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世界経済停滞と中国へのインパクト

経済情勢に不安 上海など7省市が成長予想を下方修正

 中国経済が経済の悪化と金融不安の二重の脅威に直面している。
 当面の情勢を正確に判断するため、国家発展改革委員会総合司の石剛司長一行は
このほど南京を訪れ、江蘇省、安徽省、山東省、上海市、重慶市、南京市、杭州市
など7省市の発展改革委員会総合開発処長を招集し、経済情勢座談会を開催した。
テーマは経済運営問題の調査研究で、2008年通期の経済動向予想の根拠を検証し、
2009年の方針について検討した。
 座談会での各地の2008年通期の経済見通しに対する不安の程度はまちまちだった
が、経済成長見通しを次々と下方修正している。上海市や安徽省などはGDPの見通
しをそれぞれ上半期より0.3ポイント、0.5ポイント低い10.0%、13.7%に引き下げた。
〈上海のGDP成長率はここ数年の最低水準に〉
 発展改革委員会のウエブページ上の情報によると、2008年以来、マクロコントロ
ールの影響で、中国の多くの省の経済の成長率は程度は異なるが低下傾向にあった。
山東省、江蘇省、杭州、南京のGDP成長率はそれぞれ13.8%、13.6%、12.4%、13%で、
それぞれ0.9ポイント、1.4ポイント、2.0ポイント、2.6ポイント低下している。上
海のGDP成長率は10.3%で2.7%低下し、近年では最低水準となった。
 座談会では、江蘇省、安徽省、山東省や上海市などの7つの省市と発展改革委員
会の代表は、当面の経済情勢について「経済運営全体としては安定している」との
共通認識を持っていた。サブプライム危機の影響はまだ沈静化していないため、中
国国内の株式相場、不動産市場、自動車市場の3市場が頭打ちで、各地で相次いで
経済成長予測が下方修正されている。
 発展改革委員会の石剛総合司司長は次のように述べた。「世界情勢はおしなべて
困難な状況にあり、中国一国のみが成長を維持することは大変難しいが、経済減速
を正常範囲に保つ」石剛司長は微妙な問題であることを強調しつつ、次のように述
べた。「今後数カ月は経済予測の監視を強化する。できる限り早期に問題の兆候や
傾向を発見し、適切な経済政策を打つことで経済の安定的成長を維持する」
〈専門家 経済面のデフレの恐れ〉
 経済学界では、中国経済が二つの難問に直面していることに非常に注目している。
 「2008年下半期に、中国経済は減速局面に入ったと認識している」中国マクロ経
済学会の王建秘書はこのほどこう指摘した。中国経済は2007年下半期を転機として、
2008年上半期から経済が下降しているというのだ。
 北京大学中国経済研究中心の宋国青教授は、「石油、石炭、セメントなど多くの
コモディティー価格は最近、全面安になっている。工業企業の生産状況も低下し続
けており、こうした傾向とインフレの軟化は一致している。デフレが非常に進んで
いる」
 国家統計局の月次データでは、工業成長率が下降の一途をたどっていることがは
っきりと示されている。データによると、中国全国の一定規模以上(通年の主要事
業の収入が500万元以上の企業)の工業企業の成長率は、2008年3月に前年同期比
17.8%だったものの、5月には16.0%、7月には14.7%、8月には12.8%に低下している。
工業成長率12.8%というのは市場が予想した成長率(対前年同期比)をはるかに下
回るもので、成長率は2002年8月以来過去6年で最低の水準となった。
 宋国青教授はこの点について次のように述べた。「データによると、消費者物価
指数(CPI)は前年同期比で明らかに低下しており、既に2008年8月からデフレが始
まっているか、デフレへと向かいつつあった。2009年、2010年にはインフレ率が低
下し、一部にデフレがあらわれる可能性もある」
 JPモルガン・アジア・パシフィックのキョウ方雄マネージング・ダイレクターは
次のように話す。「商品、資源、エネルギー価格は全世界的に大きく下落しており、
2009年5、6月のCPIはマイナスになる可能性がある」
 北京航空天大学の任若恩教授は、次のように語る。「インフレは現在、既に注目
すべき問題ではなくなっている。本当に心配なのは、経済のハードランディングや
デフレだ。当面は自国通貨のデフレと貸付金の利払いによって、自国の実体経済が
損なわれる可能性がある」
 任若恩教授は、1997年と1998年の経験から、経済が減速し始めた場合に経済の活
性化が適時実施されなければ、経済減速からの救済にはより大きな力と長い時間が
必要となるとしている。経済を底上げする3つの牽引要素のうち、消費の刺激を期
待する人は多いが、所得の大幅な増加は当面は難しい状況にあり、よい方法は投資
の成長を加速させることだという。
〔毎日経済新聞2008年10月8日〕

