都市化政策の裏返しにある農村をめぐる諸問題
農村「空洞化」待ったなし
現在、農村は人々の非農化により「もぬけの殻」となり、宅地は普遍的に「古き
を壊さず新しきを建」てることで、新たな住宅建築が徐々に周囲に拡大し、村落用
地の規模拡大や放置廃棄が加速するという一種の「ドーナツ化」というよくない方
向に進化している。
国家統計局の公布した統計データによると、2011年、全国農民数は2億5278万人
に達し、前年より1055万人増加、4.4%の伸びとなった。そのうち、外出農民工は1
億5863万人で528万人増加、3.4%の伸びであった。
1.6億の農民工が農村を離れ都市に入るが、このことでどれだけの「空洞村」を
つくり出されているのだろうか。
学者の推測によれば、現在、中国の6割以上の農村に「空洞化」現象が存在し、
さらなる悲観論者は、中国の農村、特に西部の比較的遅れた地区で、8割以上の農
村に「空洞化」現象が起きていると推測する。
ある人は、現在の中国農村の現状を「外から見れば村だが中に入ると村ではない。
古い家に人は住んでおらず荒地に雑草が生えている」と表現する。
昔、青年男子が多くいた農村だが、今、残っている大半が高齢者や子供、留守を
預かる女性で、まさに「386199部隊」(以下の日付の数字を並べた言葉。婦人節3
月8日、子供節6月1日、重陽節9月9日)の大本営である。
事の起こりを探れば、「空洞村」は実際のところ、中国の工業化、都市化、戸籍
制度、土地制度の二元化の産物である。それは農村土地空洞化や人口空洞化に加え、
農村産業空洞化とインフラ空洞化も含み、本質的には農村地域経済社会の機能全体
の退化である。
それゆえに、社会学の角度からいえば、「空洞村」は現代中国における旧農業社
会の最後のワンシーンなのである。
「空洞村」の形成と発展は、1000年持続してきた「老いは養う者を持ち、幼きは
よりどころを持つ」という伝統的家庭倫理構成の大きな衝撃であるほかに、派生的
な一つの社会問題である。
まず土地の深刻な浪費をつくり出す。
「空洞村」は土地を占有しており、耕すこともできなければ使用することもでき
ず、土地資源の大きな浪費なのである。
次に、農村社会の治安を悪化させる。
大量の青年・壮年労働力が出稼ぎに行き、多くの農村家庭に残るのは皆老人や女
性、子供で、これが犯罪分子がつけ込むすきを残している。
最後に、農村経済社会の発展を阻んでいる。
「空洞村」の存在は、農民の居住地を分散させ、村落分布面積を拡大したことで、
農村の水、電気、道などのインフラの統一的建設を困難にし、農村経済のさらなる
発展を先送りにしている。
このほか、大量に存在する「空洞村」は、農村内の近所もしくは家庭内部に矛盾
やもめごとを引き起こしやすい。
「空洞村」内部の廃棄宅地は長く使用する者がおらず、近所間の土地境界には曖
昧なところがある。農村土地供給が日増しに逼迫するにつれ、宅地は今後必ず値上
がりするだろうが、そのときには、これらの廃棄宅地が家庭内もしくは各家族間に
矛盾やもめごとを引き起こす可能性がある。
この点を鑑みると、近年全国の「人民代表大会・政治協商会議」で少なくない代
表委員が提案の中で述べる「空洞村」管理が既に目前に迫っているのだ。
空洞村を整備すれば生き、生きれば盛り上がり、盛り上がれば発展することは、
実践が証明している。
現在、中国の農村空洞村の整備には既に一種の典型モデルがある。例えば、河北
省の空洞村整備の4種のモデル、上海市松江区は「調和理念」に基づく宅地置換モ
デル、浙江省〓州市の「三者共建」モデル、天津市の「宅地から家屋への転換」モ
デル、山東省徳州の「両地区同建」モデルなどである。
しかし、具体的な整備方法について、一部専門学者は、空洞化した村落の空間、
組織、産業の「3つの統合」を推し進め、農村の大きな産業発展を通じて、農民工
を帰郷させ就業させること、同時に、農村宅地使用制度を改革し、宅地を合理的に
流通させ、特に、既存の宅地権利関係を改革し、中国ならではの農村宅地流通市場
を探索し建立することを提案している。〔小康財智2014年2月21日〕
注)〓は、やまへんに「乘」
最低賃金が22年間で7倍 では幸福度は何倍に?
