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電子マガジン・中国最新情報
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環境問題深刻化の警鐘

50年後 上海の一部地域に水没の可能性も

 「有力な措置が講じられなければ、50年後、上海の一部地域は水没してしまう可
能性がある」
 これは大げさな話ではなく、先日発行された「長江流域気候変化の脆弱性と適応
性研究報告」(以下、「報告」と記載)で出された厳粛な結論である。
 11月10日、中国科学院やWWF等機関はこの報告を共同で発表した。これは大流域
を基準として進めた中国国内初の気候変動の脆弱性と適応性の研究成果である。
 長江流域の河口都市については、この報告の中で、上海による研究が最も注目に
値する部分だ。これは、復旦大学の20名以上の関係領域の専門家とWWFが2年に及ぶ
時間を経て完成させた。
 責任者の一人である復旦大学の王祥栄教授の説明によると、上海は、世界最大の
大陸と最長の河川の一つが世界最大の海洋に流れ込む海の入り江に位置していると
同時に、ここ50年のデータによれば、上海がグローバルな気候変動の影響を受けて
いることは非常に明らかだという。
 報告の中で用いられた「非常に明らか」の証明としてのデータには驚かされる。
上海地区は、ここ50年において気温が2.35度上昇しており、全国の同時期の上昇温
度の2倍、世界データの4倍近くになっているのだ。世界における同類の河口都市
(アムステルダム、ヒューストン、ニューオーリンズ等)と比較しても、さらに明
らかな上昇となっている。
 ここ50年において上海の異常気象事案もまた増加傾向となっている。上海のこの
50年における降水災害確率は、50年前と比較すると5.3ポイント上昇した。異常最
高気温は1970年代末期より上昇を始め、特に2003年には39.6度の異常高温が出現し
た。気温、降水、気流の変化は高潮(自然現象による災害。「暴風津波」「気象津
波」とも呼ぶ)を悪化させる可能性がある。また同時に、高潮による損失もこれに
伴って増大した。
 「ニューオーリンズのハリケーンのような異常気象事件が上海でもあり得るかど
うかは、現時点で私たちの研究では確定できない。しかし、全体傾向としては、確
率は増加している」王祥栄教授は言う。
 気候変動が上海にもたらすもう一つの顕著な影響というのは、海水面の上昇であ
る。この30年で、上海沿海の海水面は115ミリメートル上昇し、全国の沿海平均の90
ミリメートルよりも高い。例えば、同類の崇明の東灘、浦東臨海の多くの低地では
「陸地面積がどんどん少なくなる」傾向が見られる。
 「もし、相応の措置が講じられなければ、上海の一部の生態脆弱地域は致命的な
一撃に見舞われるかもしれない。水没する危険に直面する可能性がある」王祥栄は
言う。
 報告は、上述の結論に対して相応の対策を提案している。
 政府主導の地域計画で措置を講じる。同類の崇明の東灘、湿地、黄浦江の上流部、
低地地域、余山や淀山湖一体の生態脆弱地は優先的に保護し、産業構造、人口密度
のデザイン等の方面には、より具体的な規定が必要である。その他の地区の関連措
置についても、ここから類推できる。
 王祥栄教授は、2005年にアメリカのニューオーリンズで発生したハリケーンの教
訓について、上海はこれを警句とするべきだと強調する。
 「ニューオーリンズのハリケーンは天災だと思われているが、実際には「人災」
の要素をはらんでいた。ハリケーンは、ただその要素を誘発させただけで、根本的
な原因は、長期にわたって都市の生態計画の安全を重要視してこなかったところに
ある」
 ニューオーリンズは、開発の過程において、少なくとも半分の湿地を埋め、沿海
地区では安全距離を考慮されず、海岸線に近い地区が多くの危険な加工品の倉庫設
備となっていた。水路は通航のため、ミシシッピ川の上流部と中流部からもたらさ
れたすべての泥はきれいに持っていってしまい、緩衝作用は起きようがない。
 「このような河口都市の経験・教訓は、必ず十分に重視をしなければならないし、
事前計画を練っておかなければならない」もし上海がこのような措置を講じなけれ
