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観光競争力強化の阻害要因を取り払う

中国への入国観光客減少の原因はいずこ

 6月に国家観光局は2013年全国観光市場工作会議を開催したが、7月に再び観光経
済展望分析会を開催することになった。
 これら2つの会議は、目下の観光市場に対し、「今年上半期、中国の観光経済は
持続的に安定的に発展し、観光市場は引き続き「二増一平」の様相を呈している」
との基本判断を示した。
〈減少の原因を国際経済環境とこじつけることはできない〉
 国内旅行と海外旅行の2つが増加し「二増」であることに異論はないが、入国観
光が安定し「一平」というのは検討すべきである。
 国家観光局が発表したばかりの観光統計報告によると、今年上半期の入国観光で
は、香港・マカオ、台湾にしろ外国市場にしろ、入国観光客数にしろ入国観光収入
にしろ、前年同期と比較して減少傾向にある。
 入国観光客数は3.7%減、入国宿泊観光客数は4.1%減、入国外国人観光客数は7.09%
減、入国観光収入は5.5%減であった。2009年、国際金融危機の衝撃を受けたときは、
入国観光客数は2.7%減、入国宿泊観光客数は4.1%減、入国観光収入は2.9%減であっ
た。今年上半期、入国観光の減少幅は2009年をはるかに上回った。
 したがって、今年上半期の入国観光の展望はさらに厳しく、「平」という字でま
とめることはできないと筆者は考える。現実を見ることで、減少した原因がわかり、
減少をとめ上昇の道が見つかるのだ。
 上記の会議では、入国観光展望を分析する際、「世界経済の展望が複雑さを増し、
観光外需が減少し、その上に中国のビザ政策問題、日本、フィリピン等周辺国家と
の関係の緊張、観光企業の海外市場開拓に対する積極性の伸び悩みといった要素の
影響を受け、中国への入国観光市場の下降圧力が大きくなり、短期的には全面回復
は難しい」と述べている。
 この分析はある程度そのとおりであるが、大いに検討すべきである。
 「世界経済の展望が複雑さを増し、観光外需が減少し、」というのは、2009年、
2010年であれば通用するが、今年の上半期では人々を納得させられないだろう。
 今年7月17日の国連世界観光機関(UNWTO)が発表した最新の報告によると、「グ
ローバル経済環境が試練に直面したにもかかわらず、2013年1―4月の国際入国観光
客数は4.3%増だった」とし、アジア太平洋地域は6%増、EUは5%増、中東は5%増、そ
のうち東南アジアは12%増、南アジアは9%増、中欧・東欧は9%増としている。目的
地別には、新興経済国は4.6%増で、先進国は3.3%増だった。
 この報告では、2013年の年間国際入国観光者数は3%―4%増と予想している。
 これらの数字によって、今年1―4月の世界、アジア太平洋地域、新興経済国及び
先進国の国際観光はどれも速い成長を見せ、また中国大陸の隣の東南アジアの入国
観光も大幅成長で、中国の今年上半期の入国観光減少とは巨大な落差を見せており、
減少の原因を国際経済環境とこじつけることはできない。
〈「中国のビザ政策問題」は極めて重要〉
 「日本、フィリピン等周辺国家との関係の緊張」、これは単なる個別事案で、日
本人観光客がどれほど大幅減(−25.5%)であったとしても、フィリピン人観光客
は依然として微増(+1.96%)であり、香港・マカオ、台湾を含む中国入国観光全
体の減少を説明することはできない。
 今年上半期、中国への入国観光客総数の3分の2以上を占める上位18カ国のうち、
韓国(−5.48%)、アメリカ(−2.51%)、ロシア(−5.99%)、マレーシア(−7.81%)、
シンガポール(−10.85%)、オーストラリア(−1.29%)、カナダ(−4.62%)、タ
イ(−0.25%)、ドイツ(−3.09%)、インドネシア(−3.13%)、パキスタン(−21.22%)
等11カ国と中国との関係は正常で、良好なところもあるが、なぜそれらの国の入国
観光客数が減少しているだろうかということである。
 それは、「中国のビザ政策問題」にあると筆者は考える。この一点が極めて重要
