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生活を圧迫するコスト上昇

広州 国内衣料ブランドが海外ブランドに変身して価格倍増

 「中国国内の衣料価格は値上がりがひどく、もうすぐ国際一流ブランドに追い
つく」
 国慶節も半ばを過ぎ、各売り場では全力で販売促進をしている。しかし、客が
高いと不平の声を漏らしていることは少なくない。
 一体、何が中国国内ブランドの衣料価格を引き上げたのだろうか?
 多くの販売員が言うには、「原材料と人件費が上がっている」ということだが、
これは表面的な現象にすぎない。ある百貨店の担当者は、衣料のコスト価格は、
最大でも標準価格の30%にすぎないと漏らす。
 中国国内ブランド衣料価格の値上がりのひどさは、ほかにも原因がある。
〈現象 衣料は年々値上がり 今秋も2、3割上がる〉
 4日、広州の多くの売り場の秋冬衣料売り場は、客でごった返していた。大ま
かな統計だが、4日から、主要な10店舗の秋冬衣料の販売額は前年同期比30%増と
なった。
 記者に対して、衣料価格が高過ぎると漏らす客は結構多くいる。
 客の張瑾さんは、ある韓国のブランドを名乗る商品は、今年はロングコートで
3980元だが、去年は似たようなデザインが3000元強だった、値上がりが極端だと
話す。
 「秋物のパンプスが欲しかったが、価格タグを見たら、大部分の標準価格は1000
元以上。おととしパンプスを買ったときには700元強だった。5割引きになるのを
待たないと、もったいなくて手が出せない」客の李さんは愚痴をこぼす。「値上
がりがこんなに激しくなったので、5割引きにならないと手が出せなくなってし
まった」
 以前の売り場では、衣料は基本的に3けたの価格が主体だったが、現在は、売
り場で無造作に手に取ってみる少しもぱっとしない薄手のウールセーターでも、
標準価格が1000元以上のものは珍しくない。
 業界関係者は、この四半期の秋冬衣料は前年同期比平均20%前後値上がりして
いると話す。「ここ数年、靴、メンズ衣料、キッズ衣料の価格は倍になっている
し、レディス衣料の値上がりも60%前後になっている」
 いつも香港でショッピングをする陳さんはこのことに疑いを持っている。彼に
よれば、中国のブランドの衣料の値上がりのひどさは、国際的な高級ブランドで
ある欧米の価格に近づけるためだと話す。
 「広州では、標準価格が1000元以上のメンズシャツは珍しくない。しかし、国
際一流ブランドのバーバリーのシャツは香港でも同じような価格だし、本当にわ
けがわからない」
〈原因 「外国の衣料」をまとえば価格倍増〉
 結局のところ、何が原因で衣料、靴の価格が暴騰しているのだろうか? 原材
料の仕入れだろうか? 人件費だろうか? 製品の価格づけだろうか?
