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五輪後 経済減速の懸念払拭

中国経済 「ポストオリンピック不況」にならず

〈経済規模は大きく、オリンピックの影響は小さい〉
 2008年の北京オリンピック開催権を獲得した2001年以来の7年間、オリンピック
開催の準備のため、北京の経済発展が大きく促進された。それと同時に、一部の人
はオリンピック後の中国経済の成長を懸念している。
 これについて、専門家は、目下中国経済の成長がある程度減速していることは、
マクロコントロール予想と一致しており、経済発展の内部要素によるもので、オリ
ンピックのような外部要素とは関係なく、また、中国経済には「ポストオリンピッ
ク不況」という現象があらわれないと指摘した。
〈「ポストオリンピック不況」は必然的現象ではない〉
 一般的に言えば、オリンピックの開催により、開催地への投資拡大を加速するが、
オリンピック後、このような効果はなくなる。
 例えば、1964年の東京オリンピック後、日本経済の成長率は開催同年の13.1%か
ら翌年5.2%にまで下がった。1988年のソウル・オリンピック後、韓国では10.6%か
ら6.7%にまで低下した。そして、バルセロナ・オリンピック、シドニー・オリンピ
ック、アテネ・オリンピック後、スペイン、オーストラリア、ギリシアの経済成長
も、それぞれ開催の翌年にある程度の後退があらわれた。
 しかし、ポストオリンピックの経済衰退は必ずしも必然的現象ではない。アトラ
ンタ・オリンピック後、アメリカ経済の成長率は下がったのではなく、3.7%から4.5%
にまで上昇した。
 この間、開かれた「オリンピックと中国経済発展に関する記者会見」の席上で、
国家発展改革委員会の関係専門家は、「ポストオリンピック効果」が中国経済発展
の基本に影響を及ぼすことはなく、中国は「ポストオリンピック不況」という現象
があらわれないと語った。
 中央財経大学中国銀行業研究センターの郭田勇主任も、オリンピックは比較的小
規模の経済には大きく影響し、オリンピック前後の経済変動は激しくなるが、中国
の経済規模は大きく、オリンピックは北京地区の経済に比較的大きく影響するが、
中国経済全体に対する影響は小さいため、中国経済は「ポストオリンピック不況」
という現象はあらわれないと話した。
 中国社会科学院経済研究所マクロ室の張暁晶主任は、ポストオリンピックの経済
不況があらわれるかどうかは主催都市の経済規模とは大きく関係している。オリン
ピック主催都市の経済規模が国全体に占める割合が大きければ、オリンピックが国
全体の経済に大きく影響し、ポストオリンピックの経済不況のあらわれる確率が高
いと指摘する。
 例えば、2005年のGDPで考えると、東京の経済規模は日本全体の26.3%に相当し、
ソウルは韓国の27.7%、シドニーはオーストラリアの24.5%、いずれの相対規模は国
全体の約4分の1を占めており、さらにアテネはギリシアの34.2%に相当していた。
一方、アトランタはアメリカの1.9%しか占めていなかった。
 2007年のGDPで考えると、北京のGDPが9000億元、全国の約25兆元に占める割合は
3.6%であった。したがって、中国全国から見れば、北京オリンピックが経済全体に
与える影響はそんなに大きくない。
 中国人民大学経済学院の劉元春副院長は、オリンピック開催の準備がもたらした
投資行動は何年かに分けて実施され、段階を分けて投資されたインフラの整備期間
はとても長いこと、投資による消費需要は短期間で、しかも消費総量は極めて少な
く、主に北京に集中していることにより、投資需要にしても消費需要にしても、北
京オリンピックが中国経済に与える影響は非常に小さいと分析した。
〈潜在的成長力は依然として巨大〉
 張暁晶主任は、次のように述べた。
 今年、中国の経済成長率はある程度減速するが、これは北京オリンピックによる
ものではなく、自発的減速によるものである。高投資率及び巨額の貿易出超はずっ
と中国経済に絡む重要な問題であり、現在、経済発展方式の転換を強調することは、
単に経済成長率を追求するのではなく、経済成長の質を重要視することである。こ
のような発展方針のもとで、2008年の経済の軟着陸は自発的減速によるものであり、
政策によるコントロールの結果でもある。
 目下、中国の1人当たりGDPは2000米ドル余りしかなく、中国は依然として工業化、
都市化の加速の段階にあり、改革開放の加速は一段と活気のあふれる経済をもたら
すことができる。これらの要素が、中国の経済成長にまだ非常に大きな空間がある
ことを決定づけている。今後の10―20年、依然比較的高い経済成長率を保つことが
できるだろう。
 郭田勇主任は、以下のように認識している。
 今年の下半期の経済成長率は、上半期より減速する可能性を除外することができ
ない。今回の経済サイクルは北京オリンピックの時期とはある程度の重なり合いが
あるが、それは偶然の一致でしかない。
 物価の大幅な上昇を抑えるため、今年以来、中国政府は通貨の引き締め政策を実
施しているので、経済の成長速度は緩やかになっている。現在、政策の自発的調整
も、下半期の経済が大幅に減退する可能性が低くなったことを保障している。
 劉元春副院長は、以下のように指摘した。
 中国の経済成長が減速していることは北京オリンピックとは関係なく、マクロコ
ントロール政策の面では、財政、通貨政策を総合的に運用することによって、経済
成長の減退に対応すべきである。
 専門家は、目下中国経済の成長がある程度減速していることは、マクロコントロ
ール予想と一致しており、経済発展の内部要素によるもので、オリンピックのよう
な外部要素とは関係なく、また、中国経済には「ポストオリンピック不況」という
現象があらわれないと指摘した。
〔中国証券報2008年8月25日〕