で、問題の核心とも言えるだろう。
 2012年の入国の数値は高目に始まり低目で終わるという正常ではない状態で、1
―5月の入国観光客数は前年同期比13.3%増であった。
 5月からは、第18回人民代表大会を迎えるに当たってビザ規制で入国の厳格化措
置がとられ、また、9月に、百近い都市で日本政府による魚釣島(尖閣列島)国有
化抗議のデモが発生し、外部に中国に対するある種不安定な感覚を与えた。
 それは、中国と日本の間の双方の往来の減少を直接的にもたらしたが、それだけ
でなく、間接的に日本以外の国の入国観光客の減少をもたらした(特に、東アジア
を周遊したいと考えていたユーラシア大陸より遠方の観光客)。
 そして6月以降、入国観光客はどんどん減少し、昨年は年間−2.2%というマイナ
ス成長となり、影響は今年上半期まで続いている。
 中国大陸の入国観光客のビザ政策はもともと偏りがあって厳格である。目下わず
か4カ国(日本、シンガポール、ブルネイ、サンマリノ)の個人に対してしか入国
ビザ免除政策を実施しておらず、わずか6カ国(ロシア、ベラルーシ、グルジア、
アゼルバイジャン、モルドバ、トルクメニスタン)と団体観光相互ビザ免除協議に
調印しているだけである。
 今年5月から、北京、上海、広州、成都等4都市は45カ国の国境通過観光客に72時
間のビザ免除政策を実行し、海南省は26カ国の観光客に21日間のビザ免除政策を実
行しているが、全体的に依然として厳格過ぎるままである。
 2013年世界経済フォーラム(WEF)が発表した「旅行・観光競争力レポート(Travel
and Tourism Competitiveness)」の140カ国のランキングのうち、中国は「(入国
観光客に対する)必要ビザ国家数)で129位であったが、このことは、中国の入国
ビザ政策が国際潮流に合っていないということを説明するに十分である。
 目下、米国、日本、韓国、シンガポール、マレーシア、UAE、ニュージーランド、
アイルランド、ドイツ等の諸外国及び香港では、入国観光客を多く誘致するため、
比較的寛容なビザ措置を実施しており、明らかな成果をおさめている。
〈北京等大都市の交通渋滞・大気汚染に多くの人が尻込み〉
 もちろん、人文学的、自然科学的に言って、入国政策は一側面にすぎない。
 観光客、特に外国人観光客は、中国に入国した際、必ず大都市を訪れるものだが、
北京に代表される大都市の交通渋滞及び大気汚染は多くの人を尻込みさせている。
中国大陸の多くの都市が「国際観光都市」をうたっているものの、外国人観光客、
中でも個人観光客を迎え入れるための条件を備えている都市は少ない。
 2007年以降、世界経済フォーラムが発表している「旅行・観光競争力レポート」
では、観光に関する行政・規制の枠組み、観光ビジネス環境及びインフラ、人的・
文化的・自然環境的観光資源の三大分野、及びこれに付随する80の指標が設けられ
ている。(入国観光客数、収入等「観光GDP」指標はいまだこれに含まれていない)
 観光業の発展と密接な関係を持つ上記「観光に関する行政・規制の枠組み」分野
は、政策法規、環境発展の持続可能性、安全保障、健康と衛生、観光の政策優先度
という5つのカテゴリーに分けられ、ここでは「外資の所有権」「財産権の保護」
「海外直接投資規制のビジネス効果」「ビザの必要条件」「二国間航空協定の開放
性」「政府政策の透明性」「起業における時間的コスト」「起業費用」「厳格な環
境法規」「環境法規の厳格な実施」「観光産業発展の持続可能性」「CO2排出量」
「浮遊粒子状物質の濃度」「絶滅危惧種」「環境条約の批准状況」「警察の信頼
性」「犯罪及び暴力事件にかかるビジネスコスト」「交通事故死亡率」「医者の密
度」「公衆衛生環境」「良質な飲料水へのアクセス」「病院の病床数」等が指標化
されている。
 当該レポートが調査対象としている140の国と地域のうち、中国大陸の順位は2007
年からの6年間で、71位(2007年)、62位(2008年)、47位(2009年)、39位(2011
年)、45位(2012年)と推移し、おおむね上昇傾向の中、2012年に、中国観光の不
振に符合する形で順位を6位下げている。
