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貧困の原因と政策支援

NGO6団体と政府が協力 貧困扶助分野をNGOに開放へ

 21日、NGOと政府が協力して実施する村レベルの貧困者扶助企画プロジェクト
のNGO公募結果が出され、NGO6団体が発表された。これら団体は、中国政府貧困
者扶助分野が公開されテスト的に参入が開放された初めてのNGO組織である。
 このプロジェクトは、江西省貧困者扶助弁公室より1100万元の財政扶助金が提
供され、中国扶貧基金会の委託で公募されたNGOが江西省楽安県、興国県、寧都
県の重点貧困村扶助企画プロジェクト22件を実施するものである。
 このプロジェクトは国家財政部及びアジア開発銀行の支援を取りつけており、
アジア開発銀行は、イギリス政府により出資されて設立した貧困者扶助合作基金
から100万米ドルを提供する。
 このプロジェクトは昨年12月19日に立ち上がり、NGO(またはNGO連合体)合計
18団体が中国貧困者扶助基金会に応募意向を示し、最終的にNGO(またはNGO連合
体)10団体が11件の応募申請を提出した。
 アジア銀行の中国代表処の宋思年氏は「中国政府は、多くNGOが貧困者扶助に
参画することが貧困扶助事業の欠陥や効率低下の問題を解決する方法の一つと考
えている」と示し、この意義は大きいと考えている。
 なお、NGO6団体は、以下のとおりである。
1) ヘイファー・プロジェクト・インターナショナル
2) 江西省山江湖可持続発展促進会
3) 江西青少年発展基金会
4) 寧夏扶貧與環境改造センター
5) 中国国際民間組織合作促進会
6) 陜西省婦女理論婚姻家庭研究会
〔新京報2月22日〕

教育と医療が貧困の原因 貧困自覚は農村より都市の方が多い

 零点調査と指標データが最近共同で完成させた「2005年中国住民生活の質指数
研究報告」では、子供の教育や家庭にいる病人の存在が自身に貧困をもたらす最
も重要な原因の2つであることが明らかになった。
 若干感覚的に意外に思ったのが、貧困を自覚する都市人口は、農村人口よりも
高いことだ。
 今回の調査は、北京、上海、広州、武漢、成都、瀋陽、西安、南通の8つの大
中都市と、浙江省紹興市諸曁、福建省福州市長楽、遼寧省錦州市北寧、河北省石
家荘市辛集、湖南省岳陽市臨湘、四川省成都市彭州、陝西省咸陽市興平の7つの
小都市とその周辺農村、計4128人に調査を行った。人数の内訳は、都市2118人、
小都市1140人、農村870人である。
〈貧困を自覚する人の比率が最も高いのは都市〉
 「生活水準から考えて、あなたの家はその土地でどのような生活水準にありま
すか?」という質問に対して、大多数の人(6割)が「普通」と回答している。
 都市住民の収入は明らかに小都市や農村住民の収入よりも高いにもかかわらず、
都市住民の中での貧困者の割合は最も高く21.4%だった。農村住民では19.4%、小
都市ではわずか14.9%にすぎなかった。
 自分が豊かであると自覚している小都市の住民は26.7%に達し、この3つのグル
ープの中では最も高かった。このことは一つの道理がある。貧富とは心理的に近
所や同僚や周辺の人から比較して結論を出すものである。
 現在の中国では、小都市住民のこのような心理的な感覚は明らかに都市や農村
住民よりもよく、実際の収入が最も高い都市住民の心理感覚は最も悪かった。
〈貧困になる原因は教育出費が最も多い〉
 では、自分が貧困であると自覚するグループの中で、家庭を貧困にする原因は
何だと考えているのだろうか?
