熱狂の不動産市場、楽観と懸念
中国個人所得の伸びはGDP及び税収の成長を下回る
〈中国消費者行為研究報告発表〉
中国主要都市の住民は、外資ブランドの自動車に目を向けるようになっている
が、中国のスキンケア用品を買いたいとも思うようになっている。食品の価格を
比べるが、中国人は食品の安全問題により関心を持つようになっている。上海を
除いて、大部分の都市の住民は住宅価格は上昇すると予想している。
23日、国際的に有名な金融機関であるクレディ・スイスは、2006年中国消費市
場の独占調査結果を発表した。
この調査は、クレディ・スイスが北京、上海、広州、深セン、瀋陽、武漢、成
都、西安の8大都市の2700名の異なる所得水準の住民に訪問調査を行ったものであ
る。クレディ・スイスは既に3年連続してこのテーマでの調査を行っている。
〈主要な都市家庭の月収は5043元〉
クレディ・スイス中国研究部の陳昌華主管は、2006年、中国経済が高度成長し
ているにもかかわらず、多くの消費者の消費予算及び実際の支出は前年度と比べ
て下がっていると指摘する(ただし、不動産分野を除く)。
この種の表面上の矛盾減少は、2つの要素がつくり出したものだという。
一つは、消費者が多くの消費品で期待していること、例えば自動車、電子製品
の価格が下落するだろうとの見込みを持つことで、買い控えたということ。それ
からもう一つが、個人所得の伸びが相対的に緩慢だったことである。
調査では、個人所得の伸びはGDP、国有企業の利潤及び政府税収の増加を下回っ
ている。わずかに、若年者の所得の増加は国家経済の成長速度と同じであった。
昨年の中国の主要都市の家計の平均税引き後の月収は5043元で、2005年の5081
元の水準に比べてわずかに減少している。そのうち、深センの家計所得が最も高
く7554元、北京の家計所得は5528元、上海が5816元で、広州の5363元よりも高か
った。
個人所得については、2006年のこの8大主要都市の1人当たり税引き後月収は
2129元だった。20―29歳の年齢層の過去3年間の1人当たり月収は33.6%増加した。
30―39歳では21.6%増、40―49歳では14%増、50―59歳では8.9%増であった。
〈上海以外では住宅価格はさらに上昇すると予測〉
中国の消費者は住宅価格は3.9%上昇すると予測しており、そのうち北京住民は
5.1%上昇すると予測している。予測自体では瀋陽住民の予測が最も高く7.8%とし
ている。8都市中、上海の住民だけが、住宅価格は2.9%下落すると予測している。
ここ1年以内での不動産を購入する意向のある住民のうち、53%は自分の住居レ
ベルの改善のためだと答え、23%が初めて不動産を購入すると答え、13%が投資の
ために購入、5%が親族の居住のために購入と答えている。
陳昌華主管は、中国人の所得レベルに対して、中国の住宅価格は下落してしか
るべきだと考えている。
目下の状況を見るに、市場に資金はあふれかえっているが、多くの投資ルート
がなく、住宅価格は下がりにくい状況にある。特に、現在、自家用及び投資用の
需要が一緒にまざってしまっている。みんなが住宅価格の上昇を予想し、新しい
物件を買いつけ、このタイミングで中古物件を売りに出さずに、価格が上昇する
のを待つことから、市場で需要が大きくなって、供給は減り、住宅価格の高どま
りを招いている。政府の住宅価格コントロールはとても困難で、唯一の有効な方
法は供給をふやすことである。
〔中国青年報3月24日〕
社会科学院報告 中流所得者不動産購入負担は警戒線へ
中流所得者の不動産購入負担が既に警戒線に突入している。
3月21日、中国社会科学院が開催した不動産調査研究報告会の席上、経済研究所
の汪利娜研究員は、現在購入者の負担は日に日に増していると指摘した。特に、2004
年より、住宅価格の家計所得に占める割合は増加、中流所得者の現在の返済は家
計所得の50%を占めている。「これは一つの警戒線だ。仮にさらに金利が加われば、
不動産を買えない人たちはさらに不動産が買えなくなる」
汪利娜研究員と金融研究所の殷剣峰博士らは、昨年末から今年初めにかけての
2カ月間、それぞれ上海、北京、深セン等で広範な調査研究を行い、政府不動産部
門、ディベロッパー等と接触を図り、上記の結論を得た。
これらの地域は中国全国でも住宅価格が最も高く、価格の上昇が最も早い都市
である。国家発展改革委員会、国家統計局が3月19日に発表したデータでも明らか
