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電子マガジン・中国最新情報
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今日的な医療課題と意識改善の必要性

エイズ感染者差別状況 職場、学校が最悪

 国連合同エイズ計画の2011年現在のデータによると、中国では78万人のHIV感染
者がおり(未発見者を含む)、総人口の0.0058%を占めている。中国のHIV感染率全
体の割合は比較的低い水準を保っているが、感染者数は上昇を続けており、新たな
感染者は毎年約5万人に上る。
 中国ではエイズ拡散防止策がある程度の効果を得ているが、HIVがもたらす広い
意味での社会差別が依然として重大な問題となっている。エイズ患者は社会、仕事、
学校で差別を受けるだけではなく、受診問題にも直面している。
 国連合同エイズ計画の中国での調査によると、職場と学校ではエイズ感染者への
差別が最も厳しく、また医療機関でも感染者への差別態度が比較的高いことがわか
った。
 アンケート回答者は、感染者の立場に最も理解を示してくれるのは感染者コミュ
ニティーの中の友人や同僚たち(90.3%の調査対象者がその境地に理解を示してく
れる)としている。アンケート回答者の配偶者や恋人や子供も高い理解度を示して
いる。
 職場においては、社長、同僚、顧客といった人たちは、感染者に対しての差別が
最もひどい。平均して半数以上のアンケート回答者がこれらの人々から差別を受け
たとし、中にはひどい差別を受けた回答者もいた。
 このため、感染者は自然のうちにこれらの人たちの前では感染者の身分を隠そう
とし、ごくわずかな人だけにしか感染者という身分をカミングアウトしていない。
 教師、政府関係者、医療従事者に至るまで、ひどい差別現象は存在する。これら
の職業には社会公益性があるため、感染者への差別的行為は感染者への利益や社会
正義に多大な損害を与える。
 差別に伴って起こる人権侵害現象も見逃してはならない。病院はこの面では最も
深刻で、アンケート回答者の21.2%が、入院時の検査の際に強制的にエイズ検査を
させられたという。実際に医療関係者が検査を必要だと考えたとしても、先に本人
の同意を得た上で検査前の情報提供を行うべきである。
 ILOの研究でも、エイズ感染者が病院での診察を受ける際に多方面にわたる差別
を受けた、例えば、手術の拒否、隔離、強制検査、エイズ感染状況の暴露などがあ
ることが明らかになっている。
 このほかに、アンケート回答者の37名は、エイズ感染のため、かつて当局の強制
的な家宅消毒を受けたとしている。
 エイズ感染者の差別は人権侵害であり、事実上エイズ感染防止には何の役にも立
たない。エイズ感染者は嫌がらせや精神的攻撃のため、正常な人と同じように振る
舞い、決して治療を受けようとはしないし、中には反社会的な行動をとる人もいる。
 2013年、国連合同エイズ計画がエイズの日のスローガンを「差別ゼロ」と定めた
のも、まさに偏見と差別がエイズ防止の最大の障害になっているからである。
〔網易2014年12月1日〕

石炭依存の闇 炭鉱事故とスモッグがとまらず

 過去30年間、石炭は中国経済の支柱産業だったが、石炭は経済発展をもたらすと
ともに、致命的な損害も与えている。中国のじん肺の爆発的蔓延は、数十年来の石
炭主導の経済発展による結果である。
 ここ十年来、中国の石炭消費量は急激に成長し、2013年までに、中国の石炭消費
量は世界各国・地域の消費量の和とほぼ同一になった。深刻な石炭依存は、一連の
ひどい結果をもたらした。
 最初に人々が注目したのは、頻発する炭鉱事故である。2001―2005年、中国の炭
鉱の年間死亡者数は5500人以上で、最も多い年は6702人だった。2005年以後、中国
の炭鉱事故による死亡者数は徐々に減少したが、石炭がもたらすじん肺やその他の
疾病が日に日に深刻になっていった。
 国家衛生計画出産委員会のデータによると、2005―2013年、じん肺の最終診断者
数は7倍増の約75万人に達し、毎年平均35%増となった。
 しかし、これは実際の人数より低く見積もっている可能性がある。監督機関によ
ると、中国炭鉱労働者の90%は正規の労働契約を結んでいないため、政府の健康調
査統計に含まれておらず、中国のじん肺患者の実数は約600万人前後だという。
 一般人に言わせれば、石炭の損害は主に燃焼による大気汚染である。
 昨年の全国低炭素デーに、環境NGO「緑色和平」は、石炭発電所が住民の健康に
与える影響の調査報告を発表した。
 データによると、2011年、北京・天津・河北地域の石炭発電所196カ所が排出し
たPM2.5の汚染は、当該地域の約9900人を早死にさせ、そのうち75%は河北省の石炭
発電所152カ所によるものである。北京・天津・河北地域に隣接する延べ7万人は健
康を損ない病院に受診している。
 この調査報告では、石炭消費は北京・天津・河北地域の大気汚染の主要な元凶で
あると指摘する。2006―2011年の、この地域の石炭発電所の石炭消耗量は43%増加
しており、石炭総消耗量は36%増加している。
 実際には、経済発展を追求する過程で石炭に依存してきたのは中国だけではない。
 ロンドンは1952年のスモッグで1万人以上が死亡し、この1年をもって、石炭消費
ピークを決め、エネルギー多元化を始めた。1960年以降では、シェールガス革命に
より、米国の石炭消費量がここ25年来で最低の水準に下がった。
 米国では、じん肺の罹患率は1960年代から減少し始めたが、世界第2の経済大国
であり、最大の石炭消費国(である中国)は、ようやくこの深刻な結果に向き合い
始めている。
〈致命的な「石炭依存」〉
 中国の石炭消費量(億トン) 中国石炭消費の世界全体に占める割合 新規じん
肺患者数 じん肺患者に占める炭鉱労働者の割合
 2003年  8.67   33.2%  3125   90.3%
 2004年  10.19  36.4%  3326   89.7%
 2005年  11.29  38.6%  3380   90.8%
 2006年  12.5   40.6%  8783   90.3%
 2007年  13.2   41.2%  10963  89.4%
 2008年  13.7   42.0%  10828  90.2%
 2009年  14.7   45.4%  14495  91.9%
 2010年  16.1   46.4%  23812  94.2%
 2011年  17.61  48.5%  26401  95.2%
 2012年  18.73  49.9%  24206  95.0%
 2013年  19.24  50.3%  23152  95.2%
〔網易2014年12月17日〕