ば、「その結果は非常に深刻なものとなる」と王祥栄教授は言う。
 「低地は相当の比率で水没する可能性がある。私たちのシュミレーションによる
と、100年後、浜江沿海地区は水没の危険性があり、生物種群の変化と一連の生態
環境変化にも影響を与えるだろう」
 この研究報告は、コペンハーゲンにおける気候変動枠組み条約締約国会議の前夜
に公布されたため、研究者は、この項目はまさに中国政府が決定した政策が依拠と
なっており、政府の省エネ・排出減の決心を強めるだろうと言う。
〔和訊網2009年11月26日〕

中国の汚水排出量、増加速度とも世界最大

 11月24日、きょうは「無買日」(Buy Nothing Day)である。
 清華大学環境科学・工学系党委員会杜鵬飛書記、北京環境保護研究院エンジニア
湯大友政協委員は、本日午前、人民網「人民議事庁」のゲストとして、多くのネッ
トユーザーと環境問題について意見交換を行った。
 水質汚染の問題に関して、両専門家は、中国は世界最大の汚水排出国であるとと
もに、その増加スピードが最も高い国でもあると語った。
 杜鵬飛書記は、中国は世界最大の汚水排出国であるとともに、その増加スピード
が最も高い国であると語った。
 国家建設部の統計によれば、2007年までで、665都市の総供給水量は年501.9億立
法メートルで、都市戸籍人口1人1日当たり平均およそ400リットルの水を消費して
いる。この水準はかなりのもので、10年前には全国都市の総合消費水量は300リッ
トル前後であったので、その増加速度は極めて速い。
 杜鵬飛書記はさらに進めて、年間500億トンの水使用量は必然的に大量の排水や
排水量を生み出すと語った。これまで、我々の排水量は水の供給設備や基礎施設の
不完全さと関連し少なく、水の供給能力や住民の消費能力の低さから、水使用量や
排水量もまた少なかった。
 しかし現在、これらの量は既に極めて大きいものとなった。保守的な統計でも、
中国の都市汚染排出量は年400億トンである。加えて、農村地域には3万4000近い郷
鎮があるが、この3万4000郷鎮自体の市街地や都市は実質的に同じ事態にあり、居
住集中地域での排水産出量及び排水量はいずれも高い。
 統計データでは、おおむね1人当たりの平均水使用量では、鎮では約90リットル、
郷では約75リットルにもなることがある。これらが指し示すことは、郷鎮の用水集
中地域は市街地で、これらの地域の人口は約4億人近くに上るということであり、
このように計算すると全体の汚水量は間違いなく相当な量と言える。
 湯大友委員はさらに詳しく語る。近年、汚水排出量は中国の都市化が加速する中、
その増加の速度を増している。都市化の速度が増すと、都市人口が集中する。都市
人口が増加すると、水の消費量はふえる。その上、都市消費や水の増加量は計算可
能だが、広大な農村の水所要量はうまく計算できないということもある。
 近年、中国も社会経済の高度成長と都市化進展の加速で、都市人口がますますふ
え、中小都市のみならず、一部には郷鎮レベルでも、多くの地域で水の供給施設、
排水施設がやや完備された。このようなことは一つの問題を反映している。それは、
都市での水消費量の増加はすなわち排水量の増加を増加させているということであ
る。近年、中国全体の汚水排出量と都市生活排水量の増加が目覚ましいことがはっ
きりと出ている。これは現実の問題である。
 しかし、湯大友委員は、1人当たり水消費量に関していえば、中国は依然として
低いと強調する。単純に我々住民の1人当たり水使用量、すなわち住民世帯の1人当
たり水使用量を考えると、全国平均では160リットルである。国際的には、一般的
には200リットルである。〔人民網2009年11月24日〕

中国大都市「ごみ問題」に遭遇 上

〈1 大都市の「ごみ病」〉
▽2012年、広東最大のごみ埋立処分場が予定より前に満杯に
▽東莞では1日当たり数万トンのごみが発生、無害化処理はわずか3割だけ
▽北京、上海、江蘇等の都市でごみ処理問題発生
 広州市環境衛生管理局のデータによると、2008年の広州市の生活ごみは1日当た
り9776トン発生し、2010年には1日当たりのごみ発生量は1万トンに達すると見られ
ている。
 広州固形廃棄物センターのエンジニアの熊孟清さんによると、目下広州では主に