なように、2007年2月、全国の70カ所の中大都市の不動産販売価格は前年比5.3%上
昇し、そのうち新規分譲住宅の販売価格は前年比5.9%増であった。新規分譲住宅
では、深セン、北京といった全国の不動産上昇上位2都市でそれぞれ9.9%、9.7%の
上昇となった。
上記の調査研究報告によると、今後、仮に不動産が需要が供給を上回る状況に
変化がなく、特に政府が土地売却によって住宅価格を上げるというモデルが変わ
らなければ、住宅価格はさらに一層上昇することになるとしている。
〈需要が供給を上回る状況が住宅価格を上昇させている〉
1999年に国家が住宅体制改革を実行して以降、住宅価格はますます高くなって
いる。ここ数年、政府のコントロールが強くなるに従って住宅価格下落傾向はあ
らわれなくなり、住民の住宅購入の負担は日増しに重くなっている。
社会科学院は調査研究を通じて、これは経済全体が高度成長に入ったことと市
場で需要が供給に追いつかない状況が深刻化している等の要素が関係しているの
ではないかとしている。
2003年以降、中国の経済成長は何年も連続して10%以上を記録し、都市化率の上
昇も目覚ましい。しかし、市場においては相応の分譲住宅の供給がないのが実情だ。
例えば、1996年から毎年都市化率(都市人口比率)は1.4ポイント上昇していて、
2005年の都市化率は43%である。さらに、家族構成が縮小し続けていて、そのため
に必要な住居面積、その戸数需要が増加し続けている。
毎年600万戸の住居が必要であるが、実際には2004年に市場が400万戸供給した
ほかは、そのほかの数年は供給は毎年わずか300万戸前後にすぎない。「需要が供
給を上回る状況は常態化している」汪利娜研究員はこのように述べている。
北京、深セン、上海等の都市化率は80%に達し、外来人口の比率が高くなり、住
居需要もさらに高くなっている。上海、北京の現地戸籍ではない者の住宅購入の
割合はそれぞれ25―27%、35%に達している。調査研究では、北京の平均価格であ
る1平方メートル当たり1万元以上の住宅では、現地出身ではない者の住宅購入の
割合が約43%を占めている。
このほか、住宅価格の高どまりは、政府が土地価格を引き上げ続けていること
や低価格分譲住宅の建設減少と関連性がある。例えば、北京の三環路内には低価
格分譲住宅を供給する土地はなく、四環路内で住宅向けに開発される土地は多く
なく、かつ看板を掲げている土地はとても少ない。
住宅価格が日に日に上昇するのに伴って、住宅購入者の負担も日に日に重くな
っている。国家統計局が7段階に区分した所得層別に見ると、現在、中流所得者の
住宅購入支出負担が以前に比べて重くなっている。30年の担保付ローンで、30%の
頭金で住宅ローンを組んだとして、年利が5.3%の分譲住宅を購入したとすると、
中流所得者は毎月の収入の50%以上を返済に回すことになる。
所得格差を考慮に入れると、政策効果は「不動産を買えない人たちはさらに不
動産が買えなくなる」ということである。金利が上昇すると、高所得家庭では、
返済が全収入に占める割合が2ポイント上昇することになるが、中流所得、中の下
の所得者になれば、その割合は4%、、7.8%に上昇する。
汪利娜研究員は、「金利上昇は地域によって異なり、北京、上海、広州の影響
はさらに大きく、そのうち北京の中産階層の不動産購入はますます困難になる」
としている。
事実上、現在、住民の住宅購入負担は重く、不動産ローンは既に萎縮現象があ
らわれている。国家統計局の関連データによると、個人ローンの増加額が全体の
住居販売額に占める割合は、2004年以前の50%から、2005年には15%になり、2006
年には10%に下落している。
汪利娜研究員は、このような状況は、2004年の頻繁に金利上昇がなされた局面
で、高所得者は前倒してローンを返済し、中低所得者にはローンの信用能力がな
くなったことと関係しているのではないかと考えている。相反して、仮にローン
の年利が3%に下がれば、各家庭の返済能力は極めて高くなるという。
〈住宅積立金管理は改革が必要〉
社会科学院金融所の李揚所長は、中国は住宅改革の道筋をはっきりさせる必要
があり、さもなければ各部門が提出する住宅改革プランがよければいいが、相互
に調整ができるのかが問題であると指摘している。「住居問題解決は社会の任務
であり、政府の任務である」
6年前、社会科学院金融所は、低価格分譲住宅政策を実行しないことを提案して