 多くの業界関係者に取材したところ、彼らが一致して考えているのは、ここ数
年、衣料コストは確実に大幅に上昇しているということだ。
 ある匿名を希望する有名衣料工場の社長は、ここ2、3年来、衣料企業の人件費、
原材料コストの両者が40%以上上昇したと話す。しかし、ある有名な百貨店の総
経理は、衣料自体のコスト価格は標準価格の30%を持ちこたえていると漏らして
いる。
 広東省流通業商会の黄文傑執行会長によると、衣料価格の内訳は、1着当たり
の標準価格の3分の1は工場に属する、そして工場の利潤はその半分だという。つ
まり、1着の衣料では、標準価格の5分の1―6分の1がコストにすぎない。
 「輸入ブランド代理店段階で、価格は大幅上昇を始める。残りの3分の1は卸売
商か代理店に属すが、直販メーカーもこの一部を持つことがある。小売ルートの
コストは最後の3分の1だ」
 販路を開拓するため、多くの衣料ブランドは思いをめぐらして百貨店に進出し
ている。
 中国国内の百貨店の売り場の大部分はロイヤリティー支払い、つまり販売価格
のうち一定の割合差し引いて百貨店に渡している。目下、中国国内の百貨店のロ
イヤリティー額は15%―35%で、具体的な割合は百貨店の影響力とブランドの実力
によってさまざまである。
 第一商業網の黄華軍総裁は、近年衣料価格の値上がりがひどい原因の一つは、
売り場が頻繁に割引による販売促進をしているからだと指摘する。
 「以前は、1四半期で多くても2回の大型バーゲンだったが、今となれば、1カ
月に1度の大型バーゲンが正常になってしまった上に、7、8割引きまでしている。
これらのために、ブランドサプライヤーは値下げが必要なのだが、もともとは自
分の身から出たさびで、サプライヤーは原価を高めることしかできなくなってい
る」
 さらに重要な原因は、衣料ブランドの定価戦略だ。
 「国内衣料価格が大幅上昇しているのにはもう一つ原因がある。それは、ここ
数年、中国国内ブランドは高級化路線を争っているが、価格も国際基準に合わせ
始めているということだ」
 黄文傑執行会長は、多くの中国国内生産者は、社会的地位向上のため、次々と
国外で外国ブランド登記をし、みずから国外のブランドとなり、そして、この
「外国の衣料」をまとった国産商品では価格が倍増されると話す。保守的な推計
でも、目下百貨店にある3割近くの衣料ブランドは「にせ海外ブランド」だという。
 ある業界関係者は、ここ数年、衣料ブランドは次々高級路線を走っているが、
百貨店の指導とは無関係ではないと漏らした。より高い利潤を追求するため、売
り場は定価の高い高級ブランドを歓迎するようになった。
〈考察 価格と国際基準の品質差は大きい〉
 価格は国際基準に近づいているが、品質やデザインは同様についていっている
のだろうか?
 記者の調査では、多くの衣料企業は品質において努力が足らず、このことも価
格に見合っているかどうかにおいて消費者から反発を受けている。
 客の黄さんは、「10年前、百元台で品質のとてもいい服が買えたが、現在では、
私が買った1000元の服も、1回履いたらポケットが破れてしまった」
 呉さんは、過去何年も、高額なにせ海外ブランドを買ったこともあったが、そ
の後、国際的に有名なブランドに多く触れるようになってから、これらのにせ外
国ブランドの価格は国際的な一流ブランドと大して変わらないのに、品質やデザ
インは比べ物にならないし、高額で買うに値しないことがわかった。今は、香港
出張の機会があれば、たくさんの一流ブランドの服を購入できるし、中国のにせ
外国ブランドに比べても高くないという。
 「もし、品質とデザインにおいて努力しないで、ただ高額を追求しているので
あれば、結局のところ、中国人の外国ブランドへの認知度が向上するにつれて、
多くの人がにせ外国ブランドは価格に見合わないということを知ることになると
私は思う」と呉さんは考えている。
 広東省流通業商会の黄文傑執行会長は、中国国内衣料ブランドの品質とデザイ
ンの向上にはさらにプロセスが必要だとしている。
 「国内の衣料業は、中国製造から中国創造へ向かう過渡期で、デザインと品質
に頼って広範な市場、さらに高い利潤を獲得するべきだ」
〔大洋網―広州日報2011年10月5日〕

寧波 旧来老人ホームから高齢者住宅転居で費用が2倍に

 胡師傅さんは今年76歳、浙江省寧波の大〓開発区にある老人ホーム(敬老院)
