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中国都市発展報告と地域経済格差

中国都市発展報告 中所得者層2.3億人に達す

 中国社会科学院の都市部発展・環境研究所は3日、「中国都市発展報告NO.4ク
ローズアップ国民生活」を発布した。
 中国の都市部における中所得者層の規模が2009年までで既に2.3億人に達して
おり、都市人口の37%前後を占めるとされている。中国都市部においては中低所
得者層の割合は依然として高く、所得階層分布として望ましい「オリーブ型」構
造は全く実現されていない。
 また、2000年以降、中国都市部の貧困問題は日増しに際立ってきており、近年
の都市部における貧困人口の割合は7%以上をキープし続けている。
 報告は、中国の都市居住者のうち、中所得者層のエンゲル係数における上下限
界を0.3から0.373としている。
 2000年から2009年にかけての10年間で、中国の都市部中所得者層規模は年間平
均3.8%増の成長を遂げている。北京と上海の中所得者層の規模は比較的大きく、
それぞれ46%と38%に達している。
 けれども、それは決して大都市居住者の収入平均が比較的に高いということで
はなく、中所得者層の規模が極めて大きいということである。
 中国都市部の中低所得者層の割合は依然として高く推移しており、たとえ全体
的に年々下降し、2005年より60%を下回り始めたとしても、それでも50%以上であ
り、所得階層分布として望ましい「オリーブ型」構造は全く出現していない。
 中国都市部の高所得者層の割合は緩やかな増加傾向を示しており、依然として
10%は超えていない。
 報告の予想では、2010年から2015年にかけて、中国の中所得者層の規模は毎年
2.3%の速度で拡大し、2020年までには47%前後に近づき、2023年前後には50%を超
える可能性がある。2019年には都市部の中所得者層の割合は、恐らく初めて都市
部の中低所得者層の割合を超え、いわゆる「中間が大きく、両端が小さい」とい
う「オリーブ型」構造が初めて実現される。〔経済参考報2011年8月4日〕

