オリンピック宿泊市場の思惑の結末
北京オリンピック期間中の宿泊料金バブル減退 3つの要因 上
オリンピックに伴う宿泊料金が多くの人の予想に反して大幅下落している。専門
家は、この大幅下落は3つの要因から来ているとしている。
〈原因1 セキュリティーの厳格さ〉
オリンピック準備期間の7年間、オリンピック観光客の客室需要というのは一つ
のオープンなビジネスチャンスのようであった。今年年初には大量のエコノミータ
イプの旅館が雨後のタケノコのように北京市内に出現し、大部分がオリンピックを
開業後の最初の収入源として手ぐすねを引いて準備をしていた。しかし、商業的ア
プローチから考え始めた商売人の予想を超える多くの総合的な要素の制約があった。
セキュリティーはその一つである。
裏通り深くにあるホテル、北京城市庭院客桟は、エコノミータイプの旅館の中で
もラッキーな存在である。4月1日に正式にやっと営業を開始したのだが、それはサ
ービス経験豊富なホテルマンやマネージャーを雇用し、セキュリティーが保たれて
いるためだ。
このホテルの従業員は、オリンピック期間中、宿泊客の情報は規定時間内に公安
部門に通報しなければならない、北京にいる観光客のセキュリティー管理で公安部
門に協力することは従業員の重要な仕事の一つであると話す。
現在、北京市内に多くのエコノミータイプの旅館があるが、特に対外的なサービ
スでの従業員の経験が足りず、政府の決裁待ちの状態で、開業はオリンピック後に
なりそうだ。
〈原因2 過剰な期待〉
期待が高過ぎることも、オリンピックに伴う宿泊料金下落の原因の一つである。
昨年8月、ある機構が試算したところでは、オリンピックの期間中、北京に押し
寄せる国内外の観光客が260万人増加し、多くのホテルでは宿泊料金は平均10倍前
後値上がりすると予測、普通のマンションの賃貸では1日当たり1000元に達するか
もしれないとしていた。
そこで、多くの北京の不動産所有者は自宅を改装し、1月で3カ月分のお金をもう
ける準備をした。新婚夫妻の中には新居を改装し、オリンピックを迎える者までい
た。
しかし、期待が目前となっているが、依然として幻想の作り話のままである。700
軒以上のチェーン店を持つ北京不動産仲介機構チェーンの不動産業者は、オリンピ
ック前の過度な熱狂で、人々の期待が過剰に高まり、皆がそのチャンスに飛び込ん
だのだとしている。
実は、オリンピックが特殊な時期であったとしても、宿泊価格は市場原理によっ
て調節されるものである。オリンピック前に熱狂が起き、北京以外から来る観光客、
特に中国国内観光客は北京市内の不動産価格にしり込みし、北京に来る予定の観光
客も、早目に別の約束を取りつけていた。
この機構の情報によると、北京に来てから親戚や友人を頼って宿泊した観光客は
8月に既に45%にまで上昇し、従業員は、これはすべてオリンピック前に発表された
超高額の宿泊料金に驚いたためだと笑って話す。
〈原因3 供給が需要を上回る〉
以前は北京で1カ月の不動産を借りたくても、不動産所有者は基本的には貸さな
かった。普通は半年以上で、しかも前払いというものであった。今年はオリンピッ
クが原因で、ようやく1カ月間の不動産の短期賃貸があらわれた。
しかし、オリンピック期間中、観光業界は大いに活況を呈するはずなのだが、現
在まだそのような現実となっていない。北京観光局のデータによると、中国国内の
観光客の予約率は目下1割に満たない。
厳しい現実で、不動産主はじっとしていられなくなっている。陳さんは鳥の巣か
ら徒歩15分の50平方メートルの部屋を持っている。オリンピック前には、毎月3500
元で賃貸に出していたが、改装後には毎月2万元という「オリンピック料金」でも
うけるつもりでいた。しかし、4日現在、彼女の部屋は高過ぎるために、既に半月
借り手があらわれず空っぽのままである。
彼女が委託した不動産仲介チェーン業者は、現在彼女は不動産を中関村のホワイ
トカラーに貸すことにしていて、オリンピックで金もうけという幻想は既に捨てて
いると話す。
記者が北京の鼓楼、宝鈔胡同で見たところでは、地安門付近では60平方メートル
の2つの部屋がオリンピック期間は1カ月3500元で賃貸に出されている。しかし、仲
介機構は、本当に貸したいと思うのならば、所有者と相談の上、大体3000元にすれ
ば大丈夫だろうとしている。このような価格は、ふだんと比べて高いというわけで
もないものだ。
〔揚子晩報2008年8月5日〕
北京オリンピック期間中の宿泊料金バブル減退 3つの要因 下
〈オリンピックの客室市場の価格交渉〉
▽宿泊料金は繰り返し交渉できる
オリンピック期間中の宿泊料金が予想に達したのは、本当にごく一部の高級ホテ