3つの方式でごみを処理しているという。それは、焼却、バイオ処理、埋め立てで
ある。現在、大部分のごみは、一般的に埋め立て及び焼却の方式で処理されている。
李坑ごみ焼却発電で1日当たり2000トンが処理されているのを除けば、最も主要な
処理方式は埋め立てである。
 李坑ごみ埋立処分場は広州市の大部分の生活ごみの処理を受け持っており、興豊
ごみ埋立処分場では目下1日当たり6000トン以上が埋め立てられている。
 興豊ごみ埋立処分場は2002年12月に正式に使用開始された。総面積が91.7万平方
メートルで、そのうち71.2万平方メートルがごみ処理地区であり、22年間使用する
ように設計されている。
 しかし、広州市環境衛生管理処の飽倫軍処長によると、2004年からごみの1日当
たり発生量が毎年約5%のペースで増加し、興豊ごみ埋立処分場の使用寿命を8年も
前倒しさせ、最も長く延長して使えても2012年までだと予測されている。
 「そのときになったら、ごみを持っていける場所がない」
 視点を世界の工場に移してみよう――東莞、ここではごみの成長速度とGDPが争
っている。
 早くも2007年には、東莞市では180余りのごみ埋立処分場を整理、封鎖すること
を決めたが、しかしその速度はごみの増加速度にいつまでも追いつかない。
 今年7月、東莞市が開催した区域環境衛生特別ビジョン編成業務会議での指摘に
よると、東莞市では1日当たり1万トン以上のごみが発生しているが、市街区、厚街、
橫瀝の3カ所のごみ焼却発電施設の1日当たり処理能力はわずか3000トン前後にすぎ
ず、無害化処理率はわずか3割であり、今後数年は鎮や村のごみ埋立処分場を頼る
としている。
 しかし、工場が林立し、土地が珍しさが黄金のように貴重な鎮や村において、巨
大な面積を占めるごみ埋立処分場のようなものを建設することは、やりようがない。
 実は、ごみ問題に遭遇しているのは、経済が発達している珠海デルタだけではない。
 北京の北京市政管理委員会主任責任者は、あと4、5年で、北京市は基本的にごみ
の埋立処分ができる場所がなくなると公表している。
 上海では、生活ごみのピーク時は1日2万トンを上回ることもあり、かつ依然とし
て毎年5%の速度で成長している。
 江蘇省環境科学研究院が提供した南京江北ごみ焼却施設建設環境評価報告概要の
中では、1人当たりごみ発生量を年間4%増と試算すると、2010年には南京市で1日当
たり5378トンのごみが発生し、市街地のごみ衛生埋立処分場では埋める場所がなく
なることが明らかになっている。
〈2 ごみ処理技術は完備されているわけではない〉
▽中国ごみ埋立処分場には浸透問題が存在
▽中小都市には先進的な焼却設備を買う力はない
▽ごみ焼却施設ダイオキシン汚染論争
 「多くのごみ埋立処分場の施設は簡素で危険性が高く、いい選択であるとは言え
ない」
 中国環境科学院研究院の趙章元研究員は、ごみ埋め立てでは厚いポリエチレンシ
ートを敷いて遮水し、ごみ中の液体が浸透し地下水を汚染することを防がなければ
ならないと話す。
 しかし、中国ごみ埋立処分場には一般に浸透問題が存在しており、国家汚染防止
標準に到達できるものはない。
 1990年代から始まった、関連部門が全国100カ所以上の都市のごみ埋立処分場に
対して行った調査では、当時の中国のすべてのごみ埋立処分場では、さまざまに浸
透問題が存在することがわかり、地下水汚染濃度に照らして区分したところ、比較
的重度の地下水汚染を受けた都市は64%を占め、軽度の地下水汚染を受けた都市は
33%を占めた。
 趙章元研究員は、現在は幾つかの都市では1層あるいは2層の浸透防止膜で遮水し
ているとはいえ、幾つかの有害廃棄物も埋め立てられているのだから、数十年後で
あってもごみ埋立処分場は汚染された環境であるはずだとしている。
 そこで、市長たちはごみ問題の解決が必須であることに直面し、焼却が一つの有
効かつ清潔な選択となるとしている。
 しかし、幾つかの中小都市政府は、先進的な焼却設備を購入する力はない。広州
市の李坑ごみ焼却発電施設の投資は7.25億元ものお金を投じてやっとごみ焼却とし
てやや十分なものを保障できている。
 広州花都区と仏山南海区の地域の境の崗頭嶺には、「それほど先進ではない」ご
