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戸籍と福祉の都市農村同一への試み

重慶市長 10年以内に1000万の農村人口を都市人口へ

 昨11日夜8時、全人代代表で重慶市長の黄奇帆氏が中央テレビ「小崔会客」のゲ
ストになった。
 黄奇帆市長は、重慶は第二環状都市時代に入り、成長余地は北京、上海、天津よ
りも大きい、建設可能範囲は沿海の幾つかの都市よりもさらに広大であると述べた。
〈農民子女の大学進学は、都市戸籍を与えるべき〉
 重慶の目下の都市人口は1200万人で、農村戸籍人口は2000万人である。黄奇帆市
長は、いかにして農民工の都市における問題を解決するかということについて、2020
年になる前に、1000万人の農村人口が都市に移動し、都市戸籍を持つようになると
語った。
 ここ1、2年の準備期間において、まず300万人のこれまでも懸案になっていた農
民工、農民について、都市戸籍を持たせる。過去10年において、既に重慶で10年以
上仕事をしている60万人がいて、彼らの奥さん、子供まで入れると150万人いる。
 あるいは、1990年代、重慶には土地収用をされた農民工100万人がいて、既に都
市で居住していたが、都市戸籍は持っていなかった。この100万人に都市戸籍を与
えるべきである。
 また、ダム地域からの移民には非農業に転業した50万人ほどがいるが、この人た
ちにも都市戸籍を与えるべきである。
 重慶市政府では、これとはまた別に、毎年数十万の農民の子女が中等専門学校に
進学し、さらに数万人は高等専門学校、大学へと進学すると考えている。一般に中
等専門学校や大学を出れば、都市戸籍が与えられるべきである。
 このように毎年20万、10年で200万人、これで500万人になり、残りの500万は、
毎年4、50万(都市戸籍への移動)、このようにして10年たてば、我々のこの計画
は実現できる。
〈第2環状線時代で都市市街区建設倍増 今後の発展は他の直轄市より大〉
 今後10年で1000万人が都市住民になる。しかし、重慶は「山城」と呼ばれるよう
な場所、どこに彼らが居住できる余地があるのだろうか?
 中央政府は最近、重慶にとり重要な政策である重慶都市市街区ビジョンを許可した。
 重慶はもともと市街区が1環状線で囲まれた都市であったが、現在は第2環状線ま
で拡張したので、第二環状線時代と呼んでいる。
 第二環状時代では、重慶都市市街区の不動産建設用地が、これまでの500平方キ
ロメートルから1000平方キロメートルとなり、居住者もこれまでの500万人から1000
万人に拡大する。したがって、世間の有能な人材が重慶に来て仕事ができるし、仕
事をして不動産を買う。しばらく生活が苦しくても、政府の公共住宅に住むことも
できる。
 重慶のこの方面の成長余地は北京、上海、天津よりも大きい。なぜかと言えば、
上海は6000平方キロメートル強、北京は1万平方キロメートル強であるが、重慶の
すべての面積は8万平方キロメートル強、市街区で5000平方キロメートルあり、そ
の建設可能範囲は沿海の幾つかの都市よりもさらに広大であるからである。
〔重慶晩報2010年3月12日〕

広東の最低賃金標準を10%以上引き上げ

 11日、全国人民代表で、広東省人力資源社会保障庁の欧真志庁長は、羊城晩報の
取材の際、広東は最低賃金標準を引き上げることを計画しており、概要を既に省政
府に報告していることを明らかにした。10%以上引き上げたいとしている。
〈農民工に「同一労働、同一賃金」を〉
▽羊城晩報:総理は報告の中で、農民工の都市における就業及び生活問題について、
計画を持って、段階を踏んで解決するべきであるとし、農民工の労働報酬、子女の
就学、公衆衛生、住宅及び社会保障方面において、都市住民と同等の待遇を徐々に
実現していくべきであると述べています。どのように「同等待遇」を理解しましたか?
▽欧真志庁長:同等待遇について、賃金や社会保障という視点から見ると、農民工
は都市で仕事しており、工場のほかの労働者と同じであるべきです。すべての労働
者は本質的には違いはなく、納付年限が同じであれば、納付金額も同じで、退職後
の都市住民と同様の養老金を得るべきです。
▽羊城晩報:同一労働、同一賃金ということですか?
▽欧真志庁長:はい、そうです。賃金においては、我々は今年最低賃金標準を引き
上げることを計画しています。既に省全体のそれぞれの地域の最低賃金標準を出し
ており、省政府に上げ、認可を待っているところです。
▽羊城晩報:最低賃金引き上げはどのぐらいが適当だと思いますか?
▽欧真志庁長:我々は先進地域と非先進地域のそれぞれの発展水準をもとに考慮し
ます。各市の意見を聴取し、省全体の最低賃金標準を10%以上引き上げることを考
えています。
〈広東、深センへのハードルは高い〉
▽羊城晩報:「同等待遇」の別の問題点は、農民工が同等の都市公共サービスを享
受する、例えば子女の就学等の問題がありますが、広東はいかにして推し進めるの
でしょうか?
▽欧真志庁長:農民工の子女の広東の就学における借読費は既に取り消されています。
 広東省委員会、省政府は広東省の農民工に対し、農民工ポイント制都市入籍弁法
を打ち出し、各方面で一定点数に達すれば都市戸籍に入れるよう準備しています。
▽羊城晩報:それは大まかにどんな基準ですか?
▽欧真志庁長:都市戸籍入籍の可否について、主に職業能力、職業技術資格、学力、
社会保障納入額等を見て、これによって一定点数を算出し、一定比率に基づいて定
員を確定します。
▽羊城晩報:どれだけの点数で入籍可能に達するのですか?
▽欧真志庁長:省全体に標準があります。しかし、何点で入籍できるかは、各市に
より把握することになります。私の試算では、広州、深セン等大都市のハードルは
相対的に厳しく、一般の都市(城鎮)は比較的緩いです。
 実は、2008年上半期から昨年末まで、広東では既に1.1万人の優秀な農民工が都
市戸籍を得ています。入籍都市は主に珠海デルタで、広州、深センもありますが、
比較的少ないです。
〔羊城晩報2010年3月12日〕

