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待遇の落差とその行方

多くの民工には市民としての経済能力はない

 最近、建設部政策研究センターの主任が討論会で明らかにしたところによると、
今後5年で一連の政策が出され、2億人近い農民工が都市住民になるかもしれない。
 この報道のいわんとするところは、民工が都市住民となることの第一条件は都
市における安定した収入があるということである。大多数の民工にしてみれば、
まさにこれだけはなし得ないことなのだ。
 都市住民になるというのは、農民工が都市で得た収入を頼りに生活をすること
を意味する。彼らが年収のレベルの高低だけではなくて、さらにその仕事のポス
トあるいは労働収入の安定性と持続性も考慮しなければならない。たとえ彼らが
養老保険に入っても、定年退職年齢前までに一体何年十分に働けるかも考慮しな
ければならない。
 したがって、民工が安定的な収入があるかどうか、特定の一時期(例えば若年
期)だけではなくて、一生涯トータルで考えなければならないのだ。
 目下、民工年齢の需要と供給構造の間には深刻なミスマッチ現象が存在してい
る。労働集約型の製造業を例にとれば、企業が大量に募集するのは35歳以下(特
に25歳以下)の若年民工である。
 このような若年者の労働構造は2つの問題を発生させている。
 一つは、25歳以下の民工(特に女性)の供給が需要に追いつかないため、「民
工荒」(労働力不足)が発生することである。もう一つは、これらの民工が中年
(35歳より上)へと突入した後、圧倒的多数が労働集約型製造業への雇用機会が
大きく減少し、これまでの業種で仕事が探せなくなり、故郷に帰ることもできず、
民工の中年層の失業が発生することである。
 筆者は、第三次全国工業センサスに基づいて、服装、靴、玩具といった労働集
約型製造業で試算を行ったことがある。試算結果によると、35歳以下の民工が中
年(36歳以上)になった後は雇用機会が減り、失業の比率は3分の2から6分の5に
達する。
 中国人の平均余命が70歳以上であり、圧倒的多数の民工に言わせれば、「青春
飯」(若いときしかできない職業)の期間が終わった後、養老保険を受け取れる
年齢までの間には、長い20年間の中年失業期が存在するのだ。
 労働年数が短過ぎて、多くの民工が都市住民としての経済能力を持つことは不
可能である。
 多くの民工を都市市民にさせたいと思うのであれば、政府は、適当な雇用機会
を提供して彼らの中年失業問題を解決したり、都市住民に最低生活保障を与えな
ければならないだろう。
 しかし、都市には広範囲で「4050」問題(中年で下崗労働者は就職が難しい)
が存在し、市民となった民工の中年失業問題を解決することは容易なことではな
い。同様に、市民となった多くの民工家庭の長期(少なくとも10年以上)にわた
る都市住民最低生活保障については、都市財政がたえられるはずがない。
 筆者が見るに、市民としての経済能力を有する民工はほんのわずかかもしれな
い。すなわち、民工の中でも技術工か企業管理者、民営企業のトップとなった人
である。
 したがって、考慮しなければならない問題は、都市が民工を受け入れる奨励政
策を制定するに当たって、都市で定住する民工の中年失業への対応、民工の中年
期の収入の政策を保障するのかが含まれるかどうかである。
 仮に、このような政策を含むとするならば、必要となる財政支出は幾らと試算
されるのか、それは保障できるのだろうか。〔第一財経日報5月19日〕

独占業界の高給取り現象 中国国民はいつまで独占業界を養うべきか?

 独占業界の給料レベルは高過ぎるというのだが、ではどれぐらい高いのだろう
か?
 歩副部長に聞いたところ、給料は全国平均レベルの2倍から3倍高く、その他の
手当や福利厚生を合わせるともっと高いという。
 例えば、ある電力グループ会社のごく普通の従業員でさえ年間収入は15万元に
上る。この給料水準は中国平均の10倍高い。
 独占業界の給料の伸びは速過ぎるというのだが、ではどれほど速いのか?
 国家統計局のデータによると、業界間の給料の最高額と最低額の差は、2000年
の4.71倍から2004年の7.52倍に拡大している。
 正直に言うと、このような給料の伸びは高過ぎ、速過ぎというよりも、異常に
高い、異常に速いのであって、一般的な問題ではなく、重要議題として取り上げ
るべきなのだ。
 給料は労働力価格とも言えよう。自分の給料を他人と比べるとき、給料レベル
の差異は労働能力の違いとも言いかえられる。何倍の差があってもおかしくない
が、同業界内の全体の給料レベルが、その他業界、各業界平均、全国のサラリー
マンの平均レベルより何倍も高ければ、それは正常ではなく、社会公平性に欠け
ることである。
 5割高、倍高でも十分な注意を払い、原因を調査して、迅速に対症療法を行う
べきであるが、2倍、3倍、甚だしくは10倍も高いとはどういうことなのだろう
か?。
 市場経済競争に勝った独占組織であれば、高給はある程度の範囲内で合理的で
ある。すなわち、市場競争ルールに励み、社会貢献を反映した範囲内であればで
ある。
 しかし、中国の独占業界――電力、通信、金融、保険、水力発電、たばこ業等、
これらはすべて行政的な独占業界であって、給料は成果、貢献度に関係なく、行
政のパワーに左右されるだけである。
 行政パワーの源は行政権力であり、このような権力が支配する独占業界の高給
取り現象は、実は中国の全国国民の血税で独占業界を養っているということなの
だ。
 報酬は給料収入であり、イコール激励であり、絶対公平より相対公平が重要で
ある。アメリカの心理学者アダムス(Adams)はかつて公平理論を発表している。
 すなわち、従業員の働きは絶対報酬とつながっているが、相対報酬でより公平
であるかを判断する。自分の労働報酬を他人の労働報酬とを比較し、労働報酬率
が等しければ公平であるとし、さもなければ不公平である。
 言うまでなく、全国国民の血税が独占業界の「不公平」を養い、市場秩序、経
済効率、社会調和を損なっているのだ。
 歩副部長は「ある独占業界とその他業界との収入ギャップは既に社会的な注目
を呼んでいる」と話す。しかし、筆者の記憶では、中国の独占業界の給料は、高
過ぎるという事実判断であれ、公平差に欠けるという価値判断であれ、このよう
な現象は10年前から既に存在していた。それは突然にやってきた出来事でもなく、
中国の全国国民が日常生活で肌で実感していることだ。
 そこで、一番悩ましいのは、やはりこのような現象が単なる世論段階で終わっ
てしまうことだ。長年、同じような問題は何度も提起されて議論してきたが、結
局誰も表に立って解決しようとしなかった。独占業界は独占のままで、取り締ま
ることもなく、独立業界の給料は勝手気ままに勢いよく伸びていっているのだ。
 目下の問題は、このような歴史をこのまま延々と続けていくのか?中国の全国
国民がいつまで独占業界を養う必要があるかなのである。〔中国経済時報5月19日〕