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四川大地震その後

85%の観光客 四川への旅行に信頼回復

 地震災害、金融危機などのマイナス影響に直面して、2009年の上半期の四川省
観光業はどうだったのだろうか? 今年下半期にはどのようなチャンスと挑戦に直
面するのだろうか?
 世界的に有名な戦略コンサルティング会社のマッキンゼーはこのほど、四川省観
光局に市場調査研究報告を提出した。
 調査によると、約85%の回答者は、四川への旅行に一部信頼を回復、あるいはと
ても信頼していると表明している。
 今回の調査は、マッキンゼーのプロジェクトグループが四川省観光局の職員とと
もに災害を受けた観光地に深く入り込んで数回にわたる調査を行い、また国内外の
主要市場に対してアンケート調査を行ったものである。
〈85%の回答者は、四川への旅行に信頼回復〉
 四川省観光局の最新統計データによると、2009年の上半期には四川省全体で累計
739.26億元の旅行収入を実現した。前年同時期と比べて57.6%増加し、年間目標課
題の61.1%を達成した。
 また、四川省全体の旅行経済状況は「入国旅行者数の月ごとの逓増」、「国内旅
行の力強い増加」、「旅行企業接待数の明らかな増加」等、3つの特徴を示している。
 マッキンゼーの調査研究データにある、約85%の回答者が四川への旅行に対して
一部信頼を回復、あるいはとても信頼があると表明していることは、このことを側
面から証明している。
 また、地震のために四川への旅行を取り消した観光客も当初の30%から約20%まで
減少した。
〈金融危機で市民が旅行に出る回数減少〉
 金融危機の影響を受け、観光客の25%は2009年に計画した旅行回数を2008年より
減少させ、2008年初めに中国国内観光客が計画した旅行平均回数は2.18回であった。
2009年に初めて1.99回に減少、約9%下降した。
 そのうち、成都の回答者は2008年の平均2.57回から2009年の平均2.11回に減少し、
下降幅は比較的大きかった。このほか、広州の回答者の下降幅も比較的大きかった。
 また、多くの観光客は長距離旅行を短距離旅行に変えており、今回の調査研究の
回答者500人のうち、40%が観光地を調整したと表明している。
 北京の観光客の多くは東南アジアや雲南、内モンゴルを天津、河北に変え、上海
の観光客はオーストラリアや日本を四川へ行く旅行に変えた。成都現地の観光客は
もともと計画していた海南、雲南などの観光地を四川省内の旅行に変えた。
 注目すべきは、すべての回答者がその観光地を調整した後、四川へ旅行に来る観
光客がもとの2%から17%に増加したことだ。四川省内の観光客の多くが省内旅行に
変えた一方、多くの他省の観光客も国外旅行を四川省内の旅行に変えている。
 その他の観光地をなぜ四川に変えるかという問題については、54%の回答者は、
旅行費用の節約のためとし、41%は、四川が最近幾つかの優遇措置を実施したため
だとしている。優遇措置を発表することは、四川へ来る観光客を有効的に誘い込む
明確な推進力となったと見られる。
〈提案 旅行優遇措置を発表〉
 四川観光業の発展にとり、マーケティングの重要意義はますますはっきりしてき
ている。そのため、マッキンゼーは四川旅行の回復に対しても幾つかの提案をして
いる。これには主に宣伝特集番組と旅行優遇措置の2つが含まれる。
 今回の500名の回答者のうち、依然として20%は地震のために四川に行く旅行を取
り消し、35%は四川旅行をおくらせている。回答者の主な心配事としては、建築物
や公共施設が安全かどうか(29%)、交通が麻痺しないか(28%)、衛生防疫の状況
(28%)、観光スポットの破壊や閉鎖(28%)、地震の再発(28%)、地震の隠れた
危険(20%)である。
 これに対して、マッキンゼーはさらに多くの旅行客が現状を理解し、観光客の地
震後の影響に対して生じるさまざまな心配を解消するよう、地震後の観光業の回
復・再建及び現状を重点的に紹介する特別報道番組を制作することを四川に提案し
ている。
 また、世界的金融危機の背景のもと、幾つかの低価格コースを選択し発表するこ
とでまた新しい「値下がりした価格以上の価値がある優遇」効果を形成することを
提案している。
 四川旅行がどのようにすれば最も有効的に観光客を引きつけられるかを問う際、
新しい旅行コースと観光地を発表することのほか、第2、第3の措置としては、それ
ぞれ観光地の入場券価格を値下げすることや旅行のセットチケットを発表すること
があった。マッキンゼーは、幾つかの値下げ販売促進計画を適宜打ち出すことは、
市場が不利な状況のもとで効果的に四川旅行の発展を牽引するものと考えている。
〔四川オンライン―華西都市報2009年7月20日〕