都市部貧困者増加 白書「経済重視から国民生活重視へ」

 社会科学院は3日、北京にて「中国都市発展報告」(白書)を発表し、中国都市
部の貧困人口は1990年代以降絶えず増加傾向にあり、中西部を中心に現在5000万
人に達していることを明らかにした。
 社会科学院の宋迎昌研究員は、目下の社会問題の多くは、政策が国民生活のニ
ーズを離れ、社会が過度に経済を中心に発展してきたことに端を発しており、今
こそ発展モデルを転換し、政府は国民生活重視の行政管理制度を確立すべきであ
ると提言している。
〈貧困人口中西部に集中〉
 社会科学院都市発展及び環境研究所の牛鳳瑞研究員は、5000万という数字を相
当に高い数字と見ている。目下都市部において貧困に分類されるラインは平均年
収が7500―8500元の間であり、約5000万人がこれに該当する。
 貧困人口を地区別に見ると、西部地域が最多の1717万人に達し、次いで中部地
域1657万人、東北地域845万人。最も豊かであるとされる東部地域にも756万人存
在する。
 専門家は、上述のデータに照らすと、貧困人口は中西部の未開発地区や、東北
部の旧工業拠点、そして産業構造が単一的でかつ資源に過度に依存している都市
に集中していることがわかったとしている。
〈貧困の悪化が社会衝突をエスカレートさせる〉
 同報告は、貧困人口が絶えず増加する原因について、「20世紀末における都市
部の産業発展や経済構造調整、経済体制改革等が新たに多くの経済と社会との間
の矛盾を引き起こした。物価の絶え間ない上昇、社会保障施策の弱さ、不動産価
格の相次ぐ高騰、就職難、貧富格差の絶え間ない拡大がより多くの都市人口を貧
困へと向かわせている」としている。
 また、一部の専門家は、都市部における貧困の悪化は、社会衝突を激化させる
とともに、悪循環に陥りやすく、都市の発展に不利益を与えるとしている。
〈ほぼ4割が中産階級へ〉
 2009年、都市部における中所得層は2.3億人に達し、都市部全人口の37%を占め
た。2010年から2025年にかけて、都市部における中所得層の規模は年間2.3%のペ
ースで拡大する見通しだ。このペースで進めば、2020年中所得層の都市部人口に
占める比率は47%に近づき、2023年頃には50%を超える見込みである。
 同報告の予測によれば、2019年、都市部における中所得層の比率が低中所得層
の比率を初めて上回り、中所得者数が多く、高、低所得者数が少ない「オリーブ
型」の社会構造が初めて実現される。
〈国民生活の直面する8大問題〉
 報告は、中国の都市部において国民生活が直面する主な問題を紹介した。課題
は以下のとおり。
1) 農民工市民化の停滞
2) 不動産価格の過度な急騰
3) 大都市の交通渋滞
4) 都市養老インフラの不足
5) 日に日に目立っている都市貧困問題
6) 都市部の過大な義務教育格差
7) 都市地域社会における医療サービスの遅行
8) 劣悪な都市住環境
〈「国を豊かに」から「国民を豊かに」〉
 報告では、中国の経済規模が日本を抜き世界第2位となったこの時期、発展に
対する観念を「国を豊かに」とするものから「国民を豊かに」とするものへと転
換させ、国民に富を蓄え、広く一般に真の意味での改革開放の成果を分け与える
必要があるとしている。
 また報告は、以下の制度の確立が必要であるとしている。
1) 国民生活重視の各級政府関係者政治業績審査制度
2) 社会的弱者を救済する特別支援制度
3) 高所得者が社会に対しより多くの義務を負う制度
4) 社会的弱者の都市の自治に対する発言権、監督・政策決定権を向上させる制度
〈高速鉄道の過大な開発規模に疑問〉
 社会科学院の研究員は高速鉄道の開発を例に挙げ、ただ収入の向上と雇用の改
善だけに目が向けられ、国民生活の利便性や短期間での移動に対する国民のニー
ズを乖離してしまい、高速鉄道は大規模な発展が必要かどうかが問われているが、
政府当局は鉄道の運転速度と乗車料金を下げ、発展モデルを検討し、国民のニー
ズに合わせるべきだとしている。
〔香港商報2011年8月4日〕

