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水資源問題への対処と環境への負荷

水利部 来年上半期に全省で地下水の過剰くみ上げ地域範囲画定

 2012年6月29日、第11期全国人民代表大会常務委員会第27回会議は人民大会堂
において合同部会を開き、国務院の飲料水の安全保障業務に関する報告について
諮問を行った。
 中国は水資源が豊かではない国家の一つである。1人当たり水資源量は2100立
方メートルで、世界の1人当たり水資源量のわずか28%、耕地1ムー当たりの水資
源量は1400立方メートルで、これも世界平均水準のわずか50%である。
 地表面での水資源が相対的に不足していることに、ここ数年来の地表水源の汚
染も加わり、水資源の需給ギャップがさらに激化し、多くの地域では経済社会発
展の水需要を満たすために地下水を利用せざるを得なくなっている。
 北方地域の地下水資源の利用率は高く、特にここ30年来、地下水の利用量は激
しく増加し、過剰くみ上げは比較的深刻である。現在までで、全国の地下水の利
用量は1100億立方メートルに達し、全国平野部地域の深度が浅い地下水のくみ上
げ可能量1230億立方メートルに近づいている。
 地下水の大量利用が、全国400以上の地下水の過剰くみ上げ地域をつくり出し
ている。この400以上の地下水過剰くみ上げ地域の総面積は19万平方キロメート
ルで、全国の平野面積の約11%を占めている。そのうち、海河流域(北京、天津、
河北、河南、山東、山西、内モンゴル)の平野部の過剰くみ上げ地域は海河平野
の91%を占める。
 調査統計によると、現在の過剰くみ上げ地域における地盤沈下面積は既に9万
平方キロメートルを超え、海水の侵食面積は1300平方キロメートルを超え、地下
水の過剰くみ上げは一連の生態環境問題を引き起こしている。このままいくと、
このような趨勢は引き続き発展し、さらに深刻な生態環境問題を引き起こす。
 水利部は地下水利用の抑制策として以下の幾つかの方面での措置を準備している。
1) 地下水資源の合理的な割り当て
 目下、国務院は全国水資源総合ビジョンを承認し、今後20年の地下水利用を含
む全国の水資源開発利用保護及び管理対策措置を明確にしている。地下水過剰く
み上げ地域の水源代替及び地下水掘削抑制を図り、2030年までに、全国地下水利
用量を937億立方メートル以内に規制することを計画している。
2) 地下水開発の厳格な規制
 今年2月、国務院は最も厳格な水資源管理制度を実施することを正式に提案し
た。水資源管理の問題において、水資源利用総量規制、利用効率規制、水機能区
汚染制限という3つのレッドラインを設定した。これに基づき、地下水の利用総
量規制と、地下水位規制の双方の規制が行われ、都市排水管ネットワーク内にあ
る水源井戸を徐々に閉め、第12次五カ年計画末には、全国地下水のくみ上げ量が
1040億立方メートル前後になるよう規制する。
3) 地下水の過剰くみ上げ地域の管理
 目下、中国全国の16省では地下水の過剰くみ上げ地域の範囲を画定しているが、
来年の上半期までには全国31省市区すべてで範囲を画定する計画である。地下水
のくみ上げ制限や地下水掘削抑制を強化して、南水北調の東ルート、南水北調の
中ルートの開通という機会を十分利用し、通水エリアにおける地下水のくみ上げ
制限とくみ上げ禁止を広範に展開し、黄淮海地区(黄河、淮河、海河)の生態環
境を回復する。同時に、水資源配分と節水の強化を加速し、地下水の開発配置を
調整し、地盤沈下地域、海水侵食地域、生態系が脆弱な地域等の重点地域の地下
水過剰くみ上げ管理を重点的に行う。
4) 地下水の保護を適切に強化する
 地下水の過剰くみ上げ地域においては、農業、工業建設プロジェクト及びサー
ビス業の新規の地下水や深度が深く低圧の水の取水を禁止し、原則として今後は
水源の応急対処と戦略備蓄だけを可能とする。地下水の涵養と保護の強化を図り、
雨水の補充、人工的なかんがいの再利用、水と土壌の保全、水利工事の最適な配
置等総合的な措置を十分利用し、地下水の涵養及び補充措置を強める。
5) 地下水モニタリング拠点ネットワークの建設強化
 水利部は国土交通部と共同で、地下水モニタリング拠点ネットワークをできる
だけ早く建設し、国家、流域、省の3レベルで徐々に整備し、地下水のモニタリ
ングレベル、予報・早期警戒レベル、意思決定支援能力を全面的に向上させる。
6) 地下水保護の政策法規と技術標準の整備
 地下水保護についての立法化推進を加速させ、地盤沈下地域、海水侵食地域、
生態系が脆弱な地域の地下水の保護政策をできるだけ早くしっかり行い、地下水
飲用水源区、重要水源補充区、鉱山開発地域等重点地域の保護標準をしっかり制
定する。
 主に以上6方面の措置を通じて、地下水の深刻な過剰くみ上げの状況とその趨
勢を抑制する。
〔中国網2012年6月29日〕