 指標別に見て、中国が上位にランクしたものは「自然資源(15位)」「文化的資
源(15位)」で、一方、下位にランクしたものは「観光インフラ(101位)」「環
境の持続可能性(109位)」「観光への親近感(129位)」「観光ビザを要する国の
数(130位)」である。
 このことから、中国の観光競争力を抑制する主な要因が、共に世界の中間レベル
にある「観光に関する行政・規制の枠組み」分野(71位)と「観光ビジネス環境及
びインフラ」分野(63位)にあることがうかがえる。こういったマクロ環境面の要
素もまた、国の観光イメージの柱である。
 2011年末「中国日報」アメリカ支社が、米ギャラップ社を通じて行った中国に対
する意識調査によれば、中国全体を評価するに当たり、米国民世論の42%が肯定的、
44%が否定的な態度を示した。こういった賛否両論と「観光競争力レポート」にお
けるランキング状況は相通じるところがある。
〈中国大陸の対外観光プロモーションは一貫して行政主導型〉
 「観光企業の海外市場開拓に対する積極性の伸び悩み」等の問題も、長年にわた
って中国の観光事情に大きく影響している。しかし、一体なぜなのか。
 これには中国の観光プロモーションのメカニズムに深い因果関係がある。30年以
上、中国大陸の対外観光プロモーションは行政主導型であり、観光企業は端役とし
て発言権を持っていなかった。
 中国大陸の観光プロモーション事業費は元来少なく、日本政府観光局や韓国観光
公社、仏メゾン・ド・ラ・フランス、独観光センター、米ブランドUSA等の観光プ
ロモーション機構を参考として、行政、業界、市場、メディアの専門家から成る、
専門性が高く半市場化された観光プロモーション機構を立ち上げ、観光促進事業の
主体を完全なる行政機構から市場化された専門機関に移し、対外プロモーションの
効果を評価する制度を設け、市場からその成果を検証・審査する、こういったこと
をせずして「観光企業の海外市場開拓に対する積極性」はいかにして得られるとい
うのだろうか。
 李克強首相は世界サービスフォーラム北京サミットの基調講演において、「中国
サービス業の発展はおくれをとっている。その最大の原因は体制・構造にあり、改
革開放に活路がある」と指摘した。サービス貿易を支柱とした観光事業はその最た
るものである。
〈2013年6月中国入国(観光)客源市場状況表(1―6月)〉
入国者数ランキング  国名 入国者数(単位:万人) 前年比成長率(%)
1) 韓国 190.08 -5.48
2) 日本 139.92 -25.50
3) アメリカ 106.18 2.51
4) ロシア 101.95 -5.99
5) ベトナム 63.83 18.52
6) マレーシア 55.91 -7.81
7) フィリピン 50.33 1.96
8) モンゴル 48.02 1.64
9) シンガポール 44.86 -10.85
10) オーストラリア 36.74 -1.29
11) インド 34.47 14.26
12) カナダ 33.85 -4.62
13) タイ 32.99 -0.25
14) ドイツ 32.28 -3.09
15) イギリス 31.59 3.70
16) インドネシア 28.94 -3.13
17) フランス 26.85 4.30
18) カザフスタン 19.03 -21.22
〔中国青年報2013年8月9日〕

民用航空をサービス業に回帰させる

 フライトの大幅な遅延を解決するために、近日、中国民間航総局は再度、拳を振
り上げた。
 北京や上海など八大多忙空港で相互に行き交う飛行について、天候と軍事活動と
いった原因を除き、毎日午前10時前のフライト離陸は、目的地空港の航空管制の影
響で遅くならないよう命令した。
 これは、旅客が搭乗後すぐに離陸するという意味である。
 国民の収入増加に伴い、ますます多くの中国人が移動の速さを求めて飛行機を選
択し始めたが、自身の選択が間違いであると気づき始めている。
 というのも、飛行機の遅延がますます頻発し、「遅延が正常、定刻だと幸運」と
するのが大衆の共通する思いだからである。