 調査によると、教育の出費が貧困になる一番大きな原因とされた。
 都市に限らず、小都市や農村の貧困グループでも、ひとしく半分の割合で「子
供の学費」が家庭を貧困にする原因だと答えている。
 特に、農村において、教育費は家庭支出の中で最も大きくなっている。
 2004年10月―2005年10月において、就学している子供がいる農村家庭における
子供の教育費の家庭収入に占める比率は平均32.6%であった。都市、小都市の家
庭における子供の教育費の家庭収入に占める割合はそれぞれ25.9%、23.3%であっ
た。
 貧困住民の第二の負担は医療費である。
 これは農村地域において最も際立っており、24.7%の農村貧困住民が「家庭に
病人がいる」ことが家庭を貧困にする原因だと答えている。
 2004年10月―2005年10月において、農村家庭における医療費の家庭収入に占め
る割合は21%で、都市の7.9%、小都市の9%よりも明らかに高かった。
 国務院発展研究センターのデータにおいても、大病を患うと、現在中国におい
て平均医療費は7000元以上かかるが、年間収入が数千元という農村家庭が少なく
ない中、一回の大病も家庭を大きな困難に陥れるとも言えるのだ。
 そのほか、一部の都市や小都市の貧困住民は「家庭に介護が必要な高齢者がい
る」ことを貧困の原因だととらえている人が14%前後いた。
 農村住民では、「農業生産資料の高騰」(11.8%)、「子供が多い」(8.9%)
を重要な原因として回答している。
〈稼ぎが少ないことは関係ないのか?〉
 実は、出費が多いことを除けば、富を築く能力の差が貧困に至るより根本的な
原因である。では、どんな要素がお金を稼ぐことを妨げているのだろうか?
 調査によると、都市や小都市住民はそれぞれ「コネがない」ことがお金を稼げ
ない最も重要な原因だと考えており、次に、「知識や技能がない」ことを挙げて
いるので、興味深い。
 農村住民は誠実で、回答が最も多かったのが「技術や技能がない」で、その後
は「運がよくない」「青年、壮年の労働力不足」「農作物の価格が低い」と回答
している。
 このように見ると、貧困問題を解決するには、やはり教育や医療という2つの
貧困へと導く最も重要な原因について関連投資をふやし、教育費や医療費を削減
する措置を講じることである。
 この点に関して、中国では、2年の時間をかけて農村で義務教育にかかる学費
や雑費の全面的な免除措置を段階的に行ったことは、この方面での重要な措置で
あった。同時に、政府は知識や技能訓練を強化し、貧困人口が貧困から脱出する
能力を強めるべきである。
〔南方日報2月13日〕

黄河上流の不思議な現象 水力発電所の開発で民衆はさらに貧しくなっている?

 「すぐ近くにダムがあるのに水はありません。すぐ近くに発電所があっても電
気は使えません。発電所が多くなればなるほど、民衆は貧しくなっています」こ
のような不思議な現象が黄河上流の階段状に建設されている水力発電所開発地区
で起こっている。
 先日、中国共産党の中央党校プロジェクトチームが発表した調査報告によると、
黄河上流の青海省の渓谷では、水力発電所ができたが、地元は豊かになっていな
いばかりか、かえって貧困を深めており、総合的な措置を講ずべきと指摘してい
る。水力発電所の開発が現地の経済発展と隔絶されている状況をできるだけ早く
変えていかなければならないというのだ。
〈水力発電所で地元をさらに貧困に〉
 プロジェクトチームの責任者で中国共産党中央党校の研究室副主任の周天勇教
授を取材したところ、青海省東部の黄河の渓谷の水力発電所の開発流域は、共和、
貴徳、尖扎、同仁、循化、化隆、民和の7県で、流域面積は2万平方キロメートル、
人口はサラ族、フィ族、トゥー族、チベット族などの少数民族による106万人で、
青海省総人口の5分の1を占めている。