中国のメンタルヘルス資源 ベッド不足、医者不足

 精神病患者の王大峰さんが自宅で惨死した事件は、中国社会の精神病患者及びメ
ンタルヘルス医療現場に対する軽視をあらわにした。実際、中国の精神疾患患者数
は大変多い。
 中国疾病予防センターが2009年に発表したデータでは、中国の各種精神疾患患者
数は1億人以上であった。また、別の研究データでは、重篤な精神病患者数は既に
1600万を超えている。
 中国の神経、精神疾患で自殺する人にかかわるコストが全医療コストに占める割
合は20%となっており、中国の疾患におけるコスト負担の大きさでランキングのト
ップとなっている。にもかかわらず、中国のメンタルヘルス分野への投入は少なく、
治療資源の不足がこの大きな患者集団をカバーできないという状態を引き起こして
いる。
 目下中国がメンタルヘルスにかける予算は衛生予算全体の2.35%にすぎず、これ
は疾患全体の負担が20%を占めるのとは強烈なコントラストをなしている。
 大きな公共衛生任務を担う精神病病院は、実際の予算投入においては公共衛生機
構に組み入れられておらず、分配比率は非常に少なく、全く分配がない病院もある。
これは直接、各種精神医療資源の欠陥を引き起こしている。
 WHOの2011年のデータでは、中国の病院(総合病院、専門病院を含む)の精神病
病床数は10万人当たり14.7床、精神病医の全国民に占める割合は10万人当たり1.53
人であり、それぞれ世界の平均レベル(非中間値)の4分の1、3分の1となる。
 これらの数値は、EU各国及び日本(10万人当たり293床、10万人当たり10.1人)、
韓国(同194床、同5.1人)、シンガポール(同77.72床、同2.81人)等のその他ア
ジア地域の中間値を大幅に下回るものである。
 中国のメンタルヘルス資源は全体的な不足以外に、分布地域の不均衡さがある。
 1人当たりGDPが9万元を超える上海では精神科ベッド数が10万人当たり82床で、
経済発展レベルのさらに高いシンガポールや台湾を上回っている。これに対し、1
人当たりGDPが3.9万元の河北省では、10万人当たり0.97床で、経済発展レベルの同
等のフィリピンに近くなる。
 一方では資金不足があるが、もう一方では個人の経済負担及び常識の欠如等の原
因により、中国の精神疾患治療率が低くなっていることがある。
 メンタルヘルス資源が豊富で、医療保障レベルの高い上海でも、2000年代初頭、
各種精神病の未治療率は47. 3% ―76. 3%と高かった。2007年、中国心理衛生協会
のデータによれば、治療の必要なうつ病の90%は治療を受けていない。
 WHOの中国精神疾患治療率に対する調査によれば、精神分裂症の診療率は30%にす
ぎず、入院治療を受けている者は1%に満たない。うつ病及びパーソナリティー障害、
パニック障害の治療比率は10%、強迫性障害、アルコール依存、自殺・自傷の治療
に至ってはさらに低い。
 中国の精神病患者たちは長く社会の端に追いやられ、病院で年老いる、家にひき
こもる、街中を放浪する、ひいては自殺するというような人生になっている。
 精神病患者は社会の中で最も弱い集団の一つであり、多くの補助を受けられるべ
きものである。彼らをどのように扱うかは社会正義がどの程度前進したかをあらわ
すものとなろう。
〈10万人当たり精神病床インフラ〉
 病院数 精神科医数 入院患者数 精神病床数 普通病院の精神病床数 全病床数
 アフリカ  0.01  0.05  10.1  17   0.7  2.4
 東南アジア 0    0.23  1.5   0.9   0.7  1.6
 西太平洋  0    0.9   5.9   2.8   0.5  3.3
 中東    0.03  0.9   23.9  4.8   0.5  5.3
 世界    0.03  1.27  34.4  7    1.4  8.4
 北米    0.04  1.57  51.5  13.3  1.3  14.6
 中国    0.06  1.53  67.92  13.72  1   14.72
 EU     0.16  8.59  243.3  39.4  10.5  49.9
〔網易2014年12月10日〕
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