CI Image
 
電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
登録  解除    メールアドレス  

特集内容一覧へ

中国人のストレスと社会の不安定さ

中国サラリーマンのストレスは世界一

 中国サラリーマンのストレスは世界一まで上昇したようだ。オフィスプラン提
供機関であるリージャスの最新発行調査報告によると、少なくとも過去1年、中
国のサラリーマンはこのように考えていた。
 今年4月より、リージャスは全世界80か国・地域1.6万人のサラリーマンに対し
て調査を開始した。調査の結果、中国の4分の3(75%)のサラリーマンが、昨年
と比較し、自身の受けるストレスが大きくなったと感じており、その割合が世界
一となったことがわかった。
 第2位がドイツ、第3位アジア太平洋地域の国と続き、香港が第4位。香港では、
55%のサラリーマンが昨年よりストレスが大きくなったと回答した。なお、全世
界の平均値は48%であった。
 ストレスを上昇させるに至った主要要因としては、多くの回答者が仕事を挙げ
ている。
 中国の73%の回答者は、仕事がストレスの主要要因と考えていた。香港では62%、
全世界では59%だった。社会全体から見れば、経済成長率の減速とユーロ圏の債
務危機が多くの中国人とドイツ人のサラリーマンに倍のストレスを感じさせている。
 仕事以外では、中国と香港の回答者は自身の財務状況を第2のストレス要因と
しており、第3位は顧客もしくは管理層のストレスであった。
 中国では、上海はまるで「ストレス都市」であり、回答した上海のサラリーマ
ンのうち80%がストレス上昇を訴えた。北京は67%であった。
 リージャス東南アジア地区のハンス・レイテン総裁の話によると、中国の若者
がよりバランスのとれた仕事と生活を追求し出して、いわゆる「裸辞」現象がま
すます増加しているという。
 「裸辞」とは転職先を決めずに辞職することを指し、何も用意しないまま結婚
をする裸婚に引けをとらないほどのサラリーマンの「決別」の度合いだというこ
とだ。
 全世界から見ると、アジア太平洋地域では仕事をストレスの主因とみなす回答
者の割合は、欧州やアメリカ、ラテンアメリカ国家より高かった。同時に、小企
業労働者は大企業の労働者に比べ、顧客からストレスをより感じやすかった。
 職場ストレスをどのように解決すべきかという点については、半数以上(55%)
の中国人回答者は、自由度のある働き方がストレスを軽減させるとし、88%の中
国人回答者は、自由度のある働き方で生産力が向上するとした。
 今回の調査にかかわったNGO関係者は、国・地域の文化が自由度のある働き方
導入のバリアの一つとなっており、その次のバリアが管理コントロールを失うこ
とに対する管理層の不安であるとしている。
 「この調査の最も突出した発見は、63%のアジア太平洋地域の回答者が、自由
度のある働き方がストレス問題を解決する方法であるとしていることだ」と彼女
は言う。
 「私たちはずっと、企業は労働者のワークライフバランスを軽視できないし、
そのことは企業にマイナスの影響を与えると確信している。多くの企業は、自由
度のある働き方にすることで仕事の効率を下げると心配しているが、実際には、
自由度のある働き方は労働者の仕事量を減らさず、仕事の時間や方法、場所によ
り大きな裁量があるというものだ」
 一方、自制力の強くない労働者にとって、このような働き方は仕事と生活のリ
ズムをかなり乱すことになると指摘する、大手インターネット企業に勤める労働
者もいた。
〔第一財経2012年9月28日〕