不動産市場の「金九銀十」は既に昔の話 易憲容氏

 今年の国慶節ゴールデンウィークが幕を閉じた。これまで、ゴールデンウィーク
は不動産業最盛の時期であり、全国不動産市場にとってカーニバルであった。よっ
て、当然「金九銀十」(9月、10月の消費最盛期)は不動産開発業者の収穫の季節
だった。
 しかし、今年、「金九」があらわれず、さらに「銀十」もない。例えば、深セン
で開かれた不動産秋季取引交流会では、不動産価格が低迷しているにもかかわらず、
1日の売り上げは2005年までとはけた違いで、2006年とは比べ物にならない状況と
なった。つまり、国内不動産市場の「金九銀十」は既に昔の話になったのである。
 前に筆者が指摘したようなことだが、不動産政策、市場環境、国内外金融市場、
住民の住宅への考え方、住宅購入対象者が変わったのに、不動産開発業者の経営戦
略と販売パターンは変わらず、不動産市場の価格も調整されておらず、市場の需給
関係においていかにして両者を結びつきを見出せるのか。
 今回の取引交流会では、開発業者が割り引き販売を推進しているにもかかわらず、
なぜ売り上げとは直結しなかったのかというような意見を言う人もあるかもしれな
い。実は、競争相手はだれか、取引相手はだれかがポイントとなる。
 深センの不動産は前年同期比24%近く急落した。これは昨年との比較である。当
時取引をするのはほとんど投資あるいは投機的売買を狙う人たちである。住宅を買
って自分がそこに住むという人たちにとって、2007年のこれ以上高くなることのな
い住宅価格はもうとっくに購入したい価格の範囲を超えていた。したがって、現下
の価格が昨年よりどれだけ低落しているかは彼らにとっては意味のない話である。
 彼らの購入意欲を引き出すには、不動産価格が彼らの購入してもよい価格の範囲
内まで下がることである。しかし、これはまたそれぞれの支払能力によって違う。
 このような状況のもとでは、開発業者が販売促進をどんなによくやっても、割引
を最大限にしても、不動産を買いたい住民は依然としてこの市場で取引しないかも
しれない。よって、現在の不動産市場では、今の商法で消費者の目を引くことを望
むのは不可能である。不動産市場の価格を平常どおりに戻して、購入可能なレベル
にするのが唯一の方法である。
 さらに、アメリカのサブプライムローン問題による不動産バブルのリスクがます
ます大きくなるにつれ、中国政府も短期的な経済振興政策を打ち出すかもしれない
が、アメリカの金融危機の二の舞を演じるわけにはいかないため、中国の不動産市
場が再び投機対象にならないようにすべく不動産転がしの制限を変えるはずがない
だろう。
 したがって、不動産開発業者にしても、地方政府、不動産投機筋にしても、再び
「金九銀十」の夢を見るのは不可能であり、「金九銀十」は早くも昔の話になるの
ではないかと思われる。〔北京晨報2008年10月8日〕

