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政策立案とコンセンサス醸成

誰が「国民レジャー計画」の受益者なのか

 2008年中国国際旅行交易会の席上で、国家観光局旅行促進・国際連絡司の祝善忠
司長は、今年の1―9月、中国の入国観光客は減少傾向にあり、来年は中国観光業界
にとって特に入国観光客の情勢が厳し非常に厳しい1年となることが予想されるこ
とから、国家観光局が既に関係部門とともに「国民レジャー計画」を提案したと述
べた(新聞晨報11月20日)。
 この間、国家観光局は、観光への投入を拡大することにより金融危機の悪影響を
軽減しようと表明していた。今回の「国民レジャー計画」は観光業界の市場救済策
の一環であり、中国国内観光市場への波及効果が期待されている。
 「国民レジャー計画」の理論的根拠ないしは手本となるものがある。社会学者の
鄭也夫氏はその著書である「後物欲時代的来臨」の中で、「一般的に言えば、失業
の増加が社会大不況のバロメーターである。事実、アメリカの過去の大不況時の失
業にはよい面もあった。失業によって自分の時間が多くなった。大不況のときであ
るからこそ、アメリカ人は運動や読書及び家庭菜園づくりの習慣を身につけた。大
不況によってアメリカ人の休暇方式が大きく変わり、文化上の進歩をももたらし
た」としている。
 しかし、このような「経済不況進歩論」が中国の国情に合うのか。アメリカ人が
失業しても、生活保障金などがもらえるし、物的消費の意欲が低下するが、生活の
質はそんなに低下しないだろう。中国人の場合はどうなるか。
 「国民レジャー計画」が提出された途端、ネットユーザーはすぐ強く反対した。
ここ数日、新聞には「中小企業破産」「出稼ぎ労働者の繰上げ里帰り」「企業の最
低給料引き上げ見送り」などの見出しが躍っているところに、いきなり「国民レジ
ャー計画」が出されては、目障りになるのは当たり前だろう。
 あるネットユーザーは書き込みに以下のように書いた。「俺と妻と子供は休暇計
画の呼びかけにこたえられるが、農村に住み社会保障のない高齢者や失業者、大学
生などは時間的な余裕があるが、唯一ないものがお金だ」。「国民休暇計画」はこ
のような国民のためのものではないだろう。
 では、この計画は会社のホワイトカラーのためのものなのか? 政府が企業の大
規模なリストラを禁止しているが、調査によれば、81.4%の社員が企業の経営が理
由で解雇されることを心配している(燕趙都市報11月20日)。
 このような状況下で、彼らは旅行に出る勇気があるのか。万が一失業してしまっ
たら、住宅ローンの返済や医療費の支出及び子供の教育費用などをどうするのかが
心配になる。このような国民もその国民レジャー計画の呼びかけにこたえにくいの
は明らかである。
 「国民レジャー計画」の着眼点は確かによいが、目下金融危機の影響を受け、国
民が休暇を取ろうとはしない。つまり、安心できる生活をしていたとしても、この
休暇計画は必ず反対されるだろう。5月1日の労働節の長い休暇が廃止され、国慶節
の黄金周の廃止も検討中で、有給休暇制度はなかなか実施しにくいため、国民は旅
行に出る時間がない。国慶節の黄金周を利用し、出かけようとしても、観光地の入
場券は高騰し、黒山の人だかりによる混乱を我慢しなければならない。
 「国民レジャー計画」が提出された後、一部の人は攻撃の矛先を直接公務員層に
向けている。公務員は金融危機の影響に最も小さい階層であり、有給休暇制度が確
実に実施されているため、特権官僚を除き、彼らが「国民休暇計画」を享受する可
能性が最も高い国民階層だからである。これが事実だとしたら、「国民レジャー計
画」は国民全体ではなく特殊な階層の福利になる。そうなると、社会の平等がまた
してもゆがめられるだろう。
 したがって、国家観光局はこの「国民レジャー計画」に関する実行可能な細則を
完備するときに、国民にこの市場救済計画が一体誰のためのものなのか説明すべき
なのである。〔中青在線―中国青年報2008年11月21日〕

