティーの冬季オリンピックにオブザーバーとして参加した李雁軍処長は取材に
答えている。
 中国で2002年4月1日から実施されている「オリンピックマーク保護条例」では、
オリンピックマスコットがこの中に含まれていることが明確に規定されている。
 オリンピックマスコットはオリンピック知的所有権全体の重要な構成部分で、
北京オリンピック組織委員会は創立時からオリンピックのすべての知的所有権保
護計画を行っている。その中にはマスコットの専門保護計画も含まれており、計
画には北京オリンピック組織委員会、国際オリンピック委員会、中国国内外法律
機構と機構代理機構が参与している。
 李雁軍処長によると、2002年2月から、北京オリンピック組織委員会はオリン
ピックの知的所有権の問題についてローザンヌと北京で国際オリンピック委員会
と4回以上の特別プロジェクト会議を開いており、ロゴマーク、マスコットの使
用基準を共同制定している。同時に双方の法律部門と弁護士の参与のもとで、マ
スコット保護に対する版権、商標権の保護方策をつくっている。
 「オリンピックのマスコットは多くの人による知恵の結晶で、一般市民がオリ
ンピックに参加した結果です」と李雁軍処長は言う。
 オリンピック組織委員会は、マスコットデザインの募集を発表すると同時に、
「デザインのすべて、あるいは一部が採用された場合、その著作権はオリンピッ
ク組織委員会が有する」と宣言している。
 「つまり、一般市民がデザインをオリンピック組織委員会に提出した後は、実
際には委託関係を結んだことになり、その結果、オリンピック組織委員会による
デザイン選考が有効になるのです。個人のデザインが採用されても出版や展示な
どの商業目的に用いることはできません」と李雁軍処長は説明している。
 李雁軍処長は、オリンピック組織委員会は一部のデザイン専門会社に委託し、
この会社と従業員と秘密保持の契約を結んだ後マスコットデザインを依頼してお
り、さらに第3者に対する秘密保持の契約もしている。
〈発表後は各方面の法律で盗用を防止〉
 「福娃に関する知的所有権は、主に版権、商標権、特許権、インターネットの
知的所有権、企業名称権などの幾つかの段階があります」と知的所有権の法律家、
北京大学法学院の張平教授は取材に答えている。
 張平教授によると、最も直接的なものは福娃であり、版権法で作品は保護され
るという。福娃は委託作品の一種とされ、デザインをした人に権利はない。オリ
ンピック組織委員会が版権を持っているので、福娃が使われているものはどんな
ものでも、特に商業用の商品はすべてオリンピック組織委員会の同意が必要であ
る。
 福娃は絶対的なシンボルであり、商標として登録し商標法の保護を受けられる。
張平教授によると、商標は分類によって登録するため、福娃がすべての種類の登
録を行っていなければならないが、実際には全種類の商品登録をすることはあり
得ないので、主要な種類の商品登録をした後に、福娃が有名ブランドだと認知さ
れれば、その他の分類上でも保護されるようになるという。
 張平教授は、実際には直接に福娃で登録せずに、「幸せな女の子(幸福女孩)」
のような似通ったマークや名称や、連想させるようなマークや名称を利用して、
「福娃」と類似するデザインを使って「福娃」と混乱させるだろうと指摘してい
る。
 このような状況が発生したら、商標の審査段階で便乗商標の申請を却下したり、
司法手段を使って解決することになるという。
 北京オリンピック組織委員会もこの点に注目している。国際オリンピック委員
会を通して、重点国家、重点分類や視聴率などの基準に照らして、一部の国及び
地域で全種類を登録している。
 重点国家というのは、オリンピックのホスト国に決定し、間もなくオリンピッ
クのホスト国となる国や、オリンピックで比較的好成績を得る国家のことである。
 李雁軍処長はこのような基準で、全種類が登録されている2つの例を挙げた。
一つは、中国の付近で中国と頻繁に貿易を行っている国及び地域である。これら
の国は全種類の登録が行われ、国外の偽造品の製造基地になることを防止する。
 もう一つは、中南米にある小国で、商業貿易は余り発達しておらず、オリンピ
ックの成績もよくないが、オリンピックのテレビ中継の視聴率がとても高いので、
全種類の登録が行われている。
 福娃の形状を工業製品の外観デザインに使用されることがあるため、福娃の知
的所有権は外観デザイン特許の問題にも及んでいる。
 北京オリンピック組織委員会が発表した、オリンピックマスコットの知的所有
権保護の公告では、特許法と、国家知的所有権局、国家特許管理局の「オリンピ
ックマークの外観デザインに関する特許出願の審査規定」により、いかなる機関
あるいは個人が特許を申請する際にも、オリンピック組織委員会が先行して取得
したマスコットに関する合法的な権利を抵触してはならない。
 福娃のデザインは単純な美術作品から離れ、例えばかばん、水筒、Tシャツな
どの実用品に使用される際も、やはりオリンピック組織委員会から著作権の認定
を受けなければならない。つまり、いかなる人も外観デザイン特許出願でオリン
ピック組織委員会の先行している著作権、商標権に抵触してはならない。
 「しかし、オリンピック組織委員会は普通は外観デザイン特許を申請する必要
はありません。外観デザインの特許保護期間は10年しかなく、版権、商標権でほ
とんど有効な保護ができるからです」と張平教授は説明している。
 ドメイン登録競争の問題について、張平教授は、主に他人を排斥する目的で不
適切なドメインが登録されており、特に福娃関連の中国語と英語のトップレベル
ドメイン、セカンドレベルドメイン、中国語ドメインで同じかよく似た名称の申
請問題があるという。ドメインの競争状況があれば、ドメインの申請によって解