 個人の主観は客観に及ばないかもしれないが、冷ややかな統計データがさらにこ
の問題を解説してくれる。
 民航局統計によれば、昨年の全国のフライト正常率は74.83%であり、これは一部
の国家の持つ90%や95%の正常率からはほど遠い。
 しかも、問題は、この正常率が何と「水で薄められた」ものであることだ。統計
はドアクローズの時間であって、疲れ切った状態で、ばかばかしく滑走路で待ち続
けるのに費やした時間が計算に組み込まれていない。
 さらに、国際的な正常率は通常、旅客の到着時間に15分が追加されて計算される。
もし国際基準に照らし合わせれば、中国のフライト正常率データはさらに醜いもの
となるはずだ。
 国内のフライト遅延が深刻なのは紛れもない事実である。そして、飛行機の遅延
に航空会社や空港等が遭遇する理由の一つは「航空管制」である。
 八大空港が航空管制によるフライト遅延を禁じれば、飛行機の定刻率は大きく引
き上げられ、世論は大喜びであろう。
 しかし、中国は2006年にフライト遅延の解決に乗り出しているが、フライト正常
率は意外にも2006年の81%から昨年の74.83%へ低下してしまった。中央テレビまで
もが「これは一部政策によって力を入れて正常率の向上に取り組んだが逆にますま
す低下させてしまったという歴史である」としたほどで、この新たな政策に対し、
世論は喜ぶのが早過ぎた。
 これはできないことではない。官民機関による統計では、飛行機遅延の第一要因
は航空会社の運航管理にあり、4割前後以上の割合を占めている。航空管制を要因
とするのは2割強、このほか、天候や軍事活動や空港制限等に要因があると考えら
れている。
 このように、ただ「航空管制」だけでは、フライト遅延の抱える全ての問題を解
決できない。
 もちろん、この新たな政策に対して、疑惑と悲観だけで向き合わず、期待を込め
て向き合うべきである。
 なぜなら、フライトの大幅な遅延というのは、空域資源管理機構、航空会社、空
港、空港管理などに影響を与えるのだが、長年にわたるフライト遅延解決では、責
任はほぼ全て航空会社が負わされ、例えば、空港管理システムの空中交通指揮能力
をいかにして人々に注目させるかといった、ほかへの波及はとても少なかった。
 今回の新たな政策は初めて空港管理に目を向けていて、つまり、中国のフライト
遅延解決がいつもの単一的な解決方法から抜け出し、総合的解決に向かって走り出
し、さらに積極的なもう一歩を踏み出しているのである。今後は、空港や航路など
新たな政策がより多く出されることも否定できない。
 もちろん、中国のフライトの大幅な遅延は、フライトと乗客量の年々の増加に対
し、民航業の管理レベル全体が相対的におくれているという矛盾の当然の帰結であ
り、たとえ積極的にフライト遅延というこの発展の「後遺症」の徹底的断絶に取り
組もうとしても、それは一日でできることではない。
 現在の問題としては、「後遺症」はゆっくり治せるが、フライト遅延に伴う「空
港ターミナル暴力」をどう解決するかということだ。まさか、至るところで「空港
ターミナル暴力」をこのまま継続して発生させ続けるわけにはいかない。
 実際、「空港ターミナル暴力」は、中国人が暴力を好むのではなく、旅客の民航
に対する忍耐が極限を超え、情緒のコントロールができなくなるということである。
 中国民航空党学校の関連課題研究では、一部の民航の職員は民航をサービス業と
みなしていないため、旅客を追い払うような態度をとり、フライト遅延など特殊状
況においても頻繁に処理を先延ばしにしてその場を適当にやり過ごしている。しか
し、先延ばすうちに、危険性が徐々に増大し、爆発してしまう。
 サービス業の民航業のサービス意識の立て直しが必要に迫られているようである。
少なくとも、フライト遅延後、真っ先に時間の情報を伝え、真っ先にスタッフサー
ビスを行い、真っ先の調整と真っ先の妥協措置をとるべきである。
 民航業に対しては滞りない運航が非常に重要であるが、民航をサービス業に「回
帰」させることもさらに重要である。〔重慶商報2013年8月2日〕
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