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コストアップと直面する圧力

大学生の就職ストレス緩和傾向 希望月給は2倍に

 北京青年ストレス管理サービスセンターは24日、「2011中国大学生就職ストレ
ス調査報告」を発表した。2011年、大学生の就職ストレスは総体的に緩和していた。
 一方、2011年の大学生の就職には希望月給の大幅増という新たな特徴が生まれ
ている。本科生、修士生、博士の希望月給はすべて前年比倍前後となった。
 調査報告によれば、大学生の就職ストレス緩和傾向の原因として、就職時、現
場仕事のようなきつい職場に対する受けとめ方がより柔軟になってきていること、
個人の発展によって就業地選択をしていること、大学生の就職に対する国家政策
の重要な影響等が指摘されている。
〈希望月給は倍に〉
 北京青年ストレス管理サービスセンターの主任、熊漢忠博士は、2011年の調査
結果において、その中で最も突出した現象は「希望月給」の大幅増加であると分
析した。
 2010年と比較し、2011年における総体的な希望月給は明らかに増加しており、
専門学校生における増加幅が比較的小さい(500元)ことを除いては、本科生や
修士生、博士の希望月給は倍前後に増加している。
〈大学院受験熱は冷める〉
 今年は、過去数年の「大学院受験熱」がそれほど高まっていない。卒業後に大
学院を受験するのはわずか13%で、この割合は自主起業の割合(21%)にすら及ば
ない。
 熊漢忠博士によれば、「高ストレス修士生」現象がより多くの大学生に選択を
調整させている一方、ここ最近出された就職と起業に関する一連の優遇政策が、
より多くの大学生に卒業後そのまま就職もしくは自主起業の選択をさせていると
いう。
〈希望月給リスト〉
▽2011年
 本科生:4500―5000元
 修士生:6000―6500元
 博士 :4500―5000元
▽2010年
 本科生:2500元
 修士生:3000―3500元
 博士 :4500―5000元
〈既卒者は「就業困難戸」へ〉
 今年の調査報告では、「就業困難戸」という新たな単語が生まれた。これは、
既卒で仕事を見つけられない人々のグループを指し、彼らの持つさまざまな就職
ストレスは他を著しく上回っている。
 ストレス源の調査において、これらのグループの社会的ストレスは特に極めて
高く、彼らが就職過程において社会全体から軽んじられる可能性を見てとれる。
 彼らは新卒学生のような優遇政策は享受できない一方、すぐに仕事を見つけら
れないという社会的価値の低さを感じている。
〈就業地選択 発展のチャンスが第一〉
 半分近い回答者が、省都や計画単列市のような二線都市での就業を希望してお
り、直轄市での就業を希望しているのはわずか2割だった。地級市23%、県級市6%、
郷鎮1.2%、その他の地域2.4%。
 就業地選択の主要な基準として、半分を超える(54.6%)回答者は「個人の発
展の機会」、次は「生活コスト」(17%)とし、「競争の激しさの程度」としたの
はわずか2%だった。
 これは、求職者がより重視するのは自身の発展のチャンスであり、競争を恐れ
たり、単純に生活の快適さを重視したりしているのではないということを示して
いる。
 「このような個人の発展という内的欲求は、間違いなく求職者の長期的成長に
有益である」と熊漢忠博士は分析する。
〔北京晨報2011年5月25日〕

