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盲目的な人と金の流れの終えん

北京の人口調整 流入人口の逆流鮮明

 北京の朝陽区金盞郷に5年間いた王倩さん(仮名)は、北京を離れ、実家に帰る
ことを決めた。彼女から見ると、北京の魅力はそんなに強くなく、帰郷への誘惑の
方が強くなっていた。
 今年の春節後、北京市朝陽区五環の金盞郷では、賃貸住宅の広告が至るところで
見られ、レストランの従業員の募集のお知らせもよく見るありふれたものになって
いた。
 「春節の商売はよくなくて、特に3月は最もはっきりと、売上額は前年同期の3分
の1近く減った」
 この地で7年レストランを経営している経営者によると、流入人口は金盞郷の多
くのレストランの主要な客だが、商売がよくないのは、ここ一帯の北京に来る流入
人口が大幅に減少していることだ。
 金盞郷は流入人口が集住し、また金盞郷のある朝陽区は、北京の流入人口の占め
る割合が最も多い区である。流入人口が北京に来る流れははっきりと弱まり、朝陽
区はその一つの縮図となっている。
 6月18日、北京市統計局、国家統計局北京調査総隊が発表したデータによると、
過去3年において、北京の常住人口は毎年約60万人を超えない規模で新規に増加し
ていた。
 北京の流入人口の減少は、これらの北京に住む北京以外出身者の個人体験だけで
はない。北京市統計局がここ数年の人口データを整理したところ、2011年から、北
京市の流入人口の増加速度は減少に転じ始めていた。
〈北京の人口調整の攻防〉
 人口規模は都市計画よりも速く増加し、ずっと北京の都市発展における懸案であ
った。
 今年の政府工作報告の北京市経済社会発展の主要目標では、これまでもあったGDP、
CPI等の項目のほか、初めて常住人口の増加速度の減少目標を出している。
 2010年から、北京流入人口の速過ぎる成長に対処するため、北京は一連の人口調
整「合わせわざ」を打ち出している。外来流動人口について、北京市は「居住証、
住宅、産業による人口管理」モデルを実行している。
 例えば、産業による人口管理というのは、北京が科学技術と技術集約型産業を発
展させ、労働集約型産業の比率を下げるということである。2011年初めに北京市が
出した、日用雑貨、小型食品雑貨店等17業態の参入ハードル引き上げは、約30万の
商業主体、100万人の流動人口に影響が及んだ。
 「私たちが調査研究を行った際に感じたことは、今年の北京の流入人口は減少傾
向がはっきりしていることだ。現在、一部の流入人口は少しずつ帰っているし、帰
るのがいいか、北京に来るのがいいのかと考えている人もいる、これはよい現象
だ」北京市社会科学院の趙弘副院長は取材に対して述べた。
 趙弘副院長によると、北京の流入就業人口のうち、3分の2は卸売小売業、製造業、
ホテル・レストラン業、建設業の従来型の四大産業に集中しており、そのうち、卸
売小売業が11.4%を占めている。
 北京では、流入人口調整は、戸籍、居住証等の固定的な措置のほか、低劣な市場、
部屋を小分けにしたシェアハウスの整頓、就学ハードルの引き上げもあり、これも
一定程度流入人口の北京流入人口を制限している。北京・天津・河北一体化の流れ
のもと、就業人口の多くが働く卸売市場の外部移転の懸案もあり、そのことも流入
人口の気持ちを動揺させている。
 もし、順調であれば、流入人口の持続的な減少というこの趨勢は今後数年持続す
るし、加えて、今後の経済展望は楽観できないので、北京、上海、広東等一線都市
から離れようという衝動はますます強くなるはずである。
 データによると、2010年の北京市流入人口は704.5万で、前年より195.3万増で、
増加速度は38.4%だった。2011年の北京市流入人口は742.2万で、前年より37.7万増
で、増加速度は5.4%だった。2012年の北京市流入人口は773.8万で、前年より31.6
万増で、増加速度は4.3%だった。