 水力発電所の開発によって現地の発展を促進できると考えていたが、長期にわ
たる開発の結果は失望させられるものであった。
 現地調査では、青海省黄河の渓谷の竜羊峡では、全部で13カ所、さまざまな規
模で、発電電気容量が1172万キロワットという発電所の建設計画があり、総投資
額は500億元になると予想されている。
 現在建設済みの水力発電所では、各民族の農民や牧畜民8800人の1.42万ムーの
耕地、林地、牧草地帯、果樹園、宅地などが収用された。
 今年はダムの水位が上昇したために、ダム付近の多くの農民や牧畜民は2回目
の引っ越しを余儀なくされた。国家の補償はほんのわずかなのに、農民や牧畜民
のこうむった損失は甚大で、引っ越しをすればするほど貧困の度合いを増してい
る。
 その原因の一つは、引っ越し後の耕地が以前より悪くなっていることである。
平地の畑が傾斜地の畑に、交通の便利なところから交通の不便なところになって
いる。
 また、もとの自然かんがいが電力によるかんがいになり、食料生産コストがか
なり上昇している。同時に、耕地の海抜上昇や気候などの環境変化で、品質がよ
くて特色ある農産物が栽培できなくなってしまったところもある。
 そのほか、有効な収入サイクルができていないため、建物の取り壊しや立ち退
きのために得た補償費用は数年で使い切ってしまい、現地では貧困にあえぐ者も
あらわれている。
〈水力発電所は現地の経済発展を促進しているわけではない〉
 周天勇教授によると、既に28年近く水力発電所の開発が行われてきたが、黄河
の渓谷地帯の農民全体の収入レベルは依然としてかなり低いという。
 黄河の渓谷の農民の2004年の1人当たり純収入はたった1772元で、青海省平均
より232.5元低く、全国平均より1164.3元低い。黄河の渓谷海東地区の都市化レ
ベルは約20%で、青海省平均より約18.5%低く、全国より22%低い。
 同時に、貧困人口は多く、貧困の度合いもひどい。現在、黄河流域の貧困人口
は29.7万人で、青海省全体の貧困人口の22%を占め、その中でも収入が625元以下
の絶対的な貧困人口は11.4万人で、当地の貧困人口の38%を占めている。
 黄河両岸の農業区では10年のうち9年が干ばつで、単位収量はとても少ない。
少数民族の農民家庭では、その多くが、学校へ行かせるために貧しくなったり、
病気になったために貧しくなったりして、極度の貧困状態に陥っている。
 調査グループによると、調査の際、かまどがあるだけで、すべての財産を合わ
せても200元もないという農民の家が多くあったという。多くの農民は長期のわ
たる水力発電所の開発によって全く利益を得ていないのである。
 青海省、海東地区、黄河の渓谷の各県は、第九次五カ年計画、第十次五カ年計
画で、現地の貧困人口減少のために努力をしてきた。
 しかし、ダムの建設のために土地を失ったこと、かんがいコストの高騰、民族
移動による言語の問題などが原因で、効果が他地域と比較して芳しくない。しか
も、一部の多少貧困と見られていた農民も、災害、病気、教育で極貧になってし
まっている。
 確かに、水力発電所の建設期間中は、現地の建設サービスを行う第三次産業の
発展が比較的早く、税金は比較的増収となったのだが、発電所ができ上がると、
第三次産業は急速に落ち込み、歳入は大幅に減少し、収益増加の際に計画された
多くのプロジェクトは、収入減少後には大きく頓挫している。
〈地元は水力発電所の開発に失望している〉
 周教授によると、現地の各民族は、水を眺めてため息をつき、電気を眺めてた
め息をつき、ダムを眺めてため息をついている。水力電気所に失望と不満でいっ
ぱいなのだ。
 国家からの黄河の渓谷の水力発電所開発投資は巨大で、著しい効果を見せてい
るが、現地の各民族は「3つ眺めてため息3回」という状況である。
