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野菜価格変動に見える農村構造と流通問題

野菜価格2倍を考察する 工業化追求、農業軽視の必然

 ここ数カ月、江門(広東省)の野菜価格の高さに驚かされている。1キログラ
ム当たりで、ヘチマは10元以上、菜の花は8元以上、最も安い空心菜でさえ7元以
上と、短期間のうちに多くの野菜価格は2倍になり、これまでの人生でこんなに
高い野菜価格を見たことがないと驚嘆する人までいた。
 この野菜価格の暴騰は、直接的な原因は、恐らく春は野菜出荷がもともと少な
いということや、長期にわたる大雨であろうが、本質的には、長い間に多くの地
方で農業が捨てられ、工業化追求に熱狂した、その必然的な結果なのかもしれない。
 改革開放以降、野菜を含む農産品価格はとても高騰していて、三十年余で、江
門の穀物、肉類、家禽・卵、野菜等の価格はそれぞれ数倍から十数倍まで上がっ
ているものもある。
 農産品の価格の変動は、農民の収入と生産のモチベーションに直接影響し、都
市住民の日常生活の利益ともかかわりがある。農産品価格の暴騰は、必然的に中
低所得者層の生活に影響が出るし、政府も油断ができない。
 現在の問題は、農産品価格の上昇がもたらす利益の圧倒的多数は中間流通段階
に流れていて、生産者の受ける利益は小さいか、基本的に利益がないことさえあ
るということである。都市住民は野菜の価格が高過ぎることに不満を持つ一方、
生産者は安い野菜を嘆いている、まさにここに現下の矛盾が際立っている。
 改革開放初期から今日まで、工業品、農産品の価格がはさみを開くように両極
端の広がりを見せているのは農業や農民にとり極めて不公平であるが、各レベル
政府は一貫して農産品を価格管理の重点事項としており、物価安定保持を説き、
真っ先に農産品価格を調整してきた。
 幾つかの地方の公文書は農業を極端なほどに重要だと強調し、指導者は農業重
視を声高に叫んできたが、現下の矛盾は、このことに対する痛烈な風刺であるこ
とは疑いもない。
 仮に、価格調整やその他有効的な措置を講じて農業の劣勢的な地位を変えるこ
とができなければ、農業の利益は依然として低過ぎて、もうけを期待することさ
えできないのだから、どうやって農民に耕作へのモチベーションを出させ、農業
をいかにして発展させるのだろうか。
 ここ数年の農民収入は急速に増加しているが、主に農民の「転業」、つまり、
就業収入の著しい増加からくるものだ。
 2011年、江門の農村住民の一人当たり農林牧畜水産業の経営収入は3499元で、
世帯現金収入のわずか25.2%にすぎず、わずか3%増だった。賃金収入12.9%増に遠
く及ばないし、農業経営収入が農民の全体収入の中に占める割合は下がり続けて
いる。
 広東を例にとると、農民世帯の一人当たり純収入のうち、賃金収入の割合は
1995年の26.4%から、2000年の37.3%、2010年の60.8%に上がったが、同年の世帯
当たりの農林水産牧畜漁業の経営純収入の割合は1995年の46.5%から、2000年37.9%、
2010年21.6%に下がっている。
 農業経営の農民世帯収入に占める割合が下がり続けている原因はたくさんある
といっても、農産品価格と価値の乖離は長期的に深刻で、それが重要な影響を与
える要素であることは間違いない。
 農業経営がもうからない、貧困を脱出し豊かになれない問題を解決するべく、
価格調整を運用し、農産品価格を合理的な水準にまで戻し、値上がった利益は基
本的に川上の生産者に流すべきである。
 農民の農業労働の基本的な収入が出稼ぎ労働者に近づくことで、初めて農村で
の耕作を希望する者があらわれ、そして三農問題の長い道のりが解決されるのだ。
 農産物価格上昇の低所得者層に対する影響は、価格補助方式で解消することも
できる。江門について言えば、各レベル政府が毎年、3万戸近い生活保護世帯、7
万近い都市低所得人口に一定額の価格補助金を出せば、市全体の農業振興と160
万以上の農村人口の増収を図れるかもしれず、これは非常にやってみる価値がある。
〔南方報網―南方日報2012年5月8日〕