〈流入人口は徐々に逆流〉
 一部の流入人口に言わせれば、北京に押し寄せることが唯一の選択肢ではなくな
っている。
 実家に帰ることを選んだ王倩さんにはそれなりの計算があった。
 「ここ数年、故郷の発展状況もとてもよく、賃金は北京とそれほど違いはなくな
っている。多くの人は出稼ぎすることを望まない。近場で仕事を探して、家の面倒
も見られる。お金も稼げるし、うれしくないはずはないでしょう?」王倩さんは、
北京を離れる選択に納得した気持ちを表現した。
 実際、ここ数年にあらわれた流入人口の逆流傾向は、都市化と構造調整の深化に
よるものだ。流入人口の帰郷を押し上げる要素も強まっている。ここ数年来、地方
政府は一連の農民工帰郷創業の政策を打ち出しており、創業者に資金、技術、許認
可等の支援を与えている。
 「都市の要素コストは徐々に高まり、比較すると、地方政府の政策が整備され、
例えば、各地が打ち出した幾つかの農民工帰郷の優遇政策では、農民のトウモロコ
シ、水稲の栽培に補助をつけており、流入人口の帰郷を後押ししている」(趙弘副
院長)
 北京のここ数年の政策調整、経済状況が、多数の外来労働者の帰郷を一定程度促
している。
 6月6日に開催された中央全面深化改革指導者グループ第3次会議で「戸籍制度改
革のさらなる推進に関する意見」が審議された。
 それによると、戸籍改革全体に対する政策要求は、制度鎮と小都市の定住制限を
全面的に自由化し、中等都市の定住制限を順次自由化し、大都市の定住条件を合理
的に確定し、特大都市の人口規模を厳格に調整し、都市で安定就業と安定生活をす
る能力のある常住人口の市民化の順次実現を促進し、都市基本公共サービスが常住
人口全体をカバーするよう推進するとしている。
 明らかに、今後大都市人口の調整はますます厳格になるが、「我々の都市病は、
長期的に不合理な二重構造をもたらす。もし、農民が土地の外に大量に流出すれば、
一方で、ますます都市病を招くし、一方で、農村の土地の荒廃が加速し、現地の人
材の欠乏、独居高齢者や留守児童等の多くの問題を激化させる」(趙弘副院長)
〔21世紀経済報道2014年6月20日〕

時流に乗った不動産投資チャンスは終わり

 6月21日午前、〓苑・〓都匯の「大家財富」サミットフォーラムが北京金融街の
リッツカートンホテルで開催された。住建部政策研究センターの秦虹主任、華夏時
報の編集長で、有名な金融評論家の水皮氏、〓苑中国置業の管理者層、多くの投資
関係者が出席した。
 席上、専門家は「中国不動産市場は崩壊するのか、暴落するか、抜け出すべきか、
今後の展望はどうか」について、詳細な分析、解説を行った。
 秦虹主任によると、今年1―5月期の分譲住宅販売面積及び販売額は前年比でマイ
ナス成長で、8%前後であるが、2013年を除けば、今年の分譲住宅販売面積及び販売
額は過去数年間の同時期を超えており、かつ、今年5月の販売面積は前期比11%増と
なった。したがって、今年の不動産は決して悲観的なものではない。
〈中国不動産市場における3つの不変要素〉
 秦虹主任は、中国不動産市場には3つの不変要素があると見ている。
 1つは、総需要量がまだまだ大きいことだ。
 24―28歳は、全国に1.2億人おり、そのうち8000万人が都市で生活し、これらの
年齢層では結婚に伴う住居の需要が切実である。
 また、40―50歳は、全国に2.2億人おり、セカンドハウスへの住みかえ需要が大
きい。
 2つ目は、不動産市場の多様化の構図に変化がないことだ。
 昨年、全国11都市の住宅価格はマイナス成長だったが、69都市では上昇し、その
うち一線都市の住宅価格は前年比20%増だった。今年の不動産市場は従前どおりの
多様化の構図が続いているが、これは人口の不均衡な流動と密接に関係している。
 都市化によって毎年2000万人近い都市住民が新規に増加しているが、これらの住
民の流動は極めて不均衡である。
 例えば、北京の2013年の常住人口の新規増加数は45.5万人で、住宅需要は新規に
