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不安の広がりと危機対応

珠江デルタ製造業経営主の失踪続出 香港系工場に倒産の波

〈金融危機にのみ込まれる香港系工場〉
 香港業界筋は、金融危機や信用危機により、珠江デルタの香港系中小企業は1万
軒超が倒産の危機に瀕していると見ている。
〈倒産は日常茶飯事 経営者も撤退〉
 「珠江デルタは過去20年で最も厳しいときを迎えるだろう」農民工の流出や企業
の雇用難という問題について、専門家は2008年初めにこう警告していた。
 その半年後、こんな問題が襲いかかり、企業が倒産し、従業員が給与不払いに苦
しみ、香港系工場に最初にその波が及ぶことになろうとは、だれが予想しただろうか。
 本紙が広東省で取材したところ、現地の企業経営者の間では、現在の状況は氷山
の一角にすぎず、中小企業の倒産は本格化していないとの見方が一般的なようだと
いうことがわかった。
〈香港系工場倒産の波に驚き〉
 「香港が中国本土で設立した工場は既に2007年から減少傾向にあった」あるアナ
リストはこう話す。香港が中国本土で設立した工場の多くは加工貿易を主とし、こ
うした製造型企業の多くは低コスト、低技術に依存して市場をリードしていた。
 2008年に金融危機が広がり、欧米の需要が大幅に縮小すると、生存環境が一変し、
危機に直面した。
 10月に入り、金融危機は大型上場企業へも広がった。佑威国際控股(集団)有限
公司、泰林無線電行や金至尊珠宝など一流企業のブランドを掲げた東莞市の2大工
場が倒産し、ついにこの問題が公になった。
 ある資料によると、10月上旬、中旬だけで50社近い香港企業が破産や清算を申請
している。香港工業界の梁君彦立法会議員は、金融危機と信用危機によって1万軒
を超える珠江デルタの中小企業が破産すると見ている。
 香港工業総会の陳鎮仁会長は先週、珠江デルタにある7万件の香港系企業のうち、
年末までに4分の1に当たる1万7500軒が倒産する可能性があるとの認識を示した。
 「昨年まではだれもここを立ち去りたいとは思っていなかった。だが、今では、
閉鎖しなければ立ち行かなくなった企業もある」工場が閉鎖され香港へ戻ったとい
うある董事経理はこのように述べた。
〈経営者は失踪 政府が給与補てん〉
 深セン市労働保障局は10月21日、30社のリストを公開した。いずれも給与が不払
いとなっている企業ばかり。組織の法定代表者または責任者に30日以内に法的処理
を受け入れるよう要求している。
 現地の情報によると、こうした措置に及んだ理由は、この30社の企業の責任者の
多くが既に失踪し、政府が数千万元に上る未払い給与を補てんしているためだという。
〔北京晨報2008年10月27日〕