第12次五カ年計画 農村飲料水安全プロジェクトに1750億元

 2012年6月29日、第11期全国人民代表大会常務委員会第27回会議は人民大会堂
において合同部会を開き、国務院の飲料水の安全保障業務に関する報告について
諮問を行った。
 第12次五カ年計画期間(2011―2015。以下「十二五」)」における農村飲料水
安全の主な課題は、農村人口2.98億人及び農村学校11.4万校の飲料水の安全を確
保することである。
 この農村人口2.98億人のうち1.02億人は「十一五(2006―2011)」より持ち越
されたものであり、残る1.98億人は、水源の変化や環境汚染、衛生基準の引き上
げによって新たにプロジェクトの対象となったものである。
 これらの課題解決に必要な投資総額は1750億元で、その大部分が農村住民の飲
料水安全プロジェクト建設に用いられ、さらに100億元余りが農村の学校に使用
される。
 この1750億元のうち、中央政府は投資総額の68%に当たる1188億元を投資する
必要がある。
 「十一五」期間においては農村住民2.1億人の安全でない飲料水安全問題を解
決したが、当初の資金投入予定額1009億元に対し、実際に投入された金額は1053
億元、このうち中央政府の投資額は590億元であった。
 「十一五」と比較すると、「十二五」で解決すべき農村飲料水不安全人口は3
分の1増加し、投資総額は7割増しとなっている。
 中央政府の投資額は倍増させる構想であり、プロジェクト対象の1人当たりの
投資額も「十一五」に比べ増加している。「十一五」初期の409元、2008年以降
の511元に対し、「十二五」は536元を計画している。中央政府による補助金も
「十一五」で1人当たり281元、「十二五」で348元となっている。
 投資総額の増額も大きく、1人当たりの投資額も明らかに増加しているが、中
央政府による全資金(1188億元)の投入は保障されている。発展改革委員会は2011
年に202億、2012年に220億、計422億元の予算を組んだが、残る766億元は3年間
で年平均255億元を投入することで、このプロジェクトは実現する。
 言いかえれば、前半2年間の基礎の上に、後半3年間は年平均8%ずつ資金を引き
上げさえすれば、このプロジェクトに必要な資金目標を達成することができる。
 目下、中央政府予算内の投資が年々増加する趨勢のもとでは実行できるだろう
が、当然その実現は容易なことではない。「十一五」期間において、農村飲料水
の安全問題解決に用いられた投資額は中央政府予算内の水利投資の25.5%を占め
たのに対し、「十二五」期間の前2年間では32%と、実に6.5%も増加しているためだ。
 このような懸案はあるものの、さらに引き続き、この飲料水安全プロジェクト
を重要な民生プロジェクトとして強調し、資金供給を優先的に保証していく。
 なお、「十二五」水利投資の全体構想において、総投資額の68%を中央政府が、
22%を地方が負担し、残る10%は農民の労働力で換算されている。
 政府負担の68%に問題はなく、地方負担の22%に関しても「十一五」期間の執行
状況及び「十二五」前2年の状況から見て、地方において他のプロジェクトより
も着実に実行されている。
 これは地方政府が農村飲料水の安全問題を重要視していることに加え、「十二
五」期間に中央政府が中西部に対する投資補助の比率を、「十一五」期間に50%
であった中部の農村飲料水安全プロジェクトの投資補助比率を「十二五」では3
分の2に、また西部も同様に3分の2から80%にまで引き上げ、地方財政の圧力を緩
和したことが起因している。
 また、中央政府は、地方負担の22%を主に省政府が手配し、西部地区の県及び
県以下ではほかの地域では義務づけられている業務を免除することを明確に求め
ており、全体的に、この部分の執行状況は良好である。〔中国網2012年6月29日〕
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