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金融、商業のグレーゾーン

中国の地下金融は約8000億規模 首位は黒龍江

 中央財経大学が中国初の地下金融調査報告書「中国地下金融調査」を発表した。
報告書は正式には1月5日発行される予定。中央財経大学はこのテーマで国家自然
科学基金委員から資金の援助を受けている。
 中央財経大学金融学院の李建軍副教授は、調査の試算によると、中国の地下融
資規模は7405億元から8164億元に及び、その9割が証券、先物に集中していると
いう。
 また、地下金融の規模を示す指数の平均は28.07。地下融資の規模が正規ルー
トの融資規模に占める比重は28.07%に相当するということだ。
〈地下金融が正規融資を補う〉
 調査データによると、正規の融資による支援が小さい中小企業や農業などでは、
地下金融がその大部分を補充する役割を果たしている。全国の中小企業の約3分
の1余りの融資は不正な金融ルートによるものであることが調査によって示され
ている。
 農家では、銀行、信用社など正規金融機構からの借り入れは50%に満たない。
それに対し、不正な金融ルートからの借り入れが農家の借入額の55%超の比重を
占める。
 このほか、地下金融規模の測定結果からは、ここ数年の中国のM2の約2―3%を
地下の資金が占めていることがわかる。貨幣価値が不安定なとき、地下の貨幣資
金の規模は拡大する傾向にある。
 李建軍副教授は、地下金融の役割は一様ではないという。
 「例えばマクロコントロールが行われている炭鉱、石油、鋼材、セメントなど
の投資が加熱している分野の資金の多くは地下金融から出ている」。
 だが、同時に「正常な状態を保つ」という積極的な効果も、地下民間金融組織
にはあるのだという。
 山西省平遥「晋源泰」小額貸付有限公司と平遥県「日昇隆」小額貸付有限公司
が2005年12月27日に設立され、国内初の合法的な「金貸し」が登場した。李建軍
副教授は、これは中央銀行による地下金融機構の編成の始まりと言えるとの認識
を示した。
〈黒龍江省、地下金融でトップ〉
 この報告書では、中国各地の地下金融の特徴についてさらに詳細にわたって調
査されている。
 注目すべきは、地下金融が発達している程度と地域の発展レベルが一定程度で
逆行する関係にあるということだ。
 発展のおくれている地域ほど地下金融が発展している。
 指数の序列を見ると、トップの黒龍江省では53.4に達し、黒龍江省の地下金融
規模は、正規貸し付けの半分を占める。最低の貴州省は4.7。
 指数が30以上に上ったのは、黒龍江省のほか、遼寧省、福建省、山西省。
 また、李建軍は北京についても触れ、北京地域の地下金融は証券、先物などの
分野に集中し、企業の非合法な資金調達、私募の資金調達などの例が見られると
話す。
 全国の証券、先物など、私募基金はおよそ6000億から7000億元の規模で、地下
金融のおよそ9割に相当する。
〔新京報1月4日〕