み焼却施設がある。
 この焼却施設の劉経理は、コストから考えると、使用しているものは国産の古い
タイプの焼却炉で、布や革等の燃えやすいごみを燃やすことだけができるもので、
焼却率はわずか8対2、つまり20%のごみは良好に処理できていないと打ち明ける。
記者が見るところ、燃焼は不完全で、煙突から出てくる灰が樹木の葉を覆っている。
 ごみの中に含まれる幾つかの重金属に至っては、劉経理によると、焼却設備の運
転速度が低く、磁気選別機の磁石の力が弱いといった問題により、十分に分解でき
ずにごみの残渣の中に残り、今のところはごみの残渣はどのように処理しているの
かを知らないと話す。
 実は、たとえ先進国の設備を購入したとしても、この市の市長たちの頭を悩ませ
る。ごみを焼却するのかしないのかという問題については学術界で意見が割れてい
るのだ。
 趙章元研究員は、ごみ焼却「反対派」の代表者だ。ダイオキシン汚染リスクと投
資運営コストが高過ぎるという2大ネックが存在するため、ごみ焼却は1980年代に
ピークになった後、目下中国国外で既に一種の「斜陽産業」になっていると見てい
るようだ。「我々は先進国が汚染産業を移転するときに附帯されるものの押し売り
を受けてはいけない」
 国際がん研究機関では、ダイオキシンはヒトに対する発がん性が認められるグル
ープ1とされている。「ごみ焼却炉はダイオキシンを生成するプロセスの一つであ
る。特に、目下、中国の環境保全管理能力は不十分で、危険性も大きい」趙章元研
究員はこのように述べている。
 中国国外の学者も、中国人にごみ焼却を推奨しないと忠告する。2005年、世界銀
行が発表した報告でも、中国がもし急速にごみ焼却施設を建造し、排出抑制をしな
ければ、世界規模で大気中のダイオキシン含有量が倍増すると警告している。
 趙章元研究員は、現在既により多くの国の認識として、焼却はごみ問題解決の妙
薬ではなく、例えばドイツやベルギーやオランダのようなEUの幾つかの先進諸国で
は、循環経済の実施に伴い、焼却施設は減少し少なくなっていると紹介する。
〈3 直面「ごみが都市を包囲する」〉
▽分類処理が解
▽絶対に「汚染ゼロ」のごみ処理方式は存在せず
▽「生産―消費」の悪循環を打破し、グリーンライフを追求するとき
 ごみ分類をどうして推進しないのか?
 中国国内ではごみ焼却施設に対する議論が多く、一人一人の市民に身近な関心を
引き起こし、人々のライフスタイル、人と都市の関係及び人と自然との関係といっ
た深い再認識を引き起こしている。
 間違いなく、絶対に「汚染ゼロ」のごみ処理方式は存在しない。「生産―消費」
の悪循環を打破し、グリーンライフを追求するときである。
 取材中、多くの専門家は、都市生活におけるごみ問題解決の根本的な方法は、汚
染源となるごみの減量化を実現することであり、ごみの増加を有効的にコントロー
ルしただけでは、ごみ処理施設建設休止はできないと指摘していた。
 熊孟清氏は、収集、分類を通じて、ごみを回収利用し、循環経済を形成し、本当
の意味での「ごみ」の量を減らすことができると訴える。ドイツ、スイス、日本等
ではごみ焼却により汚染が進んだ後、ごみ分類及び回収をさらに多く採用し、ごみ
の量が大幅に減少した。半減以上になったところもある。
 一方、鹿児島大学の稲永醇二教授、秋田大学の服部浩之教授も、もしごみを分類
せずに燃焼するのであれば、800度の高温燃焼をさせたとしても、環境にどのよう
な影響をもたらすかは確定しにくいと話している。
 番禺ごみ燃焼発電施設の議論では、多くの住民は、反対のための反対ではなく、
政府と一緒になってごみの適切処理の道を探し、古いものを破り新しいことを打ち
立てるとしている。彼らの「打ち立てる」とは、全面的に分類焼却を推進すること
である。
 目下成立したばかりの広州市都市管理局では、ごみ分類を今後の業務の重点に入
れることを明確にした。
 このことは人々を元気づけることは間違いない。論争ないし抵抗という痛みを経
て、ごみ分類は政府、市民との間の一つの貴重なコンセンサスとして今まさに形成
されようとしている。
(次号に続く)
〔南方報網―南方日報2009年11月23日〕
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