65歳まで働ける業種の割合は 定年延長、経済算段だけでは不十分

 社会保険研究所の何平所長は11月19日、「政府は男女被雇用者の法定の定年年齢
を段階的に65歳に引き上げる計画だ」とマスコミに明らかにし、世論に大きな波紋
を投げかけた。あるネットユーザーの調べによると、今回の政策が実施可能かとの
問いに、90%の人が反対を示しているという。
 このアイディアを最も早く提唱した人民大学の鄭功成教授はこのほど、中国青年
報の取材に応じて、次のように述べた。「何平所長は、今回の政策の目的を、我が
国の養老保険基金の巨額の不足という長年の問題を解決できる点で総括しようとし
ている」
 だが、鄭教授は、この政策の制定は養老基金が充足されているかどうかによって
左右されるものではないとの認識を示す。鄭教授はこのような解釈を「公共政策の
実用化」という表現で呼んだ。
 経済理論に主導される社会の最大の問題は、ある政策の代償を予測するとき、人
がよく口にする社会的代償や人の精神的コストを意識しないことだ。政策の制定者
が、経済コストの点からのみ政策の合理・不合理を検討しても、賛同を得るのは難
しい。
 中国は本来、穏やかに保養して天寿を全うすると考える文化的伝統がある。この
ような文化的な気質の中で、どのようにして定年延長を検討し提唱するかは、複雑
な課題だ。もし定年延長を政府の資金的危機を解決するためだけの経済政策にしよ
うとするなら、民衆の反感を買うのは必至であろう。
 定年年齢の引き上げ問題では、政府は少なくとも以下の点を検討すべきだ。
1) 2007年の統計によると、300万人前後が定年を迎える。専門家が言う「返聘(職
 の返還)」で200万のポストのあきが出る。毎年少なくとも800万人は仕事につけ
 ない人がいる。とすれば、このように自然に人員が削減され、あきが出るポスト
 は貴重なのではないか。
2) 企業や政府のコスト計算。老人の給与・福利厚生は、就職したばかりの若者よ
 り高い。だが、育成コストは比較的低く、老人と若者にかかるコストはほぼ同じ
 と言える。
3) 目標とする実施率の達成。体力的な影響が大きくない頭脳職や公務員が就業人
 口に占める比率は非常に小さい。定年延長によって延長される大部分は肉体労働
 者だ。本当に65歳まで働ける業種はどのくらいの割合なのだろうか。
4) 個人のコストについては、政府はさらなる計算が必要だ。いわゆる人本位によ
 って、こうした細部が体現されるべきだ。例えば、レイオフされた労働者は何年
 社会保険を支払わなければならないのか。彼らは負担したくないのではないか。
 また、労働者層は定年年齢が引き上げられたとしても、年齢と体力の衰えを理由
 に、企業に解雇される率が増加するかもしれない。こうしたことも予測に入れる
 べきだ。
 以上の問題がすべて解決されても、まだ社会にどう説明し提唱するかという問題
が残る。民衆の観念と良好な関係を保って変えていくには、関係する人々や個人に
不安や反感を抱かせてはならない。政策の制定にはこうした問題も検討する必要が
ある。
 どのように定年を延長するかにかかわりなく、60歳が高齢であるという事実にか
わりはない。先進国では、1人当たりGDPが非常に高い状況下で定年年齢の引き上げ
が始まった。
 フランスの航空会社の整備士が65歳に定年が延長されることに抗議してストライ
キを実施したのは、最近のことだ。アメリカでは、過去に定年延長措置が緩和され、
1年の延長を2―4か月にしたことがある。これも人々に心理的な受け入れのプロセ
スを提供するためだ。
 定年年齢の引き上げは経済面の計算だけでなく、社会コストや人々の心理コスト
を考慮すべきだ。〔中国青在線―中国青年報2008年11月21日〕

中央政府 新たに1000億投資 「農民のため」3分の1

〈新たに投入される資金の用途〉
1) 340億元――農民生活プロジェクトと農村インフラ建設
2) 100億元――保障型住居安心プロジェクトの建設
3) 250億元――鉄道、道路、空港などの重大インフラ建設
4) 130億元――医療衛生、教育文化などの社会事業建設
5) 120億元――省エネ排出削減及び生態建設プロジェクトの資金
6) 60億元――自主イノベーションと構造調整資金
 この中央の1000億元の投資資金は「扱いにくい」ようだ。
 国家発展改革委員会は21日、この資金を高エネルギー消耗産業には投入しないと
強調したのに続き、24日、改めて、この新規1000億元の投資を主に国民生活保障、
農村、交通などの公共インフラ、省エネ排出削減及び生態系建設などのプロジェク
トに使用すること、低いレベルの重複建設と盲目的な投資を防ぐこと、またそのう
ちの総額の3分の1を占める340億元を農民生活プロジェクトと農村インフラ建設に
回すことを強調した。
 また同日、「資金投入分野と具体的なプロジェクト決定は、第十一次五カ年計画
を基準にするため、重複建設と盲目的な投資を避けることができる。つまり、計画
に定められているものを期限前に一部前倒しするものだ」と発表した。
 国家発展改革委員会は先日、財政部とともに「1000億元中央投資プロジェクト緊
急実施」を発表した。
 資金投入先、調整ルール、建設事業の分配と責任、実施の順序、各項目の管理要
求などを明確にするとともに、この投資資金を、規定に合わない投資、管理要求に
合わない建設プロジェクトに用いること、高エネルギー消耗、高汚染業界、低レベ
ルの重複建設と生産能力過剰な業界のプロジェクトに用いること、党政府機関のオ
フィスビルなどの建設に使用すること、建設資金の流用、不使用、浪費を厳しく禁
じた。
 発展改革委員会は、関連部門と地方が中央政府の定めた投資先、調整ルール、関
連基準、建設順序などに基づいて正確にプロジェクトを決め、建設資金を使用、管
理することを求めている。「プロジェクト資金、質、進捗などで生じた問題につい
ては、法律と基準に基づき厳しく取り締まる」
 中央内需拡大経済成長促進政策実施検査指導グループが先日、正式に設置され、
目下24グループが組織され、31省区市及び新疆生産建設兵団に赴き、監督検査活動
に取り組んでいる。
〈内需拡大プロジェクト〉
1) 150億元を着工済み鉄道プロジェクトに投入
 鉄道部によると、年末までに150億元を北京―上海高速鉄道を含む25項目の着工
済みの重点建設プロジェクトに投入するという。さらに、今年の鉄道基本建設投資
を500億元ふやす予定だ。また、年末までに1000億元の投資を新たに拠出し、その
中の150億を鉄道建設に投資する。鉄道部はさらに、2009年に計画されている新規
着工鉄道建設プロジェクト70件を研究確定する。新たなプロジェクトへの投資規模
は1兆元となり、2009年に完成が計画されている鉄道建設は6000億元である。
2) 蘭州―新疆旅客運送線に1200億元投資予定
 中国は1200億元を蘭州―新疆旅客運送線に投資する予定で、現行の蘭州―新疆鉄
道は貨物運送線になる。
 新しい蘭州―新疆旅客運送線は間もなく着工され、国家の投資資金のほか、甘粛、
青海、新疆も協力し、さらに、民間から資金を導入することも期待されている。
〔広州日報2008年11月25日〕
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