他省産野菜が品薄高値に殺到 野菜価格はぱっと下がる

 9日に市場を取材したところ、大雨が終わり、広州の商店は続々と外から野菜
を買って広州に持ち込み、野菜価格はぱっと落ちていた。空心菜が500グラム当
たり1.3―1.5元、ニガウリが1.5―1.8元、地場の菜の花が2―3元で平価野菜取引
所で買うことができる。
 業界関係者は、天気が回復していくにつれて、野菜市場価格は今後下落してい
く見込みだと語った。
 なお、目下、葉物野菜、ウリ科やマメ科野菜も多くなってきていて、旬の野菜
の価格は相対的に安くなっていることも留意しておくべきである。
 先日、広東省の野菜小売価格の持続的な上昇傾向に対し、省物価局は緊急通知
を発し、各地域で野菜ビニールハウス、コールドチェーン設備、平価商店(安定
価格商店。政府補助金によって流通経路を短縮している)等の「3つの建設」施
策をさらに一層強化し、現地の平価商店と連携し安定価格で販売することを求め
ている。
 省物価局は、現下の野菜価格の変動が激しい状況の中で、平価商店が安定的な
市場価格を率先して打ち出し、流れに合わせて値上げしないことを求めている。
〈江南果樹・野菜卸売取引量は正常〉
 ここ数日、江南果樹・野菜卸売市場の「平価野菜取引区」では、商店が他省の
野菜を広州に持ち込むのに忙殺されていた。
 市場担当者の林業桃さんによると、9日から、市場内の野菜の1日当たり取引量
は7000トン前後まで上昇し、正常な水準に戻っている。増加している野菜は、雲
南、山東、海南島からのものだ。
 また、5月に入り天気が温かくなるにつれ、ウリ科やマメ科野菜も旬に入って
きて、ヘチマ、ニガウリ、キュウリは葉物野菜に比べて引き合いがあって、市場
ではさらに安くなることが見込まれるという。
 野菜価格の高どまりに伴って、平価の野菜はますます市民の支持を受けている
ようだ。茘湾区の地下鉄1号線西朗駅そばの広州茘〓農副産品総合卸売市場には
ここ数日で1万人の人出があり、野菜取引量も1000トンに落ち込んでいたものが、
9日は2000トンに回復した。
〈都市近郊では葉物野菜を広州に持ち込んで稼ぐ〉
 この市場の楊宇明総経理は、大雨の影響を受けたが、この市場の日々の野菜取
引量は正常値の3000トンまで急速に回復すると見込まれると語った。
 野菜価格が高どまりしているため、台山、開平、肇慶等の周辺都市から調達し
た葉物野菜を市場に持ち込み、もうけのチャンスを狙う者もいる。土地の標高が
少し高い野菜生産基地では、土地が水に浸っていないだけで、野菜価格高どまり
のために稼げるのだ。9日現在、この市場の野菜価格は既に下落していた。
 省物価局によると、近ごろの野菜価格上昇は、主に今年の広東省の春の降雨量
が多かったことが野菜の生産供給に多く影響し、そして北部の野菜は大量に市場
に出回らなかったことで、広東の野菜が「量は少なく価格は高い」ということに
なったという。
 同時にまた、人手、物流等のコストが持続的に上昇していることも、野菜価格
が前年比で上昇幅が大きくなった重要な原因である。6月に夏の野菜が大量に出
回ってくれば、野菜の価格はピークから下がってくると見込まれる。
〔大洋網―広州日報2012年5月10日〕
注)〓は、「朗」の下に「土」

車載野菜販売店は市場価格より25%安い

 野菜販売価格の継続的な上昇と、野菜供給の「ラストワンマイル」問題解決の
ため、北京市商務委は野菜の車載販売という新たなモデルを打ち出した。
 この「野菜の車載販売市場」は既に北京市内の70地区を網羅している。流通に
おける中間業者が減少したことで、野菜価格は市場価格に比べ約25%ほど安くな
り、市民の歓迎を受けている。
 記者は9日早朝、野菜販売車両に随行し、車載販売される野菜が新発地市場で
仕入れてから、住宅地区で販売されるまでの全行程を取材した。
〈午前3時:新発地野菜取引所 選別・値引き交渉〉
 いまだ世間が寝静まっているころ、新発地野菜市場の野菜、もやし取引所は既
に超満員となっていた。
 「このもやしはよい。全部くれ」北京最大の車載野菜直販会社、北京紅偉安民
農業発展有限公司のバイヤー陸志亮さんは、20余名の同僚を引き連れて場内を行
き来し、野菜を選別、値引き交渉を行った。 
 「野菜を購入する際、我々は生産業者3社のものを比較し、野菜の品質を見る
と同時に価格を比較します」紅偉安民農業発展有限公司が長年にわたって提携し
ている生産業者は皆「安心野菜認証」を取得している。毎日早朝、新発地市場で
少なくとも30種類以上の野菜を選び、仕入れなければならない。
 大量購入することで比較的低価格で野菜を仕入れることができる。例えば、通
常の卸売販売価格が500グラム当たり9角―1人民元のもやしを8角で仕入れている。
〈午前4時:車載野菜直販配送基地 分類・箱詰め〉
 4時前後、新発地市場西側に位置する紅偉安民農業発展有限公司の車載野菜直
販配送基地に到着。配送センターは広さ1000平方メートル余り。各車両の作業員
は各自積み込み作業を行い、各種野菜はプラスチックのケースに積まれ、野菜販
売車両が続々と基地を出発する。
 「我々は、毎日販売をする際、需要の高い野菜、1日当たり15―18種類は価格
を抑えて、それぞれの地域の需要状況に基づいて分配を行っています」
 紅偉安民農業発展有限公司の韋玉華総経理によれば、仕入れ価格との差額はわ
ずか3角程度であり、会社による「抑制価格野菜」政策は今後も続けられる方針
である。
 紅偉安民農業発展有限公司は現在25台の野菜販売車両を保有しており、海淀、
西城、朝陽、石景山等を初めとする70地区を網羅し、1月で車両1台当たり最低1
万元以上の利益を上げている。
 そして、年内に車両を100台にふやし、300地区にその範囲を拡大する考えであ
り、韋玉華総経理は「これによって産地で直接仕入れることが可能となり、コス
トを抑え、野菜価格をさらに引き下げることができる」と語った。
〈午前5時35分:海淀区藍旗営地区 値札張り・販売〉
 5時35分前後、海淀9号車が海淀区藍旗営社区に到着。作業員は「本日の野菜価
格」を張り終え、一部の野菜及び果物の販売を開始。
 チンゲンサイ500グラム当たりの仕入れ価格1元、販売価格1.18元。キュウリ500
グラム当たりの仕入れ価格2.5元、販売価格2.75元。
 9号車の作業員である高聡瑞さんによれば、9号車の販売する野菜及び果物は40
―50種類。
 6時前後、住民の張さんが9号車を訪れ、キュウリ、トマト等を購入した。張さ
んは「他では500グラム当たりの市場価格が7元のホウレンソウをここで3元で購
入したことがある。ここは朝市よりも便利だ」と語った。
〔京華時報2012年5月10日〕
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