2007年度中国人的資源十大ニュース
2007年度 中国人的資源十大ニュース
2007年は、ヒューマンリソースにとってはすごく特別な1年であり、中国の労働
関係立法においても重要な1年だった。ここ1年で、「就業促進法」「労働紛争仲裁
法」などの重要法律が紆余曲折を経てついに審議され通過した。
しかし、最も注目を集めた法律はといえば、「中華人民共和国労働契約法」しか
ないだろう。年初の「労働契約法」草案がもたらした論争から、「労働契約法」通
過がもたらした期待、年末の華為による「従業員解雇事件」がもたらした懸念、こ
の法律がすべての職場で働く人に影響を与えている………
人的資源業界の最も権威のある年次評価として、「中国人的資源(ヒューマンリ
ソース)年間十大ニュース」は既に2度実施されている。これは、中人網ニュース
サイトが春節に専門人的資源ポータルサイトに委託し、ベテランのヒューマンリソ
ースマネージャー100人と中人網ヒューマンリソース会員97.5万人がともに交流す
る定番行事である。
2007年度の中国人的資源(ヒューマンリソース)十大ニュースは、既存会員の評
価の上に専門家集団の評価を加え、100人のベテランア専門家、学者、優秀企業の
ヒューマンリソースマネージャーが共同参画し、独自の見解と鋭い眼光、専門家の
角度から事件の評価を行うものである。2008年初めに、我々の身の回りの「ヒュー
マンリソースニュース」を振り返ってみよう。
〈最終評価された重大ニュース〉(発生時間順)
1) 「中華人民共和国企業所得税法」公布
▽事件内容――3月16日、第10期全国人民代表大会第5回会議で「企業所得税法」が
通過、2008年1月1日に施行された。
▽選出理由――これは一般労働者には大して重視する問題ではないかもしれないが、
企業経営者に関していえば、一つの重要な変革である。内資企業の税率軽減と同
時に、労働者の賃金、保険、福利等支出が税額控除され、企業の負担が軽減され、
このことが企業が従業員の福利増進を刺激した。この種の奨励策は労働契約法の
方法よりもより堅実で、市場経済のルールの一つの方法にも合致している。
2) 聯想集団が世界レベルで人員整理
▽事件内容――4月19日、国際業務が予想に到達しなかったことにより、聯想集団
は世界で1400のポストを削減、転勤を含めなければ、この人員削減によって約650
ポストを削減した。人員削減のコスト支出はおおむね5000万―6000万米ドルで、
再構築で約1億米ドルの支出を節約できたと予想される。
▽選出理由――企業が業務予想によって人員削減をすることは現代の企業管理にお
いてしばしばよく見られる現象である。会社の業務は、国際基準に沿って、人的
資源と企業発展戦略が良好に結びついていなければならず、成熟した企業は、い
かにして人員削減等の人的資源管理手段を通じて企業の経営効率及び競争力を向
上させるかを知っておくべきである。
3) 山西闇れんが工場事件
▽事件内容――6月、河南省のとあるウエブサイトが山西省のある地方にある「闇
れんが工場」について紹介し、社会の強い関心を引き起こした。国家関連部門の
調査によって、山西省の無許可れんが工場合わせて3186戸、労働者8.1万人が判
明した。これらの闇れんが工場は、農民工をだまして連れてきたり、人身の自由
を制限したり、児童労働を行っていたり、甚だしきに至っては農民工を殴って死
に至らしめる深刻な違法労働行為が行っていた。
▽選出理由――この事件は「インパクトがある」――今現在においても依然として
不合理(非合法)な雇用が多くの企業に存在している。各種法律法規の制定は重
要であるとはいえ、さらに重要なことは、各レベルの政府の職能部門がいかにし
て監督執行を行うかである。この山西省の「闇れんが工場」事件は、「労働契約
法」の第38条、93条、94条、95条の条文修正に直接的な影響を与え、さらに「労
働契約法」の高い関心の上での通過成立につながった。
4) 「労働契約法」公布
▽事件内容――6月29日、第10期全国人民代表大会常務委員会第28回会議で「労働
契約法」が審議、通過し、2008年1月1日に施行された。
▽選出理由――労働法規の一つとして、契約法の公布は企業及び個人には総じて小
さくない衝撃があった。労働契約制度が整備されれば、労働契約双方当事者の権
利及び義務が明確化するし、特に、調和のとれた労働関係の構築は、和諧社会の
基礎となる。
5) 「就業促進法」公布