決するしかない。
 そのほか、企業の名称登録にも注意しなければならない。各方面で福娃という
名称の企業申請を防止し、商標と企業名称の不必要な抵触を防止しなければなら
ない。
〈広がるエリア インターネットは福娃の成長を助けられるのか?〉
 張平教授は商業化の角度から出発して、インターネットを通して、オリンピッ
クをチャンスに、中華文化、民族のブランド価値を上げるべきだという。
 しかし、今回の北京オリンピック組織委員会は、電子商取引などのインターネ
ット販売方式を利用せずに福娃を売り出している。
 李雁軍処長はその理由を次のように説明している。
 第一に、電子商取引と国際オリンピック委員会のインターネット政策について、
特に「オリンピック憲章」で規定されている国家オリンピック委員会の管轄区域
を原則とするということの調和と明確化が必要である。
 一つの国家のオリンピック組織委員会が管轄外でのオリンピック製品の販売に
特別の許可を与える場合、事前に輸入国のオリンピック委員会の同意と国際オリ
ンピック委員会の許可が必要である。例えば、中国で生産したマスコットをアメ
リカに売るには、アメリカのオリンピック委員会の同意と国際オリンピック委員
会の許可が必要である。
 インターネットは全世界を網羅しており、電子商取引でオリンピック関連商品
を販売するということは、すべての国家に輸出するということになる。つまり、
オリンピック組織委員会はすべての国家と交渉を行わなければならないというこ
とになる。この交渉を成立させないためにわざと高額な価格を要求する国が出現
することも考えられる。
 第二に、オリンピックのパートナーとスポンサーの権利を守るため、権利の独
占性を保証しなければならない。
 例えばVISA、中国銀行、中国網通が国際オリンピック委員会か北京オリンピッ
ク組織委員会のパートナーやスポンサーであるとすると、例えばインターネット、
支払い方法、電子商取引に他の会社を使うことは、独占的な権利に影響すること
になる。
〈使用注意 合法的な使用では必ず料金がかかるというわけではない〉
 「福娃のイメージは募集で選ばれた1人のデザイナーによるものではなく、北
京オリンピック組織委員会と各界の専門家の、有益な意見を広く吸収し、改良を
重ねたものです」と李雁軍処長は言う。
 「福娃ができ上がる過程で、オリンピック組織委員会はマスコットの知的所有
権の保護に注意しています。条項、手順、規定を設定する際に、できるだけ第三
者が知的所有権を侵害することないように、同時にオリンピック組織委員会の先
行権を尊重するように考えています」
 一般向けの何種類かの商品については、法律で許可されている商品という前提
で、オリンピック組織委員会は先行権を調べている。例えば、パンダのデザイン
はずっと前から至るところにあり、アニメや切手などで先行権が申請されている。
 今回の福娃の中にもパンダがあるが、オリンピック組織委員会は服、目、頭の
飾り、形などで申請されているパンダとの違いが最大限になるようにしている。
 商用目的(潜在的な商用目的を含む)で福娃などのオリンピックのマークを使う
ためには、オリンピック組織委員会に正式に許可を受け、さらに許可状況を記録
に残さなければならない。
 しかし、これは決して「料金を支払わなければ使用できない」ということでは
なく、一般大衆とオリンピック市場の開発以外の使用を限定するという、一定の
基準によるものである。
 李雁軍処長は、以下のような例を挙げている。
 政府業界の主管部門に対しては、業界イメージ、特に対外的な業界や国家のイ
メージとしてオリンピックのマスコットなどのオリンピックのマークの使用を許
可している。
 例えば、国家観光局は旅行キャンペーンで、ミラノ、ロンドンなどの都市で北
京オリンピック組織委員会のマークを「中国マーク」として使っている。新聞出
版総署はフランクフルト国際ブックフェアで同じような使い方をしている。
 しかし、一般の旅行社や出版社が使用することはできない。
 「一部企業には通りに面した公共地区にスローガンを張り出して、社会の一員
としての責任と参加意識を発表する行為については、オリンピック組織委員会は
許可しています。しかし、スローガンに書かれている企業名称にマークをつける
ことはできません。法律とオリンピック委員会の規定では、一種の商業広告の行
為とみなされるからです。
 このような規定はとてもひどいことのように思われますが、オリンピックの尊
厳と権利を守り、合法的な権益の保護として考えれば、理解できることです」と
李雁軍処長は補足した。
〈知的所有権は最後には国際オリンピック委員会に〉
 張平教授は、オリンピック組織委員会は臨時的な組織機構であり、民間の私的
権利主体に属すると見ている。オリンピックが終わればオリンピック組織委員会
は解散するが、オリンピックマスコットの「福娃」の知的所有権については、完
全に継承するか譲渡する権利がある。
 「しかし、オリンピック組織委員会の役割には特殊な一面があります。国と人
々を代表して神聖な職責を履行しているということで、市民全体が参加してつく
られた知的所有権の管理とは異なります。
 オリンピックマスコットも政府のマークと類似の性質があり、最終的には国の
行政主管機関が管理することになるでしょう」と張平教授は推測している。
 しかし、福娃の最終的な行く末については、「マスコットの知的所有権は処置
しなければならない状況に直面していますが、国際オリンピック委員会の規定に
より、中国は遅くとも2008年12月には国際オリンピック委員会に知的所有権業務
を返上します。つまり、実際には知的所有権を譲渡することになります」と李雁
軍処長は述べている。
〔法制日報11月15日〕