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混迷する出産の先行き・育児不安

86.3%の人が子供は負担と回答する心配事

 「赤ちゃんが泣きやまず、ミルクを与えたら、突然赤ちゃんの体が小さくなっ
て、それはあたかも私がおなかをすかせてしまったからか、みるみるうちに赤ち
ゃんは私の手の中で蛍ぐらいの大きさになって、少し光って消えてしまって、見
えなくなってしまった」蕭さんは夢から覚め、全身冷や汗でいっぱいになった。
 「私が子供を養えなかったらどうしようかと」妊娠している蕭さんはいつも似
たような夢にうなされる。「借金に追われた夢を見るわけではないけれども、私
はおなかをどうやっても動かせない、夢では自分は試験をやっていて、別の人は
すらすらと解答していくのに、私はおなかの痛みで解答できない」
 こんなこともあって、蕭さんが心療内科医に相談したところ、医者は、妊娠し
ている間の精神的なプレッシャーが過剰で、おなかの中の赤ちゃんがとても心配
しているあらわれだとした。
 たしかに、新しい生命が生まれること、本来は幸福なことである。しかし、蕭
さんには心配でならないのだ。「言うまでもなくすぐに赤ちゃんは生まれ、私に
は時間がなく、ベビーシッターを雇うにも高くても安心できない、焦らないわけ
がないわ」蕭さんにとっては、赤ちゃんは小さな負担ではない。「それは一つの
命であり、水を飲ませ、食事を与え、学校に行き、結婚もする。自分が親ならば
どのプロセスも心配で心配で」
 蕭さんと同じような心配をしている人は決して少数派ではない。先週、中国青
年報社会調査センターと題客調査網が共同で調査を行った。その調査によれば、
2685人の回答者のうち、86.3%の人は、子供は負担だと考えていて、そのうち45.2%
の人は、このような負担は「とても大きい」としている。女性(49.1%)は男性
(41.7%)に比べて負担が「とても大きい」と感じていた。
 「報道で言っているわけではないけれども、子供を育てるには49万元が必要!」
お母さんとなった江さんは言う。2年前、まだ赤ちゃんを産んでいない彼女がこの
法外な値段を見たとき、少し疑いの気持ちを持ったという。
 「49万元で1人の赤ちゃんを養う」。これはわざと驚かせているのかと。両親が
指折り数え始め、江さんもそのお金を計算し始めた。
 妊娠検査と保健は、最初は毎月1回、36週後は毎週1回である。毎回の検査は少
なくとも40元。3回の超音波検査が300元。ダウン症スクリーニングに180元、2回
の糖負荷検査とあり、妊娠期間の検査で1000元以上の出費である。
 毎月1ケースの赤ちゃんの粉ミルクが130元、毎月の果物に200元、マタニティー
ウエア、電磁波防止エプロンが600元、妊娠期間で5500元の出費があり、「多くの
栄養食品を計算すれば、妊娠後の毎月の食料費は倍増する」
 赤ちゃんのための用品、ベッド、ベビーカー、浴槽、寝具、衣服、おもちゃ、
胎教及び赤ちゃんの読み物や映像メディアといったものがあるが、「多過ぎて細
かくは計算することはできないけれども、2500元でも足りなくて多くはない」
 「計算してびっくりしたが、1万元持っていなければ、子供さえ産むのがはばか
られるのか!」江さんは考え続けることもできなかった、赤ちゃんのために、そ
の後さらに買わないといけないものがメジロ押しだ。「幼稚園、小学校、高校、
大学――、これらにはお金が要る」
 目下、子供を育てることのコストは幾何級数倍に増加していることは今さら言
うまでもない。学費、生活費、栄養費、入学金、補習費……日増しに子供の消費
によって、多くの家庭の家計計画がますます子供の費用にと偏っていく。調査で
も、59.0%の人は、子供を育てる経済負担が重過ぎるから子供を持たないかもしれ
ないとしている。
 そういうこともあってか、大衆の58.9%は、子供に良好な成長条件を与えようが
ないことを心配している。例えば、ネットユーザーがしきりに言っていることだ
が「子供は高い消費財であり、一生ものの買い物である、もし子供の幸せに成長