流動人口が押し上げ 都市貧困人口は生活保護人口の2倍

 都市に移動し、かえって貧しくなった!
 中国社会科学院都市発展・環境研究所の専門家は8月3日、「2011中国都市発展
報告」の発表セレモニーの席上、都市流動人口が増加したことにより、流動人口
の社会福祉、子女の教育等の社会保障がかえって減少し、都市貧困人口の増加を
招いていると指摘した。
〈8%は保守的な数字〉
 中国社会科学院が提供した報告では、国家統計局、民生部と幾つかの地方政府
が展開した調査研究の情報から見て、都市貧困人口は生活保護(低保)を享受し
ている人口の2倍強、割合としては7.5%―8.7%の間であると指摘している。
 「したがって、7%―8%の都市貧困人口推計は低過ぎることになる」陳准氏はこ
のように述べた。
 上記報告では、中国の絶対貧困発生率が年々下降傾向を示しているが、相対貧
困、特に都市の相対貧困発生率は年々上昇していると指摘する。
 特に、中国の居住都市の流動人口の増加に伴って、流動人口の医療、子女の教
育、社会福祉等の方面での困難が都市貧困の発生を激化させている。
 農村貧困に対して、都市貧困は統一指標が欠如しており、通常、相対的貧困の
概念を採用すると、都市住民のうち一定割合の最低収入人口ということである。
 2010年「中国統計年鑑」のデータによると、8%の比率で計算すると、第6次人
口センサスデータの都市人口は6.6億人で、目下中国都市貧困人口は約5000万人
である。
 「これまでの貧困の指標は「温飽」だったが、現在の貧困は基本的な生活ニー
ズを満たせないということだから、例えば医療保障や子女の教育の問題など何で
も貧困につながる。生活の水準の改善に伴って、都市全体の経済発展に低いある
いは明らかに劣っている相対的な貧困が属するのだから、7%―8%の都市貧困人口
推計は低過ぎるということになる。」住居・都市農村建設部政策研究センターの
陳准主任は述べる。
 中国は、1986年に1人当たり年間純収入206元を農村貧困ラインの基礎として、
年々物価指数に基づいて微調整を行い、2008年末から2009年初めに1196元に調整
した。2011年は、農村貧困標準を1人当たり年間純収入1500元に調整すると予想
されている。
 中国は、2009年末現在で都市人口が6万2186万人、都市住民の1人当たり可処分
所得が1万7175元である。統計データをもとに試算すると、中国の目下の都市の
合理的な貧困ラインは大体1人当たり年収7500―8500元の間で、貧困人口は目下
の生活保護人口の2倍前後である。
〈反貧困戦略の調整がまたれる〉
 上記報告では、中国の絶対貧困発生率は年々減少する趨勢を呈しているが、相
対的な貧困、特に都市の相対貧困発生率は年々上昇している。
 民政部のある調査では、64.9%の生活保護世帯では、1人あるいは1人以上の慢
性疾患または重病人を抱えている。医療費が高額であることが、多くの貧困では
ない世帯を貧困にさせるか、病気が原因で貧困に戻ることになり、貧困から脱出
できないでいる。
 非正規雇用の労働力や流動人口は医療保険がもたらすメリットを平等に享受す
ることができず、制度対象になる者を制度対象にして保障する「応保尽保」がな
されていない。
 上記の中国社会科学院の報告では、中国の最低生活保障制度の救済レベルは低
過ぎて、範囲も限定的で、「応保尽保」に達することは困難だと見ている。
 生活保護救済を受けるハードルの設置が過酷である上に、生活保護レベルが低
過ぎることが、一部の条件に合致した都市貧困者を生活保護申請をさせないでいる。
 同時に、多くの市レベル政府は財政逼迫にあり、往々にして救済資格を有する
都市貧困人口数を低く見積もっている。
 国内外の反貧困措置は多種多様で、さまざまな時期に先進国が行った反貧困戦
略や重点位置はさまざまである。したがって、中国も国情に基づいて反貧困戦略
を合理的に選択するべきである。
 「ここ数年の発展に伴って、都市の相対貧困問題はますます重要で、高く重視
されるべきだ」中国社会科学院都市発展・環境研究所の魏後凱副所長はこのよう
に述べている。
〔21世紀経済報道2011年8月4日〕