四川大地震の義援金 6割の寄付者が使途知らず

 にせ義援金グループなど一連の事件の波紋が広がるにつれ、5.12四川大地震は中
国の義援金史上の奇跡であるとともに、義援金構造において種々の問題に焦点を当
てることとなった。
 清華大学公共管理学〓国勝副教授は、災害救助に当たり出現した「義援金堰止
湖」現象は、義援金システムの不十分さを大いに露呈したと語った。
 〓国勝副教授は来月北京で開催される「社会組織5.12行動シンポジウム及び公益
プロジェクト北京交流展」のため、「中国災害救急体制分析」を執筆した。
〈義援金の「堰止湖」〉
 四川大地震は国民の思いやりの心と義援の波を呼び起こした。今年4月30日まで
に全国で受け取った義援金、物資は合計767.12億元で、中国義援金史上の奇跡をも
たらした。
 しかし、少数の独占的な地位にある機関には多額の資金や多数の物資への管理能
力が欠けていたり、どのように使うかなど運用面でも問題があり、結果、災害救助
の過程で少なからず管理上の手抜かりが発生し、その金額、物資の量がふえればふ
えるほど大衆の心配も増し、募金機関の資金使用リスクに関する社会の疑念もより
増して、社会的な圧力も高まった。
 「ある幾つかの省の募金機関ははっきり物資の受領を拒み、あるいは被災者が緊
急に必要な物資を適時に届けることができなかった」と〓国勝副教授は語った。
 〓国勝副教授は四川省赤十字の例を挙げ、地震の初期、中国全国各地から義援
金・物資が殺到したものの、赤十字職員の数が限られていたため、タイムリーで有
効的な処理ができなかったとした。
 また、民間組織が直面した例では、寄付者がある民間組織に送金したところ、そ
の銀行から寄付者にだまされないようにという指摘があったり、あるいは民間組織
が送金を受けたものの、被災者救済のための送金であるとしたところ、銀行から引
き出しが許されなかったりということが起きた。
〈寄附の流用〉
 2008年5月31日、国務院弁公室は「ブン川地震義援物資管理使用強化に関する通
知」を公布し、災害義援物資の管理使用に関する基本原則、すなわち義援物資の使
用は寄付者の意向を十分尊重、体現し、他の用途に用いてはならないことを明確に
した。
 しかし、多くの省では、赤十字、慈善会、公募基金が合法的に集めた義援金を政
府の財政口座に移したり、甚だしくは、赤十字、慈善会、公募基金が集めた資金を
強制的に政府の財政専門口座に移したりすることもあったことが明らかになっている。
 また、赤十字、慈善会、公募基金が受け取った義援金を接収こそしないものの、
政府が緊急に購入する物資の費用、救助活動の展開費用、仮設住宅設営費用、被災
児童の保護費用、被災建物の再建費用など、相当部分が赤十字や慈善会、公募基金
の支出となった省もあった。
 「ある地方官吏は法によらず、部門の権力や利益のために一切の行動をした」と
〓国勝副教授は紹介した。ある地方政府では、民間募金機関が集めた義援金を取り
上げていったという。一方、民間組織では寄付者や公衆が寄付した資金の使用状況
やその効果について伝えることができず、それは民間組織の社会的信用に直接影響
を及ぼしている。
〈6割の寄付者は義援金がどのように使われたのか知らない〉
 情報公開は全体の寄付システムをよりよく運営するための手段の一つであり、民
間組織の社会的信用力樹立の重要な手段である。
 しかし、清華大学公共管理学院及び新生代監督機構のアンケート調査によれば、
1684件の有効回答中、その使途について、4.7%の寄付者は明確に認識し、28.5%は
やや明確に認識していたが、50.8%は余りよくわからない、16%は全くわからないと
しており、すなわち6割の寄付者がどのように使われたのかわからないという。
 「もちろん、政府部門であれ、民間組織であれ、情報公開はいずれも不完全であ
り、特に資金の支出手続、ルートに関してはごくわずかしか公開されていない」
 〓国勝副教授は、一部の機関で公表された資金の使用情報は少ないばかりか、抽
象的、大ざっぱで、一言「すべて被災地に用いられた」とされ、苦笑せざるを得な
いものだったと語る。
 全体から見れば、適度な情報公開のメリットは社会資源の有効活用、寄付者の選
択肢の増加、寄付者の主体性促進、義援物資の過度な集中の防止がある。
 また、〓国勝副教授は、今後の災害救助においては、原則民間組織が募集する義
援資金の使途は完全に自己管理すべきであると考えている。さらに、公衆、寄付者
は募金機構のコストについて理性的に知るべきで、法律の許す範囲内で、合理的な
管理費が含まれることは許容されるとした。
〔第一財経日報2009年7月22日〕
注)〓は、「登」におおざと
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