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ニュース出版業の資本注入と民間開放

新聞出版総署 ニュース出版業を民間資本に開放

 新聞出版総署柳斌傑署長は18日、中央テレビ経済チャンネルの「対話」コラムで、
ニュース出版業が民間資本に開放される見込みがあると漏らした。
 柳斌傑署長は、2008年ニュース出版産業の総生産額は8500億元を超える見込みで
あり、自動車産業のそれに相当するが、まだまだ満足したものとは言えないと示唆
した。
 柳斌傑署長によれば、アメリカではこの関連産業は「版権産業」と言われており、
国民経済の33%を占め、産業全体のトップであり、航空、宇宙飛行、自動車・その
他という三大輸出中堅産業をしのぐという。
 「だから、アメリカの映画、ソフトウエアが全世界に無敵であると実感している。
映画市場の70%はアメリカに属し、ソフトウエアはさらに全世界のマーケットに影
響を及ぼし、先進国でも6―7割以上のシェアを占めている。一方、中国のニュース
出版業が占める比率はとても低く、我々の発展の要求に対してふさわしいものにな
っていない」
 柳斌傑署長によると、ニュース出版業の改革では融資政策上の問題をクリアしな
ければならず、大型メディアに向けては3つの融資ルートを開拓しているという。
 第一は上場。上場によって広く資金を集める。
 第二は、融資ルートの中に大型国有企業を入れる。最近、我々は重大メディアグ
ループをつくろうとしているが、それは、この業界において長期的に積み上がった
資本不足問題を解決するためである。中国石油、中国移動のような大型国有企業、
真に資本力のある企業に入ってもらうことを希望している。
 第三は、民間資本との連携。民間資本はある部分でよく成長してきたし、マーケ
ットに対する敏感度、企画能力、リスクマネジメントのスピードなどは旧体制にな
いものである。
 したがって、これらの有利な組み合わせで資本統合することは、民間資本のメリ
ットを発揮する同時に、国有企業にノウハウを注入することもできる。したがって、
この3ルートの資本から一つの結合した通路を開拓する。〔楊子晩報2009年04月18日〕