させる自信がないのであれば、子供を生んでも苦しませることになる」
 マスコミで働く馬さんは、筆者に対し、「子供が大きくなるまでに学校を選び
受験もする、それはまるで保護者にも試練。私たちが小さいころはこんなことは
なかったのに」と話す。
 調査のうち、39.3%の人は、馬先生と同じように、子供は小さいころから競争に
さらされ、保護者のプレッシャーも大き過ぎると感じている。
 既に子供を持っている人(83.4%)に比較して、子供を持っていない人(87.5%)
の方が、子供は負担の一つだと見る。
 働いて4年になるおしゃれを自認する趙梁さんは、最初は大人になっても親のす
ねかじり、そのうち自助努力して、住宅ローンのために奴隷のように働く層に入
り、そして今は、ディンクスを確立している。「負担が重過ぎて、生活の質に影
響する」
 趙梁さんのように決めている人たちはそれほど多くはない。調査によると、28.4%
の人が子供を産むと事業の発展に影響すると考えていて、キャリアアップと子育
ての困難にさいなまれるとし、26.7%の人は、子供を持つことは生活の質に影響が
あるはずで、気ままでロマンチックな二人の世界はなくなってしまうとし、25.9%
の子供を持つ母親は、妊娠期間は苦しくて痛かったと感じている。
 しかし、現実には、「あなたは将来子供が欲しいか」と質問されれば、65.1%は
「たしかに欲しい」とし、25.5%は「多分欲しい」とし、「多分つくらない」とい
うのはわずか1.6%にすぎない。
 調査のうち、こんな図式をかいた人がいた。出会い+恋愛+結婚+出産=幸福。
78.5%の人は、子供のいる人生は幸福であり、パーフェクトな人生だとしている。
 調査の参加者の中には、「子供の負担はもともと子供がもたらす幸福と比較す
ることはできないもの。車、猫、犬を飼うことでは子供のような幸福には至らな
いということだ」と書き残している人もいる。
 28.7%の人にとってみれば、子供がいることのいいことは、自分が実現できなか
った夢を続けることができるからだとしている。「私は女の子が生まれたら張曼
玉のようにしたいし、男の子が生まれればトニー・レオンのようにしたい。彼ら
は私が一番好きな俳優だ」これは寝室で繰り広げられるありふれた話だ。コンピ
ューターを学ぶ彼女は、子供のころの俳優になる夢はもはや実現できないことを
知っているのだった。
 このほか、子供が欲しい原因としては、48.6%は、子供を持つことは結婚を安定
するとし、37.6%の人は両親の指示に従う、22.2%は子供がおもしろいから、10.7%
が老後の介護のためとしている。
〔中国青年報7月23日〕

富裕層の超過出産 対応やいかに

 北京大学人口学研究所の喬暁春教授によると、湖南省は富裕層による超過出産
への歯どめとして、罰金基準を倍に引き上げる計画で、事実上、社会扶養費を昔
の「超過出産罰金」に変えようとしている。富裕層による超過出産は貧困層によ
る超過出産に比べて社会資源をより多く使うわけではなく、処罰強化には根拠が
ない。
 長沙晩報の報道によると、湖南省人民代表大会(湖南省全人代)常務委員会は
7月23日、「湖南省人口計画生育条例」(修正案・草稿)を審議した。この草案に
よると、湖南省は富裕層の出生超過の歯どめとして、罰金基準を倍額に引き上げ
る旨が規定されている。
 現行の「違反した出産者は、年収(実績ベース)に応じた社会扶養費を倍額、
徴収する」との規定と異なり、前述の草稿では、「違法出産行為が発覚した当時
の、前年の年収総額」を徴収すると改定されている。
 この草案はさらに、「子を違法に一人多く出産した者は、違法出産行為が発覚
した当時の前年度の収入総額の2倍―6倍を徴収する。重婚による出産あるいは配
偶者ではない者による出産については、6倍―8倍の額を徴収する。子を一人超過
出産するごとに、その人数に応じ徴収額を3―5倍に増加させる」と規定する。
 現行の「湖南省人口計画出産条例」は2003年1月1日から施行されたとされている。
 北京大学人口学研究所の喬暁春教授は、「罰金を倍に引き上げることで、富裕