66%の企業危機はデマによるもの

 ここ数カ月以来、インターネットやショートメールによる事件が相次ぎ、金融危
機による世界経済減退の中で、事実無根のデマが金融危機に拍車をかける一因とな
っている。
 この情報化の時代に、大量の情報に接し、人々は日々真偽の見分けにくい各種の
うわさに包囲されている。しかも、そのうわさの影響力は往々として事件自体をは
るかに上回る。我々はいかに信念を打ち立て直すのか?
〈現象 デマはライバルを攻撃する手段になる〉
 「家族や同僚及び友人へ 今年、広元のミカンにウジのような虫が発見されたか
ら、しばらくミカンを食べないように」
 このショートメールに対し、四川省農業庁は、その虫は健康に害はなく、広元な
ど幾つかの郷鎮のみで発生し、しかも効果的な対応措置を取っていると説明したが、
現状では、この事件の処理は当地政府の期待どおりにうまくいかなかった。
 また、ほかの地域でもウジのついているミカンが発見され、多くの人は今なおミ
カンの話をするだけで顔色が変わるほどの不信感を持つようになった。このうわさ
のためか、ミカン市場の風評被害が続き、ミカン生産農家は手痛いダメージを受けた。
 「風がなければ波は立たない」ということわざがあるように、デマの役割はあお
り立てることにある。
 9月13日、あるインターネット上の書き込みに、「三鹿の毒牛乳より怖いのが猛
毒の含まれるピーナッツだ」と書かれてあった。9月23日、別のデマがインターネ
ット上にあらわれた。「蒙牛、伊利、光明など牛乳からメラミンが検出された後、
先日国家品質検査総局は酒類製品を抜き取り検査し、一部の酒類から発がん物質で
ある亜硝酸ナトリウムを検出した」。
 この二つのデマに対し、関係部門はこれらが根も葉もないことであるという声明
を発表したが、インターネット上のうわさは事実上、三鹿の粉ミルク事件の悪影響
を拡大させ、人々に恐怖を感じさせた。同月23日、ほとんどの酒類の株式取引が関
連株価の大幅な下落によって中止された。
 中国伝媒大学インターネット好評研究所の楊飛副所長は、サブプライムローン危
機はアメリカの金融リスクがたまりにたまったことによるものであるが、危機発生
時及び危機対応の中で、世界の金融市場には虚偽の情報がはんらんしているため、
人々に心理的な恐怖を感じさせ、世界金融危機に拍車をかけていると語る。
 清華大学新聞伝播学院伝媒経済管理研究センターの崔保国教授は「うわさはしょ
せんうわさであり、重要なのは伝播手段に質的な変化があることだ」と話す。イン
ターネットや携帯電話など便利な通信手段はうわさにかつてない伝播スピード及び
広さを備え、うわさがさらに速く猛烈に拡散するのだという。
 世界金融危機の中で、一部の投機機関がデマを利用し、ライバルを攻撃する。一
部の金融機関はひどい中傷を受け、真相を知らない投資家に見放され、ついに倒産
に至ってしまう。中国伝媒大学インターネット好評研究所の統計によると、66%の
企業危機はデマによるものであるという。
〈対応 公開の透明性 信用の強化〉
 専門家は、社会に危害を与える深刻なうわさに対し、監督の強化及び厳しく処罰
するとともに、うわさを一貫して遮るということではなく、より重要なのは、事実
を公開し、正しく世論を指導することだと指摘する。
 「つまらないウエブサイトを管理するより、権威のある金融プラットホームをつ
くり上げた方がいい」と「投資者報」執行編集の何剛氏は話す。「騒音に対応する
最もよい方法は、我々の声が彼らの声より大きいことだ」。
 危機が来る時に国民が最も聞きたいのは、権威のある、専門家の話である。四川
ブン川大地震のとき、中国政府の即時、公開、透明な情報開示が各国の賞賛を博し
たが、目下一部の地方では迅速な情報伝達体制がまだ整備されていないのが現状で
ある。突発的な大事件が発生したとき、関係部門が常に何も発表しないことで、う
わさがはんらんしてしまった。
 あるインターネット上の書き込みに、あるユーザーは次のように書いている。
 今回の四川ミカン事件の中で、現地政府が情報を公開したときには、ショートメ
ールが既に広く広がっていた。もしミカンにウジが発見されたときに政府が即時に
情報を公開していたら、ショートメールはなかっただろう。また、もしショートメ
ールが出現し始めたときに、政府が事実を説明し、正しく世論を指導していたら、
ショートメールは広く広がることがなかっただろう。
 他のユーザーは、これまで一部の地方政府及び関係部門では、突発的な大事件の
発生を最初はどうしても認めようとしなかったが、やがて現実の状況が進展するに
従って、うわさの正しさが裏づけされる。したがって、権威部門の信用が強化され
なければならないと書いた。
 専門家は、情報化時代の「デマ危機」に対応するため、情報化戦略を使いこなさ
れなければならないとし、結局のところ、これは時代の発展に伴う業務遂行方式の
改善や遂行能力の強化ができるかどうかの問題だと指摘している。
〔新華社北京2008年10月29日〕

