四川大地震、被災から復興へ
中央銀行、復興貸付に特別限度額を設定か
金融引き締め政策が被災地域の復興需要に直面し、試されている。中国国内の大
手各行による被災地域への追加与信限度額は5月27日午前時点で累計1000億元を超
え、うち94億9400万元が既に貸し付けられた。その一方で、国務院の温家宝総理は
数日前にも、マクロコントロールのさらなる強化・改善とインフレ抑制の必要性を
強調していた。
中国人民銀行（中央銀行）にとっては、引き締め政策と地震被災地域への救済と
のバランスをとることが急務だ。内部関係者によると、特殊な状況であるため、中
央銀行が被災地域の復興貸付限度額を設け、また特殊事情による特別措置として特
別口座を開設する可能性があるという。
中国人民銀行新聞処の関係者は、27日朝の時点では、被災地域の復興支援政策を
打ち出す可能性を排除していない。
〈追加与信額1126億〉
中国銀行業監督管理委員会（銀監会）が27日に発表した最新報告書によると、5
月26日午前までに、各銀行金融機関は四川省の被災地域へ地震救済及び復興資金と
して94億9400万元を貸し付けている。甘粛省、陝西省、重慶市は5億5000万元以上
を貸し付けている。28日の速報ベースでは、金融機関が被災地域へ貸し付けた追加
与信額は27日時点で累計1126億元に上っている。
「金融機関が救済のために注入した資金の規模と復興の資金需要の大きさは比較
にならない」間もなく始まる大規模な復興は、国泰君安のアナリスト伍永剛氏を悩
ませる。金融機関の貸付額が総量規制に置かれる中では、復興需要がさらに引き締
めを進めることになるからだ。
「商業銀行は貸付限度額を一般の商業貸付に充てたいと考えている。被災地域向
けの復興優遇貸付は恐らくその多くを大手銀行や政策銀行が負担することになるだ
ろう」ある地場銀行の貸付業務経理の27日時点の話では、「当行は、現時点では復
興計画に直接かかわっていない。だが、大手銀行が資金不足に陥れば、インターバ
ンク市場を通じてその圧力が蔓延する」
その証拠に、21日、国家開発銀はインターバンク市場で、期間5年の利付金融債
（変動利率）を総額200億元売り出した。国家開発銀行の被災地域への与信額は少
なくとも260億元に上る。前出の貸付業務経理は「当初のマクロコントロール目標
が被災状況により影響を受けている。中央銀行が新しい対策を打ち出す可能性は大
いにある」と話す。
被災地域の復興支援のため、中央銀行は急遽被災地域向けの追加融資額を70億元
に引き上げた。だが、伍永剛氏は、中央銀行の政策はまだ救済の滑り出しにすぎず、
さらに多くの復興支援が必要になるとの認識を示す。
事実、中央銀行の李超スポークスマンは16日、成都での記者会見で、中央銀行が、
信用貸付について相応に調整する可能性があることを認めている。この点について、
中央銀行新聞処の関係者は、27日時点では新しい政策が発表される可能性を排除し
ていない。
〈特別口座を開設する可能性も〉
業界関係者によると、中央銀行の政策の余地は大きいという。前出の貸付業務経
理は、復興支援は、まず国有大型株式銀行が先頭に立って実施し、中央銀行が別枠
の貸付枠を与えるべきだろうと話す。また、こうした状況下では「中央銀行が特別
口座を開設するに違いない」と述べる。
ある商業銀行の上海支店の公司業務部門を務める副宋経理は次のように語る。
「中央銀行は、被災地域の復興のためにより多くの貸付限度額を設ける可能性は非
常に高い」このため、中央銀行は特殊事情による特別措置として、特別口座を設定
する可能性がある。設定されれば、全国の信用貸付と被災地域の復興のための貸付
は互いに影響を与えない。また、金融機関の資金が本当に復興に充てられているか
監督することもできる。
中国社会科学院金融研究中心の憲容研究員は次のように見る。「金融引き締め政
策に変更はない。四川省に対して緩む可能性はあるが、大きな影響はないだろう」
〔東方早報5月28日〕
震災後四川のセメント年1000万トン減産 短期的には生産回復困難
地震により、セメント企業の生産ライン及び生産設備が破壊され、検査と補修及
び生産ラインの修理には一定の時間が必要となっている。このほか、被災地域の交
通、電力、通信、水道、電気等のインフラも破損し、その被害も深刻であることか
ら、セメント企業の生産に影響が出ている。
地震は短期的には四川省内のセメント供給減少をある程度もたらすかもしれない。
