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階層の固定化と機会不均等

人保部 9割の蟻族が貧困家庭の子供 不公平社会より矛盾増す

 国家人力資源・社会保障部(人保部)は最近、教育部と共同で、各省市に対し
「普通高等教育機関卒業生の就職についての調査研究展開組織に関する通知」を発
布し、卒業後に低収入である大学生の集住グループ(「蟻族」)の内情を調査する
と同時に、このグループに対する就職サービスの基本状況を調査研究する。
 通知によれば、6月末前、まず地方と高等教育機関がみずから調査研究を行い、
その後、国務院就職関連部局間における合同委員会の関係メンバーの閣僚級指導者
によって幾つかの調査研究チームが組織され、各チームが2つの省に赴き、調査研
究を行う。
 「「蟻族」に関する問題は、既に中央が高く重視している」
 人保部のある役人によると、大都市に固まって住む長期失業及び低収入の高等教
育機関卒業生の就職状況を調査すると同時に、関係部門が高等教育機関卒業生の就
職に対し長期的に効果的な枠組み構築を模索する。
 全国的な内情調査を実施する前、人保部に属する人事科学研究院では、一部の省
市機関と協力し、北京、上海、広州、武漢、西安、成都等6都市における「蟻族」
生存状況の重点調査を既に実施している。
 まずお目見えした「湖北省「蟻族」調査研究報告」によれば、武漢「江蟻」の数
量は約3万―6万人で、そのうち、家庭経済状況が普通もしくは比較的低い「江蟻」
は89.2%を占め、41%の「江蟻」の1人当たりの住居面積は20平米以下だった。
 6重点都市が次々に先行して調査研究を行っているが、さらに広範囲の「蟻族」
の行動調査が既に展開されている。
 少し前、人保部の尹民蔚部長は内部テレビ電話会議で、「国務院指導者は、高等
教育機関と企業に深く入り込み、専門家や仲介機構、統計調査等の手段に頼った大
規模な調査研究を展開し、高等教育機関卒業生の就職と失業状況、就職安定性、就
職ニーズの変化を全面的に正確に把握すべきだ」と発言した。
 「湖北省「蟻族」調査研究報告」の主要責任者、武漢大学政治・公共管理学院の
黎民教授らは、行える限りの調査の中では、47.3%の「蟻族」は農村出身で、かつ
家庭経済状況は普通、34.5%は都市出身で、かつ家庭経済状況は普通、ただ、残り
5.4%の農村出身者と2%の都市出身者の「蟻族」は家庭経済状況が劣っているとして
いる。
 これらは、9割近くの「蟻族」が貧困家庭の子供に属していることを意味している。
 「90%以上の調査研究対象者はその土地の戸籍ではなく、絶対多数が省内の三線
県市から来ている」
 湖北省人材市場のある責任者が記者に示したところによれば、これらの青年は相
対的に弱い都市階層グループで、高収入の業界では競争力が欠如しているのかもし
れないのだが、それだけでなく、彼らに最も欠けているものは社会の資源と家庭的
な背景である。
 「金持ちの子供や役人の子供の就職は比較的容易」
 黎民教授は、金持ちや役人の子供が蟻族になる可能性は極めてわずかで、たとえ
あったとして、しばらくの間自分の夢を追いかけ、父母が結果的には活路を見出す
はずだと述べる。
 「蟻族においても、一部の人は自分の努力によって生活状況を変え、都市の主流
社会に溶け込んでいくということを排除していないが、しかし、このような人は現
在、見るからに少ない」
 大多数は、最終的に2つの選択肢に直面する。それは、その都市の比較的低い階
層に置かれて何とか上の階層に上がろうともがくか、三線県市の故郷に戻り生計を
立てるかである。
 しかし、問題は、これらの農村家庭の子供や貧困家庭の子供が、都市に溶け込む
ことも、農村に戻りたいとも思わないところにある。
 「湖北省「蟻族」調査研究報告」では、「機会均等の公平が保障されない状況に
おいて、社会階層の自由な流動性が阻害され、社会の矛盾が深まる」と結論づけて
いる。〔21世紀経済報道2010年6月24日〕

