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遺伝子組み換え作物への反対と現実の要請

遺伝子組み換え食品を食べるか? 牛盾農業部副部長はうなずく

 あるスーパーで遺伝子組み換え米が発見され、大手メーカーの豆乳から遺伝子組
み換え成分が検出されたにもかかわらず表示がなされていなかったことが明らかと
なり、遺伝子組み換え食品をめぐる論争はいまだ収束を見せない。
 それどころか、2014年両会において、CCTVの人気キャスターである崔永元氏がた
びたび「農業部の遺伝子組み換え作物の乱植に対する管理能力不足」について攻撃
をしたことから、関心はさらに高まっている。
 ネットユーザー20万人以上による投票によれば、その9割が遺伝子組み換えは安
全ではないとして、商業化に反対している。一方、関連部門は再三にわたって食用
品の安全性と、その審査が厳密であることを示してきた。
 排斥するか、断固支持するか、我々の周りにどれだけの遺伝子組み換え食品があ
るのか、両会において上層部を追及した。
▽問1「あなたは遺伝子組み換え食品を食べますか?」 牛盾農業部副部長うなずく
 農業部の牛盾副部長(全国政協委員)は、この問いに対し、首肯した。
 中国農科院植物保護研究所の彭于発研究員(全国政協委員):私のみならず世界
中の多くの人々が、大豆の遺伝子組み換え食品を口にしている。全ては妻が購入し
たものだが、私たちは購入する際にそれが遺伝子組み換え食品か否かについてあえ
て確認することはない。
▽問2「遺伝子組み換え食品は安全か?」 批准されたものは皆安全
 彭于発研究員:批准を受けたものは全て安全である。しかし、遺伝子組み換え食
品には潜在的リスクが存在するため、厳格な科学的評価及びテストが必要不可欠で
ある。
 中国の遺伝子組み換えに対する安全審査は非常に慎重である。例えば、2013年中
国で新たに批准された遺伝子組み換え大豆は、当時既にアメリカ、カナダ、日本等
十数カ国において商業用あるいは食用として批准されていた。他国の安全評価をも
とに、中国国内においても環境面及び食用面での安全検証が行われ、3年の月日を
経てようやく許可が下りた。
 中央農村工作指導グループの陳錫文副リーダー(全国政協委員):市場で販売し
消費者に提供できるか否かは、極めて厳格な審査によって判断され、これによって
いかなる副作用も発生しないことが保障されて、初めて市場での流通を許可される。
▽問3「身の回りの遺伝子組み換えにはどういったものがあるか」 害虫抵抗性綿
及び抗ウイルスパパイヤ
 牛盾副部長:目下栽培を許可されているのは害虫抵抗性綿及び抗ウイルスパパイ
ヤのみであり、主要食物、例えば肉、卵、乳製品、水産品においても現在商品化・
生産されているものはない。
 陳錫文副リーダー:中国において食用として本格的に国内販売されている遺伝子
組み換えの農産品は非常に少なく、世論にあるトマト、唐辛子等は全て誤りである。
 彭于発研究員:遺伝子組み換えによる食用油は世界で主に4種類あり、一部の豆
腐や米にも遺伝子組み換え成分があるが、表示はされていない。
 中国では2002年に施行された「農業遺伝子組み換え生物標識管理弁法」に基づき、
大豆種子、大豆、大豆粉、大豆油、大豆かす等5種別17品種は全て表示が義務づけ
られている。
▽問4「国民の知る権利はいかにして保障するか?」 表示のないものは違法
 陳錫文副リーダー:「厳格な安全評価と検査の実施」「消費者の知る権利の保障」
というスタンスは今後も変わらない。
 牛盾副部長:法律では表示が義務づけられており、表示していないものは違法で
ある。一部の遺伝子組み換え商品には表示が非常に小さく不明瞭にされているもの
があるが、これは販売者による行為である。
 彭于発研究員:メリットがリスクをはるかに上回り、なおかつリスクについて市
民に十分説明するということであれば、我々は受け入れたいが、ひっそりと何もわ
からない状態の中でやって、我々を納得させようということは認めない。
 この2、3年、関連部門は科学の普及に全力を挙げてきた。当然さらなる進歩が見
込まれる。
▽問5「批准を受けず栽培されるという状況はあるか?」 遺伝子組み換え米の種
は流出したことも
 彭于発研究員:全体的に数は少ないものの、それぞれの分野に法律違反が存在し
ている。
 乱植が無意識に行われる場合もあり、例えば1990年代前期、遺伝子組み換え技術
の安全評価と法規管理が不十分であったことから、遺伝子組み換え種子の流出が起
きた。米の状況は歴史的なスケールの問題になっている。種子が一度汚染されれば、
解決には長い年月が必要になる。
 牛盾副部長:一部地域で遺伝子組み換え米が検出されたことに対しては追跡調査
を行う必要がある。しかし、遺伝子組み換え技術の研究開発はハイテクノロジーの
最先端であり、投資を拡大し、優秀な人材によって技術の掌握に努め、他の国々に
おくれをとってはならない。
〔北京娯楽信報2014年3月5日〕