大まかな推計では、四川省内のセメント企業の生産能力の減少は少なくとも年産1000
万トンに相当するという。
〈短期的な生産回復は困難〉
四川の被災地のシャフトキルンを持つセメント企業の被災は深刻で、ブンセン、
綿陽、徳陽等被災が深刻な地域のセメント企業の生産回復には一定の時間がかかり、
四川省内のセメント供給の減少は一定期間続くと予想される。
大まかな統計によると、ブンセンの被災が深刻な企業のセメント生産能力は少な
くとも70万トン以上ある。また、綿陽市ではセメント企業が合わせて35社あり、年
700万トンのセメント生産能力を有しているが、このうち、一部の生産能力が深刻
な被害を受けていると推計されている。徳陽では生産能力100万トン以上の被災が
深刻である。
大まかな推計では、四川省内のセメント企業の生産能力の減少は少なくとも年産
1000万トンに相当するという。四川省内のセメント供給の減少動向はもちろんセメ
ント企業の生産回復の進捗と新規に建設される生産ラインの状況によって決まるわ
けだが、四川省外の省のセメントが持ち込まれれば、一定程度セメント供給圧力が
緩和されると見られる。
地震によるシャフトキルンの被害は深刻で、四川省内の立ちおくれていたセメン
ト生産能力の淘汰はさらに加速すると見られる。新型乾式セメント生産ラインの新
規建設には一定の時間が必要であるため、しばらくの間は四川省内のセメント供給
は大きく逼迫されることになろう。
〈復興には少なくとも4800万トン〉
地震による建物及びインフラの破壊で、被災後の復興は極めて困難で、かつ数年
あるいは相当長い歳月が必要である。大規模な復興により、セメント製品の需要は
増加することになろう。
被災後、復興のためのセメント需要は、大まかに以下のように予想される。
今回の被害は深刻であり、倒壊及び損壊した家屋は少なくとも400万戸以上、多
くの地域では廃墟を復興することになる。そこで、震災復興のセメント需要を都市
化の進展を目安に簡略化して推計することにする。
あるデータによれば、都市人口が1人増加するごとに、少なくとも住宅建設、公
共インフラ、市庁舎建設等の投資に6―9万元必要である。四川省内の直接被災した
1000万人超のうちの3分の2の人口で推計すると、新規に4000―6000億元の固定資産
投資が増加することになる。
そして、第十次五カ年計画期間において、全国固定資産投資1万元当たりの平均
コンクリート消費は1.2トンとされており、4800万―7200万トンのセメント需要が
増加することになる。
これは大まかな直接被災人口で復興に必要なセメント需要を計算している。間接
被災人口2000万人以上に達しており、被災後のインフラの復興は待ったなしであり、
この部分のセメント需要も小さい数字ではない。
被災後復興の都市化の進展は同一ではないが、このセメント需要推計は参考にな
るもので、復興がもたらすセメント需要は少なくとも4800万―7200万トンを下回る
ことはなく、1億トンを超えることもあるかもしれない。当然、被災後の復興は困
難で、この需要推計は数年間のものである。
セメント市場及び生産ラインの分布状況によれば、四川金頂、四川双馬、亜東セ
メント、拉法基等の四川省内の企業は震災復興のセメント需要増に直接利益を受け
ることになり、重慶、貴州、雲南、甘粛、陝西等の近隣省市のセメント企業も一定
程度震災復興のセメント需要増の恩恵を受けることになる。
雲南瑞安、祁連山、華新セメント、陝西の漢江建材等は地理的にも四川に近く優
位である。また、華新セメント、海螺セメントはそれぞれ四川省内に新規にセメン
ト生産ラインを建設する計画で、震災復興の数年間、これらの新規生産ラインも震
災後のセメント市場成長の恩恵を受けることになるだろう。
〔新快報5月28日〕
広州 震災支援でテント、生理用ナプキンの商売が繁盛
哀悼の日期間中、広州市では一部の業界には影響があったものの、広州市民の多
くが関心を持つ震災支援のため、食品、医薬品、テント、寝袋、アウトドア商品、
生理用ナプキンなどを販売する店の商売が繁盛している。
〈デパートなど小売業の売り上げは2割減〉
哀悼の日の3日間、デパートやショッピングセンターの客足は明らかに減少し、
小売業の売り上げが全体的に約2割減った。すべてのデパート内ではミュージック
を流すのをやめ、いつものにぎやかなムードは店員たちの荘重な悲しそうな雰囲気
に変わった。