 1つ目の水を眺めてため息をつくというのは、黄河とダムが近くにあるのに、
ため池の水を使ったり、高値の水を買わなければならないことにある。かんがい
しなければならない農地のかんがいコストと電気代の高騰でかんがいができず、
かなりの土地が荒廃している。
 黄河流域の一部では、雨水や黄河からの水をため池に貯めて使っている。一部
の辺境の山岳地帯の農民は、アルカリ質やフッ素などの有害な水や雨水を使って
いる。
 黄河の水面とかんがいする耕地には標高差があるため、かんがい費用に1ムー
当たり60元から120元がかかる。さらにその他の生産資料も高騰しており、穀物
を栽培すると大幅に損をするような状態になっている。
 2つ目の電気を眺めてため息をつくというのは、発電所で発電された電気が工
場や都市や東部に送られて、現地の経済や社会発展を促進する効果が余りないか
らである。
 発電所は目の前に建っていて、現地の農民にとっては発電所を建設するために
数万ムーの肥沃な耕地を失うという犠牲を払っているのに、電気使用や電気料金
には優待的な特権は全くない。
 3つ目のダムを眺めてため息をつくというのは、発電所の近代化されたダム、
工場、職務、娯楽、宿舎などの建築物、水力発電所建設や運営に携わる従業員の
高収入に比べて、現地の農村は立ちおくれており、壊れかかった自分たちの家、
農民の貧困と著しいコントラストを描いているからである。
 水力発電所は現地の経済と社会発展にはならず、巨大な格差が目の前にあって、
幹部と民衆の心理はかなり落差がある。
 周教授は、調査研究の過程で「発電所はどんどん建設され、私たちは引っ越し
をすればするほど貧しくなり、見れば見るほど希望がなくなるのです」という話
を聞いたという。
〈現在の水力発電所の開発方式の再考と政策提案について〉
 中央党校のこの調査研究報告では、黄河の渓谷の水力発電所開発は電力事業の
発展を促進したとされている。しかし、現在の黄河の渓谷の水力発電所の開発状
況を見ると、全体での計画性がなく、現地の経済とは全く隔絶された開発方式だ
と指摘している。
 周天勇教授によると、このような開発方式では、経済的には水力発電所開発に
よって国民全体の経済発展を促進させることはできたとしても、現地の農民の貧
困脱却や発展に貢献することはないどころか、損害を与え、民衆と幹部の心理的
な落差をますます広げている。これは調和のある社会建設にはマイナス影響で、
このような水力発電所の開発はやらないほうがましであるという。
 この報告によると、現在の黄河の渓谷の水力発電所の開発方式を徹底的に変え
る必要があり、水力発電所の開発は現地の各民族が貧困から脱却し、発展を促進
させなければならないとしている。そして、西部大開発で、黄河の渓谷の民族地
域について国家は考慮しなければならないとしている。
1) 交通では、各ダム間に道路を開通させ、竜羊峡から劉家峡までを幹線道路で
 結び渓谷交通圏とする。黄河の渓谷地区のおくれた交通状況を改善して、第十
 一次五カ年計画に、発展改革委員会と交通部はプロジェクトと資金で協力する。
2) 水力発電所の開発と農業の水利かんがいをセットとし、節水と特色ある農業
 を発展させる。
3) 国は現地の観光事業を発展させるよう協力し、劉家峡から竜羊峡のダム、地
 質、森林、寺院、遺跡、民俗などを特色ある観光地帯とすることで、観光資源
 によって地元を貧困から脱却させ豊かにする。
4) 水力発電所の税収を調整して、現地の県レベルの財政収入を増加させる。現
 在の電力税収の割り当てでは、貧困の扶助、義務教育、農民の移転就職のため
 の職業教育、保健衛生防疫体系の整備などは現地の県レベル財政でできない。
 現在の黄河の渓谷の水力発電所の税収を中央と各レベルの地方自治体の間で分
 けることで、現地の県の総合税収を向上させる。
〔経済参考報2月15日〕