不動産業保護、市場救済は効き目やいかに

 中国政府は、この世界最大の熱狂的な不動産市場の一つが崩壊しないよう迅速に
行動を起こしているところである。
 今後数カ月の間、中国の不動産市場の低迷状況がどのように変化するかは、グロ
ーバルな金融危機の間の中国経済の減速の深刻さの程度、中国の建築資材需要の下
落、不動産不況の世界経済への影響に大きくかかってくる。
 グローバルな不動産バブルがはじけたとしても、中国市場では状況が異なると考
えられている。それは、中国における不動産建設増はレバレッジ型金融に対する影
響には比較的軽微であり、都市化による人口の急激な増加がもたらす需要が主体で
あるからである。
 毎年、中国各地で1500―2000万人の人口が都市に移転している。しかし、中国の
新規不動産販売量はここ数カ月来大幅下落しており、買い手は経済悪化や不動産価
格のトレンドで恐慌状態を感じている。
 経済の緩慢さが人々の予測を上回るに伴い、政府部門は価格抑制策から不動産購
入者の奨励へとシフトし始めた。先週、政府は税の減免を発表し、初めて不動産購
入者に頭金と貸付利率の引き下げ措置を講じた。
 仮に、不動産業の低迷が続けば、中国は成長率8%以上、つまり、政府が長期にわ
たって経済繁栄の最低ラインとしていた数字を維持することは困難となる。そして、
建設業の直接雇用は8000万人以上であり、長期の低迷はさらに多くの失業や社会不
安をもたらすことになる。
 マーキュリー証券の北京駐在エコノミストは、不動産市場は経済変化によって決
まるとしている。インフラ投資は依然として堅調に加速するかもしれないが、グロ
ーバルな需要が減退し、輸出が緩慢になりつつあり、今後数カ月で急速に悪化する
かもしれない。これらのことは、不動産業を極めて重要なものにさせている。
 中国の住宅投資が経済に占める割合は米国よりも大きい。昨年のこの数字は既に
国内総生産(GDP)の10%まで上昇しているが、米国の場合は4.6%である。しかし、
不動産が金融システムに与えるリスクは米国に比べれば小さいようだ。住宅ローン
は中国の各銀行融資総残高の12%、ディベロッパーへの融資は7%を占めている。そ
して、スタンダード・チャータード銀行のデータによれば、米国では、不動産関連
融資は商業銀行融資の50%以上を占めている。
 不動産は多くの製品の需要を喚起できるため、中国の大口商品の需要下落に伴い、
全世界は不動産低迷の影響を感じるに至っている。
 ここ数カ月の建築業の成長緩慢により、中国の9月期における鉄鋼生産量は前年
同期比5.5%減となった。このことは鉄鋼価格の下落に至り、小規模工場は倒産・閉
鎖に追い込まれた。
 家電小売商もここ数カ月間の販売低迷を発表しており、現在工場では減産し始め
ている。9月期におけるエアコンの生産は21%減、電気冷蔵庫の生産は6.5%減となった。
 1年前、不動産の熱狂はまだ異常に高まっており、人々は全国各地の新規不動産
工事に注目し、買い入れのチャンスをうかがっていた。しかし、バブル拡大の懸念
が激化し、政府は徐々に投機的な不動産取引を制限する措置をとり、不動産価格に
あるバブルを絞り出そうした。このような措置がまさに予想どおりの効力を発揮し、
グローバルな金融危機は消費者に恐慌到来を感じさせ、中国の今後の多くの楽観的
な見方を打ち消している。
 昨年の不動産販売は一度こそ前年度比50%増となったが、今年初めに価格下落が
あらわれ、現在は大幅下落になっている。8月期の販売面積は36%減である。8月期
及び9月期の全国平均不動産価格はどれも前月比下落があらわれ、現金が逼迫して
いるディベロッパーは業務縮小に迫られ、新規建設の増加の勢いは明らかに緩慢と
なっている。
 政府の政策が不動産市場の低迷を激化させており、多くの人は政府に対して市場
再編を望んでいる。財政部の声明によれば、新しい政策では、幅広い人々、特に中
低所得者の不動産購入負担の軽減を行い、不動産消費需要を拡大させるとしている。
 問題は、グローバルな経済の減速が市場の信頼にダメージを与えていることによ
り、政府の措置が現在多くの変更を余儀なくされているところにある。投機的な不
動産購入者が2つ目の不動産を購入しないというだけではなく、新規に不動産を買
う買い手をも静観させている。
 北京市の38歳のIT企業に勤める趙偉(音訳)さんは、不動産を借りたいとは思わ
ないから、自分の家を持ちたいが、現在もなお実行に移していないという。税金の
軽減や頭金の引き下げはそれほど重要なことではなく、不動産価格が最も大きな問
題である。あと半年から1年待ってみて、不動産価格が下がり続けていることを期
待したいという。

 このような動きは、破滅的で大きな悪循環をもたらすかもしれない。買い手が静
観し、価格がさらに一層下落するのを待つにつれ、ディベロッパーがさらなる建設
計画縮小に追い込まれ、経済低迷が激化する、買い手はさらに長い時間を待つこと
になる。
 中央銀行の8月期の調査によると、今後3カ月間に不動産を購入する計画を立てて
いる家庭は13%で、この数字は史上最低のものとなった。
〔中評社香港2008年10月28日〕
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