中国の中小対外貿易企業が営業不振で倒産、一部注文は東南アジアに

 年明け以来、たび重なる継続的なコスト上昇により、対外貿易企業の体力が既
に限界に迫りつつある。
 広東、浙江、江蘇、遼寧、四川、湖北の6大輸出省の対外貿易会社の状況調査
では、過半数以上の企業の利益が落ち込み、一部の中小企業では営業不振により
倒産した会社も出ている。また、一部の外国顧客は既に一部注文をベトナム、バ
ングラデシュなど周辺の東南アジア諸国に移しているなど、受注国を移されると
いう危機に瀕している。
 上記6省の調査結果から、現段階では、原材料価格、人件費コスト、融資コス
トの上昇及び人民元高といった幾つもの要請が重なり、企業の輸出コストを10%
から20%押し上げている。特に、原材料コストの上昇は企業にとって最も大きな
負担となっている。
 貿易の盛んなこれらの省は、国家に対して対外貿易促進政策の連続性と安定性
を保つよう求めている。
1) 既存の加工貿易保税政策の維持
 政策が取り消されるようなことがあれば、多くの中小加工貿易企業が経営に行
き詰まり、倒産してしまう。
2) 輸出税還付政策の安定化の保持
 輸出品の税金還付率の下げ幅を過大にしてはいけない。年度内は1―2%以内に
抑え、できるだけ輸出に沿った安定した経営環境を維持する。
3) 人民元レートの安定
 輸出企業が人民元高の影響を消化する時間が持てるよう、レートを徐々に上げ、
年内では3%以下に抑える。
 商務部の2010年の基準によると、広東省には対外中小貿易会社が4万社ほどあ
るが、この数は輸出企業総数の9割以上を占める。生産経営コストが継続的に上
昇することにより、広東省の対外中小貿易企業の経営状態を悪化させている。
 広東省が最近500社の重点対外貿易企業に対して行った調査によると、エネル
ギー、原材料、労働力コストの大幅上昇に人民元高が重なり、一部の中小企業は
損失が生じ、倒産に追い込まれている。
 このうち、95%の企業の輸出コストが上昇し(うち5割の企業の輸出コストが10
―20%上昇、2割の企業の輸出コストが20%以上上昇)、その他の5%の企業は現状
のコストを保っていた。また、約4割半の企業の利益が落ち込み、昨年の同時期
に比べて8.3ポイント拡大した。
 浙江省が1500社の重点輸出関連企業に対して行ったモニタリングデータによる
と、今年になって利潤が低下あるいは現状維持の企業は77%を占めた。
 各種の圧力によってこうむったコスト上昇で企業は既に体力の限界に来ており、
多くの企業では価格上昇に迫られ、一定の利潤を保っているだけである。
 湖北省と江蘇省の一部の労働集約型企業の報告によると、現在、原材料価格が
断続的に上昇し、企業経営の最大のネックとなっている。このほかに、労働力、
物流、融資など総合要素コストが同時に上昇し、もともとわずかの利潤しかない
対外貿易企業がそのしわ寄せを受けている。
 遼寧省の調査研究も、物価上昇圧力が顕著で、生産要素を主としたコスト上昇
型の価格上昇、国際大口商品価格の高どまりにより、遼寧の鉄鋼材料及び鉱物な
ど資源型企業の輸出と中国国内消費との利潤がはさみを開くように両極端の広が
りを見せるだろうとしている。
 人民元の上昇、コストの上昇及び融資困難は、四川の輸出企業に大きな圧力を
もたらしている。
 四川省の調査によると、第1四半期は人民元高により長期注文が減るかなくな
ったりした企業が40%以上を占め、資金不足もしくは融資困難との認識の企業は20%
以上、60%以上の企業はコスト上昇が商品顧客の流失を招いている。
 コスト圧力による価格上昇の影響を最も直接受けているのは輸出競争力のダウ
ンである。中国国外の顧客は積極的に代替供給できるメーカーを探し求め、将来
は他の廉価な国及び地域に注文を移すだろう。
 現在、浙江省などの紡績衣料業界では、既に小範囲ではあるがこのような現象
が起こっており、顧客は一部の注文をベトナムやバングラデシュなど周辺の国に
移している。
〔経済参考報2011年4月26日〕