中国の日系企業調査 操業停止するも資本撤退はなし

 尖閣諸島(魚釣島)での事態が依然として持続し、自動車、電器といった主要
な日本企業の製品が相次いで中国で大幅な販売下落に遭遇し、政治の領域から経
済の領域にまで波及するにとどまらず、日系企業の生産経営分野にもすぐさま及
び、操業停止、閉鎖に至っている。
 先日、日系企業、市場の末端を取材し、日系企業が停止に追い込まれた背景の
原因、こうむった損失、今後の対中戦略の動向いかんについて調査を行った。
〈操業停止の波が沸き起こる〉
 「15日から、工場では反日抗議活動が始まり、操業停止し、我々は自宅待機と
なり、操業再開の知らせを待っている」主にコードレス電話の生産を行っている
パナソニックの広東省珠海工場の従業員は、このように話した。
 それによると、15日、工場で反日スローガンを大声で叫ぶ従業員や、気持ちが
高ぶって工場の幾つかの設備を破壊する従業員がいたという。その後、工場は操
業停止を決定し、従業員全員を自宅待機にさせている。
 「私たちの珠海工場のほか、パナソニックの山東省青島、江蘇省蘇州の工場も
影響を受け、青島工場では火事も起きた」といい、「工場で反日事件が起きた後、
従業員の多くは情緒が不安定になった。これが操業停止になった主な原因だと私
は思う」
 パナソニック中国公司の関係者は取材に対し、9月15日、工場で小規模な反日
抗議活動は起きていて、青島、蘇州の工場もその影響を受け、工場は操業を停止
しているが、目下の状況は比較的安定しているという。「しかし、パナソニック
の他の工場では通常どおりに生産を行っている」
 パナソニックは、北京の中国業務管理公司に対策本部を緊急設置し、情報収集
を進めている。
 パナソニックの「懸念」と同様に、キヤノン公司では、従業員の身の安全を考
慮し、17日、18日の2日間を操業停止にした。これは珠海、蘇州、中山の3工場に
及び、約2.2万人の従業員は有給休暇となった。
 各方面の情報を総合すると、日本政府の尖閣諸島国有化方針以降、中国の日系
企業の生産経営に影響が波及し、操業停止、閉鎖が相次いでいる。近々の日中関
係の緊張の影響を受け、特に満州事変81周年に当たる日は、多くの日本企業が操
業停止を選択した。
 自動車業界では、日産、ホンダ、マツダ等でも、合弁工場を18日、一時操業停
止することを決めた。日産の2工場では9月17日に生産停止し、18日までストップ。
ホンダの生産工場は19日に一時操業停止し、2工場、約1.5万人に有給休暇を出し
た。長安フォードと長安マツダは南京の合弁工場を9月18日から4日間臨時閉鎖し
た。天津、成都を含む第一汽車トヨタ工場は、9月18日に一時生産停止した。
 そのほか、操業停止を決めた日系工場は、獅王日用化工(青島)(青島ライオ
ン)、三菱電機中国公司で、日立中国公司は在宅勤務に切りかえた。
 9月18日、北京華堂商場(イトーヨーカドー)に行ったところ、いつもはにぎ
やかなお店の入り口がぴったりと閉鎖され、入り口に「店内施設設備のメンテナ
ンスのため、2012年9月17日―18日臨時休業させていただきます」との張り紙が
されていた。
〈損失は計上できないまま〉
 自動車販売においては、8月はホンダがプラス成長だったが、その他の日系自
動車企業はそれぞれ販売減となっている。トヨタは前年同期比15%減となった。
 自動車等主要製品のほか、日系ブランドの家電販売額も全体的に大幅減となっ
ている。市場調査会社の中怡康が7月第3週と9月第2週のデータを比較したところ、
販売減により、シャープのカラーテレビのシェアは8.8%から4.7%、ソニーのシェ
アは5.9%から4.4%、パナソニックのシェアは0.4%にまで下がり、東芝、三洋のシ
ェアは1%以下となった。
 今年は10月1日の国慶節黄金節に9月30日の中秋節が加わる、販売店にとっては
いい日取りであり、家電市場は書き入れどきを迎え、大手家電販売店、各ブラン
ドは20日以上も前倒しにしてキャンペーンの臨戦状態に入っている。しかし、キ
ャンペーンが熱くなる中、日系ブランドの存在は薄い。
 キヤノン等日系企業の操業停止、閉鎖について、日本の家電は中国においてと
ても大きな市場シェアがあり、操業停止や生産停止をすれば経済損失は相当大き
いと分析する者もいる。
 中国社会科学院経済研究所、清華大学中国・世界経済研究センターの袁鋼明研
究員は、目下、尖閣諸島事案の、日本の電子、観光、自動車に対する影響はとて
も大きいと見ている。中国市民に言わせれば、日本の自動車を決して買ってはな