中国労働者所得格差拡大 分配権益の侵害現象悪化

 今年の中国政府工作報告では、政府は社会の公平正義を維持しなければならず、
人民の生活をより幸福で尊厳のあるものとしていかねばならないということが特に
強調された。
 しかし、実際のデータは、過去1年間における中国の所得分配における不公平問
題が突出しており、労働者の所得分配権益が侵害される現象が以前に増して深刻化
していることを明らかに示している。
 中華全国総工会が昨年行ったある特定調査は、中国の低所得労働者の比率が大き
く、所得格差も非常に大きく、労働報酬権益侵害問題も突出しており、労働争議も
増加している等の問題を総括している。6割を超える労働者(61%)が普通労働者の
収入が低過ぎるのが目下最大の不公平であると認識している。
 中国人民政治協商会議全国委員会委員、中華全国総工会党構成員、経費審査委員
会主任の張世平氏は9日、政協全体会議において発言し、調査結果を説明する際、
中国の低所得労働者は主に現場の最前線や農民工グループに集中しているとした。
 また、調査された労働者の月平均所得は2152元であり、これは都市部就業者の月
平均収入の88%に当たると語った。このうち67.2%の労働者の月平均給料はこの基準
に達しておらず、17.3%の労働者の月給はわずか1000元、4.8%の労働者は毎月数百
元を手にするのみである。
 所得分配もまた利益集団分化の様相を呈している。2008年20の業種部門の所得格
差は4.77倍、あるものは10倍に達した。国営企業208社の高官と最前線の労働者の
所得格差は2006年から2008年の間で6.72倍から17.95倍に拡大した。
 また、2009年には、2007年と比較して10.3%上回る14.4%の労働者が賃金を滞納さ
れていること、60.2%の労働者が時間外労働をしており、37.6%の労働者が残業代を
全く受け取れていないか、もしくは満額受け取れていないということも調査で明ら
かになった。
 2009年の1月から9月までに所得分配の引き起こした労働論議は51万9000件に上り、
全労働論議の36.4%を占めた。1月に起こった群体性事件(集団抗議、暴動等)は1150
件余り、関係労働者は14万人、損失額も10億5000万元に及んだ。
 また一方で、公共福利性を持っているとされ、優先して低所得グループの需要に
応じられる社会保障制度は、逆に都市部住民あるいは既得利益集団への利益流出を
招いている。
 張世平氏は9日、社会保障制度再分配の「調整機能の逆行」問題は深刻であると
語った。
 社会保障の強制性不足により、都市部就業者の養老、医療保険加入は約6割であ
る。農民工の養老、医療保険の加入比率はそれぞれ20%、31%に満たない。中央企業
が企業年金市場の90%を占め、保険を追加することで再分配の格差はより一層広が
っている。
 また、所得増加が経済成長を下回る状況は国家経済をいよいよ好調にし、物価や
不動産価格の上昇を招くが、一部労働者の生活レベルは下がる状況にある。
 張世平氏は、1997年から2007年までに、GDPに占める歳入割合が10.95%から20.57%
に上昇し、企業利益が21.23%から31.29%に上昇する一方で、労働者の報酬は53.4%
から39.74%に下落したと語る。
 2002年から2009年までの中国経済の成長率は10.13%、労働者所得は物価変動の影
響を除き年平均8.18%増であるが、23.4%の労働者は5年間所得がふえていない。
〔聯合早報2010年3月10日〕
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