各紙報道から 経済問題がポストオリンピックの最大の懸案事項

 盛大な北京オリンピックが閉幕し、中国経済のこれからの動向が世界に注目され
ている。
 中国のメディアはここしばらく、口をそろえてポスト北京オリンピックの中国経
済に気合いをかける報道をしている。しかし、幾つかの現象から、経済問題は中国
政府がポストオリンピックで直面する大きな挑戦になると予測できる。
 中国共産党ナンバーツーで、政治局常務委員、全国人民代表大会委員長の呉邦国
は8月29日、経済の安定、急速な発展を保ち、物価の高騰を抑制することはマクロ
コントロールの第一の任務と位置づけるべきだと述べた。
 さらに、全人代常務委員会第四回会議閉幕時には、経済、社会の発展の中に存在
する際立った矛盾と問題を解決し、不安定やアンバランスの要素を取り除き、経済
の発展パターンにおける三つの転換を進め、経済と社会のより良質、よりテンポよ
い発展を促進すべきだと話した。
 政府筋の人民ネットには8月28日、世界銀行チーフエコノミスト、開発経済学担
当の上級副総裁である林毅夫氏の文章が掲載された。ポストオリンピックの中国経
済はこれまでのオリンピック主催国に発生したような不景気がないだろうとの見方
がつづられた。
 「このようなことは中国には起こらないだろう、こう言えるのは二つの理由があ
る。第一に、中国経済の規模はほかのオリンピック主催国より随分大きいため、こ
のぐらいの投資は中国にとってそれほど多くないと言えること。第二に、北京オリ
ンピックの後には、2010年の上海国際博覧会、2012年に広州ではアジアオリンピッ
クが行われる。次から次へと行われるため、大量な固定資産投資が必要となる。よ
って、中国には不景気があらわれないだろうと確信できる」
 8月29日の人民ネットにもう一つの別の記事として「経済発展がスピードを落と
すのは普遍的な現象 ポストオリンピックの我が国経済は依然として健常」が掲載
され、国際メディアと専門家の分析が紹介された。
 それによると、多くの専門家は、オリンピックが中国経済を推し進める役割を果
たせると考えていること、しかし、国際的な世論では、オリンピックの中国経済へ
の影響は極めて小さいものだと考えているとしている。
 「新京報」も8月28日の報道で、金融機構及びエコノミストの大方の予測として、
ポストオリンピックの中国経済は大きな減速はないだろうとしている。
 この報道では、中国経済学者の樊綱氏のコメントを引用し、株式、不動産のリス
クが既に大きく解除され、エネルギー価格も調整される、ポストオリンピックの中
国経済を心配する必要はないとしている。
 さらに、「専門家の予測によると、中国経済の7%から8%あるいはもっと高い成長
率は少なくとも15年あるいは20年維持される」という。
 新華社主催の「瞭望新聞週刊」に28日、銀河証券のシニアエコノミストの左小蕾
氏のポストオリンピックの中国経済に関する文章が掲載された。
 それによると、グリーンオリンピック、科学技術のオリンピック、人文のオリン
ピックという理念が、環境保護、省エネ、廃棄物削減、科学技術の革新を推し進め、
これにより、中国経済は年平均で2けた成長を実現したと同時に、真の意味での産
業構造と経済成長パターンの転換が図られたとしている。〔聯合早報2008年8月30日〕
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