ルである。これらのホテルの多くは、何カ月前あるいは半年前に海外から予約され
たものだ。しかも、五つ星以上のホテルが予約できるお客さんは主に価格を考慮す
るものではない。これらのホテルは北京の客室市場に占める割合はわずかである。
多くの中等レベル及びエコノミータイプの旅館の予約率は低く、専ら臨時のチェッ
クインに頼るしかない。
北京オリンピックメインスタジアム（鳥の巣）から約6キロ離れた平和里にある
三つ星ホテルでは、普段の宿泊料金価格が300元前後であるのだが、4日に788元の
オリンピック料金をつけた。しかし、記者が訪ねたときには、ホテルの関係者は宿
泊料金を500元に引き下げ、再び価格交渉もできると表明した。記者の取材による
と、当ホテルの入室率は8割に達していないという。
▽これは神経戦
鏈家仲介のスタッフは、現在のオリンピック客室市場は神経戦の様相を呈し、双
方がともに探りを入れ、誰が最後まで忍耐できるかというところが肝心なところだ
ろうと笑って語る。
貸主の方（短期間に賃貸する大家さんを含む）はあらかじめ資金を投入し、客室
を一新に飾りつけ、心から高い収益を期待していたが、現実は極めて厳しく、しば
しば彼らの思っている価格は挑戦を受けている。
借主の方は、何度も客室市場の価格ラインを探っているし、便利かつ迅速な情報
伝達も価格交渉及び安いホテル探しに有利に働いている。
▽外国の観光客はもうけにくい
外国の観光客は短期間の賃貸の格好のターゲットであるが、事実上、これらの顧
客ではもうけにくいという。オリンピック開幕後、北京に訪れる外国の観光客が予
想より少ないためだ。
長期間にわたって北京に在留している米国の英語教師のStephenさんは月に2800
元の価格である貸主から2つの家を借り、大改修し、正式にオリンピックのための
不動産の又貸しの貸主となった。
5月、Stephenさんは月3万元で2人のヨーロッパ人に貸した。その当時の市場価格
は月3―10万元であった。しかし、何日もしないうちに、市場の価格はずっと下が
り続けたため、オリンピック開幕前には、このヨーロッパ人は契約をキャンセルし、
価格のもっと安い旅館へ移ってしまった。
〈オリンピック客室市場での家探し〉
オリンピックの宿泊料金が乱高下していることによって、北京で1カ月以上を滞
在する観光客（各地から上京した記者を含む）は、オリンピックの客室市場の「遷
房族」（頻繁に引越しする客）になっている。そして、オリンピックの宿泊料金の
趨勢と異なり、一部の観光客は比較的遠く、宿泊料金の安い四環路区域に滞在せず、
かえってにぎやかな二環路や三環路区域に移動している。
観光客の王宏偉さんは7月30日、湖南省から来京し、これまで北四環のオリンピ
ック村に近いあるエコノミータイプの旅館に宿泊していた。
3日、このホテルは4日からオリンピック宿泊料金にすると通知した。そうなると、
彼が宿泊しているシングルルームの値段は238元から約1500元に上がる。
それに引きかえ、にぎやかな二環路周辺では、多くの旅館の賃貸価格が上がった
とはいえ、値上げ幅は大きくなく、600元前後の価格で前と同じシングルルームを
予約できる。しかも、二環路からオリンピックの各スタジアムまでの地下鉄や市内
バスは多く、非常に便利で、タクシーで行くとしても10元ぐらいで済む。
王宏偉さんは4日、北二環路付近に来て、街頭に交通誘導をしているおばさんに
尋ねたところ、付近には元招待所のような比較的安い旅館が幾つかあると言われた。
最後、王さんは、おばさんが言ったとおりに周辺2キロ範囲内であちこち探し、よ
うやく月に400元の旅館を見つけた。
また、北京で長く滞在する予定の記者らもオリンピックの客室市場の「遷房族」
の主力となっている。
重慶市のあるマスメディアは、北京に到着して1カ月足らずのうちに3回引っ越し
たという。彼らは概して、引っ越せば引っ越すほどオリンピックの中心地帯に近く
なり、胡同に入り、価格ももっと安くなると笑って話す。今、大通りから約1キロ
離れた住宅地の胡同で四合院旅館を見つけ、1000元で2つのシングルルームを借り
ている。
この旅館のスタッフの話によると、ここは環境もよく、とても静かで、しかも胡
同であり、余り人に知られていないから、大通りにあるホテルの価格より半分ぐら
い安いという。
〔揚子晩報2008年8月5日〕
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―――――――――――――――――――――――――――― 李 年古 著 ―
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