中国は今年初めてインドの最大貿易相手国に

 今年以来、アジア経済が減速など不利な要素に直面する中ではあるが、中国とア
ジア諸国との貿易関係が良好である。
 商務部アジア司の呂克倹司長は7日、商務部ウエブサイトのインタビューに対し、
中国は今年初めてインドの最大貿易相手国になる見込みであると示した。
 昨年以来、中国と、インド、インドネシア、ベトナム、ミャンマー、イラン、キ
プロス、モルディブなどの国との相互貿易が急成長し、その増加幅は30%を超えて
いる。アジア諸国における対中貿易の割合は絶えず上昇し、相互経済協力関係は一
層緊密になっている。
 呂克倹司長は、今年以来、世界経済の直面する不利な要素が増大し、アメリカの
サブプライムローンによる金融危機の影響が拡大している。アジア域内の経済成長
は長期にわたって高速に発展しているため、大量の社会矛盾及び経済リスクを蓄積
し、高インフレ及び過剰流動性は短期間内では有効的にコントロールすることがで
きないと見ている。
 原油高、食糧価格の高騰が、高インフレと相互に影響し、アジアのインフレ率は
先進諸国の2―3倍になっている。中国、日本など少数の国を除いて、アジア通貨の
米ドルに対する価値は大幅に低下している。インド、韓国、ベトナムなどの国の貿
易赤字は急拡大し、フィリピン、タイの経常収支の黒字は明らかに減少している。
 それでも、呂克倹司長は、アジア経済は基本的には依然として良好であり、各国
は積極的な対応策をとっているため、アジア経済全体は今後引き続き成長していく
だろうとしている。
 呂克倹司長によると、中国はアメリカを抜いて初めて日本の最大の貿易相手国に
なった。同時に、中国は韓国の最大の貿易相手国、最大の輸出市場の地位を維持す
るとともに、初めて韓国の最大の輸入先となった。〔中国証券報2008年10月8日〕

中国の輸入需要は減速 59の国の対中輸出はマイナス成長

 中国の輸出増加幅ははっきりと減少し、また世界経済の激動で中国の輸入貿易へ
の悪影響が出始めた。統計によると、今年の1―7月まで、全世界59カ国の対中国輸
出は前年同期を下回るマイナス成長で、例年よりも大幅に減少した。
 7日、商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究部の白明副主任は記者に、次
のように話した。
 200余りの中国の貿易相手国の中で59カ国の対中輸出は減少している。例年、こ
のような広範囲にわたる減少はない。そればかりか、今回はポルトガル、ギリシャ、
ベラルーシ、フィンランドなど中国と緊密な貿易関係にある一部の国の対中輸出も
減少しており、これを重要視すべきである。
 中国の輸出入貿易の減少は一部の国の対中輸出の増加幅の低下にあらわれている。
 商務部のウエブサイト上で7日に発表されたデータによると、今年1―8月までで、
タイの対中輸出の増加幅は前年比24.7%増にまで減少している。今年の増加幅は18
―22%の見込みであり、それは前年の26.3%より低い。
 また、シンガポールの対中輸出額は221億米ドルで、前年比6.6%増加したが、増
加幅は前年同期の7.3%より低い。
 中国の輸入需要は減少しつつあり、国際社会の分業は冷却し始めている。これら
はアメリカの金融危機に起因している。泰華農民研究センターはこの間、アメリカ
の金融危機が世界経済の減速をもたらし、この打撃を受け、中国の輸入需要及び工
業生産が減速の様相を呈しているという報告を発表した。
 白明副主任は、輸出が減少し、内需が不変であるならば、輸入はおのずと減少す
るはずだと語った。その上で、世界経済の低迷によって市場の需要が弱気になり、
輸出入貿易量の減少が世界の共通の課題となっているとした。
 金融危機に直面し、多くの専門家は「内需の拡大」が中国の問題解決のよい道だ
と指摘している。白明副主任も同じ見方を示している。しかし、「内需拡大と言う
のは簡単だが、国民に消費をさせるようにするには、制度や政策の整備が欠かせな
い」
 白明副主任は例を挙げ、もし、教育、年金など制度が改善され、国民の将来の生
活に対する不安が取り除かれれば、消費者の長期的な生活不安がなくなり、短期的
に貯金を減らし、消費に多くを回すようになるだろうと語った。
〔北京商報2008年10月8日〕
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―――――――――――――――――――――――――――― 李 年古 著 ―
 日本人には言えない
   中┃国┃人┃の┃価┃値┃観┃  中国人とつきあう68の法則
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―――――――――――ISBN 4311603290 四六判 216頁 本体1680円 学生社
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