らないとされ、したがって、尖閣諸島事案は日本の自動車に対して非常に大きな
打撃を与えている。
 格付機関大手のフィッチ・レーティングスは、日本企業は中国市場における販
売や評判での影響を少なくとも短期的には受けることになるかもしれないが、こ
れらの企業の中国市場販売が影響を受ける程度を試算するのは難しいと指摘する。
仮に、尖閣諸島をめぐる情勢がエスカレートし、緊迫した局面が続けば、日本の
大手自動車生産企業と科学技術製造企業の位置づけは厳しい状況を迎えるかもし
れないという。
 生産停止、閉鎖による損失のほか、資本市場において、中国で操業停止がネッ
クとなって、多くの日系企業の株式価格が下落している。9月18日を例にとると、
日産自動車の株価は5%下落、ホンダ自動車は2.5%下落し、ユニクロを経営するフ
ァーストリテイリンググループは7%近く暴落した。
 しかし、操業停止で受ける損失状況や影響については、キヤノンを含め、取材
を行った日系企業は計上できず、回答しなかった。
〈日系企業の9割が中国での経営維持〉
 さらに過激化する尖閣諸島事案と中国の民間における空前の高まりを見せる反
日感情に対し、一部の日系企業は中国市場からの撤退を検討したり、対中戦略を
見直す動きを見せている。
 青島日本人会の担当者は、日本メディアに対しこのような懸念を示し、この後
日本企業が中国撤退するのではないかと漏らしている。
 社会科学院日本研究所日本経済研究室の張季風主任は、日本政府の尖閣諸島国
有化から端を発した局面により、一部の在中日系企業が今後の投資意欲を減退さ
せることを心配している。
 この問題を日中それぞれの企業の担当者に照会した結果、圧倒的多数の在中日
系企業は、目下の展望に心配はするものの、しばらくは撤退するつもりはないこ
とがはっきりした。
 キヤノン中国ブランド部の李竹さんは、目下の緊迫した日中関係は、キヤノン
の対中投資がもたらした影響ではあり得ないとする。
 〓勒コンサルティングのベテラン董事の羅清啓氏は、日系企業は中国市場に強
く依存しており、軽々に投資を移転できないと見ている。中国は、販売市場と生
産基地という2つの役割を担っているからだ。
 日本企業は現在、2万社近くが中国に進出している。蘇州の日系企業を例にと
ると、目下蘇州高新区に進出した日系企業は500社で、今後は800―1000社に達す
ると予想されている。
 つまり、日本の製造業の輸出を支える主要な市場は中国であり、中国市場は日
本企業の利益獲得源なのである。日本の電子、自動車、家電等多くの企業は主に
中国でお金を稼いでいる。仮に、尖閣諸島事案がエスカレートし、日本企業が中
国から撤退すれば、彼らは深刻な代償を払うことになる。一方で、その反対の行
動として、欧米企業がすきを狙って入り込み、日系企業が撤退した後の中国市場
を占領することになる。
 キヤノン従業員の李竹さんによると、中国はアジア太平洋地域における巨大市
場であり、目下会社は積極的に中国市場を開拓している。したがって、「現在の
我々が、アジア太平洋地域の重点を東南アジア等の国・地域に移転することを検
討することはあり得ない」
 トヨタ自動車中国の広報担当者の牛氏は、トヨタは、現下の緊迫した日中関
係が原因で中国市場を放棄することはあり得ず、むしろ積極的に開拓をするとし
ている。
 業界関係者は、90%の日本企業は中国で経営を維持すると予想する。
 最新情報では、9月19日から、日中関係の緊迫化の影響を受けた在中日系企業
で操業が再開されている。日産、マツダ、スズキ自動車の組み立て工場等は計画
に基づいて19日午前に生産を再開した。ソニーの在中2工場は操業を再開し、キ
ヤノンの3工場は20日に操業を再開した。
 1、2日間の臨時休業後、北京のセブンイレブン、ユニクロ、華堂商場等日系小
売企業は営業を再開した。
 パナソニック中国公司の関係者は、いつ操業再開するかについては情勢を見き
わめて、確定をしたら、すぐに従業員に知らせ、できるだけ早く生産を回復させ
たいと回答した。
 現在、この原稿執筆段階では、パナソニック珠海工場が18日、従業員全体に通
告を発している。それによると、工場の機械設備が破壊されたため、通常生産が
できないというものだ。同社は9月19―22日を代休として、9月25日に正常出勤に
戻すことを決めた。
注)〓は、はばへんに「白」
〔中国企業報2012年9月25日〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━