十数万増加しているが、北京の年間の分譲住宅の販売軒数は十万で、北京の需給関
係はずっと逼迫傾向にある。しかし、都市によっては人口がマイナス成長となり、
住宅価格が自然に下がっているところもある。
 人口成長が最も速い都市には2タイプあり、1つは地域内の超大都市、もう1つは
高速交通網の結節点の都市である。
 3つ目は、不動産市場が貨幣政策の影響を受けることに変わりはないことだ。
 不動産市場は、自身の調整策の影響を受けるほか、さらに貨幣政策、貨幣環境の
影響を受け、この影響はより大きい。
 例えば、2011年に購入制限が始まり、現在まで業界の政策は変わらないが、2012
年下期から2013年までで、住宅価格は大幅上昇したのは、貨幣政策の影響を受けた
からだ。2012年下期から、中央銀行がちょっと緩める貨幣政策を2013年上期まで行
った。
 不動産が貨幣政策に対して非常に敏感なのは、不動産がとても強い資産属性を持
っているからである。今年の不動産市場が昨年ほどではないのは、貨幣政策をちょ
っと引き締めぎみであるためである。
 個人住宅購入について言えば、2つの指標が変化している。1つは、1度目の住宅
購入のための貸し出し利率が上昇し、今年は8掛けでないにもかかわらず、利率が10%
―15%アップしたこと、もう1つは、個人貸出額の大幅減少である。銀行の残高が減
少し、貸出額に制約のある中で、銀行は高金利での貸し出し需要にさらに偏重して
いる。
 秦虹主任によると、今年の中国の経済成長には2つの最低ラインがある。1つは、
経済成長が7.5%を下回らないということと、CPIが3.5%を上回らないということで
ある。この要求のもと、今年の貨幣環境は引き締めを継続することは難しく、緩め
る貨幣政策が不動産市場の発展に有利となるはずである。
 中国不動産市場の3つの不変要素をもとにすると、市場には崩壊や暴落があらわ
れることはないはずである。
 今後、不動産投資をどのように選択するべきか、不動産市場にはもうチャンスは
ないのだろうか?
 秦虹主任は、不動産市場全体の発展は、これまでの時流に乗ったチャンスは既に
終わり、構造的なチャンスが到来していると見ている。
 これまでの、誰が住宅を売買してももうけられるような時流に乗ったチャンスは
到来せず、今後のチャンスは構造的なもので、大事なのは専門的な能力である。
 企業について言えば、業界内部の統合が加速し、専門性の強い企業が市場シェア
を拡大し続け、そうでない企業は市場から退出することになる。
 地域について言えば、超大都市、高速交通網の結節点の都市は、今後も発展が良
好である。
 業界について言えば、単なる従来型の住宅販売は厳しくなるが、革新的なモデル
での住宅及び社区商業では良好は発展展望がある。産業構造の高度化テンポが速い
場所、消費構造の向上は、商業不動産に新しいチャンスをもたらす。
 個人投資について言えば、構造的なチャンスははっきりしており、最も重要なの
は選択である。よい企業、よい土地とプロジェクトを選択すれば、まだまだ良好な
成長の余地がある。
〈最良の投資時機 今年上半期から来年の半ばまで〉
 水皮氏は、中国不動産市場は長期的にはよいが、短期的に調整局面があるのは避
けられないと見ている。
 中国不動産市場と貨幣政策の密接な関係で、目下の貨幣政策は引き締めに向かい、
短期的には住宅価格は変化しない段階がある。投資家にとって言えば、それが住宅
選びのよいチャンスである。
 5年単位ではかるとすると、不動産投資がまだよくなるのは、特に一線都市であ
る。しかし、短期的には、住宅価格の変動で底値買いをしにくい。
 水皮氏は、不動産投資の最良のチャンスは、今年の上半期にあらわれ、遅くとも
2015年には終わる、不動産調整時期は1年を超えることはないと予想している。
注)〓は、「金」を3つ並べる。
〔中国日報網站―環球在線2014年6月22日〕
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