層の超過出産に歯どめをかけ、富裕層の超過出産を低下させる効果があることが
確認でき、これによる効果が続けば、こうした手段は議論する価値があるという
ことになるだろう」という。
 喬暁春教授は、「現行の「人口計画出産法」に基づき、超過出産行為につき社
会扶養費を徴収すべきだ」と話す。
 超過出産者にしてみれば、社会扶養費の支払いは社会全体への一種の「過失に
伴う賠償」であって、それは超過出産行為が社会資源をより多く使うからだ。つ
まり、「人口計画出産法」の発布前は一般的だった計画出産罰金と同質のものに
当たる。
 前者の社会扶養費は超過出産行為者の社会への賠償を重視するもので、罰金は
「懲戒機能」がより強調される。
 湖南省が審議している「富裕層による超過出産」への対処策は、実は、社会扶
養費の「補てん機能」を人に負わせるべく改定するもの。富裕層など特定の集団
に対する懲罰機能をより強調している。実際には、社会扶養費は以前の「超過出
産罰金」に変わっている。
 通常、貧困者層であろうと富裕層であろうと、子どもを一人超過出産すれば、
社会資源をより多く使うことになる点では同じだ。富裕層の超過出産が貧困層の
超過出産に比べて社会資源をより多く使うわけではなく、処罰強化には根拠がない。
 法的に見ると、上述の規定には一つの疑問がある。「人口計画生育法」が施行
された場合、「法の下の平等」を堅持するのか、それとも特殊な対応をするのか
ということだ。
 特定の集団に対して特殊な懲罰政策を制定するとしたら、今後は、より普遍的
な流動人口の超過出産にも、特殊な対応の政策を制定するのだろうか。また、公
務員が超過出産した場合は、単独で特殊な政策を制定するのだろうか。
 喬暁春教授は都市部の流動人口の超過出産に比べ、富裕層の超過出産総数はか
なり小さいと見ている。
 中国の総出生率は既に低いのが現実で、富裕層の人口全体に占める割合は大き
くなく、富裕層の超過出産が人口絶対数の増加に対して与えている影響は小さい。
 湖南省の関連部門の今回の行為は、主に「富裕層の超過出産」をなくす効果に
着目している可能性がある。
 喬暁春教授は、上述の草案には2つの政策的な意味が含まれているという。
 「一つは、社会公衆に啓蒙するもので、計画出産政策が変更されることはなく、
むしろ強化されていること。二つには、富裕層の超過出産者はスケープゴートで
あって、その効果を示すことで、より多くの超過出産を防止しようとするもので
あること。だが、効果を発揮するかどうかは、合理的かつ合法であるかどうか、
十分な討議が尽くされなければならない」
 例えば、ある富裕層が当初、現行規定に基づいて2万元の社会扶養費を納付する
と想定して超過出産すると決めたとする。10月に妊娠し、上述の弁法が子どもの
出産後に制定された場合は、この富裕層は20万元の社会扶養費を納めなければな
らない可能性がある。これは明らかに朝令暮改による「遡及処罰」が疑われる。
 喬暁春教授は、「超過出産問題への対処については、長期的に考察すべき」と
の認識を示す。
 「社会の各界各層で超過出産への動きがあり、既に行動に移されているのだと
したら、長期的かつ厳格に人口を抑制する政策を多少調整する必要があるという
ことだろう。たとえ現行の政策を変えないとしても、超過出産問題に対して、や
はり制度による事前の警告に立脚すべき。選択的立法で、問題を思いつくごとに
法律を追加することはできない。立法の随意性は、間違いなく政府、法律に対す
る国民の信頼低下につながる」〔財経7月25日〕
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 日本人には言えない
   中┃国┃人┃の┃価┃値┃観┃  中国人とつきあう68の法則
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―――――――――――ISBN 4311603290 四六判 216頁 本体1680円 学生社
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