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労働契約法の法律の穴

外国企業の合法的な資本減が労働契約を空文化させている

 外国企業の中国への投資には投資期間がある。もし、彼ら外国企業が投資の時期
が到来して資本を減らし、企業の法人主体が消滅してしまえば、いわゆる無固定期
限労働契約も空文と化す。この問題はどのように解決するのか?
 全国人民代表大会代表、上海徐匯区工商聯の樊芸さんは記者の取材に対し、労働
契約法はいかにその他関連法律とのそごを来しているかについて警鐘を鳴らした。
 樊芸さんの警鐘は既に現実のものとなっている。1995年前後に大量の外資企業が
上海に投資しているが、投資期限を15年としていれば、2年で期限が到来する。昨
今、上海のビジネスコスト、労働力コストは大幅に上昇し、その上労働契約法の要
素が加わり、外資企業はこれを機会に上海から撤退、甚だしくは中国から撤退する
ことはないだろうか、これは動向を注視する価値がある。
 実際には、幾らかの外資企業は、中国の法律のすき間の中を泳ぐことを既に習熟
している。投資初期の税金の減免待遇を受けてから、また外資企業の中には隔年で
再投資し、中国政府から受けた税優遇を享受し続けるところもある。さらに、外資
企業は公然と中国の法律を軽視し、労働組合を組織することを拒んでいる。労働契
約法に対して、彼らは何とも思っていないのだ。
 外資企業だけでなく、内資企業も同様の問題に直面している。樊芸さんによると、
企業の工商許可証にはすべて期限があり、期限が到来すれば自動的に失効し、その
企業は存在しないものとなる。もし、企業がこのような方法で労働契約法を回避す
れば、処理はとても難しくなるという。
 したがって、労働契約法に対して、樊芸さんは、一方で企業家への理解を呼びか
け、同時に、全国人民代表大会の立法作業において、法律の間のそごに注意し、法
律の間で衝突する問題を解決すべきだと提案している。
 樊芸さんはさらに、労働仲裁でどのようにして公正性を持たせるかについて自己
の見解を示した。
 調査研究では、労働者の権利が向上するに従い、労働仲裁案件は大幅に増加して
いる。しかし、労働仲裁部門の法律執行は簡素化する傾向あり、企業の敗訴率が非
常に高い。
 幾つかの仲裁案件では言われたままに処理されたものもある。従業員に間違いが
あるときもあるのだが、企業はただただお金で解決するだけである。上海では、労
働契約法の法律のすき間を突いて、企業に雇用されてからまともに出勤せず、企業
が解雇するときになって、調子に乗って企業をゆする人もあらわれている。樊芸さ
ん自身、かつてこのような事例に遭遇したことがあるという。
 樊芸さんは、このような事案に対し、労働仲裁は5つの方面の人材で構成される
べきだと提案している。社会学者、法律工作者、企業家、労働者、仲裁部門工作人
員というふうに陪審員に類似した組織をつくれば、さらに公正で公平な仲裁に役立
つとしている。〔中華工商時報3月11日〕

労働法を回避 企業が意図的に会社分割、従業員を相互派遣

 新しい労働契約法が実施後、多くの企業では無固定期限契約はいわゆる「鉄飯
碗」だと誤解し、「鉄飯碗」へのおそれから、多くの企業では 「固定労働を派遣
に変える」「従業員の労働年数をゼロにする」等の方法で無固定期限契約を避けて
いる。
 記者が連日取材しているところでは、広州で、単一の会社が甲と乙の2つの独立
の法人格を持つ企業にわかれ、企業の従業員が相互に派遣されるという新手の回避
方法を発見した。従業員のもともとの労働年数のカウントは新しい法律の中では言
及されていない。専門家は、この種の問題は関連部門が早急に明確にすべきだとし
ている。
 謝オーナーは広州で関税申告や証明書申請を主体としたサービス会社を営んでお
り、もともと20人以上の従業員がいた。
 新しい労働契約法が施行された後、雇用コストを考えて、彼はたくさんの労働契
約法対策の専門講座に受講した。法律の原文及び立法趣旨を詳細に把握した後、人
件費コスト及び従業員との無固定期限契約調印後の経済補償金問題は彼が眠れなく
なるぐらいの問題の一つになった。
 あらゆる状況を考え、詳細に計算した後、彼は、自分の会社を2つの独立した法
人格を持った会社、それぞれ関税申告と証明書申請に分け、彼と彼の奥さんがそれ
ぞれの法人を担当することにした。
 「実は、問題のかぎは、我々が分割した後に現在の従業員との間の労働契約を履
行し続けるかどうかという問題ではなく、ある従業員の労働契約が満期になった後
に、彼を甲社から乙社に移したということにすれば、我々は3年までの固定期限契
約を結び続けられるということである。
 企業法人を変えたことによって、甲社にまた戻ることになるが、戻るまでの期間
が長いために、元会社の労働年数はゼロになってしまう。このような法人との契約
を繰り返せば、我々は永遠に1人の従業員との無固定期限契約を行う必要はない」
 謝オーナーのやり方は意図的に労働契約法回避している疑いがあるが、彼は法律
のすき間を突いているのだ。
 そして、労働者派遣分野で論議されているのは、ある1社の労働者派遣会社を2社
に分割するという方法である。これは既に多くの労働者派遣経営者が採用している。
 「1つの労働者派遣会社を2社に分けた場合、従業員は変わらないが、彼らを雇用
した会社は甲社、乙社といったような会社に変える。このようにすれば、無固定期
限契約の問題は解決できるのではないか」。広州のある他省の労務派遣会社責任者
である陳さんの考えは偶然にも謝オーナーと一致している。〔信息時報3月6日〕

外資企業の63% 中国大陸の新労働法が原因で投資減少か撤退検討

 香港の報道によると、ある調査で取材を受けた香港企業、外資企業の65%は、中
国大陸が今年より実施した新労働契約法に不満を持っており、63%は中国大陸への
投資意欲が減った、撤退を検討すると示している。
 調査を担当した香港専業人材協会は中国大陸の400社以上の香港企業及び外資企
業を取材した。
 それによると、新しい法令を理解したと答えたのはわずか17%で、新しい法令の
求めに従って従業員と新しい契約を結ぶことができるとしたのは半分にも満たなか
ったという。
 香港専業人材協会によると、一部の企業では、新労働法に対応して、従業員の給
料を1割から2割減らすことでコストを減らすことを検討しているという。また協会
では、香港政府は企業への協力が不十分だと批判している。
 ある中国大陸の学者は、新契約法によって中国大陸の内地企業が高付加価値、高
技術時代に入ったということであり、労働集約型の外資メーカーが淘汰されること
が予想されるとの見解を示している。〔和訊網3月5日〕
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―――――――――――――――――――――――――――― 李 年古 著 ―
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