▽事件内容――8月30日、第10期全国人民代表大会常務委員会第29回会議で「就業
促進法」が採決、通過し、2008年1月1日に施行された。
▽選出理由――就業促進法は就業の業務メカニズムと体系の法制化を促進させるも
のであり、このことによって就業の長期的なメカニズムの促進を図り、積極的に
就業政策の長期有効な実施及び運営を保障するものである。これは社会の調和と
安定の基本的な保障であり、労働者が社会において社会経済発展の成果を享受す
る基本条件である。
6) 140万人の新卒大学生が就職できず
▽事件内容――10月、教育部の統計によると、2007年の中国全国の新卒大学生は495
万人で、2006年比82万人増加し、卒業生総数及び増加数ともに最多となった。9
月1日までに、中国全国の普通大学卒業生の就職者数は351万人で、前年同期比54
万人増となったとはいえ、依然として140万人の大学卒業生が就職できていない。
▽選出理由――「就業促進法」及び「労働契約法」が出され、企業は新卒大学生の
募集及び雇用にさらに慎重になっている。企業の長期的な発展から見て、企業に
とっての人事、雇用の新たな課題は人材育成と有能者の雇用である。大学生就職
問題は既に社会問題であり、企業は責任を持って発展計画に組み入れるべきであ
り、このことが企業、社会、個人にとって積極的な役割を果たすものになるはず
である。
7) 華為の「1000人解雇事件」
▽事件内容――2007年10月8日、華為公司は、任正非社長を含む社内で満8年以上の
従業員が、2008年1月1日前に、相次いで自主的な辞職手続(まず自主的に辞職し
てから、競争を経て再雇用)、1―3年の労働契約を結んだ。現行の従業員番号を
廃止し、すべての従業員番号を再構成した。華為は今回の事件で10億元近い支出
をしている。
▽選出理由――華為のこの行為の合法性を論じないが、華為事件とは企業の「労働
契約法」への対処を見せつけたスキャンダルであり、「労働契約法」の宣伝に大
いなる貢献をし、シンボル的な役割を果たしたが、そのコストと代償は高過ぎた。
8) アリババ上場で大量のミリオネア
▽事件内容――11月6日午前、アリババは、香港で上場した。発表されたアリババ
の株式募集書によれば、現在、アリババの株を保有している従業員(董事を含
む)は4900人で、彼らは合わせて約4.04億株の株式、3919万株のストックオプシ
ョン、25万株の制限つき株式を持つ。合計4.435億株、従業員平均で9.05万株、
アリババの株式募集価格の仲値11香港ドルで計算すると、1000人近いミリオネア
を生み出したと予想される。
▽選出理由――ストックオプション、株式計画の整備は、今後上場する会社には欠
かせないインセンティブであり、計画の整備及び執行のよしあしが会社の人材の
重視程度を示しているが、株式によるインセンティブがインセンティブになるか
どうかは、すべての上場企業のトップとヒューマンリソースに突きつけられている。
9) 「従業員有給休暇条例」の公布
▽事件内容――12月7日、国務院第198回常務会議で「従業員有給休暇条例」が通過
し、2008年1月1日から施行された。
▽選出理由――企業内部の福利制度に見えるが、国家が高く重視をしている。これ
は急速に発展する企業がいかに良好な人事環境をつくり、積極的な推進作用を果
たすかである。実施に当たって問題に遭遇することになるが、結局企業の人的資
源管理業務にとってさらに大きな挑戦をもたらすものである。
10) 「労働争議調停仲裁法」公布
▽事件内容――12月29日、第10期全国人民代表大会常務委員会第31回会議において
「労働争議調停仲裁法」が採決、通過し、2008年5月1日に施行される。
▽選出理由――いかにして法的手順を理解、遵守して人的資源の問題を解決するか
は、ヒューマンリソースが真剣に学ぶ必要があることである。労働争議調停仲裁
法によって公正に直ちに労働争議を解決され、当事者の合法的な利益が保護され、
労働関係や調和と安定の促進が積極的な作用を果たすことになり、中国企業の人
的資源管理にとっての影響はとても大きい。
〔中国人力資源開発網1月29日〕
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―――――――――――――――――――――――――――― 李 年古 著 ―
日本人には言えない
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