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なるか中国農民の生活向上

今年農民一人当たり純収入6%増 食糧生産に重大転機

 農業部の予測によると、2005年、全国農民の収入はかなり速いペースで増加し、
農民一人当たり純収入は前年より300元以上ふえ、実質約6%増となる見込み。
 農業部部長杜青林は12月28日、全国農業工作会議において、「2004年は、農民
の一人当たり平均純収入は6.8%ふえ、1997年以来成長スピードが一番速い年とな
った。2005年は数字がかなり高く位置しているのでまた6%ぐらいふえ、農民収入
の長い間の停滞局面を変えられる」と披露した。
 杜青林氏は、「成果を十分上げているとはいえ、農民収入の持続的成長は難し
い。食糧の価格維持は難しく、主要の農産物価格には値下がりしているものもあ
り、農民の収入に影響している。農業資材価格は高どまりしており、農業コスト
をふやしている。農民の出稼ぎにはさらなる改善がまたれ、就業の安定にはまだ
遠い」と示した。
 また、新華社によると、農業部部長杜青林は、「今年全国の食糧総生産は9600
億斤以上に達し、2004年より291億斤増産した。中国の食糧生産に重大な転機が
来ている」と発表したという。
 最後に、「2004年米と小麦の栽培の収益は「第九次五カ年計画」以来、最高レ
ベルに達した。今年の食糧生産は2004年の基礎の上に継続的に発展しており、食
糧増産は2年間で合計1000億斤を超えた。食糧の総合生産能力は短時間のうちに
かなり回復し、これは歴史的にもそれほど多く見られないことである」と示した。
 さらに、「第九次五カ年計画」末期と比べると、耕作面積は6000万ムー近く減
少したが、今年全国の食糧総生産は「第九次五カ年計画」末期より400億斤以上
ふえており、増加幅は4%以上となった」と指摘した。〔中国青年報2005年12月29日〕

2005年中国農産物輸出265億米ドル

 商務部スポークスマンは、2005年、中国の農産物輸出は史上最高の265億米ド
ルに達し、第十次五カ年計画初期の160億米ドルより65.5%増加する見込みである
と表明した。
 WTOの統計によると、2004年、中国の農産物の輸出は世界第5位だった。
 また、商務部スポークスマンは、農産物輸出拡大は農民収入の増加を促進し、
農業の対外開放と農業産業構造を高度化するための重要な方途であり、商務部は
一貫して農産品輸出を重要事項としていると指摘した。
 今年は、農産物輸出は口蹄疫、高病原性インフルエンザ等疫病、ヤヌスグリー
ン等の食品安全事件の影響を克服し、かなり早いスピードで上昇している。
 前11カ月間で、輸出総額は243.7億米ドルとなり、前年同期と比べて19.3%増加
した。また、農産物貿易赤字はさらに縮小し、貿易赤字の金額は15.3億米ドルと
なり、前年同期と比べて71.6%減少した。〔国際金融報2005年12月30日〕

