中国人の海外移民とキャピタルフライト
中国留学生のわずか3割が留学後帰国 富豪移民は海外へ
16日、中国初の華僑華人研究白書「華僑華人研究報告(2011)」が発布された。
白書によれば、留学生は帰国してのキャリア発展を望まない、中国の富豪は海
外で移民となる、中国の富の自国からの流失現象は既に比較的深刻な現象となっ
ていることが判明した。
〈「投資移民」が新たにクローズアップ〉
教育部国際合作交流司の張秀琴司長が公表したデータによると、30万人が学習
修了後、国外にとどまりキャリアアップをしている。
白書によれば、1978年の改革開放から2009年年末までに中国各種出国留学者
(国家派遣、勤務先派遣、私費留学)の総数は162.07万人、留学後帰国する総数
は49.74万人である。
留学による出国で現在も国外で留学をしている人は112.34万人。そのうち89.29
万人は現在、国外で本科や修士、博士段階の学習もしくはポスドクや学術訪問等
をしており、主に先進国に集中している。
同時にまた、中国の富豪は海外で移民となり、中国の富が自国から流出する現
象は社会の一大注目点となっている。
北京個人出入国仲介機構協会のデータによれば、2009年、アメリカ投資移民の
EB―5種ビザの中国人の申請人数が前年度の2倍、2008年の500人が1000人超に上
昇し、「投資移民」が新たにクローズアップされることとなった。
〈中国大陸富豪の富は香港、台湾を超える〉
移民熱は中国大陸の富豪の台頭に伴うものである。現在、中国大陸におけるベ
スト40位までの富豪の富が既に香港と台湾のベスト40位までの富豪を上回っている。
白書によれば、フォーブスの2010年度各国、各地区のベスト40位の長者番付の
中で、中国大陸ベスト40位にランクインした富豪は、ランキングに入った華人富
豪241名の財産合計の28.2%を占めた。
香港地区の37名はランキングに入った華人富豪の28%を占め、台湾の40名はラ
ンキングに入った富豪の14.5%を占め、ASEAN5カ国(シンガポール、マレーシア、
タイ、フィリピン、インドネシア)の124名はランキングに入った富豪の31.3%を
占めた。
これらの華人富豪の財産合計は4855.5億米ドルで、1人当たりの平均財産は20.15
億米ドルである。
〔南方報網―南方日報2011年8月17日〕
中国富裕層移民3000億人の移民先選び
「アメリカに移民申請する者の多くが事業で成果を挙げた三十代であり、その
目的が事業の拡大にあるのに対し、カナダに移民申請する者の多くは50歳以上で
あり、老後をカナダで過ごすのを目的としている」深セン澳徳華情報信息咨詢有
限公司の周暢氏は語る。
招商銀行及びベインキャピタルがこのほど共同で発表した「中国個人財産リポ
ート2011」によれば、個人資産が1億元を超える企業オーナーのうち、27%が既に
海外に移民しており、47%が現在移民を検討中であることが明らかとなった。
移民法案及び関連評価システムが整い、多岐にわたる移民方法がある国家は、
カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの4カ国。
カナダ、シンガポールは既に資金面における条件の引き上げを行っているが、
移民の勢いは衰えていない。
「一般的に、数百万レベルの枠で申請を行う移民には数千万の財産があって、
数千万レベルでは億を超える財産がある」といい、「資金面における条件引き上
げには大した影響力はない」と周暢氏は語る。
カナダもまた、2010年下半期、資金的条件を倍に引き上げ、現在、資産160万
カナダドル、投資額80カナダドルを条件としている。
カナダ、オーストラリアは伝統的な移民国家であり、華人も集中している。
周暢氏は「この2カ国は主要な移民先であるが、2010年下半期に一連の移民政
策が新たに調整されて以降、イギリス、アメリカの優位性が徐々にあらわれてき
ている。これは他の国がその政策において条件の引き締めを行う中で、イギリス、
アメリカの条件に変化がないためである」と語る。
イギリス投資移民の資産条件は100万ポンド(1000万元に相当)。「以前は、
資産1000万以上の家庭が現在ほど多くはなかった」と周暢氏は語る。
また、移民先として人気のあるシンガポールには「移民監(法的に義務付けら
れる滞在期間)」に対する制約がなく、永住権取得後、シンガポールに住む必要
はない。
周暢氏は「多くの人々にとって、シンガポールはまるで踏み石だ。シンガポー
ルは中国と西洋文化間の架け橋として、二カ国語による授業を採用している。英
米の有名大学に進むには、中国国内から申請するよりも、シンガポールで4年制
大学を卒業した後に申請した方が有利である」と語る。
しかし、シンガポールの資金条件は2010年下半期、150万シンガポールドルか
ら250万シンガポールドルへと大幅に引き上げられた。
周暢氏によれば、この政策の影響を受け、シンガポールへの移民申請者は激減
し、2010年1月で30―40人はいた申請者も、今年は1月5人に満たないという。
アメリカは移民国家であり、その政策は開放的である。これまで、アメリカへ
の移民申請における最大の問題点はリスクの高さ、「投資額の回収ができない可
能性が大きい」ということにあった。
アメリカの移民に対する投資条件は50万ドルであり、特定のビジネスプログラ
ムに継続して5年間継続して投資しなければならないが、これまで、プロジェク
トには政府による担保はなかった。
しかし、現在、オバマ大統領の新たな経済法案によって、移民が投資する中小
規模のビジネスプログラムは政府による85%の担保を得ることが可能となった。
〔重慶時報2011年8月16日〕
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