新世代農民工 権利意識目覚める 給料不払い罪設立を訴え

 新世代農民工の権利意識への積極性及び能力は、第一代目の先代のそれと比べて
強く、国民の基本的権利の平等に対する期待も大きい。
 中華全国総工会(全総)が21日に発表した「新生代農民工に関する研究報告」
(「報告」)はこのように分析し、農民工問題の解決を国家及び地方の経済社会発
展計画や農民工の常住地の公共予算に組み込むことを提言した。
 給料の未払いも、「報告」の指摘した問題の一つである。
 広東省における調査によると、2009年、新世代農民工1人当たりの未払い賃金は
平均1538.8元であり、平均して約1.5カ月分の給料に相当する。
 「報告」は、法を改正し、「給料不払い罪」の設立をもって農民工の合法的権益
を守ることを提言している。
 2010年の全国両会(全国人民代表大会及び政協全国委員会)期間においても、全
総の関係責任者がこれに類する呼びかけを行っている。
〈個別調整から集団調整へ〉
 3月から5月は一部地域において労使矛盾が目立った時期であり、この間、全総の
新世代農民工問題研究プロジェクトチームが相次いで遼寧、広東、福建、山東、四
川等省の十数都市を訪れ、調査研究を行った。
 その結果、全国1億人前後の新世代農民工は既に中国の産業労働者の主体となっ
ており、彼らは第一代目の農民工に比べ、明らかに時代的な特徴を持っている。
 全総の調査研究による幾つかの結果と、「第一財経日報」がこのほど国家統計局
の「2009年農民工監察報告」に基づいて描いた新世代農民工像は、「20代未婚、中
学卒業以上の学歴を有し、基本的に農作業ができず、主に製造業及びサービス業に
従事している」というものであり、基本的に両者は一致している。
 「報告」によれば、新世代農民工は伝統的(第一代)農民工と明らかに異なり、
出稼ぎ労働の動機が、「生計を立てる、生活を改善する」というものから、「生活
体験、夢の追求」へ変化し、自分が働く都市に対する気持ちも、その場限りの気持
ちから、長期の安定した生活を望むものへと変化している。
 中でも特に重要なポイントは、新世代農民工の権利意識が日増しに強まっており、
権利の守り方も受身のものから積極的に主張するものへと変化したことである。ま
た、彼らの労働権益に対する要求もふえており、精神生活や労働身分、スキルアッ
プ追求への願望が極めて強い。
 伝統的には、農民工の権利意識は弱く、権利を守る能力も高くはなく、権利が侵
害されたときは往々にして耐え忍ぶか、あるいはお願いするという形で解決を図ろ
うとしていた。
 瀋陽市総工会の担当者は記者に対し、「伝統的農民工は給料の未払い等の問題に
遭遇しても積極性に欠け、「クレーンに登って賃金要求をする」というのは、これ
以上にないほど激怒した際の手段だった。しかし、新世代農民工はこれと異なり、
権利意識も強く、権利を守る方法も第一代目の農民工より多い」と語る。
 「報告」に基づく調査によれば、権益が侵害された際、新世代農民工のうち、報
復を恐れ関係部門へ通報しないという者はわずか6.5%と、伝統的農民工の半数であ
り、また、通報する際に集団(数人)で行うという者は45.5%と、伝統的農民工の
数値を17.6ポイントも上回っている。
 中国はまさに労働関係を調整する時期に差しかかっている。中国人民労働関係研
究所の常凱教授はこのほど「瞭望」のインタビューを受け、中国の労働関係は現在、
「個別調整」から「集団調整」へ変化していると分析している。
〈新世代農民工は市民化に期待〉
 「報告」は、賃金レベルが低い、社会保障等基本的な公共ニーズ及び感情的欲求
を満たせていない、労働契約締結率が低い、労働災害及び職業病の発生率が高い等、
新世代農民工の直面している問題点を挙げ、安定した居住、社会保険の納付、学歴
及び職業技術、すぐれた貢献、人的資本の蓄積等の基準を考慮し、毎年3%、すなわ
ち300万人の農民工の都市定住問題の解決に努め、条件に合った農民工を都市の戸
籍に入れることを提言している。
 戸籍問題は、新世代農民工が都市に溶け込む際の大きなボトルネックである。
 収入分配を研究するある専門家は記者のインタビューに答え、農民工の市民化は
中国都市化のかぎであると語った。
 目下の「やっかいな」都市化は社会の安定と経済の継続的な発展に大きな脅威を
もたらしかねない。しかし、戸籍問題の欠点は、戸籍に付随した各種福利が多過ぎ
ることにあり、これが戸籍改革推進を困難なものとしている。
 農民工の膨大な人数と大中都市の許容能力を考慮し、県域経済を積極的に発展さ
せ、県の行政府所在地及び主要鎮の就業・創業条件及び住宅環境を改善し、農民工
及びその家族が小都市に集まるよう促すのは有効な措置である。
 このほか、「報告」は、農民工の業務目標責任審査及びインセンティブや拘束事
項の枠組みづくりをすべきで、農民工の職業訓練、収入の増加、居住、医療、子女
の入学及び社会保障等基本的生活条件を改善し、地方政府の業績審査指標に組み込
むことを提言している。
〔第一財経日報2010年6月22日〕

広州 都市人口容量臨界点へ 既に1400万人超え

 目下、広州市の人口は既に1400万人を超え、広州市の1500万人の人口抑制目標ま
でほんのわずかの「臨界点」に迫っている。
 17日に開催された、広州市科学的発展観を徹底的に実行し「珠江デルタ地域改革
発展計画綱要」を実施する作業会議の席上、広州市委員会の張広寧書記は、目下の
広州市の人口と、資源、環境、経済社会発展との矛盾が相当目立ってあらわれてい
ると述べた。
 広州市関連部門の概算によると、広州戸籍人口に登記された流動人口を加えると、
人口が旧市街区域に高く集中しており、そのうち、越秀、茘湾、白雲、天河、海珠
等の旧市街区域人口の総人口に占める割合は60%を占めている。この6旧市街区域の
面積は広州市全体の15.7%にすぎない。
 張広寧書記は、人口が旧市街区域に集中している問題を解決するために、都市計
画によって調整し、新市街地をしっかり建設するほか、交通、学校、幼稚園、病院、
消防署、ごみ処理場等公共サービス施設計画の実行や環境保護により、新市街地の
魅力を高めることを挙げた。
 このほか、広州の発展に土地の制約要素が強まっている。目下、広州の土地開発
強度は既に22.43%に達し、土地開発に依存した経済発展の道は継続が難しい。環境
保護の高まりも増大し続けており、特に大気汚染や水質汚濁は深刻化している。
〔新華網2010年6月18日〕
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