売り上げの減少は客足の減少によるほか、一部の高級品の売り上げの激減に関係
している。
多くのデパートの責任者の話では、値段が非常に高いぜいたく品、高級タバコ、
金製アクセサリー、ブランド時計など高級消費品がほとんど売れなかったという。
友誼商店の関係者の話では、顧客は一般的に喜々として高級消費品を買いに来る
ものだが、四川省で同胞らが大地震に見舞われ、政府は国民全体に3日間で、地震
による死者に哀悼の意を表するよう呼びかけ、多くの人々は重苦しい気持ちになり、
買い物する気にならなくなったことから、この時期にぜいたく品を買う人も自然と
少なくなったという。「販売員及び売り場責任者は皆、直近の売り上げの減少の現
状については納得している」とこの関係者は語った。
〈女性ホワイトカラーが生理用ナプキンを被災地に寄付〉
全体的に売り上げは減少したにもかかわらず、一部の生活必需品はよく売れた。
記者の取材によると、多くの市民や企業は、わざわざデパートに乾パン、雲南白薬、
生理用ナプキン、紙製パンツなどの日常生活品を買いに行き、勘定を払った後、即
時に被災地に郵送したという。
広百百貨北京路店内で、記者はたくさんの生理用ナプキンを買う3人のおしゃれ
な若い女性に出会った。3人は被災地の女性が生理にとても困っていることを聞い
た後、被災地に生理用ナプキンを寄付するためにわざわざ買いに来たという。
「被災地では救援物資がすべてそろっているわけではなく、女性は生理期間中に
ナプキンがなければ、便器にかけるしかない。我々は同じく女性で、生理期間中の
苦痛がよくわかっているからそれぞれ用意した。夏服を買うお金を2000元集めて、
生理用ナプキンを買って被災地に寄付する」と李さんは話した。
「一番信用できるブランドを選んで、それぞれおりものシート、日常用と夜用ナ
プキン、合わせて5箱を買った。店側は我々の目的がわかった後、わざわざそれら
の生理用品を梱包し、郵便料金までも立て替えてくれた」
取材記者の話では、生理用ナプキンのほか、ビスケット、インスタントラーメン、
紙パンツ、ばんそうこう、雲南白薬スプレーなど、被災地で必要な物資がよく売れ
たという。
〈震災支援のため原価で売る商店〉
「以前、なかなか売れなかった商品が、最近、かえって供給が需要に応じ切れな
くなっている。個別のブランド品によってはもう入荷できない状態にある」と天河
城百貨アウトドア売り場の関係者が記者に語った。
「多くの機関・団体や個人は、価格の高低にかかわらず、品質が一番よく、地震
に強いテントや寝袋を指名し買い求めている。また、これらは被災地に送られ、商
品の品質が人命にかかわるから、手抜きしてはいけないと強調される場合もある」
記者は、一部の屋外用品商店ではたくさんの入荷したばかりのテントや寝袋など
野外生活必需品が店内の通路に並んでいることに気づいた。これらの商品は開封・
入庫する間もなく市民に買い求められていった。
天河の南に位置するあるアウトドア用品貿易店の経営者は、震災活動ボランティ
アたちがたくさんのテントや寝袋、登山用ステッキを被災地に送るため注文に来て
いることに対し、「商店側として、私も被災地のために少しでも何らかの救援活動
をしてあげたいので、これらの商品をすべて原価でボランティアに売っている、1
文ももうけていない」と話した。
また、3日間、多くの娯楽センターは自発的に休業となったが、巨額の欠損が出
てもだれ一人不平を言わなかった。
市東環状線路に位置するあるカラオケボックスの責任者は「3日間の休業の損失
は少なくとも数十万元に上ったが、被災地の被害に比べるとこれくらいの損害は大
したことはないだろう。国難に直面し、良識のある中国国民及び企業として、四川
省の大地震による死者に哀悼の意を表するのが道義上断行せざるを得ないことだろ
う」と率直に語った。
〔信息時報5月22日〕
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―――――――――――――――――――――――――――― 李 年古 著 ―
日本人には言えない
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―――――――――――ISBN 4311603290 四六判 216頁 本体1680円 学生社
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