中国ニュース出版体制改革は牛の歩み メディアへの投資リスクは未解消

 中国の市場化改革が進められて30年が経過し、扱いの難しいニュース出版業界の
市場化改革が始まろうとしている。
 中国政府は出版業の組織改編と上場を全面的に推し進める覚悟だ。国家新聞出版
総署が4月6日付で公布した「ニュース出版体制改革をさらに推し進めるための指導
意見」(「指導意見」)には、改革の青写真とスケジュールが盛り込まれている。
 新聞出版総署の柳斌傑署長は4月17日、中央電視台で、「民間資本を出版業界へ
導入したい」と発言した。柳斌傑署長はこれまでにも同様の主旨の発言を公の場で
繰り返しており、民間資本の導入は出版業界改革における最重要課題の一つと見ら
れる。
〈出版業界の改革、先行〉
 内部での議論と市場に対する懸念から、2007年になって、ニュース出版業界の改
革の道筋がついにより明確なものとなった。このことは、遼寧出版伝媒股フェン有
限公司の組織改編がこのほど成功したことに端を発する。
 遼寧出版伝媒股フェン有限公司(「遼寧出版」)は2007年12月21日、上海証券取
引所に上場し、経営・編集を合わせた全業務の上場に初めて成功した。
 上場後、遼寧出版は事業の拡張を実施した。傘下の未上場出版社4社について、
吸収あるいは資本注入したほか、資本提携を通じて、知名度の高い民間編集会社と
戦略的提携を結んだ。
 指導意見は、事実上遼寧出版の改革の実績を認め、全国的に推し進めようと企図
している。
 中国国内出版メディア事業の売り上げは8500億元(2008年)に達し、国民経済の
支柱の一つである自動車産業と肩を並べる規模となっている。だが、柳斌傑署長は
中央電視台の取材に対し、「諸外国に比べ、中国のニュース出版業がGDPに占める
比率は依然として低く、発展上の要請とつり合っていない」と答えた。
 今回の指導意見では、出版業界の改革について数値目標を明示している。すなわ
ち、3―5年以内に67社の資産を100億元超に引き上げ、売上高100億元を超す国際的
知名度の高い中国の一流大型出版企業に育てる。国内企業で現在、この規模に達し
ているのは江蘇鳳凰出版集団1社のみだ。
 今後の国内出版社の改編過程では、中央部門組織と単位部門のニュース出版組織
が改編の主体となる。指導意見は、「資本、特に国有大型企業が出版メディア企業
の株式制度改変に参加することを奨励し、支援する」と明示している。
 民間資本の出版分野への導入を具体的にどう開放し、出版資源の伝統的配分方法
をどう打破するかなどについて、政府は依然として慎重な姿勢をとっている。
 指導意見は、民間資本の出版分野への導入について非常に広く幅を持たせている。
「積極的に民間編集会社が出版に参加するルートを探す」とした上、国有出版企業
と民間編集会社との資本やプロジェクトなど多岐にわたる提携方法を奨励している。
 出版業界の改革は、事実上、現在実施されている事業組織の改革の一部に属する。
 中国では、事業組織は広大なシステムをなし、組織数は130万を超え、就業者数
は2900万人余り、経費は政府の財政支出の30%以上を占める。
 病院、学校などの事業組織の改革と同様に、出版業界の改革も企業化による組織
改編と民間資本への開放に始まる。政策決定部門は、2003年に既に「ニュース出版
企業の編集業務と経営業務全体の上場を迅速に実現し、業界体制を整え、競争力を
向上させるとともに、関係会社取引を減少させる」ことで合意に達していた。
 改革は2004年には着手されていた。国家新聞出版総署は2004年4月5日、出版体制
改革を開始し、人民出版社を除く全出版社を経営性企業組織に転換することを決定
した。北京市、上海市、重慶市などのニュース出版企業事業単位21組織が同年、体
制改革試行単位として承認された。
 この間、民間資本も拡大した。国家新聞出版総署の統計によると、全国の出版物
の発行拠点の93.6%(2007年)を民間企業が占める。中国出版科学研究所の試算に
よると、補助教材、児童、経営などの書籍の販売では、民間出版社のシェアが50―
90%に達する。
 中国国内では、2008年時点で23社の出版社が相次いで設立された。うち11社は上
場を果たし、上場総額は240億元余りに達した。
 新聞出版総署の指導意見では、人民出版社、盲文出版社、少数民族語言出版社な
ど公益性を有する出版機関を除き、すべての出版組織について、2010年までに完全
に企業化すること、政府が、財政、税制優遇を通じて出版資源の配分など多くの形
式を解放、出版企業の合併・組織改編と上場を奨励することを求めている。
 しかし、指導意見は、最も微妙な新聞の体制改革には言及していない。中国青年
政治学院新聞伝播学科の展江主任は「中国新聞周刊」において、「中国のニュース
出版体制改革は今後、段階的に進められるだろう」との認識を示している。
〈メディア投資はリスク〉
 社会の関心度がさらに高いニュース体制改革については、指導意見の言及は比較
的少ない。
 指導意見によると「公益性のある定期刊行物の基本標準を研究制定し、適宜公益
性のある定期刊行物名簿を公布する」としているが、報道性のある定期刊行物、オ
フィシャルウエブサイトの改革の道筋、タイムテーブルについては言及していない。
 2007年10月、柳斌傑署長が第十七次全国代表大会のメディア取材で公開したとこ
ろでは、中国政府は地方の出版機構、新聞企業及びオフィシャルウエブサイトの再
編、上場を支援するとしている。
 当時の段階で、南方報業メディア集団、湖北日報集団、寧波日報報業が上場準備
をしていたが、最後は、主管部門が上場後の資本市場とニュースメディア管理のバ
ランスがとれるかどうかについて見方が分かれ、上場計画は実現しなかった。
 目下、中国国内の幾つかの市場化経営に成功したメディアの背後には、すべて広
範な資本が融資に参加している。例えば、復星実業は「21世紀経済報道」「東方早
報」「毎日新報」等、北大青島は「京華時報」、三聯集団は「経済観察報」、博瑞
集団は「成都商報」「毎日経済新聞」を投資するという背景を持つ。
 資本がメディアに投資するのは、一方では、メディア自身の資金需要に端を発し
ている。IMI市場研究所が行った調査研究によれば、目下資金が逼迫している中国
メディアは82%に達している。
 また一方では、広範な資本がその背後にある巨大な広告市場に目をつけている。
CTR市場研究の最新の年度広告モニター報告によると、2008年中国広告市場へ総額
4413億元投入されている。
 しかし、中国メディアは事業法人に属し、企業法人工商登記ではない。したがっ
て、資金を投資する際、一般的には合資会社の形態で広告代理、印刷、発行等に参
加するという方式をとるが、核心的な編集部門は依然としてタブーとなっている。
 例えば、2003年、北大青島が「京華時報」に投資したときは、北大青島は「京華
時報」と京華文化メディア公司を一緒につくり、「京華時報」の発行、広告等業務
を共同経営しただけだった。
 「メディアへの投資は依然として大きな政策リスクに直面している」
 投中集団のメディアアナリスト朱一璞氏は「中国新聞周刊」に対し、目下、中国
国内のベンチャーキャピタルのメディアへの投資は、主に消費、サービス、ファッ
ションといったタイプのメディアに集中しており、政策リスクが相対的に高い時事
政治メディア関連は少ないとしている。
 投中集団の近年の業界観察データによると、ここ3年、中国国内ベンチャーキャ
ピタルのメディアへの投資事例件数は一けたを徘回しているという。
〈ニュース出版体制改革の「青写真」〉
1) 公益性のあるニュース出版組織体制改革を推進し、ニュース出版公共サービス
 体系を構築する。
2) 経営を行うニュース出版組織への改編を推進し、市場主体を再構築する。
3) 合併・組織改編を推進し、出版メディア基幹企業及び戦略投資家の育成を加速
 する。
4) 民間編集会社の健全な発展を指導し、新興出版の生産力を成長させる。
5) 対外交流を拡大し、海外進出戦略を積極的に実施する。そして、国内と国際2つ
 の資源、マーケットを十分に利用し、国際競争力のある外向型出版メディア企業、
 重要な影響力を持つ国際出版権の取引プラットフォームをつくり出す。条件を有
 する出版メディア企業が独資、合資、合作などの形態で外国で新聞、定期刊行物、
 出版社、印刷工場などの事業を起こすことを奨励し、国外及び香港、マカオ、台
 湾地区のマーケットを開拓する。
〔中国新聞網2009年4月27日〕
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