全国三大地域経済格差 縮小はっきり

 経済の協調的な発展を促進し、中西部と東部地域との格差を縮小するため、第
12次五カ年計画では「地域の協調的な発展」を重要な内容として列記し、多くの
地域振興計画が集中的に実施され、全国を網羅した地域発展戦略が徐々に形づく
られている。
 今年は第12次五カ年計画開始年であり、年央に至って、各地のここ半年の経済
状況が判明してきた。地域経済は計画に基づいた方向で発展しているのだろうか。
 我々は、GDP、固定資産投資、全社会消費品小売総額という3つから、東、中、
西部経済発展の速度について分析を行った。
 地域ごとに代表6都市を選んだ。東部地域の代表都市は、山東、浙江、上海、
江蘇、広東、福建。中部地域は、山西、河南、湖北、安徽、江西、湖南。西部地
域は、重慶、四川、陝西、甘粛、新疆、広西。
〈1 GDP〉
 上半期、全国GDPの成長はそれぞれやや高い水準を維持した。三大地域6都市の
GDP成長は、西部地域のGDP成長の全体水準が平均成長率約14%と最も高く、次が
中部地域で13%、そして東部地域の成長率は中西部地域よりも緩やかであること
がはっきりしている。中西部地域の経済成長速度は東部よりも速い。
 地域内各都市の成長速度の違いでは、中部地域のGDP成長が最も速い都市と遅
い都市との差が2.9ポイントと最も小さく、西部地域は4.8ポイント、東部地域は
5ポイントで、差は大きくない。中部地域内部の成長歩調は比較的そろっている。
 ただし、経済総量から見ると、東部地域はやはり中西部地域を上回っている。
 成長の最も遅い上海の上半期のGDP総量は9164.1億元である。これは、中部地
域代表6都市と比べると、河南の1万2404.68億元に次ぐ第2位の位置である。また、
西部地域代表6都市と比べると第2位の位置だが、第1位の四川よりわずか135.9億
少ないだけである。
 東部地域は、第12次五カ年計画期間中において、GDP指標の成長を弱め、経済
構造調整を強化する。
〈2 固定資産投資〉
 固定資産投資成長においては、中部地域の成長の全体水準は西部、東部地域よ
り高い。また、最も固定資産の成長が高い都市は重慶の47.59%で、西部の全体水
準は東部地域より高い。東部地域のうち上海の固定資産投資は△5.8%とマイナス
成長を呈している。中部地域の投資全体の歩調はやや一致し、30%―35.5%の間に
位置しているが、東部地域都市間は投資の落差が最も大きい。
 厳しい不動産調整政策のもと、東部の一線都市の不動産投資は既に鈍化し、イ
ンフラ投資では、中西部地域の投資ニーズが相対的に東部よりも強く、地方政府
の投資規模も大きい。既に中西部の投資に力が入れられ、中西部地域経済の急速
な発展の促進の上に大きな役割を発揮している。
〈3 消費〉
 全社会消費品小売総額の成長では、三大地域のうち、全体的に西部地域が最も
高い水準で、中部地域は西部地域よりも差が小さく、東部地域は鈍化している。
 西部地域代表6都市のうち、新疆の全社会消費品小売総額の成長は最も低い17%、
重慶は最も高い18.3%で、この2都市には1.3ポイントの差があった。中部地域代
表6都市は横並びで、最も高い安徽と最も低い江西とはわずか0.6ポイント差しか
なかった。東部地域で最も低い上海は11.5%で、最も高い福建と6.5ポイントの差
があり、そのほかの代表5都市の最大差は2.1ポイントだった。
 消費成長では、依然として中西部地域の成長は東部を上回っている。同様に、
消費総量では、東部はやはり中西部地域の前に位置する。
 三大地域の代表6都市の消費額を例にとると、東部地域が3兆7089.64億元、中
部地域が1兆7051.67億元、西部地域が1兆453.78億元で、成長順位とは相反して
いる。
 このように、上半期、中西部地域の経済は急速に成長し、東部地域との差は縮
まっている。
 言うまでもなくGDPは投資と消費であり、中西部地域の経済成長の速度は東部
地域より早いことは明らかである。そして、地域内部の都市発展の歩調で最も協
調的であるのは中部地域で、一方、東部都市の各種指標の成長速度の差は大きい。
 世界経済が鈍化している中、各地域経済は急速な成長発展を保持するとともに、
中西部と東部との格差を縮め、国民経済の急速な発展、国民経済構造の戦略的な
調整の加速、経済発展方式の転換といったニーズに迫られている。産業転換の加
速、地域の協調的な発展の促進、公共サービス均等化の加速、これらは中西部都
市に新しいチャンスをもたらすものである。
 目下、重化学工業を主体とした製造業の中西部地域への移転が加速している。
東部は産業転換後、残った軽工業、付加価値の高いサービス業を主体にすること
になるが、この種の産業の成長速度は工業の高さには及ばない。
 中西部は東部地域の産業移転を引き受けるプロセスであるがため、工業生産額
が急速に増加し、投資ニーズも旺盛で、特に、インフラの投資ニーズが相対的に
高く、経済成長は速い。
 全体的に言えば、たとえ上半期の各総量指標で中西部地域と東部地域に大きな
格差があったとしても、中西部地域経済発展の加速度は既に東部地域を追い抜い
ており、三大地域の落差は減少方向へと向かっている。これにより、地域の協調
的な発展というよい効果があらわれている。
〔鋼之家2011年8月3日〕
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