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歳入増を目指す課税研究

たばこ税引き上げによる医療保障の資金確保を提言

 中国控制吸煙協会はこのほど、「中国のたばこ税収とそこに潜む経済的影響」と
いう研究レポートを発表した。
 レポートは、「たばこ税が現在の水準から小売価格の51%まで引き上げられ、1箱
当たり1元が消費税として徴収されれば、喫煙者の数は1370万人減少し、340万人の
命が救われる。同時に政府の税収も649億元増加する」と指摘した。
 前述のレポートをまとめた米カリフォルニア大学バークレー校の胡徳偉教授は、
「最新情報によれば、中国政府は、医療体制改革の推進に700億元を投入する予定
だ。たばこ税の適度な引き上げは、医療保障の重要な資金源になり得る」と指摘す
る。
 海外では、既にこうした試みが長い間実践されている。オーストラリアはたばこ
税の30%を健康促進に使用し、30%を運動促進に使用している。英国政府は2000年、
たばこ1箱当たり5ペンス増税し、増加した財政収入はすべて病院や国の衛生サービ
スに使用している。
 レポートによると、現在の中国のたばこの総税率は小売価格の40%にすぎず、65
―70%が中間水準となっている海外のたばこ税率よりはるかに低い。
 たばこは中国社会に毎年巨大な経済負担を生み出しており、経済コストは1860億
元と中国のGDPの1.9%を占めるという。うち、喫煙による直接の医療コストは140億
元で、国家衛生費用総額の3.1%を占めている。
 たばこ1箱当たり従量消費税を1元増税するだけで、喫煙人口の減少により疾病も
減少し、27億元の医療費が削減できるという。また、喫煙人口の減少に伴い生産力
の損失も減少し、中国経済は99.2億元の巨額の収益を上げることができるという。
 このレポートの編纂に参加した四川大学の毛正中教授は、「たばこは数千万とい
う地方住民や農村住民を貧困に陥れている。統計によると、中国の貧困家庭の総支
出のうち8%から11%がたばこに使われている。たばこ税の引き上げは貧困層の喫煙
率を低減させるのにも有効だ」との認識を示す。
 「同様に、価格には敏感に反応するので、たばこ価格の引き上げは青少年の喫煙
防止にも非常に効果的」と胡徳偉教授は話す。
 中国衛生部の「2008年中国控制吸煙報告(2008年中国喫煙制限報告)」によると、
中国の青少年の喫煙者は1500万人にも上り、吸ったことがあるという青少年は4000
万人に上る。
 報告書では、中国のたばこ税の引き上げについて、具体的に以下のような提案が
なされている。
1) たばこ消費税を引き上げて従価税は保留すると同時に、たばこ1箱ごとの消費税
 を最低1元引き上げ、1箱4元まで徐々に引き上げ、総税率を小売価格の60%以上に
 なるまで段階的に引き上げる。
2) 現在の2段階の従価税を単一税率の従価税に簡素化することにより、生産者が低
 い税率での支払いを目的にブランドの価格を任意に調整することを防止する。
3) 葉たばこ税を撤廃し、地方政府の財政収入における損失やレイオフ人口を減ら
 すため、中央政府は引き上げた従量消費税の財源の一部を地方政府へ移譲する。
4) 中央政府と地方政府のたばこ税の配分構造を改革し、地方財政の需要を支援す
 るべく中央政府と地方政府の財政移譲の構造を改善する。
〔経済参考報2008年12月7日〕

国民の6割の月収は3000元足らず 個人所得税徴収基準額は当分の間据え置き

 個人所得税はずっと消費拡大や国民所得増加に最も有利な政策であると言われて
いる。消息筋によると、個人所得税徴収基準額引き上げ案が国務院に提出され、来
年から実施に移される。
 しかし、関係部門によると、当分の間、個人所得税徴収基準額引き上げはせず、
関連議題も中央経済工作会議の席上で討論されなかったという。
 来年1月1日から始まる増値税改革や小規模納税者増値税率調整、燃油税改革など
税制改革が歳入増を制約するため、政策決定機関は当分の間、個人所得税調整を考
慮に入れないことにした。
 多くの人々も、個人所得税徴収基準の引き上げのメリットを享受できる人はそん
なに多くなく、とりわけ中小都市のサラリーマンにはそれほどの影響はないと考え
ているようだ。
 「吉林省では、普通のサラリーマンの月収は2000元に達しておらず、2000元以上
の人はもっと少ない。もし3000元の徴収基準で徴収するとあれば、東北三省全体で
も納税すべき人が少ないだろう」と吉林省税務部門の幹部は話している。
 もし個人所得税徴収基準が3000元に引き上げられれば、内陸部の多くの省市の個
人所得税収入はなくなることになり、個人所得税による収入調整機能も果せなくな
る。
 ある中央経済工作会議の出席者は、実際は、もしも多くの面で消費に対する国民
の後顧の憂いが解消されたとしたら、必ずしも個人所得税の徴収により歳入増を図
る必要はないであろうと語る。
〈国務院の専門家は国民の6割の月収は3000元足らずと明言〉
 新快報の報道によると、個人所得税徴収基準額の引き上げによる消費拡大につい
て、先日の「財経」年会の席上で、国務院発展研究センターの倪紅日研究員及び中
国社会科学院財政貿易経済研究所の高培勇副所長はともにこの方法の効果に限界が
あると表明した。
 今回の中央経済工作会議の席上で、構造的減税という新構想が提案され、高培勇
副所長は以下のように述べた。
 構造的減税は、特定の階層に限定し、特定の目的に基づき、特定の税だけを減税
する。個人所得税徴収基準を引き上げても、減税による消費拡大の機能が有効的に
果せない。本当に意義のある、国民の可処分所得を押し上げることのできるのは総
合的な所得税徴収である。もし徴収基準の引き上げのみに着眼するとあれば、個人
所得税の11収入項目の給料所得だけに影響を及ぼすことになり、それ以外の改革項
目に影響しないことになる。
 また、倪紅日研究員は以下のように話している。
 中国では6割の国民の月収は3000元以下であるため、個人所得税徴収基準の引き
上げは主に収入の中等レベル以上の家庭に影響するが、これらの家庭の実際の限界
消費率は比較的低い。したがって、個人所得税徴収基準の引き上げは内需及び消費
を拡大させる機能を果せないかもしれない。
〔四川在線2008年12月15日〕
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