に6、7年住んでおり、入居以来毎月の費用は4―500元であった。
 最近、新しい高齢者住宅(頤老院)が建てられ、費用はたちまち千元の大台を
超えてしまった。胡師傅さんは入居はしたが困難極まり、かといって他に適当な
場所はなく、にっちもさっちもいかない状態に追い込まれている。
〈500元から一気に1250元に値上げ〉
 胡師傅さんは次のように語る。
 大〓開発区には老人ホームが一カ所しかなく、20余名のお年寄りが暮らしてい
る。彼には毎月2000元にも満たない退職金しかないし、多くのお年寄りには最低
限の「土保」(土地被収用者向け養老年金)しかない。
 現在入居している老人ホームは各種の設備が老朽化しているが、毎月500元の
費用で済み、多くのお年寄りはまだ自力で生活していける。
 しかし、9月20日以降、旧老人ホームは姿を消し、新たに建てられた高齢者住
宅のレベルが高過ぎ、まるでホテル並みで、費用は1250元から1500元と一律では
なくなっている。もし、ここに続けて住もうと思うなら、多くの老人は子供達に
援助を求めなくてはならなくなる。
 お年寄りにとっては、食、住及び基本的な医療条件が保障されればそれで十分
であり、多くは望んでいない。高齢者住宅内のエアコン、液晶テレビなどはお年
寄りにとってはぜいたく品であり、設備増加の費用は最終的にはお年寄りに転嫁
されることになる。
 担当部署には、高齢者住宅の費用を抑えた「庶民型」の高齢者住宅方式を模索
していってもらいたいと、胡師傅さんは切に願っている。
〈この価格でも赤字になる〉
 「収入の多くないお年寄りに対し、特に農村のお年寄りにとって、このような
値上がりは確かにひどすぎるのではあるが」大〓開発区の高齢者住宅の王院長は
こう述べた。
 新たに建築された高齢者住宅の面積は7000平方メートルあり、前後して3000万
元を投資し、環境や設備、それに管理体制においてもハイレベルであるが、同等
レベルの高齢者住宅と比べ、費用面ではそれほど高くないという。
 王院長は次のように紹介した。
 事前調査研究中から、多くのお年寄りにはそれなりの考えがあることを理解し
ている。しかし、もともとあったみすぼらしい老人ホームでは老人介護の需要を
満たすことができず、特に消防などの面では重大な欠点を抱えていた。価格を定
める前に、民政部門の職員たちとともに、村や社区及び老年協会などに幅広く意
見を求めているし、最終的に定めたこの最低の価格は、物価局の許可も得ている。
 大〓開発区管理委員会社管局民政処の王処長も、物価局が許可した価格はでき
るだけ低く抑えられたものであって、コストを考慮したものではなかったとして
いる。
 巨額の資金を投じて建設し、また開発区の中心地に位置し、静かで周辺環境が
いいこの高齢者住宅、開所当初から赤字経営が決まっているようなものであった。
〈やはり家庭内介護が重要となる〉
 高齢者住宅は「ハイレベル」を目指し発展し続けているが、経済能力の比較的
劣るお年寄りはどうなるのか?
 王院長は、人口高齢化の速度が進むにつれ、将来老人ホームに入る人は2種類
の人にだけになるだろうと語る。一つは高額な介護費用を賄える人、もう一つは、
政府がお金を出して世話をするお年寄りで、国情により、大多数のお年寄りは別
の方法で老後を過ごしていかなければならない立場に追いやられている。
 「現在、積極的に家庭内での介護能力を伸ばせるよう進めている」民政処の王
処長は次のように解説する。
 国家の民政部門が現段階の国情に照らし合わせ提唱しているのは「家庭内介
護」方式であって、97%以上のお年寄りにこのような方法で晩年を過ごしてもら
いたいと願っている。
 王処長は、大〓開発区は、新時代の要求に合わせ比較的ハイレベルな高齢者住
宅を建築し、そして一部のお年寄りに入居させることは第一段階の仕事であった
と補足説明をした。将来2、3か月の間に、民政部門は総合養老サービスセンター
の準備に積極的に取り組み、このセンターが家庭内養老方式のために専門のサー
ビスを行うとし、現在の進度ならば、サービスセンターは2012年初めにテスト運
行ができる見込みだと話す。
〔浙江在線2011年9月13日〕
注)〓は、きへんに「射」。
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