中国の外資誘致が新たな段階へ 「呼び込み」から「選択」へ

 中国はこのほど、「外商投資産業指導目録(パブリックコメント版)」改訂版
(「目録」)を公表した。「目録」は、国が奨励、許可、制限し禁止する外国直
接投資の産業分野を明確に規定している。
 ある専門家は、中国は経済成長方式の転換推進に努めていて、「目録」の改訂
は政策の方向転換のあらわれであり、外資を導入する産業分野を調整し、外資誘
致政策での量から質への転換が示されているなど、中国は外資を呼び込む時代か
ら外資を選択する時代へと着実に変わろうとしていると見ている。
〈量的拡張型の外資呼び込みに幕引き〉
 改革開放の初期において、中国は外資や先端技術の導入を積極的に奨励した。
 外資系企業に対して中国国内企業を上回る優遇税制を実施し、過去30年の間、
中国経済の高度成長を促してきた。
 特に、2001年のWTO加盟後は、国際基準に準拠し、中国の外資誘致政策をさら
に改善した。国際資本が大量に流入し、中国経済の成長過程での資金不足が緩和
され、外向型経済の急成長を促した。
 時がたつにつれ、開放基調の維持という前提は変わらないものの、中国の外資
利用における情勢に変化が生じている。
 外資系企業が一貫して享受してきた超国民待遇が取り消されている。発表され
たばかりの「外資M&A安全審査制度設立通知」などの一連の政策や施策が示す
ように、中国の外資利用は、数の追求から、「量」と「質」の双方を重視し、よ
りすぐれた資本を選択する方向へ変わっている。
 中国投資協会の張漢亜会長は、次のように話す。
 「一連の動きは、中国の改革開放がさらに成熟度を増したあかしだ。中国は資
本誘致のためだけに自国の資源を犠牲にし、自国の利益を損なうべきではないと
気がついたのだ」
〈断続的な投資環境の改善〉
 張漢亜会長はさらに、次のように話した。
 「13億余の人口を有する世界最大の発展途上国である中国の市場は巨大で、経
済も急成長を維持し、市場の潜在力が大きい。どれも皆、外資を引きつける重要
な要素だ。また、中国国内の安定した政治環境や豊富な労働力も、外資系企業に
とって大きな魅力がある」
 対外経済貿易大学国際経済貿易学院の蒋先玲副院長は、次のように話す。
 「中国には現在、3兆米ドル超の外貨準備がある。中国経済が断続的に拡大し
ていることもあり、外資を合理的に選択する条件が整った」
 投資環境を断続的に改善したことで、中国は長年にわたって、連続して世界の
主要な投資目的地となり、中国で投資した数多くの外資系企業が中国の成長によ
って利益を得てきた。
 商務部の統計によると、2011年1―3月期、全国で新たに設立された外資系企業
は5937社(前年比8.8%増)で、利用した外資の実額は303億4000万米ドル(前年
比29.4%増)だった。全国で設立された外資投資企業は、2011年3月現在、累計で
71万6578社、全国で利用した外資額は累計で1兆815億1700万米ドルだった。
〈外資の成長機会は拡大〉
 商務部投資促進事務局の顧傑副局長は、次のように話す。
 「中国は今年、外商投資産業目録の改訂を完了させ、ハイテク、省エネ・環境
保護、現代サービス業などの分野や中西部地域への外資による投資を奨励してい
る。また、アウトソーシング、特に域外アウトソーシングの成長に力を入れ、国
家経済開発区や産業集積園区を積極的に利用しようとしている」
 商務部研究員の梅新育研究員も、中国国内外の経済情勢の変化に伴い、中国の
外資政策も資本の誘致から資本の選択への転換が徐々に実現し、利用する外資の
質を高めることがおのずと選択につながっていると見ている。
 梅新育研究員は、第一に、政策の安定性、第二に、主として経済規模の拡大や
国際政治経済での地位向上などを含む、中国の優位を築くようたゆまず努力する
ことで、以前は担えなかった避難港としての役割を担えるようになると提言する。
 外資企業については、中国が成長方法の転換を早め、経済構造を調整すること
は、経営環境がある程度変化することを意味する。だが、より広大な市場と斬新
な成長の機会も意味している。
 ある専門家は、今後、さらに開放、競争の市場環境をつくり出すことで、優良
な外資プロジェクトを引き込むべきだとし、外資を引き込むことは、中国にとっ
て目的であり手段でもあるが、他国をよく学び自国を成長させることでもあると
指摘する。
〔人民日報海外版2011年5月1日〕
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