中国農村の根底の矛盾は未解消 農業税撤廃は初めの一歩

 中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会は12月29日、施行48年になる「農
業税条例」の廃止を可決。2006年1月1日に失効する。新しい年の訪れとともに、
中国は農業税の非課税時代を迎える。
 農業税は地方税の一種。主として農業収入に対して課税され、土地の年間生産
量を課税根拠とするため、俗に「公粮」と呼ばれている。
 「農業税条例」は1958年に施行。人口の70%を占める農民層への政府の課税根
拠でもあり、中国の都市と農村とを分かつこととなった主要制度の支柱ともなっ
た。数年前、一部の省、自治区が農業税の大規模な免税を実施したが、全人代で
1958年に可決されて以来、この条例は法律としての効力があった。
 法律上、この条例を廃止することによって、2006年に全国的に農業税は撤廃さ
れ、「農村総合改革」を全面的に推進する法的な基礎が整備される。
 現在のところ、農業税を徴収しているのは河北省、山東省、雲南省の3省のみ
で、課税額も総計で15億元にすぎない。農業税を完全廃止しても、現在の中国の
歳入が3兆億元であることからすると、実質的な影響はないと言える。
 ただ、中西部の農村については、農業税の撤廃は手始めにすぎず、解決しなけ
ればならない問題がなおも山積する。
 中国の農民は現在9億人で、中国の総人口の70%を占める。だが、2005年に農民
が創出した農業総生産値はGDPのわずかに13.2%。数億に上る農業労働力の過剰を
いかに解消するかが、中国政府の課題となるだろう。
 中国は2000年から安徽省で税制改革を試験的に実施。農民に対する各種の税制
を廃止し、農業税と付加税に統一した。税率は、耕地1ムー当たりの例年生産量
の7%、農業付加税が1.4%。農民の負担は大幅に軽減され、減税幅は40%以上、100%
に至った地方もある。
 この改革は2002年に16省で推進され、2003年には全国展開された。
 中国の温家宝総理は2004年3月、5年以内に農業税を撤廃すると宣言した。
 中国政府は2004年3月末、黒龍江省、吉林省、2省の農業税の免税を突然決定。
そのほか穀物の主要産出地である11の省に対し、農業税の税率を引き下げた。さ
らに、農業税の免税は時代の潮流となって、各省が相次いで取り入れた。
 2005年初めには、チベット省以外では農業税を徴収せず、全国28の省が相次い
で農業税の免税を宣言した。5年以内に農業税を撤廃する予定であったが、事実
上、3年も早く完了したことになる。
 専門家は、農業税の撤廃は農村管理の第一歩にすぎず、農村の下部行政区の自
治体にとっては、厳しい挑戦になるだろうと指摘する。
 事実、農業税の免税後、中西部地域の省・郷・鎮政府は軒並み運営困難に陥り、
大幅な組織、人員の整理を迫られている。農村の義務教育、公益事業、衛生投資
などへの資金の投資が減少、不足している。
 税制改革後、中央財政では毎年、数百億元の交付金が増加しており、2005年に
は664億元に達した。
 だが、中西部の大半の県、郷などの規模が膨大で、中央の交付金の多くは「人
件費」に使われている。大規模な組織改革を実施しない限り、農民の負担軽減に
よる反動の圧力は続くだろう。
 取材を通じて、湖南省は2005年に農業税を免税したが、湖南省の個別の地方で
は、一部の郷・鎮の農民から、依然として農業税を徴収していることがわかった。
また、農業税の免税後、農民から教育費を徴収するなど「手数料」徴収がふえて
いる。
 河南省では、一部の県・市で、農民が民政局で結婚証明書の処理に200元もの
手続料を支払わされる。農民は都市に出稼ぎに行く場合、故郷で各種証明の手続
をしなければならないが、支払う費用は安くない。こうした費用は現地政府の予
算外収入で、経費の不足を補てんするために使われている。
 実際、政府が実施しなければならないことは「農業税条例」の廃止だけではな
い。国務院が1991年に公布した「農民承担費用労務条例」や、1994年の農業特産
税の課税の文書は既に意義を失っており、廃止すべきだ。
 また、農業税の撤廃後も、農民に対してタバコ特産税などに姿を変えた課税が
なされており、重大な問題となっている。
 農村問題の専門家は次のように指摘する。「中国の農村の根底にある矛盾は、
農業税の撤廃だけでは到底解決できない。中国の農地の集団所有制度は依然とし
て農民の収入増加に縛りをかけ、都市部への移住の最大の障害となっている。農
村の郷鎮の財政体制改革は今もまとまっていない」
 専門家の予測によると、中国が抱える郷、村の2つの行政単位の負債は6000億
元にも上る。この負債をいかにして解消し財政リスクを抑制するのか、依然とし
て未知数だ。
 中国政府は最近、農村に対する義務教育の財政投資を強化しており、5年以内
に2182億元をふやす。
 これで当面の「免税後遺症」が和らいだとしても、都市部と農村部との公共サ
ービスの格差という問題を徹底して解決し、農村における「小康社会の全面的な
建設」を実現するには、さらに多くの制度の刷新が必要だ。〔和詢2005年12月30日〕