実効性は担保できるか 商業上の賄賂禁止論争

 「今までよりもっとこっそりと医者や病院の院長とつき合わなくてはならなく
なりました」
 ある生物医薬会社の医薬代表をしている洪氏は、今後の仕事がさらに難くなる
と愚痴をこぼしている。
 愚痴の原因は、先日最高立法機関で審議された刑法修正案(六)草案で、商業
上の贈賄罪の適用が企業、さらに企業以外の部門の従業員にまで拡大されること
になったからである。
 「刑法草案の改正は、国が厳しく商業環境を整備し始めようとしている兆し」
南開大学国際経済法研究所の程宝庫所長はかなり興奮している。
 程宝庫所長は同僚とともに、2005年5月から、良好な商業環境をつくるため、
商業上の賄賂禁止の立法化を呼びかけてきた。
 中央は2006年に18省庁共同で商業上の賄賂に対する特別措置を整備することを
決定しており、清廉な市場経済秩序をつくり上げようとしている。
〈商業上の賄賂は「当たり前」〉
 商業上の賄賂は業界ではごく「当たり前」の普通のことである。
 「リベート、マージン、領収書の金額の改ざんなどには業界の規定があり、資
金さえあれば、物流手段の調達からインフラ建設の30%のリベートまで、どこに
もグレーゾーンはないのです」物流業者は取材に答えている。
 前述した洪氏によると、医者へのリベートは医薬品の小売価格の10%以上で、
病院の院長から医薬品仕入れの担当者までがリベートの対象で「単価100元以上
の医薬品ではさらに多くのリベートが支払われている」。必要な費用はすべて会
社が負担している。
 洪氏は医療体制は変わっていないと感じているので、このやり方も変えようが
ない。
 商務部の統計資料によると、全国の薬品業界の商業上の賄賂として支払われて
いる薬品リベートは、毎年国家資産の約7.72億元に相当し、全国医薬業界の年間
税収入の約16%を占めている。
 あるアメリカの電気通信設備会社では、アメリカの関連法律の制裁を免れるた
め、中国ならではの融通をきかせている。比較的低価格で販売店に販売し、販売
店から賄賂をもらっているのだ。
 「こういうやり方でなければ、大口の注文をとれません。大口の注文がとれな
ければ、市場競争に深刻な影響を及ぼします」彼らも御多分に漏れず「郷に入れ
ば郷に従え」なのだ。
 多くの外資企業は中国市場で直接賄賂を払っている。
 「中国では、商業上の賄賂は取引上のコストになっている。結局、こうしなけ
れば競争力がなくなる。しかし、最終的には、経済秩序が歪曲するから、労働者
の給料水準が上がらないのです」復旦大学世界経済研究所の華民所長は言う。
〈国は商業上の賄賂に一撃を〉
 程宝庫代表は、2005年5月からアピールを始め、相前後して2回中央から注意を
受けている。しかし、2005年12月22日に中央紀律検査委員会で講演して以降、国
は商業上の賄賂を2006年の反腐敗施策の重点としたようだ。
 「商業上の賄賂が盛んに行われているということが、我々の商業環境が一種の
コネクションを必要とする環境にしてしまっています」と程宝庫代表は言う。
 しかし、上海社会科学院の商業研究センターの朱連慶主任は、「ルーセント騒
動」、「張恩照事件」、「ダイアグノスティック・プロダクツ事件」などは氷山
の一角にすぎず、金額の多寡にかかわらず市井には商業上の賄賂が満ちていると
いう。
 程宝庫代表は、商業上の賄賂が盛んに行われている中国の法律体制を検討しな
ければならないとしている。例えば、アメリカの「海外賄賂防止法」、ドイツの
「不正競争禁止法」は、法律違反を犯す会社や個人への処罰に非常に有効である。
 しかし、中国の今までの刑法では、収賄罪は主に国家公務員及び会社の経営行
為を追及するもので、事業体である個人、例えば医者、教授などの収賄行為に対
する法整備が欠如している。
 程宝庫代表は「今回の改正でこれまでの法律の不備を補えるため、刑法が厳し
くなれば、商業上の賄賂行為の抑止力となるでしょう」と話す。例えば「不正競
争禁止法」も改正が進められている。
 「商業腐敗によって、中国の経済成長には多くの苦痛と不実な要素が内包され
ることになってしまいました。中国の社会主義市場経済の成果に重傷を負わせる
ことを願う人はいないでしょう」
 程宝庫代表は、例えば、仮に10億元を投資した工事も最後には手抜き工事にな
ってしまっているとすれば、その過程で人々の苦労と中国の経済成長力が消え、
最終的に社会矛盾を蓄積させていると考えている。
 「商業上の賄賂禁止政策は2006年の国家腐敗一掃における最重点課題です。こ
れは国が政策調整を行うということであり、清廉な市場経済秩序をつくり上げな
ければならないということです」程宝庫代表はこう確信している。
〈賄賂は不公正な市場環境をつくり出す商業コスト〉
 「刑法を改正することで商業上の賄賂禁止を強めることはもちろんよいことで
すが、医療、電気通信、金融、建物などの業界の商業上の賄賂に特に厳しいのは
どうしてでしょうか?」
 華民所長は、もし根本的に制度が改められなかったら、最終的には法律はでき
ても依然として形だけになってしまうだろうと見ている。
 「電気通信、金融などの業界は表面上は市場化程度は比較的に高いけれども、
独占体質で少数者が権力を握っており、自然に商業上の賄賂の土壌ができてしま
っています。しかし、建築、医療などは市場経済体制改革の過程にあり、現存す
る自然発生的な多くの権力が腐敗をもたらしています」
 華民所長は、そもそも市場自体が不健全である上に、市場参入許可に条件があ
ると、商業上の賄賂はえてして競争コストとして、不公正な状況を助長してしま
うと見ている。
 上海社会科学院社会学所の盧漢竜所長は、中国経済の転換期にあり、商業上の
賄賂は確かに不公正な市場競争環境をつくり上げ、商業コストは増加していると
している。
 「商業上の賄賂がこのように一般化している状況で、商業上の賄賂禁止規定を
明確にできるのかどうか、それを判断するのは誰なのか、発覚後に処罰が行える
のでしょうか?」華民所長はこれらがさらに考慮しなければならない問題だと考
えている。
 「もし規定が一つだけであれば実施能力はなく、最終的にはかえって法律の権
威を損ねることになり、法律は大衆に責任を果たせず、法律執行で苦境に立たさ
れることになるでしょう」と上海申達弁護士事務所のある弁護士はこのように話
す。
 「商業上の賄賂は市場では当たり前のことにあり、制度を変えればあるいは法
制化さえすれば解決できるのでしょうか?」華民所長は法律によって規範化する
ことはもちろん積極的だが、制度の力はもっと大きいと考えている。
〈関連資料 商業上の賄賂事件〉
▼2004年3月、世界の500強の1つであるメルク社(MSD)は、20数名の中国エリアの
副経理と医薬の代表を解雇している。「学術を広めるという名義で娯楽費に流用
していた」ことが理由である。
▼2004年4月6日、ルーセントはアメリカ証券取引委員会に、ルーセントの中国地
域総裁の戚道協氏、最高経営責任者の関徳氏及び財務担当者、市場部経理を解雇
したと報告している。協力者へのリベート提供が理由である。
▼2005年5月、アメリカ司法部の報告では、天津徳普公司は1991年から2002年の
期間、中国の実験室従業員と国有病院の医者に162.3万米ドルの現金を賄賂とし
て渡し、その見返りにこれらの医療機関がダイアグノスティック・プロダクツの
製品とサービスを購入したと指摘している。天津徳普公司はこれにより200万ド
ルの利益を得ている。
▼2005年4月22日、香港の宝石商の謝瑞麟親子は旅行会社の従業員に不法なリベ
ートを提供していたという嫌疑をかけられている。中国の旅行ツアーをこの店に
立ち寄らせショッピングのコミッションを取っていたということで、香港廉政公
署に逮捕されている。
〔中国経営報1月1日〕