今月より、深センの最低賃金標準が月額1808元に引き上げられ、上げ幅は13%に
達する。また、パートタイム就労者の最低賃金標準が時給16.5元となった。
深セン市人社局は2日、企業がもし最低賃金規定を破ったら、従業員は各級の労
働監察部門に訴えることができると発表した。1992年の月245元の最低賃金標準か
ら22年がたち、深センの最低賃金は7倍になった。(2月3日「南方都市報」)
この世代は、生まれてから22年間で、最低賃金が7倍になった。彼らの父親の代
と比べると、彼らは社会に出てすぐにこのような高い賃金を受け取ることができる。
これは彼らの親の時代では思いもよらないことだ。
しかし、当時、彼らの親たちは200元余りの月給であったが、今より幸福であっ
た。当時は、仕事があればちょっとした幸福だった。現在、彼らの子供たちは毎月
1800元以上の給料をもらっているが、深センのような大都市では幸福にはほど遠い。
2013年、深センの不動産は記録を更新し、平均価格が1平方メートル当たり2万1626
元となった。同じ年、深センの最低賃金標準は月1600元になった。最低賃金をもっ
て深センでマイホームを購入しようなど、夢のまた夢である。
1992年と比べて、深セン市の最低賃金は7倍になった。当時のことを思えば全く
想像もつかないことである。
当時、工場は人を探していた。女性は手先が器用で言うことをよく聞くので、優
先的に採用された。しかし、今日、月1808元というのは、中小都市であってもそれ
ほど高くはない。
当時、200元余りの月給ではやはりマイホームは買えなかったが、当時の人たち
は求めるレベルがそれほど高くなくて、お金は欲しかったが家までは欲しがらなか
った。労働者の文化教養は低く、選択の余地は幾らもなかった。
当時、企業は従業員が足りており、注文も十分に取れ、心配なく大胆に生産する
ことができた。
しかし、今は、注文は長期や大口であったものが、小口になり、急な注文に変わ
ってしまった。それなのに給料は上がり、従業員はなかなか見つからない。特に、
90後の従業員はすぐにやめてしまう。
外資の労働集約型企業の一部は、賃金コストが低いベトナムなどに移転し始めて
いて、珠江デルタは生産方式を変えざるを得ない状態である。
現在は、最低賃金標準がほぼ毎年上昇しているが、企業は幸福でなく、従業員も
そう特に幸せとは言えない。当面の急務は、幸福感も最低賃金標準と同時に上昇さ
せることである。
今回の最低賃金標準の引き上げに対して深セン市当局の解釈は、住民の収入と経
済社会発展とを同等に推進するために、低所得者の収入レベルを引き上げ、そして、
深センに労働力をもっと集め、深センの経済発展の需要を十分満たすということだ。
結局、経済発展により賃金上昇を余儀なくされている。
毎年、春節後は、深センだけでなく、全国の大部分の都市が労働者不足という難
題に直面する。一部の中小都市では大量の労働者が不足している。賃金上昇の理由
は容易に理解できるだろう。
しかし、現在単純な賃金値上げではもう人々は喜ばない。賃金の上昇は速いが、
物価、医療、不動産の上昇についていけるのか?
賃金を上げれば人がどっと集まった22年前に比べれば、今の労働者は既に大幅な
賃上げを求めてきたし、幸福感の基準も上がってしまった。賃金は上昇させなけれ
ばならないが、同時に幸福感も上昇させなければならない。
幸福感を賃金とともに上昇させるためには、第一条件として、最低ラインの人民
の生活を保障することにある。都市に住む一人一人が最低ラインの医療、教育、住
居などの福祉が受けられれば、最低賃金上昇が彼らに喜びをもたらすことになる、
そしてより多くの労働力をその都市に呼び込むことができる。
賃金が上昇しても、幸福感を下げさせてはいけない。〔2014年2月4日東方網〕
農民工就業 中西部地域が持続的な成長
国務院農民工工作領導小組弁公室の主任で、人力資源・社会保障部の楊志明副部
長は20日、ここ数年、農民工の60%以上の就業は依然として東部地域であるものの、
東部地域には低成長、マイナス成長まであらわれており、中西部地域が持続的に成
長していると述べた。
「中西部地域の賃金は東部地域より10%前後低いが、自宅から比較的近く、生活
コストも低く、家族の世話もしやすい等から、就業する魅力は高い」
「産業の高度化や産業シフトの需要に応え、労働力は東部、中部、西部の間で合
理的な流動が促進され、ある程度は各地域の労働環境の改善と農民工に対する人道
的配慮が促進されている」(楊志明副部長)
楊志明副部長によると、2013年、全国農民工の総数は2.69億人で、前年比633万
人増となった。そのうち、外出農民工は1.66億人で前年比274万人増。2013年外出
農民工の月給平均は2609元で前年比319元増の13.9%増だった。農民工の収入は既に
農民1人当たり収入の50%を占めている。
今後ある一定の期間において、中国農民工の総数は供給が需要を上回る現象が存
在するが、就業と募集がともに難しいという構造的矛盾があらわれている。
一般工の募集難は、農民工の供給の有限性を反映したもので、技術工の募集難は、
産業シフト、高度化プロセスの技能人材不足を反映したものである。
「根本的に、農業からの労働力の移転はまさに無限から有限へと変化している。
農民工の増加の伸びも鈍化していることは、農業労働力が持続的に大規模な都市移
転をするに伴い、無限ではなくなっているということだ。潜在力があっても、無限
ではない」
楊志明副部長は、農民工の就業は農民工の全体量に限界があるということから、
就業と雇用問題という構造的矛盾突出へと変化していると見ている。
〔新華網2014年2月20日〕
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