いる。それは、低価格分譲住宅と分譲住宅は二重の政策であり、低価格分譲住宅
が分譲住宅の市場を乱しかねないとしていたからだ。しかし、この報告にはこの
提案は採用されていない。
今までのことから考えると、上述の問題の存在はこれまでの研究の結果と一致
している。つまり、低価格分譲住宅を購入するのは高所得者であって、低所得者
は低価格分譲住宅を購入する能力がないことであり、そして、現在大量の低中所
得者が分譲住宅市場に向かっていることである。
住宅積立金にも類似の問題が存在している。
住宅問題を解決する金融的な手段として、住宅積立金の主管部門は建設部であ
り、積立金の管理機関は行政管理的な性質を持つ事業単位部門である。積立金は
毎年大量の余剰収入を生み出しているが、一般住民には住宅購入のお金はなく、
積立金は良好な役割を発揮していないと言える。
同時にまた、積立金管理機関は財政部の監督を受けていないし、銀監会も介入
する資格がない。「金融問題は金融部門の管理、監督が必要で、エンジニアが金
融を管理することはできない」ある専門家は、体制改革の歩を進める必要がある
としている。
例えば、積立金管理部門が、利益余剰部分を格安賃貸住宅に振り向けることは、
当該部門が「公によって私腹を肥やしている」ということである。そこで、この
専門家は、速やかに積立金の管理部門と建設部門を分離し、住宅銀行をつくり、
同時に住宅法の創設を急ぐといった立法工作を行うことを提案している。
社会科学院金融研究所の殷剣峰博士は、中国は海外の経験を参考にし、不動産
消費をふやす必要があると指摘している。現在中国の不動産ローン額のGDPに占め
る割合は13%であり、海外諸国のおおよそ30%という割合とは遠くかけ離れている。
住宅ローンの違約率はわずか1%にすぎず、実際には優良債権なのである。
〔21世紀経済報道3月22日〕
ジョーンズ・ラング・ウートン 中国不動産投資60%が海外から
2006年中国不動産市場投資の60%が海外から来たもの、不動産投資総額は前年比
55%増である。
国際不動産代理機関であるジョーンズ・ラング・ウートンは先般、このような
驚くべきデータを発表した。
この最新の発表された「世界不動産投資報告」で、2006年の中国不動産市場の
取引額は90億米ドルに達し、史上最高記録を打ち立て、増加幅は69%に達したと指
摘している。
内訳として、シンガポール及びその他世界的ファンドの投資比率が60%と高く、
54億米ドル、前年比約55%の増加幅となった。アジア太平洋全体における国境をま
たぐ投資は全体の地域総投資の32%を占めた。
ジョーンズ・ラング・ウートン国際資本グループの〓思建国際董事は、全世界
の不動産の発展の勢いは力強く、新興市場は目に見える投資リターンを得ている
としている。
投資が誘導される要素としては、資産規模が大きくなり、投資可能な株式がふ
えていること、個人株式投資者が不動産市場の価格にますます注目していること
もあるとしている。先般、商務部の香港・マカオ・台湾司が出した文章――絶対
優勢を占める製造業のほか、不動産業は既に台湾商人が興味を持つ業界のトップ
になったことも注目すべき点である。
ジョーンズ・ラング・ウートンの昨年の世界不動産報告の、中国不動産市場に
対する国境をまたいだ投資はこのような推計だけでつくられている。「中国はま
すます熱い投資目的地になっていることは間違いなく、資本が金融機構投資家の
間で流動し続けることによって、この2つの熱い投資地域(中国とインド)の資本
輸入と輸出の規模は急激に拡大すると確信する」としている。
2006年「国6条」が発表されたことによって、準備金率が頻繁に上昇し、業界関
係者は当時、中国不動産業は「金融政策の引き締め」によって資金チェーンが切
れると心配していた。事実は証明され、商業銀行の不動産プロジェクトに対する
融資は明らかに減少したが、中国の不動産業界の資金チェーンはいまだ際立った
緊張状況はあらわれていない。香港のコンサルタントは、早くも昨年の夏に楽観
的な推計をしている。「外資が入れば、中国国内の不動産市場はさらに広まる」
注)〓は、「赤」にふるとり
〔北京商報3月26日〕
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日本人には言えない
中┃国┃人┃の┃価┃値┃観┃ 中国人とつきあう68の法則
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