中国は10年以内に食料危機 遺伝子組み換え栽培は前途多難

 2050年、世界の人口は90億人に達し、アジアは少なくとも現在に比べて70%の穀
物供給がなされなければ需要を満たすことができないので、新しい技術が生まれて
こないことを想像することは怖い。
 2月13日、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)が北京で発表した報告において、ポー
ル・テン理事長は、2010―2050年において、アジアの都市の人口は90%増加するが、
アジアにおける耕地は世界のわずか34%、水資源は30%で、農作物の増産スピードは
追いつかないと指摘した。
 「都市人口の増加は、飲食の構造的変化を意味し、高たんぱく食品の需要が大幅
に増加し、相応に穀物需要が増加し、土壌が劣化し、異常気象の影響により、穀物
の逼迫局面がさらに激化する。
 穀物1キログラム生産するのに1000リットルの水が必要だが、1キログラムの牛肉
を生産するには1万6000リットルの水が必要である。高たんぱく食品の需要の増加
は、水資源の消耗を大幅に増加させるはずだが、水資源はとても逼迫している」
 この問題で中国がとても苦慮しているのは、中国がまさに都市化率を上げようと
しているからである。
 ISAAAの試算によると、2025年時点で、中国のトウモロコシの需要は2013年を基
礎として80%増、大豆の需要は20%増だが、目下の中国の80%以上の大豆は輸入に依
存している。10年後の穀物供給はどこから来るのだろうか?
 上記報告でわかることは、数年来、北米及び南米、オーストラリアはずっと穀物
輸出をしている一方、アジアはずっと輸入していることである。
 仮に、ある国家の穀物供給の大部分が輸入で解決されているとすれば、その安全
性は少しも保障されたものではない。第18期第3回中央委員会全体会議でなぜ穀物
安全が最重要戦略となったかを理解できよう。
 2013年、世界の27カ国の1800万人以上の農民が遺伝子組み換え作物を栽培してお
り、栽培面積は2012年比で3%増の500万ヘクタールとなった。このほか、初めて干
ばつ耐性を持つ遺伝子組み換えトウモロコシのハイブリッド品種が米国で商業化した。
 1996―2013年、世界の遺伝子組み換え作物の商業化栽培面積は100倍以上増加し、
170万ヘクタールから1.75億ヘクタールまで増加し、中でも米国での栽培面積は7010
万ヘクタールと世界の40%を占めている。
 中国の遺伝子組み換え作物の栽培面積は420万ヘクタールで、世界第6位であるが、
大豆、トウモロコシ、稲等穀物ではなく、綿花等が主体である。
 「中国政府の指導者はここ1年で何度か態度を示しており、意思決定層は遺伝子
組み換え産業化推進では既にコンセンサスを得ているが、民間の反対の声が強く、
このことが遺伝子組み換え作物の認可速度をさらにおくらせている。
 我々はこのことは正常だと見ている、なぜなら、欧米国家の国民の全体的な知的
レベルは高いが、中国はわずか30年余りで彼らの200年余りのプロセスをたどって
いるのだから、国民の知識が物質的な富の蓄積速度に追いついていない。したがっ
て、現在我々が力を入れているのは国民教育である」
 中国農業科学院バイオテクノロジー研究所の黄大所長はこのように教えてくれた。
 2013年12月20日、国家質検総局は、深セン、福建、山東、広東、浙江、アモイ等
の検査場の検疫機関で、12ロット54.5万トンの米国輸入トウモロコシから、農業部
が承認していないMIR162遺伝子組み換え成分が相次いで検出されたことを報告した。
 各検査場の検疫機関では、既に法律に基づいて、これらの輸入トウモロコシの返
品処理を行った。
 「多くの人はこのことを遺伝子組み換えトウモロコシは安全ではないと捉えたが、
実際には、返品は安全問題とは無関係で、ただ、手続が中国の規定と合致していな
いためで、詳細な申告資料があればそれで許可される。」(黄大所長)
 国家食品安全リスク評価センター一部の徐海濱主任も、加工原料としての遺伝子
組み換えトウモロコシは、中国は一貫して輸入を許可しているし、とても小さな範
囲で試験的な栽培を行うこともできる。しかし、栽培は厳格な監督を受けるもので、
根本的に流通ルートには乗らないものであると指摘している。
 上記の報告では、1996―2012年のデータでは、中国農民が遺伝子組み換え綿花を
栽培して150億米ドルの利益を得、そのほか、殺虫剤散布数が半減したと指摘して
いる。
 ISAAAの創始者であるクライブ・ジェームズ氏は、以下のように述べた。
 「遺伝子組み換え綿花が繊維を提供するに至っており、遺伝子組み換えトウモロ
コシは飼料生産を増加、改善できる。米はアジアでは最も主要な穀物で、遺伝子組
み換え米が認可を受けられれば、中国は恩恵を受けると確信する」
 ウオッチャーの予測では、中国は既に遺伝子組み換え作物の認可を得て、準備を
しているかもしれない。中国は既に2009年11月24日に遺伝子組み換えトウモロコシ
の生物安全証書を承認しており、同時に遺伝子組み換え米2種類も認可している。
 「しかし、本当の商業化栽培はさらに長い道のりがある」(黄大所長)
〔和訊網2014年2月14日〕
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